建設業者が省力化補助金を活用する際の条件や受け取るまでの流れを解説

  • 人手不足で工期に間に合わない
  • 現場作業を効率化したいけれど予算が足りない

このような悩みを抱えている建設業者が多いのではないでしょうか。特に近年、建設業界では高齢化や若年層の担い手不足が深刻化しており、生産性の向上や作業の効率化が大きな課題となっています。

このような状況の中で注目されているのが「省力化補助金(正式名称:中小企業省力化投資補助事業)」です。この補助金は、IoTやロボットなどを活用した省力化製品を導入する企業を対象に、設備投資の費用を一部支援する制度です。

この記事では、省力化補助金を建設業者が活用するための条件や、補助金を受け取るまでの流れについて、わかりやすく解説します。

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省力化補助金の概要

ここでは、省力化補助金の制度について理解を深めるために、対象となる事業者の条件や申請方法の種類など、基本的な情報を解説します。

対象の事業者

対象の事業者は「人手不足」の状況を具体的に示さなければならないため、次のいずれかのケースに該当する必要があります。

  • 従業員の月間平均残業時間が30時間を超えている
  • 解雇以外の退職で従業員数が前年より5%以上減っている
  • 求人を出しても人材が確保できなかった
  • その他、合理的に省力化を進める必要性が認められる状況

また、補助事業後1~3年以内に、従業員1人あたりの付加価値額を年平均3%以上増やす事業計画を立て、その実績を報告することが求められます。

申請類型

2025年度の省力化補助金では、従来の「カタログ注文型」に加えて、「一般型」という新しい申請類型が追加されました。そのため、製品カタログに掲載されていない設備でも補助対象となる可能性が広がっています。

それぞれの申請類型について、詳しく見ていきましょう。

カタログ注文型

カタログ注文型は、国があらかじめ定めた「省力化製品カタログ」の中から導入したい設備を選び、補助を申請する形式です。例えば、測量機、自動追尾システム付きドローン、運搬ロボットなど、すでに効果が実証されている設備が多数登録されています。

申請は販売事業者と共同で行い、事業計画の策定からサポートが受けられるため、補助金申請が初めての方でも比較的取り組みやすいのが特徴です。

一般型

一般型は、カタログに載っていない設備やシステムでも、自社の業務改善に役立つと認められれば申請できる柔軟な仕組みです。

対象となるのは、ロボットによる生産工程の自動化や、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するようなシステム導入など、現場の個別課題に対応した設備投資です。

より高度な省力化投資をしたい場合や、業種特有の設備を導入したい事業者には、非常に有効な制度といえるでしょう。

建設業に省力化補助金が必要な理由

建設業では人手不足が深刻化しており、1997年に約685万人いた就業者が、2024年には477万人と約30%も減少しています。一方で、建設需要は増加しており、2024年度の建設投資額は約73兆円に達しました。

参考:建設労働|建設業の現状|日本建設業連合会
参考:建設投資の動向|建設市場の現状 | 日本建設業連合会

人手が減る中で仕事量は増えており、現場の負担が重くなっています。加えて、建設業は他業界に比べて賃金が伸びにくく、中高年層の離職や若年層の敬遠を招いているのが現状です。

こうした課題を補う手段として、省力化補助金による設備導入が注目されています。人の代わりに機械やITを活用し、生産性を高めることが求められているでしょう。

建設業者が省力化補助金を活用する際の条件

省力化補助金を受け取るには、どのような建設業者が対象になるのか、補助金の金額や対象製品について解説します。

対象になる建設業者

省力化補助金を利用するには、中小企業の定義に該当することが条件です。
建設業の場合「中小企業」とは、中小企業基本法で以下のように定められています。

業種資本金従業員数(常勤)
製造業、建設業、運輸業3億円以下300人以下

補助率・補助額

省力化補助金では、対象となる企業の規模に応じて、以下のように補助額の上限と補助率が定められています。

【カタログ注文型】

従業員数補助上限額補助率
5人以下750万円(大幅賃上げ実施で1,000万円)1/2
小規模・再生企業は2/3※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3※最低賃金引上げ特例:補助率を2/3に引上げ(小規模・再生事業者は除く)
6~20人1,500万円(同2,000万円)
21~50人3,000万円(同4,000万円)
51~100人5,000万円(同6,500万円)
101人以上8,000万円(同1億円)

