パース図とは?種類や書き方・作成する方法などをわかりやすく解説

パース図は建物の完成予想図を分かりやすく伝えるのに有効な手段です。実際にその建物の姿を周囲の環境を含めて描写することで、クライアントにより具体的なイメージを抱いてもらえます。

建築業界において重要な要素であるパース図ですが、その作成に関する知識があるか、といわれると自信がないと感じる方もいるのではないでしょうか。また、なんとなく作成しているが、より効果的な作成方法はないか模索している方もいるかと思います。

本記事はそんな方のために、パース図の描き方をはじめとした基本的な知識をまとめました。パース図の描き方でお悩みの方は、ぜひご覧ください。

ツクノビCADは、図面作成、トレース業務を低コストで代行する建設業特化のアウトソーシングサービスです。施工図や仮説計画図、設備図、パース図の作成などまで、幅広い業務に対応しています。詳細はぜひこちらからご確認ください。
\ 30秒で資料請求完了 /まずは資料を見てみる

パース図とは

パース図とは透視図を指す「Perspective Drawing」の略です。見たままの景色を平面に描き起こします。建物やその外観を描き写す事で、立体的な完成予想図を表現できます。

建築業界だけでなく、漫画などのアート関連でも使用される用語です。そのため区別をつけるために「建築パース」と呼ぶこともあります。主に以下のシーンで使用されます。

  • 住宅不動産業界の営業が提案する際の予想図
  • 設計関係者が施工前に建築物を可視化したい場合

間取りとは異なり、家具や人・周囲の建物などを反映できるほか、季節や時間・天気なども描き込める点も特徴です。

パース図の描き方

パース図は手書きCGを用いた2種類の描き方があります。次は主な描き方とその特徴について解説します。

手書き

昔から利用されている伝統的な描き方です。スケッチブックと筆記用具等を用いて描かれます。作者の完成やスキルが反映されるため、独特の味わいが生まれるのが特徴です。

初期段階のアイデアを迅速に表現し、伝えられるメリットがあります。CC技術が発達した現在も、設計の初期段階で頻繁に用いられる技法です。デジタルでは表現できない温かみと個性により、設計意図やコンセプトを伝えられます。

CG

CGはコンピューターグラフィック用のツールを用いて建物や空間を3次元的に描写する描き方です。現代の建築物の設計やプレゼンテーションで重要な役割を果たしています。

リアリズムと詳細な表現力が特徴で、様々な視点からデザイン提案を行うことで、設計意図をより明確に伝えられます。最近はVRやAR技術と組み合わせて、没入感あるプレゼンテーションなども可能になりました。

このことから、CGによるパースは今後より重要な役割を果たすのではないかといわれています。

パース図の種類

1口にパース図といっても、その種類は実に様々です。次はパース図の種類について解説します。次はパース図の種類と特徴について解説します。

外観パース

外観パースは建物を外部から見た様子で描かれるものです。建物全体のデザインや配置・周囲の景観との調和を確認するために用いられます。

住宅をはじめとした様々な建造物の関税予想図として活用されているものです。建物の形状や材質・色合いをリアルに表現できるのも特徴といえます。

内観パース

建物内部の様子を描写したのが、内観パースです。部屋の壁紙や窓の位置・床などだけでなく、以下のデザインを詳細に伝えられます。

  • 部屋のレイアウトや家具配置の例
  • 照明の効果
  • 窓から入る光の量や時間帯ごとの明るさのイメージ

リビングやキッチン・オフィスなど、様々な内部空間の完成予想図として活用されています。内部を詳細に伝え、依頼者とのコミュニケーションを円滑にするのも、内観パースの役割です。

鳥瞰パース

鳥瞰パースは、建物や都市の全体図を天井または上空から俯瞰するような視点で描かれるパース図です。広範なエリアや関係性を視覚的に把握するために活用されます。また、間取り全体のイメージを伝えられるのも特徴です。

