人材開発支援助成金とは?7つのコースや申請手順などを解説

人材開発支援 助成金

人材開発助成金は、国が支援している助成金のひとつですが、具体的になにをすると助成金の対象になるのか、申請はどうするのかわからない方もいるでしょう。今回は、人材開発助成金とはなにかや7つのコースについての説明と申請の手順についても解説します。建設業は専門的な知識や技術が必要な職種です。人材の教育にかかる費用や賃金を助成金の活用で抑えられるため、参考にしてみてください。

人材開発支援助成金とは

人材開発助成金とは、職務に関連した専門的な知識や技術などを習得するために、計画的に研修を行う際にかかる費用の一部を国が助成する制度です。雇用している正規雇用労働者が対象となります。特に専門的知識や技術の習得を必要としている職種では労働人口の減少で人材の確保、育成が重要な課題です。建設業も人材不足の職種と言われていますが、人材開発助成金を上手に利用することで計画的な人材育成が可能です。

キャリアアップ助成金との違い

人材開発助成金とキャリアアップ助成金は似ていますが異なる制度です。人材開発助成金は、正規雇用労働者を対象に研修、育成、教育を目的としています。一方のキャリアアップ助成金は、パートやアルバイトなどの非正規雇用労働者(有期雇用)を対象に正規雇用労働者になるための支援や、処遇の改善を推進することが目的です。対象者と目的が違うことを確認しておきましょう。

人材開発支援助成金のメリット

人材育成を目的とした研修や講習などの受講には、費用や時間がかかります。人材開発助成金は対象者の研修費用、支払うべき賃金にも活用できることがメリットです。また、職員がキャリア形成のために受講した訓練や講習なども対象となります。職員のスキルアップにつながり、賃金が上がるなどの処遇も改善されるためモチベーションアップになるでしょう。

人材開発支援助成金のデメリット

メリットばかりではなく、デメリットがあることも把握しておきましょう。まず、申請手続きは研修終了後に行い、審査されるという点です。対象の研修や訓練には細かい条件が定められているため、審査後に支給されない可能性があります。支給が決定しても研修後になり、かかった費用については立替が必要です。また、研修によって人手不足になる場合があることもデメリットです。さらに、申請手続きは必要書類を揃え期限内に提出しなければならず、煩雑で時間と手間がかかります。

人材開発支援助成金の7コース

人材開発支援助成金は7つのコースに分けられます。ひとつずつ解説していきましょう。

人材育成支援コース

人材育成支援コースは、職務に関連した専門的な知識や技術を習得させるように計画的な訓練を行った場合にかかる費用や、訓練期間中の賃金の一部が助成されます。対象訓練と助成金額は以下の通りです。

対象訓練

人材育成支援コースの対象訓練には以下があります。それぞれ訓練対象者や基本要件があるため確認が必要です。
①職務に関連した専門的な知識や技術を習得させるためのOFF-JTを10時間以上
②厚生労働大臣の認定を受けた認定実習併用職業訓練
③有期雇用労働者等に対して正規雇用労働者等に転換するための有期実習型訓練

助成金額

助成金額は、賃金助成と経費助成があります。経費助成については訓練によって異なります。賃金助成は、1人1時間760円、中小企業以外は1人1時間380円です。対象訓練に対する経費助成の助成率は以下の通りです。カッコ内は中小企業以外の助成率です。
①の対象訓練
正規雇用労働者は45%(30%)
有期雇用労働者等は60%
有期雇用労働者等を正規雇用労働者へ転換70%
②の対象訓練は45%(30%)
OJT実施助成は1人1コース当たり20万円(11万円)
③の対象訓練
有期雇用労働者等は60%
有期雇用労働者等を正規雇用労働者へ転換70%
OJT実施助成は1人1コース当たり10万円(9万円)
そのほかに、賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合についても助成されます。

教育訓練休暇付与コース

教育訓練休暇等付与コースは、有給の教育訓練休暇制度を導入し、労働者が教育訓練休暇を取得したうえで、訓練を行った事業主へ助成されるものです。令和8年度までと期間が限定されています。労働者が自ら教育訓練などを受講する機会を確保できるようにすることが目的です。就業規則または労働協約に教育訓練休暇制度の施行日を明記し記載されることも基本要件となっています。また、導入・計画期間の初日から1年ごとの期間内に労働者1人以上に対して教育訓練休暇を付与することも要件のひとつです。

