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工事現場の品質管理に携わる中で、「管理図」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし、その意味を正確に理解している方は少ないかもしれません。
この記事では、X-R管理図の概要や品質管理における役割、作成手順について解説します。品質管理を効果的に行うためにも、ぜひ参考にしてください。
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x-r管理図とは
X-R(エックスバーアール)管理図は、代表的な計量値の管理図です。工程の平均値(X)と範囲(R)の両方を視覚化できます。
この管理図は、工程が統計的管理状態にあるかどうかを判断するために利用され、長さや重量、時間、電気抵抗などの品質特性値を管理する際に適用されます。
X管理図は平均値の変化を、R管理図はばらつきの変化を管理し、それぞれの要素に対する管理限界線(中心線、上方管理限界、下方管理限界)を計算します。
これにより、各ロットの点が管理限界内にあれば、工程は統計的管理状態にあると判断できます。
x-r管理図の見方
X-R管理図のX軸には時間や生産順序などの順序データ、Y軸には測定された値が表示されます。管理図を見る際には平均値や範囲を監視し、それらが特定の制御限界内に収まっているかどうかを確認します。
連続して上昇や下降している場合は、異常である可能性が高いです。原因を早急に見つけて同様の問題を回避する処置が必要となります。
品質管理における管理図の役割
管理図は品質管理において重要な役割を果たします。品質に影響を与えるのは主に4M(人、機械、材料、方法)です。
これらは作業進行に伴って常に変化するため、品質にばらつきを引き起こします。管理図で管理することでばらつきを視覚化し、品質管理をスムーズに行うことが可能です。
QC7つ道具
QC7つ道具は、品質管理において重要な手法の1つです。「Quality Control」の頭文字をとった略語であるQC(品質管理)に基づき、合理的な品質管理を行うための手法を指します。
これらの手法は、現状把握から問題の発見、原因分析、対策・改善、そして効果検証を経て品質の定着化を図るプロセスにおいて活用されます。
QC7つ道具には、製造工程や品質データの整理・分析に役立つ7つのツールが含まれており、パレート図、特性要因図、グラフ、ヒストグラム、散布図、管理図、そしてチェックシートが挙げられます。
管理図の仕組み・構成
管理図は、中心線(CL)、上方管理限界線(UCL)、下方管理限界線(LCL)で構成されています。管理図にばらつきが生じる原因は「偶然原因」と「異常原因」です。
偶然原因は、工程の状態に関係なく生じる不可避の要因で、微細な違いによって発生します。一方、異常原因は工程が正常でないことが引き起こすもので、ルール違反や規格外の材料の使用などが主な要因です。
管理図の種類
管理図の種類は、主に2種類あります。
- 計量値
- 計数値
それぞれの管理図について解説します。
計量値と計数値
計量値とは、重量や時間といった連続的に変化する値を指します。一方、計数値は、不良品数や事故件数などの離散的な値を表します。管理図を使用する際には、その計数値に影響を与える計量値がより重視されます。
計量値の管理図
計量値の管理図は、測定して得られる連続的な値を指します。一般に、管理図では計量値がよく使用され、その中でも「X−R管理図」や「X−s管理図(エックスバーエス)」が代表的です。
X-R管理図では、平均値Xと範囲Rをグラフ化し、データの平均と分布範囲を同時に確認します。一方、X-s管理図では、平均値Xと各群の標準偏差sをグラフ化し、バラつきを把握します。
他にもMe管理図・X管理図などの計量値管理図がありますが、現在はあまり利用されていません。
計数値管理図
不良品の割合や欠陥の数を監視するための管理図で、主に4つに分類されます。工程内の欠陥の発生や品質の状態を追跡し、異常を検出して改善するのに役立ちます。
P管理図 | 不適合率Pを使用して工程を管理するための管理図。不良率管理図とも呼ばれる。製品の良・不良のみを対象にして一定のサンプル数で不良個数を検査個数で割って不良率Pを計算する。組立不良などの検出に利用される。 |
Pn管理図 | 製品の良・不良を分けて管理するための管理図。不良率Pを計算せずに試料の不良品個数を基に品質管理を行う。特に溶接強度不良などの検出に利用される。 |
C管理図 | 欠点数Cを用いて品質を管理するための図。特定のロットに含まれる欠陥の範囲が一定である場合にのみ使用される。例えばプリント基板上の修正箇所を見つける際に役立つ。 |
U管理図 | 欠点数ではなく試料の欠点率を使用する管理図。C管理図と異なり、欠点の見出し範囲が一定でなくても利用可能。 |
x-r管理図の作成手順
XR管理図を作成するための各手順は以下の通りです。
- サンプルを測定する
- サンプルの平均値と範囲を算出する
- 最大値と最小値の差を求める
- 総平均と範囲平均を算出する
- UCL・LCL・CLの値を算出する
- グラフを作成する
- 分析する
順番に解説します。
1.サンプルを測定する
事前に準備したX-R管理図用の定型データシートを使用し、約20〜25セットの予備データを取得します。各セットについては、4〜5個のサンプル(試料)を測定するとよいでしょう。
このようにデータを整理することで、測定値の記入がスムーズになり、効率的なデータ管理が可能です。
2.サンプルの平均値と範囲を算出する
