令和5年に改訂!公共工事の労務単価とは?

  • 公共工事の労務単価って何?
  • 改正された項目が知りたい

とお悩みではないでしょうか?この記事では、公共工事の労務単価の決まり方や各職種別の労務単価をご紹介します。
また、新たに適用された労務単価のポイントについても解説していくため、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。この記事を読むことで労務単価の概要がわかり、新たな改訂ポイントを理解することができます。

公共工事の労務単価とは

公共工事の労務単価とは、国が公共工事の積算に使用する、公共事業従事者や建設労働者の賃金単価のことです。国土交通省や農林水産省、都道府県などが対象に調査しており、工事費を積算する際の基礎となります。この調査は、1970年から続けられています。

労務単価の決まり方

労務単価を決定するために、農林水産省と国土交通省は公共事業労務費調査を毎年10月に実施しています。この調査の内容は下記のとおりです。

  • 所定労働時間の基本給相当額
  • 所定労働時間
  • の基準内手当(家族手当や通勤手当等)
  • 所定労働日数1日あたりの臨時給与(賞与等)
  • 所定労働日数1日あたりの実物給与(食事の提供等)
  • 都道府県、職種別の建設労働者の賃金

調査対象は農林水産省や都道府県が所管する公共工事となり、職種は下記の51種類になります。

特殊作業員 さく岩工 左官 普通作業員
トンネル特殊工 配管工 軽作業員 トンネル作業員
はつり工 造園工 トンネル世話役 防水工
法面工 橋りょう特殊工 板金工 とび工
橋りょう塗装工 タイル工 石工 橋りょう世話役
サッシ工 ブロック工 土木一般世話役 屋根ふき工
電工 高級船員 内装工 鉄筋工
普通船員 ガラス工 鉄骨工 潜水士
建具工 塗装工 潜水連絡員 ダクト工
溶接工 潜水送気員 保温工 運転手(特殊)
山林砂防工 建築ブロック工 運転手(一般) 軌道工
設備機械工 潜かん工 型わく工 交通誘導警備員A
潜かん世話役 大工 交通誘導警備員B

上記のなかから9つの職種の労務単価をご紹介します。都道府県により労務単価は異なりますが、最高額と最低額を掲載するのでぜひ参考にしてください。

職種 最高単価 最低単価
型枠工 34,000円(宮城県) 21,000円(山口県)
大工 29,600円(宮城県) 21,300円(福井県)
左官 30,500円(宮城県) 19,900円(島根県)
配管工 23,500円(東京都) 18,500円(高知県)
はつり工 25,600円(三重県・静岡県) 21,800円(鳥取県・岡山県)
サッシ工 28,900円(宮城県) 20,000円(島根県・岡山県・広島県・山口県)
ガラス工 25,900円(長野県) 21,100円(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)
建具工 24,500円(長野県) 17,800円(岡山県・広島県)
内装工 31,800円(静岡県) 20,200円(沖縄県)

上記のように、都道府県や職種によって労務単価は異なり、1万円以上の差があることがわかりました。

労務単価に含まれるもの

公共工事の労務単価に含まれるものは下記のとおりです。

  • 基本給相当額
  • 基準内手当
  • 臨時の給与
  • 実物給与
  • 労働者個人が負担する法定福利費相当額

基本給相当額や基準内手当に加えて、賞与などの臨時給与や、食事の支給等による実物給付で労務単価は構成されています。

労務単価に含まれないもの

つづいて労務単価に含まれないものを3つご紹介します。

  • 時間外や休日の労働の割増賃金
  • 各職種の通常作業条件、または作業内容を超えた労働に対する手当
  • 現場管理表および一般管理費等の諸経費

上記のような賃金や経費は、労務単価とみなされません。労務単価を確認したいときは、国土交通省不動産や建設経済局建設市場整備課および各地方整備局技術管理担当課でチェックしましょう。

労務単価を決定するポイント

労務単価は労働市場、社会情勢によって変わります。国交省による労務単価を決定するポイントは下記のとおりです。

  • 47都道府県、51種類の職種別に労務単価を定める
  • 法定福利費相当額の反映
  • 有給休暇取得の際の費用を反映
  • 時間外労働時間を短くするために要する費用を反映

2023年3月から労務単価が改訂

上記で解説したとおり、法定福利費相当額や有給取得の際の費用、時間外労働短縮に必要な費用を反映しつつ、2023年3月に労務単価が改訂されました。新たに適用されたのは、元請業者から労働者に対して直接支給される手当があった場合に、この手当も反映させることです。

新労務単価の3つの改訂ポイント

ここからは新労務単価の3つの改訂ポイントについて解説していきます。ポイントは下記のとおりです。

  • 対前年度比5%の引き上げ
  • 11年連続の引き上げ
  • 労務単価に人件費は含まれない

下記で詳しく解説していきます。

対前年度比5%の引上げ

全職種や主要12職種、どちらにおいても、労務単価は2022年と比べて5%アップ、平成24年と比べると65%以上にアップしています。
主要12職種のそれぞれの比率は下記で確認してください。

職種 平均値 前年度比 職種 平均値 前年度比
特殊作業員 24,074円 +4.0% 運転手
(一般)
21,859円 +5.8%
普通作業員 20,662円 +5.7% 型枠工 27,162円 +3.8%
軽作業員 15,874円 +6.3% 大工 26,657円 +4.9%
とび工 26,764円 +4.8% 左官 25,958円 +4.0%
鉄筋工 26,730円 +3.6% 交通誘導警備員A 15,967円 +7.1%
運転手
(特殊)
25,249円 +5.7% 交通誘導警備員B 13,814円 +6.3%

11年連続の引き上げ

新たに適用された公共工事労務単価は、11年連続で上昇傾向にあります。また、労務単価の伸び率の推移も、9年ぶりに5%以上になりました。

平成25年度 15,175円 平成26年度2月 16,190円
平成27年2月 16,678円 平成28年2月 17,704円
平成29年3月 18,078円 平成30年3月 18,632円
平成31年2月 19,392円 令和2年3月 20,214円
令和3年3月 20,409円 令和4年3月 21,084円
令和5年3月 22,227円

労務単価に人件費は含まれない

労務単価には、法定福利費や安全管理費、人件費等は含まれません。事業主が必要経費分を計上しなかったり、下請代金から必要経費を差し引くことは不正行為になるため注意しましょう。

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【まとめ】労務単価は改定後アップしている!公共工事に入札する際は要チェック

この記事では公共工事の労務単価の仕組みや制度について解説しました。国土交通省や農林水産省、都道府県を対象に調査を行っており、労務単価に含まれるものと含まれないものがあるということを理解いただけたのではないでしょうか。この記事の概要を下記にまとめます。
労務単価に含まれるもの

  • 基本給相当額
  • 基準内手当
  • 臨時の給与
  • 実物給与
  • 労働者個人が負担する法定福利費相当額

労務単価に含まれないもの

  • 時間外や休日の労働の割増賃金
  • 各職種の通常作業条件、または作業内容を超えた労働に対する手当
  • 現場管理表および一般管理費等の諸経費

職種や都道府県により労務単価の金額は異なりますが、労務単価は改定後、11年連続でアップしています。伸び率の推移も5%以上となっています。これを踏まえて、公共工事に入札する際はぜひ参考にしてください。この記事があなたのお役にたちましたら幸いです。

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