参考:中小企業省力化投資補助金とは

対象になる製品

省力化補助金で対象となる製品は、基本的に「人手を省ける」「作業を自動化できる」といった特徴を持っています。建設業の代表的なものとしては、以下のような製品が該当します。

  • 測量機(トータルステーション)
  • 建設現場作業ロボット(鉄筋組立作業ロボット)
  • 無人搬送車(AGV・AMR)

建設業者が省力化補助金で申請できる具体的な製品

省力化補助金を活用することで、建設現場の作業効率を大きく改善できる製品を導入することが可能です。

ここでは、実際に補助対象となる代表的な機器を紹介し、それぞれがどのような現場で活躍できるのかを解説します。

測量機

測量作業を効率化できる代表的な製品が「自動視準・自動追尾機能付きトータルステーション」です。この機器を使うと、従来は2人以上で行っていた測量が、1人で済むようになります。

ノンプリズム機能が搭載されているモデルもあり、ターゲットにプリズムを設置せずに計測できるため、危険な場所や手の届かない場所でも安全に作業できます。

バランサ装置

重量物の搬送を行う現場で活躍するのが「バランサ装置」です。フォークリフトやクレーンが使えない場所でも設置可能で、手作業による負担を大幅に減らせます。

容器の傾斜作業や袋詰め、機械へのワーク装着など、さまざまな工程での活用が想定されています。

GNSS測量機

山間部や視界が悪い場所でも測量作業を効率化できる機器が「GNSS測量機(RTK対応)」です。

従来のトータルステーションでは手間がかかった広範囲の測量も、GNSSの活用で位置情報を即時に取得できます。1人での作業が可能となり、測量時間の短縮と作業者の安全確保につながります。

地上型3Dレーザースキャナー

地物や構造物の形状を三次元で記録することができる高度な測量機器が「地上型3Dレーザースキャナー」です。

一度に広範囲を計測できるため、複雑な地形や都市部の狭い場所でも効率よくデータを収集できます。災害復旧現場などでも有効で、現場の全体像を正確に把握したい場合に特に重宝されます。

マシンコントロール・マシンガイダンス機能付ショベル

設計図面のデータをもとに半自動で掘削作業ができる機能を備えているのが「マシンコントロール・マシンガイダンス機能付ショベル」です。

高い精度での作業が可能となるため、やり直しが減って資材のムダも抑えられます。少人数でも施工が進められるため、特に人手不足の現場では非常に効果的です。

建設業者が省力化補助金を受け取るまでの流れ

省力化補助金は、申請してすぐに受け取れるわけではありません。正式に交付されるまでには、いくつかの手順を踏む必要があります。ここでは、建設業者が補助金を受け取るまでの流れを3つのステップに分けて解説します。

1.gBizIDの取得や事業計画の策定などを準備し申請する

  • gBizIDプライムアカウントの取得
    補助金申請には、オンライン認証システム「gBizIDプライム」が必須です。取得には1週間ほどかかるため、早めの手続きが推奨されます。
  • 導入製品の選定
    カタログ型では、登録された省力化製品から選ぶ必要があります。一方、一般型は企業ごとのニーズに応じた設備も対象となるため、柔軟な選定が可能です。
  • 事業計画の策定
    申請には、具体的な事業計画の提出が求められます。人手不足の実態、生産性向上の見込み、3年で付加価値額を年平均3%以上増やす目標などを明記します。
  • 電子申請の実施
    準備が整ったら、電子申請で書類を提出します。不備や曖昧な表現があると審査に影響するため、内容のチェックは入念に行います。