助成金額

教育訓練休暇等付与コースの助成金額は定額の30万円です。ただし、訓練後に毎月支払う賃金が5%以上上がったり、資格手当によって賃金が3%以上増えたりした場合は6万円の加算があります。

人への投資促進コース

令和4年4月から「人への投資促進コース」が創設されています。高度なデジタル人材を育成する訓練や労働者が自発的に行う訓練、サブスクリプション型(定額制訓練)の研修を新しく導入し、実施した事業主へ助成を行います。訓練の内容は5つあり、内容に応じた助成金額・助成率は下記の通りです。

対象訓練

人への投資促進コースの対象訓練とカッコ内は対象者です。
①高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練(正規雇用・非正規雇用)
高度デジタル人材育成のための訓練・海外を含む大学院での訓練
②情報技術分野認定実習併用職業訓練(正規雇用)
OFF-JTとOJTを組み合わせた6か月以上のIT分野関連の訓練
③定額制訓練(正規雇用・非正規雇用)
サブスクリプション型の研修サービス
④自発的職業能力開発訓練(正規雇用・非正規雇用)
自発的な訓練費用を事業主が負担
⑤長期教育訓練休暇等制度(正規雇用・非正規雇用)
制度の導入等

助成金額

①から⑤の訓練に対する賃金助成額と助成率をまとめました。カッコ内は中小企業以外の場合です。

訓練内容賃金助成額

(1時間当たり)

経費助成率OJT実施助成額
960円(480円)75%(60%)
760円(380円)60%(45%)20万円(11万円)
60%(45%)
45%
6,000円/1日20万円(定額)

事業展開等リスキリング支援コース

新規事業の立ち上げなど新たな分野で事業展開をする際に必要となる知識やスキルを習得させるための訓練を実施した場合にかかる費用や賃金の一部が事業主に助成されるのが、事業展開等リスキング支援コースです。事業の変化に合わせて人材のスキルアップを支援し、人材育成の強化を目的としています。

対象訓練

事業展開等リスキリング支援コースの対象訓練は以下の通りです。
①OFF-JTにより実施される訓練であること
②実訓練時間数が10時間以上
③事業展開を行うにあたって新たな分野に必要となる専門的な知識及び技能習得をさせるための訓練または事業展開は行わず、事業主が企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション化(DX化)やグリーン・カーボンニュートラル化を進める場合に関連業務を行ううえで必要となる専門的な知識及び技能習得をさせるための訓練

助成金額

助成金額は、賃金助成が1人1時間あたり960円、中小企業以外は480円です。経費助成が実費相当額の75%、中小企業以外が60%となっています。

建設労働者認定訓練コース

建設労働者認定訓練コースは、中小建設事業主が、建設労働者の雇用の改善や技能向上等を目的として取り組みを行った場合に助成を受けられる制度です。受給できる建設事業主は、中小建設事業主・中小建設事業主団体(経費助成のみ)、雇用管理責任者の選任をしていること、都道府県から認定訓練助成事業費補助金又は広域団体認定訓練助成金の交付を受けて認定訓練を行うことなどが算定の対象となります。

助成金額

建設労働者認定訓練コースの助成金額は、賃金助成が訓練を受講した建設労働者1人1日あたり3,800円(1事業年度合計1,000万円まで)、経費助成が支給対象経費とされた額の1/6相当額となっています。また、賃金要件・資格等手当要件を満たすと1人1日あたり1,000円の上乗せがあります。

建設労働者技能実習コース

建設労働者技能実習コースは、雇用している建設労働者に技能向上を目的とした実習を有給で受講させた建設事業主・建設事業主団体に助成されます。対象となるのは、建設業の中小企業、雇用管理責任者を選任している事業主です。

助成金額

助成金額は雇用している労働者の雇用保険被保険者数で異なります。賃金助成は、雇用保険被保険者数が20人以下だと1日当たり8,550円、21人以上だと1日当たり7,600円となり、1つの技能講習で20日分が上限です。経費助成は実習に要した経費に対する支給割合が20人以下だと3/4、21人以上は35歳未満で7/10、35歳以上で9/20です。1つの技能講習で1人あたり10万円を上限としています。