都市計画やリゾート施設など、広い範囲を俯瞰して確認したい場合に用いられます。

パース図を手書きする手順

建築においてイメージを伝えコミュニケーションを円滑に進める役割のあるパース図ですが、手書きの場合どのように作成したらいいか分からないという方もいます。次は手書きする場合の一般的な手順を解説します。

一点透視図法の手順

一点透視図でパース図を描く場合、以下の手順で作成します。

  1. 1mを表すマス目を設定し、それに従って壁の線を引く
  2. パースの消失点(視点を通って描く直線と平行な直線が投影点と交わる点)を設定し、そこから壁の四隅に向かって線を引く
  3. 壁から手前に来る床のマス目ラインに線を入れていく
  4. 床の補助ラインを入れるために床の下側から斜めにラインを引き、交点から次の補助ラインを決めて線を引いていく
  5. 補助ラインを目安に家具を平面的に入れていく
  6. 家具をベースに箱を描き上げて薄い下絵状態で家具の形状を具体的に書く
  7. 補助線を濃い線でなぞって形にしていく
  8. 立体的に見せるため影を手前か左右のどちらか一方の2面に描いていく
  9. 補助ラインを目安にしつつ、窓を描き加える
  10. 影の濃淡をつけてカーテンや照明などのディティールを描く
  11. 窓等から見える風景や背景を描き足し、着色する

パースを手書きする際は、下描き用のペンと本描き用のペンを用意してから取りかかりましょう。

二点透視図法の手順

次は二点透視図法の描き方です。

  1. 目線の高さを表す水平線を引き、その延長線上に2つの消失点を配置する
  2. 建物の基本的な形状を立方体や直方体で簡単に描きこむ
  3. 建物のデザインや外観に合わせて細部を追加していく
  4. 消失点から建物の要素に栓を引いていき、遠ざかるほど大きくなるよう描写する
  5. 4の手順と同時に屋根やドアなどの建物の特徴的なパーツに重点を置く
  6. 建物の細部をより具体的に描きこんでリアリティを高める
  7. 着色して完成

慣れるまでは大変ですが、手が描き方を覚えれば自然に描けるようになります。建物をこの描き方を意識しながら模写するなどトレーニングもおすすめです。

パース図をCGで描く手順

CGでパース図を描く場合は手書きとは異なる手順で作成していきます。ソフトによって細かい部分の操作方法が異なるため、ここでは一般的な流れを解説します。

1.設計図を準備する

まずは正確な設計図を用意しましょう。建築士や設計士が作成した以下の資料をご用意ください。

  • 平面図
  • 立体図
  • 断面図

図面は次の工程での基礎となるため、必ず正確なものを用意しましょう。図面から建物の寸法や形状開口部の位置などを読み取ります。

クライアントの要望や建物の構造は、この時点で十分把握しておきましょう。これもまた、後の工程で重要になるポイントです。

2.3Dモデルを作成する

次は設計図をもとに3Dモデルを作成します。専用のソフトを用います。まずは壁や床・天井や床などの基本的な構造要素を作成しましょう。細かい部分を追加するのはその後です。

正確な寸法と比率を保ちつつ、建物の特徴を忠実に再現するのがポイントです。あわせて周辺環境もモデリングして、より現実的にパース図を表現しましょう。

3.素材や照明を設定する

3Dモデルが完成したら適切な素材や質感を割り当てます。壁の塗装や木材の風合い、金属の場合は光沢など、実際の建材や塗装・内装に地階質感を再現しましょう。

素材設定が終わったら次は照明設定です。太陽光や人工照明を適切に配置してください。自然な雰囲気を出せるよう調節するのがポイントです。よりリアルに近付けるためにも、光の当たり具合だけでなく、時間帯や季節感も考慮しましょう。

最後にカメラアングルを設定します。建物の特徴を最も効果的に表現できる視点を選んでください。その後、カメラパラメーターを建物の雰囲気やコンセプトに合わせて調節します。