2.採択通知を受け取り補助事業を実施する

  • 採択通知の受領
    審査に通過すると、採択通知が送られてきます。この時点で計画が認められたことになります。
  • 交付申請の提出
    導入する製品の詳細やスケジュールを記載した「交付申請書」を提出します。承認後、補助事業をスタートできます。
  • 製品の導入と実施
    採択から12か月以内に製品を導入し、計画に基づいた業務改善を開始します。導入後は改善内容の効果を継続して確認することが重要です。

3.実績効果報告を提出し補助金を受け取る

  • 実績報告書の提出
    製品導入が完了したら、写真や数値データを用いて導入内容と効果を示す「実績報告書」を作成し、提出します。
  • 補助金の交付
    提出された報告書の内容に問題がなければ、補助金が数週間以内に振り込まれます。
  • 効果報告
    補助金を受け取った後も、3年間は「効果報告書」の提出が必要です。計画通りの成果が出ているか、毎年チェックされます。

建設業者が省力化補助金を活用した事例

【現場管理アプリで業務効率を改善】
現場管理アプリを導入した事例では、各現場の作業状況や人員配置をリアルタイムで確認できるため、現場との連携がスムーズになりました。アプリには報告書の自動作成機能もあるため、事務作業にかかる時間を削減でき、管理部門の負担が軽くなりました。

【図面のクラウド管理で情報共有を効率化】
クラウド型の図面管理システムを導入した事例では、現場でもスマートフォンやタブレットから図面をすぐに確認・修正できるため、作業ミスの減少につながりました。さらに、複数の現場で同時に図面を共有できるようになり、工事全体の進行がスピードアップしました。

【見積書作成ソフトで営業効率を向上】
見積書作成ソフトを導入した事例では、手作業の見積作業が自動化され、入力ミスが減少し、作業時間を大幅に削減することができました。その結果、社員がより多くの時間を営業活動に充てられるようになり、成約件数の増加につながりました。

建設業者が省力化補助金を活用する際の注意点

省力化補助金は非常に魅力的な制度ですが、申請から受給までにはいくつかの注意点があります。ここでは、建設業者がスムーズに補助金を活用するために知っておくべきポイントを紹介します。

申請期間や条件きちんと把握する

省力化補助金には、公募期間が設けられており、その期間内に申請しなければ受付してもらえません。また、補助金の枠によってもスケジュールが異なるため、早めの情報収集が不可欠です。

さらに、事業を実施する前に申請することが大前提です。機器を先に購入してしまうと、補助対象外になってしまうリスクがあるため、順番には十分注意しましょう。

補助金をもらえない場合があることを理解する

補助金は、申請すれば誰でももらえるというものではありません。審査によっては不採択になるケースも多く、特に書類の内容が不十分だったり、事業の妥当性が薄かったりすると採択されにくくなります。

計画が現実的でない場合や、実現可能性に疑問があると判断されると、補助金が受けられない可能性も出てきます。提出する計画には、具体性と説得力が必要です。

書類は不備なく提出する

提出書類に誤字脱字や記載漏れがあると、審査がストップしてしまったり、不採択になる可能性が高くなります。特に、売上の証拠資料や人手不足の根拠となるデータは正確でなければいけません。

実際、過去の公募では申請者の13%が書類不備で不採択になっています。書類の見直しや第三者によるチェックも含め、提出前には入念な確認が必要です。

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【まとめ】建設業者は省力化補助金を利用して限られた人材を有効に活用しよう!

人手不足や現場の負担に悩む建設業にとって、省力化補助金の活用は非常に心強い制度です。

導入までには準備や手続きが必要ですが、採択されれば数百万円から1億円の補助を受けられる可能性もあります。さらに、導入後の業務改善によって、長期的なコスト削減や品質向上にもつながるでしょう。

限られた人材を効率よく活用し、持続可能な事業運営を目指すためにも、今こそ補助金の活用を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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