障がい者職業能力開発コース

障がい者職業能力開発コースは、障がい者の職業に必要な能力開発や能力向上させるために教育訓練を一定して継続的に実施する施設の設置や運営を行う事業主・事業主団体に訓練にかかる費用について一部助成される制度です。障がい者雇用、雇用の継続を目的としています。訓練対象者は①と②の両方に該当しなければなりません。
①身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者・発達障がい者・高次脳機能障がいのある人・難治性疾患のある人
②ハローワークに求職の申込を行い、職業訓練を受ける必要があるとハローワーク所長が認め、その旨を支給対象の事業主に対して職業訓練受講通知書により通知された人

助成金額

助成金額は、施設や設備の設置や整備または更新をした場合、費用の3/4が助成されます。ただし、助成金対象が初めてとなる訓練科目ごとの施設または設備の設置・整備の場合は5,000万円を上限とし、以前助成金対象となったことがある場合は1,000万円を上限とします。運営費については表にまとめました。

対象者助成率
重度障がい者出席率が8割以上1人当たりの運営費4/5

上限額 月額17万円

出席率が8割未満1人当たりの運営費4/5✕訓練受講時間数/訓練時間数

上限 月額17万円

重度障がい者以外出席率が8割以上1人当たりの運営費3/4

上限 月額16万円

出席率が8割未満1人当たりの運営費3/4✕訓練受講時間数/訓練時間数

上限 月額16万円

人材開発支援助成金の申請手順

ここからは人材開発支援助成金の申請手順について解説します。すべてのコースに申請手続きの提出期限があります。期限を過ぎてしまうと申請ができません。また書類に不備があると再提出の可能性もあります。申請書類は厚生労働省「人材開発助成金」のサイトで早めに確認し、余裕を持って準備を行いましょう。

1.訓練計画を作成する

事業内職業能力開発を行うには「職業能力開発推進者」を選任しなければなりません。社内において職業能力開発計画の作成や実施、労働者への適切な指導などが行えるよう訓練の実施に関する権限を持つ方を選任します。次に「事業内職業能力開発計画」を作成して社内へ周知します。「事業内職業能力開発計画」は人材育成の方針などが記載されているため、能力開発や人材育成の取組について共有が可能です。

2.申請書を提出する

訓練を行う開始日から1か月前までに、事業所を管轄する労働局へ書類を提出します。提出書類については厚生労働省のホームページで確認してください。

  • 訓練実施計画書
  • 年間職業能力開発計画
  • 訓練別の対象者一覧
  • 事前確認書

3.訓練を実施後に支給申請書を提出する

訓練を実施後に支給申請書を提出します。訓練終了後の翌日から2か月以内に申請書を提出した管轄の労働局へ必要書類を提出しましょう。厚生労働省のホームページでダウンロードし、確認してください。

  • 支給要件確認申立書
  • 支払い方法・受取人住所届
  • 支給申請書
  • 賃金助成・OJT実施助成の内訳
  • 経費助成の内訳
  • OFF-JT実施状況報告書など

4.審査の通過後に受給

支給申請の書類を提出後に支給審査が行われます。審査には時間がかかる場合があることをおぼえておきましょう。審査に通過し、支給決定した場合は事業所へ支給決定通知書が届きます。通知書が届いて2週間ほどで助成金が振り込まれます。

人材開発支援助成金の注意点

人材開発支援助成金の注意点として、助成金の申請には支給要件が細かく定められていること、訓練後に助成金が支給されること、申請には期限があり手間がかかることが挙げられます。毎年3月頃に新年度の助成金に関する情報が出てくるため、申請手続きの書類は事前に確認することが重要です。年度が変わると書類や支給要件など改正になる可能性があるため、注意しましょう。

手間をかけずに助成金申請するなら

「人材開発支援助成金」などの助成金の申請を行う場合は一度社労士に相談すると良いでしょう。社労士に相談するメリットは以下です。

社労士に依頼するメリット

    • 条件クリアするための助言がもらえる
    • 自社に適したそのほかの助成金を教えてもらえる
    • 書類作成から申請などの業務を丸ごと依頼できる

手間をかけずに助成金が利用できるようになります。社労士のなかでもおすすめなのは社会保険労務士法人TSCです。1年間無料で利用できるので、「お試しで社労士に依頼したい」という方にもおすすめです。

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【まとめ】人材開発支援助成金を上手に活用し個人や会社の成長に繋げよう

人材開発支援助成金は、雇用している労働者の育成に活用できる助成金です。専門的知識や技術を向上させることで人材を確保することにもつながります。また労働者のモチベーションやキャリア形成の向上などメリットも少なくありません。助成金を上手に活用し、労働者個人や会社の成長に繋げていきましょう。

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