念願のマイホームを建てる時には、大工さんにお願いしますね。ただ、建物ができただけではそこで暮らすことはできません。電気工事がないと、マイホームもただの箱になってしまいます。
建築と電気工事はちがいます。電気工事の仕事は、一軒家でもマンションでも必ず必要な仕事です。もし、あなたが独立を考えているのであれば、電気工事の仕事も考えてみてはどうでしょう。ここでは電気工事で独立する方法、独立にかかる費用や必要な資格、独立を成功させるポイントなどをご紹介します。
電気工事で独立するために必要な資格
電気工事業で独立するためには、「電気工事士」(第一種 第二種)の資格が必要です。
最低でも第二種の資格は取りましょう。第二種は実務経験がいりません。しかし独立するのであれば、可能な限り第一種があったほうがいいでしょう。次に第一種と第二種の資格のちがいを見てみましょう。
電気工事士(第一種・第二種)
第二種電気工事士は、試験に合格するか専修学校や専門学校、公共職業訓練施設等を卒業すると取得することができます。電圧が600Ⅴ以下の電気工事(配線工事や電気設備工事)を扱うことができます。働く場所は、一般住宅や小規模な店舗・事業所になります。
第一種電気工事士は、電気工事の実務を通算3年以上経験し、第一種電気工事士試験に合格しなければいけません。最大電力が500㎾未満の電気工事(配線工事や電気設備工事)を扱うことができます。働く場所は、ビルや工場・大型店舗と広がります。
第一種電気工事士は、5年ごとに「認定講習」がありますので、忘れないように受けましょう。
認定電気工事従事者
第二種電気工事士が、実務経験3年で申請すると取得できる資格です。試験は特にありません。事業所物件について電気工事をする場合は、この資格が必要となります。電気工事士の資格だけでは、家庭用の電気工事しかできないのです。独立するなら、取っておきましょう。
登録電気工事業者
第二種電気工事士と認定電気工事従事者の資格がとれたら、登録電気工事業者は確実に申請
します。(試験はありません。)なぜなら、電気工事をするためには都道府県の知事の許可が必要なのです。そのための資格です。少し書類作成が難しいので行政書士などに代行申請してもらうことができます。もちろん自分で申請することも可能です。
建設業許可
建設業許可は結論から言うと、急ぐ必要はないと思われます。
電気工事の場合は「建設業許可(電気工事)」という許可になりますが、この許可が必要な
工事は1件当たりの受注額で決まるのです。電気工事は「建築一式工事以外」と言って、消費税込みで1件の請負代金が500万を超える工事の場合、建設業許可が必要となります。独立開業当初は、500万を超える仕事はまずないでしょう。ですから、独立して余裕のある時に取得しましょう。
その他
その他に特殊な資格や関連領域の資格を、載せておきます。
〇特殊電気工事資格(ネオン工事)
〇特殊電気工事資格(非常用予備発電設置工事)
〇電気工事施工管理技士(1種、2種)
〇技術士(建設、電気電子、統合技術監理含む)
〇電気主任技術者(1種~3種)
〇登録電気工事基幹技能者
〇建築設備士
〇計装士
電気工事で独立した場合の収入例
独立してからの電気工事士30人の収入を調査したものを参考にして、分かったことがあります。まずは同じ電気工事士でも一人親方として独立している人や街の電気屋さんで開業している人など、独立の仕方にも色々あることが分かりました。そしてその形態によって、収入にも差があるということが分かってきました。
年収600~700万円
一番多かったのは、主な年収が600万円~700万円の範囲です。月収にすると50万円になるでしょう。ただし、アンケートを頂いた皆さんの感想の中で一番多かったのは、「営業力がなければ、この年収は難しかった」ということです。
営業力に関しては、後で述べさせていただきます。
年収1000万円
今回の調査で全体の24%の電気工事士が、年収1000万円以上と回答されたそうです。人数にすると7人〜8人の電気工事士が、年収1000万円を達成していることになります。営業努力と確かな技術、資格を取ることにより電気工事士は、独立して年収1000万円も夢ではないということです。
電気工事で独立するために必要な手順
今までの話から、電気工事で独立するためには、まずは第二種電気工事士を取得するのが第
一歩だとお判りいただけたと思います。
しかし第二種電気工事士だけでは、仕事が限られます。実務経験3年の後、認定電気工事従事者を取得し、第一種電気工事士の資格をぜひ取得しましょう。そして、登録電気工事事業者を申請します。余裕があれば、特殊電気工事資格者を取得しましょう。さらに事業拡大を目指すなら、建設業許可を申請しましょう。これで晴れて独立開業の運びとなります。