各群のサンプルデータから平均値を求めます。さらに、各群サンプルの最大値と最小値から範囲を求めます。計算式は以下の通りです。
平均値 | |
範囲 |
3.最大値と最小値の差を求める
各サンプルの範囲(Ri)は、サンプルの最大の測定値と最小の測定値との差を計算します。この差を求める際には、測定値の最大値から最小値を引くことで範囲(R)を計算します。
範囲は測定された値の変動の程度を示す指標であり、品質の安定性を評価するのに役立ちます。
4.総平均と範囲平均を算出する
全ての平均値の平均を計算し、総平均を算出します。これにより、全体データの中心が求められます。同様に、全ての群の範囲の平均値を計算し、範囲平均を求めることで、全体データのばらつきの把握が可能です。
5.UCL・LCL・CLの値を算出する
管理図に管理線を記載するための3要素を算出するために、以下の計算を行いましょう。
X管理図 | CL =Xの総平均 |
UCL=Xの総平均 + A2×Rの平均値 | |
LCL=Xの総平均 - A2×Rの平均値 | |
R管理図 | CL =Rの平均値 |
UCL=D4×Rの平均値 | |
LCL=D3×Rの平均値 |
6.グラフを作成する
サンプルの回数を横軸に、各サンプルの平均値や範囲を縦軸にプロットしたものです。各群の平均値と範囲が時系列に沿って可視化され、データの安定性やばらつきの傾向が視覚的に確認できます。
7.分析する
管理図が完成したら分析を行いましょう。異常を発見した場合には、原因を特定して速やかに必要に応じた改善を行うことが肝心です。一定期間の管理を続けると、以前の管理線が適切な基準として機能しなくなる場合があります。
そのため、定期的に最新のデータを使用して、新たな管理線を引くかどうかを検討する必要があります。
管理図を用いた異常判定のルール
管理図を用いた異常判定のルールは6つあります。
- 管理限界線を越えている
- 点が連続して並んでいる
- 点が連続して増加・減少する傾向がみられる
- 点が交互に上下している
- 連続して領域を超えている
- 中心線に寄りすぎている
順に解説します。
管理限界線を越えている
管理限界線を超えることは、異常が発生している可能性が高いことを示す「直感的な異常判定」です。
管理図には、平均線の上下に管理限界線が引かれており、折れ線グラフがこれらの管理限界線を越える場合、何らかの異常が発生していると考えられます。
原因を迅速に調査して、対策を講じる必要があります。
点が連続して並んでいる
中心線に沿って適度に上下して推移することが望ましいですが、時には中心線よりも上または下に連続して点が並ぶことがあります。
短い連であればあまり問題ありませんが、7〜9回以上の長い連や、一方向に偏った連が発生する場合は異常が発生している可能性が高いです。
原因を調査し、4Mの中のどこに問題があるのかを特定し、改善していく必要があります。
点が連続して増加・減少する傾向がみられる
管理図の折れ線グラフは、通常は中心線に沿って適度に上下して推移するのが理想ですが、時には中心線よりも上または下に連続して点が並ぶことがあります。
3〜4連程度であれば特に問題はありませんが、7〜9連以上や一方向に偏る場合は異常が発生している可能性が高いです。
長い連が発生すると、工程に大きなバラつきや変化があることを示唆し、4M(人、原材料、機械、方法)のどこかに原因がある可能性があります。
また、点が連続して交互に増減している場合、つまりグラフがジグザグになっている状態では、異常ではなくさらなる分析が必要です。
点が交互に上下している
点が交互に連続してグラフ線が上下しているだけでは異常とは断定できませんが、継続的な分析と調査が必要です。点が交互に上下している場合、折れ線グラフがジグザグになることがあります。
波の周期性を調査し、現場の状況を確認することが重要です。ジグザグの波が大きくなっている場合には、工程のバラつきが増大していることを示しているため、原因を特定する必要があります。
連続して領域を超えている
X-R管理図では、中心線からの範囲がA~Cの領域に分かれています。
領域A | 管理限界線に近い領域 |
領域B | AとBの間の領域 |
領域C | 中心線に近い領域 |
連続して3点のうち2点が領域を超えている場合は「異常」である可能性が高いです。逆を言うと、点が管理限界内にある場合であれば、工程は統計的に管理されていると見なすことができます。
中心線に寄りすぎている
中心線に近い領域に寄りすぎている場合、群分けが適切でない可能性があります。中心線に寄りすぎると、バラつきが把握しにくく、品質管理に支障をきたします。このような場合は群分けを見直して管理図を改善し、より精度の高い品質管理を行う必要があります。
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【まとめ】x-r管理図は品質管理で重要な役割を持っている!特徴をよく理解しよう
管理図は、QC7つ道具の一つであり、生産現場の品質管理に利用されます。計量値で品質特性を管理する際に広く使用される管理図が「X-R管理図」です。
品質管理における異常の検知やプロセスの改善に役立ちます。品質のばらつきを視覚化して異常検知を行うことができるため、効果的な分析と管理が可能です。
それぞれの管理図には特徴があり、目的に応じて適切なものを選択する必要があります。品質管理の効率化と品質向上のために、管理図の概要や特徴を正しく理解した上で活用しましょう。
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