4.レンダリングする

レンダリングとは、PCが3Dシーンを2D画像に変換する過程です。すべての設定が完了した段階で行います。

高品質なレンダリングは時間がかかりますが、光の加減や影の落ち方などのリアルな視覚効果が得られます。最終的な画質はレンダリングエンジンの選択や設定で決定するため、パース図の目的に合わせて出力しましょう。

5.編集する

レンダリングが終わったら最終調整です。画像編集ソフトを使用して、色調やコントラスト調節・シャープネスの適用などを行います。

必要に応じて、人物や植栽・家具なども追加してリアル感を演出しましょう。ロゴや文字の挿入・フレームの追加もこの工程で行います。最後にクライアントの要望や用途に合わせて画像サイズやフォーマットを調節し、納品用として仕上げます。

パース図を作成する方法

ここまでパース図を作成する方法や工程を解説しました。これまでの内容を踏まえつつ、ツールを用意して手順通りに作業すれば誰でも作成できます。とはいえ、他の方法があるならそれを使いたいと思う方もいるでしょう。次はパース図を作成する方法とそれぞれのメリット・デメリットなどを解説します。

自分で作成する

パース図の入手方法の1つが、自分で作成することです。自分で作成することでその工程を直接的に管理できます。迅速かつ柔軟に対応できるほか、長期的なコスト削減効果が期待できるメリットがあります。

一方、ツールを用意するための初期投資が必要です。また、作成に必要な時間と手間を確保する必要があるため、他の仕事に影響を与える可能性もあります。

初期投資する余裕や現在の仕事量によっては、次に解説する手段を選択することも検討した方がいいでしょう。

外注する

パース図は専門家に依頼できます。プロの技術と経験で高品質なパース図を作成できるのが、外注のメリットです。また、作成を委託することで作成にかかる時間や手間をほかの仕事に分配できるのも利点といえます。

便利ですが、自社で作成するよりも費用は高額になる傾向にあります。

また、情報セキュリティ上のリスクを追ってしまうこともデメリットです。外部に作成を依頼する以上、クライアントや自社の情報を渡さなくてはならないため、その対策が必要になることは企業によっては負担と感じる場合もあるでしょう。

CADでの図面作成はアウトソーシングもおすすめ

ツクノビCAD

CADを活用した図面作成は、アウトソーシングサービスの利用もおすすめです。

従業員のリソースがひっ迫している場合や、CADを活用できる人材が不足している場合などは、アウトソーシングサービスを活用すると、少ない工数で業務に必要な書類を作成できます。専門的な知識を持っているスタッフが対応するため、スムーズに図面作成を進められます。

弊社では、建設工事に必要なCADの活用に対応している建設業特化のBPOサービス「ツクノビCAD」を提供しています。CADを活用した図面作成はもちろん、安全書類や図面の作成、積算業務など、幅広い業務を代行できます。ツクノビBPOでは、倍率200倍の選りすぐりの専任スタッフが対応いたします。

図面の作成や建設業事務を効率化したい方は、ぜひこちらからお問い合わせください。

\ 30秒で資料請求完了 /まずは資料を見てみる

【まとめ】パース図はデザインの質を向上させることで高い効果を期待できる!

パース図は建物のイメージなどをクライアントに分かりやすく伝えるうえで重要な作業です。デザインの質を向上させることで、プレゼンテーションなどで高い効果を期待できます。

クライアントとのコミュニケーションで重要な一を占めている作業ですが、企業によってはその作成が負担になってしまうこともあります。自社状況や他の受注中の仕事内容によっては、外注なども視野に入れて作成を検討した方がいいでしょう。自社にとって、最も効果的に作成・利用するにはどうすればいいかをよく吟味してください。

CGパース図の作り方外観パースの書き方建築CGパース制作におすすめのソフト12選についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

CGパース図の作り方や手順・おすすめツール5選などを解説!外観パースとは?書き方や作るメリット・手順をわかりやすく解説建築CGパース制作におすすめのソフト12選!選び方も解説