電気工事で独立するメリット・デメリット
次に電気工事で独立するメリット・デメリットについて見ていきたいと思います。独立した暁には、自分で時間を自由に使い、お休みも自由に調整できます。もしあなたが腕の良い電気工事士であれば、年収1000万円も夢の話ではないのは先に述べたとおりです。
しかし、電気工事は万が一感電したら大けがにつながる危険な工事であることを、忘れては
なりません。いつでも細心の注意をするとともに、労災にも加入しておきましょう。
独立のメリット
独立したときのメリットとしては、次のような5つのことがあげられます。
・自分のスタイルで仕事ができる。
・仕事のペースを自分で調整できる。
・建設系職人の中でも収入がかなりいい。
・電気工事はライフラインで、絶対になくなる仕事ではない。
・建物ならば住宅、工場、ビルなどどこにでもある。
独立のデメリット
また、独立した時のデメリットとしては、次のような4つのことがあげられます。
・第一種電気工事士の資格を取得しないと稼げない。
・独立までに多少の時間がかかる。
・スキルがないと仕事がこない。
・感電等のリスク
電気工事で独立するために必要な資金
電気工事で独立するためには、開業資金と準備品が必要です。まずは、工具備品で30万円はいるでしょう。もちろん今まで使用していたものでも構いません。移動や工具運搬のための軽トラックか軽バンは、自家用車と別に用意しましょう。100万円~150万円かかるとすると、合計で130万円~180万円は必要です。
さらに後で述べますが、法人の場合は法定設立費用6万円~20万円+資本金が必要です。もし建設業許可を取得する場合は、財産要件500万円が必要ですが、これは資本金と重複可能です。開業費用は、自己負担が難しい場合、創業融資も視野に入れておくことも考えられます。創業融資は、日本政策金融公庫や自治体の創業窓口に相談してみましょう。
また、「経営サポートプラスアルファ」という、開業と資金調達に強い専門家集団がいます
ので、相談してみると良いでしょう。
電気工事で独立する際の「法人」と「個人」の違い
電気工事で独立開業する場合は、法人化(会社設立)と個人事業主という2つの道があります。一人親方として開業される場合は、個人事業主として活動されて問題ありません。まずは第一種電気工事士の資格取得を目指しましょう。
ただ、電気工事で独立の場合、比較的単価が高いので会社設立も夢の話ではありません。
経営面でのメリット
会社設立の場合以下の経営面でのメリットがあります。
・社会的信用がある
・経費の範囲が広い
・責任の範囲が有限
・赤字繰り越しが10年である
・売り上げが多くなれば、個人事業主よりも税率が下がる
・最高税率が23.2%と所得税の約半分
税制面でのメリット
また、税制面でも下のようなメリットがあります。
・所得税 代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%
・個人住民税 代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%
・消費税 課税売上1000万円以上の場合支払う。(会社の場合は2年間は支払義務がな い特例あり)
デメリットとしては、法人税(15%~23.2%)と、法人住民税がかかります。
電気工事で独立を成功させるためのポイント
電気工事で独立を成功させるためには、必要な努力がいります。いかに資格を持っていても、スキルが高くてもそれだけでは仕事は向こうからやってきません。営業力、事務作業力などが、必要になってきます。
下に電気工事で独立を成功させるポイントを4つにまとめてみました。
ポイント1:営業経験・人脈作り
電気工事で独立するためには、営業経験が必要です。なかには「営業は全くしたことがない。」という方もいるでしょう。しかし、独立したからには営業経験を積むことは必須です。営業するにあたっては、「人脈の多さ」「新規開拓できること」が必要になってきます。
では、人脈はどのように獲得してくるでしょうか。その答えは「独立前に勤めていた会社で
扱った案件の関係者から」です。以前、扱った仕事の対応や技術が高評価であれば、独立後もあなた個人に引き継いで仕事をお願いする案件が多くなるでしょう。「どれだけ人脈を持っているか」は独立の非常に大きなカギになります。
「新規開拓」は自分で行動し、必要のある所に電話を掛けたり、足を運んだりして提案しに
行く必要があります。このようにして、案件受注が安定してくると、独立が成功したといえるでしょう。
ポイント2:経理事務を誰かに任せる
2番目のポイントとして、経理事務を誰にどこまで任せるかを独立前に確認し、決めておくことです。独立すると公的機関への届け出から、決算表の作成、税金手続きなどの他に、様々な書類作成や細かい手続きを行う機会が実にたくさん増えます。
