損料とは?賃料との違いや使い分ける方法などをわかりやすく解説

損料とは

工事の経費算出のために、「損料」を適切に仕分けて計算することが大切です。損料は、自社で所有している機械や備品にかかる経費を指します。損料に含まれる経費と含まれない経費を理解して適切に仕分けないと、二重計上のようなミスにつながってしまいます。本記事では、損料の概要、賃料との違い、損料と賃料を見分けて使い分ける方法を解説します。

損料とは

建設業界における「損料」とは、建設機械や備品にかかる経費を指します。自社で所有している機械や備品の償却費、維持修理費、管理費などが損料に含まれます。機械や備品をレンタルやリースで利用する場合にかかる料金は、損料ではなく「賃料」です。工事の経費算出のために、損料を適切に計算しなければなりません。

損料は2種類に分類される

損料は、「運転損料」と「供用損料」の2つに大別されます。運転損料は、機械や設備を使用することで発生する費用です。償却費の半分の金額と維持修理費が運転損料に当たります。「供用損料」は、機械や設備を保有する際に発生する費用で稼働していなくても発生する管理費や、償却費の半分の金額が供用損料に該当します。

換算値損料とは

「換算値損料」とは、運転損料と供用損料が併せられ、計算が簡易化された損料です。現場での機械・設備の運転時間や燃料費を、稼働するたびに細かく測定して損料を計算することは困難です。定められた歩掛(ぶがかり)を用いれば、簡単に損料を計算できます。様々な機械や設備の歩掛が国土交通省によって公表されているので、確認しましょう。

運転歩掛の内訳を理解する

適切に積算するために、運転歩掛の内訳を理解することが大切です。以下の2つの項目を解説します。

  • 機械経費
  • 賃料

機械経費

機械経費には、「損料」と「賃料」の2種類があることに注意が必要です。前述したように、自社で所有している機械の経費は損料、レンタルやリースで利用する機械にかかるレンタル料は賃料です。また、一般財団法人経済調査会がまとめている「積算資料単価データベース」や一般財団法人建設物価調査会が出版している「建設物価」で単価を確認しましょう。

賃料

レンタルやリースで利用する機械にかかるレンタル料は賃料に該当します。ただし、後述するように、クレーンの種類によって、賃料に含める費用・含めない費用が異なります。クレーンの種類に応じて適切に計算しましょう。実際にかかったレンタル料やリース料を基に算出するのではなく、前述したデータベースや出版物を参考にして賃料を算出します。

損料と賃料を使い分ける方法

損料と賃料を見分けて使い分けるために注意すべき点がいくつかあります。

  • 積算基準の注意書き欄を見る
  • 工法協会の歩掛に注意する
  • 移動式クレーンに注意する
  • なるべく積算ソフトに頼らず手入力する
  • 積算基準の建設機械賃貸料金を一読しておく

それぞれの内容を解説します。

積算基準の注意書き欄を見る

損料と賃料を見分けるために、積算基準の注意書き欄を確認しましょう。対象の経費が損料である場合、注意書き欄には何も記載されていないことが一般的です。一方で賃料である場合、「賃料とする」という但し書きが記載されています。損料と賃料のどちらなのか迷った際は、積算基準の注意書き欄の記載を見逃さないように注意しましょう。

工法協会の歩掛に注意する

工法協会の歩掛に注意することも、損料と賃料を見分けて使い分けるために大切です。建設業界には、STTG工法協会やエアタイト工法協会などのように、事業者が集まって組織された工法協会がいくつもあります。工法協会ごとに異なる基準で歩掛を設定しているため、積算基準が異なります。不明な点があった場合は、各工法協会に問い合わせましょう。

移動式クレーンに注意する

損料と賃料を適切に使い分けるために、移動式クレーンの経費に注意しましょう。移動式クレーンをレンタルする際に、運転士付きであることが多くあります。運転士の労務費や燃料の形状に注意が必要です。ここではラフテレーンクレーンとクローラクレーンの損料・賃料について詳しく解説します。

ラフテレーンクレーンの損料の注意点

ラフテレーンクレーンは、1つの運転席で走行とクレーン操作を実施できる、自走式クレーンの1つです。レンタルではなく自社で所有しているラフテレーンクレーンの機械経費は、損料として計上できます。クレーンの運転士の労務費と燃料費は、損料ではなくそれぞれの勘定科目で計上します。二重計上にならないよう注意しましょう。

クローラクレーンの損料の注意点

クローラクレーンは、タイヤではなくクローラ(履帯:キャタピラ)で自走するクレーンです。クローラクレーンは公道を自走できません。自社で所有しているクローラクレーンの機械経費は、ラフテレーンクレーンと同様に、損料として計上できます。クレーンの運転士の労務費と燃料費は、損料ではなくそれぞれの勘定科目で計上しましょう。

ラフテレーンクレーンの賃料の注意点

ラフテレーンクレーンのレンタル料には、機械経費、運転士の費用、燃料費がすべて含まれています。それぞれの費用を仕分けせず、一括で賃料として構いません。損料のように労務費と燃料費をそれぞれ分ける必要はありません。ラフテレーンクレーンは公道を走行できるため、レンタル元から現場までの移動にかかる運転士費用・燃料費もレンタル料に含まれていることが一般的です。

クローラクレーンの賃料の注意点

クローラクレーンのレンタル料には、機械経費と運転士の費用、現場使用時の燃料費が含まれています。レンタル元から現場までの燃料費は含まれていないことが一般的です。レンタル料はそのまま賃料に、移動時の燃料費はやはり燃料費に該当します。クローラクレーンは公道を自走できず、トレーラーで運搬しなければならないためです。燃料費の仕訳に特に注意しましょう。

なるべく積算ソフトに頼らず手入力する

損料と賃料を適切に使い分けるために、なるべく積算ソフトに頼らず手入力することをおすすめします。自動的に仕訳・計算してくれる積算ソフトは便利ですが、損料と賃料を正しく見分けてくれるとは限りません。手間がかかりますが、明細を一つひとつ確認し手入力することで、二重計上のようなミスを減らせるでしょう。手入力する分、入力間違いには十分に気を付けましょう。

積算基準の建設機械賃貸料金を一読しておく

損料と賃料を見分けて使い分けるためには、公共建築工事標準単価積算基準に目を通すことが重要です。国土交通省のWebサイトで公表されている「公共建築工事標準単価積算基準」を確認しましょう。特に初めて計上する機械や設備がある場合は、一般財団法人経済調査会や一般財団法人建設物価調査会の出版物を参考にすることをおすすめします。

損料の計算方法

運転1日あたりの損料率の計算式は、以下のとおりです。

「運転1日あたりの損料率」 = {(1 – 「残存率」) × ½ + 「維持修理費率」 } ÷ 「標準仕様年数」 ÷ 「年間標準運転日数」

求めた運転1日あたりの損料率に「基礎価格」を乗じて運転1日あたりの損料を算出します。それぞれの数値は、国土交通省が公表している数値を使用してください。

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【まとめ】損料と賃料の違いを把握し見積もり計算も簡単に算出しよう

損料の概要、賃料との違い、損料と賃料を見分けて使い分ける方法を解説しました。損料は、自社所有の機械や備品にかかる、償却費、維持修理費、管理費などの経費を指します。レンタルやリースで利用している機械や設備にかかる費用は賃料です。損料と賃料を適切に見分けて使い分けることが重要です。ぜひ本記事を参考にして、適切に損料を算出しましょう。

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