営業と工事と同時進行で行うことはかなりのストレスです。
ポイント3:手当や補助金を活用する
電気工事で独立した場合でも、失業手当をもらえる可能性があります。住んでいる地域の自治体によって条件は変わってきますが、もらえる予定だった失業保険の約7割を受け取れる可能性があります。離職票が届いたら、それをハローワークに持っていきます。ここでは、独立することを宣言せずに、「まだ迷っている」と言いましょう。独立することを宣言すると、失業手当がもらえない可能性が発生します。
また、待機期間の7日間+1か月間の約37日間以内に開業してしまうと、再就職手当はもら
えないのでご注意ください。この期間がすぎて開業すると再就職手当がもらえます。必要な書類は、開業届のコピーと受発注書などです。
詳しくは住んでいる自治体に問い合わせて、調べてみましょう。
ポイント4:独立支援を活用する
独立するにあたって、特になくてはならないのは、同業者同志の「横のつながり」です。独立間もないころは、どんな経営者も案件受注に試行錯誤することでしょう。そんなとき、既存の業者とのつながりがあれば、安定した案件受注量を請け負うまでの道のりや、そのためのノウハウも教えてもらうことができます。(もちろん、この関係を築くには独立したあなた自身の強いアプローチが必要です。)
求人情報には「独立支援」という記載が載っている会社があります。従業員の独立を、積極的に推奨している会社です。そこでは「横のつながり」のために色々な援助を行ったり、案定した案件受注や経営の要素を教えてくれます。
ポイント5:営業代行サービスに相談して営業戦略の提案を受ける
営業代行サービスに相談して営業戦略の提案を受けるという方法もあります。営業代行には獲得のプロがいますので、外部に頼ってみるのもおすすめです。例えば弊社サービスである建築建設特化の営業代行ツクノビは、月に3000社もの企業に御社の営業としてアタックし、かつ成果が出なかったら返金保証もしています。一人親方向けのミニマムプランももちろんご用意しております。
まずは話だけでも聞いてみたい!という方には無料でどのように営業していくべきか営業戦略のご提案も致しておりますので、お気軽にご相談ください。オンラインにて30分程度でお打ち合わせ可能ですので、明日30分だけ空いている!という方でも気軽にご相談いただけます。
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電気工事で独立して失敗する人の特徴
電気工事で独立して失敗する人の特徴として、次のようなことがあげられますので、よく確認してください。これらは、電気工事以外の脱サラで失敗する人にも言えることです。
・予算不足
独立する予算があまりない状態で独立してしまう例です。独立初月からそれまでの給料分の収入をいただけることは、まずないでしょう。最低限半年分の生活費は、貯金しておく必要があります。
・市場のニーズをわかっていない
サービスとは「Aという悩みを持ったBな人に、Cという解決方法を提供する」ことが大切
です。
「Aという悩みを持ったBなひと」がきちんと実在するかデータで裏付けする必要があります。あなたの頭の中だけに存在する「都合の良いだれか」ではダメなのです。
また、「Cという解決方法」を展開して「案件が来ない」となってしまうのも、市場をよく
理解していないからといえます。ターゲットが「どこにどれだけ」いるのかも含めて研究する必要があります。そして、「Aという悩みを持ったBな人」にサービスを知っていただけるよう、適切に提案する方法を考えましょう。
・電気工事と全く関係のないサラリーマンが仕事をする。
今まで読んでいただいたあなたならわかると思いますが、電気工事で独立しようと思った
ら、資格や実務経験が必要です。スキルも知識も実績もない状態では、電気工事でお金を稼ぐことはできません。サラリーマン時代の仕事内容と同じ内容で脱サラできるのが一番です。
【まとめ】電気工事で独立するには資格や手続きが必要!営業力と人脈がポイント
いかがでしたか?電気工事で独立するには最低でも第一種電気工事士の資格が必要でしたね。他の資格も独立する前に取得できるものは、取得しておきましょう。その他に様々な手続き・費用が必要でした。資格が取得できて、体制が整っても、営業力と人脈がなければ案件はもらえないということも、述べさせていただきました。
色々な条件をクリアして、電気工事士として独立し、自由な仕事形態と年収1000万円をめざしてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。