工務店の粗利とは?求め方や平均値・改善する4つの方法などを解説

工務店 粗利

工務店の経営において重要なのが粗利です。粗利や利益のうち粗利が占める割合である粗利率は、常に把握しておかなくてはなりません。そのためには、粗利や粗利率の求め方はもちろん、平均値やそれに満たない場合の改善策なども知っておく必要があります。

そこで本記事は、粗利と粗利率の必要性や計算方法とともに、改善の目安や必要性などの知識をまとめました。健全な経営に必要な知識がほしい方は、ぜひご覧ください。

工務店の粗利とは

工務店における粗利とは売上や当初の予算から原価を差し引いた額のことを言います。決算書では売上総利益に該当します。なお、粗利が完成工事高のなかで占める比率が、粗利率です。

粗利の求め方

粗利は以下のように計算します。

粗利=完成工事高-(純工事費+現場管理費)

粗利には施工や現場管理に必要ない間接部門における経費などは含みません。計算の際には注意しましょう。

営業利益との違い

粗利と同じく利益を指すものに、営業利益があります。これは、粗利から更に販売費と一般経費などの控除を差し引いたものです。そのため、計算すると粗利よりも小さい金額になります。計算の際は混同しないようにしましょう。

工務店の粗利率の平均は25%前後

事業を円滑に進めるには、粗利を含めた利益をコンスタントに得る必要があります。工務店も例外ではありません。工務店の場合、平均的には粗利率25%前後が平均で、20%を下回ると経営に支障が出るといわれています。

施工依頼を受ける際は、ただ金額をチェックするのではなく、粗利率にも注目しましょう。粗利率が経営に影響を与える恐れがある場合は、交渉または受注を避ける判断が必要です。

粗利率の求め方

利益の低い依頼を判断するには、粗利率の求め方を知っておかなくてはなりません。依頼を受注するか判断する際は、必ず以下の計算を行い、粗利率を求めましょう。

粗利率=粗利÷売上高×100(%)

なお、粗利率の目安はありますがこれはあくまでも一般的な指標です。経営に必要な利益を得るには、自社の規模や販売管理などの間接費用についても考慮する必要があります。受注の可否を判断する際は、これらの要素もよく加味したうえで検討しましょう。

工務店の粗利率を改善する4つの方法

粗利率が低い場合、経営に影響を与える前に被率を改善しなくてはなりません。改善方法は複数ありますが、よく用いられている方法としては、以下4つの方法がよく採用されています。

標準原価を設定する

施工前に目標として原価を定めておくと、原価コントロールしやすくなります。原価をコントロールできれば、予算オーバーや予定外の費用などの発生を予防できるでしょう。案件ごとの原価のばらつきや資産と実際にかかった費用の差異の把握・調節も取り組みやすくなります。

なお、標準原価を設定する際は、以下の要素から見積もりましょう。

  • 資材の標準価格と使用量
  • 施工に必要な人員数

標準原価の設定は、よりコストパフォーマンスに優れた資材の仕入れや人件費の見直しなどにも有効です。費用のムダにより粗利率が低下している場合は、標準原価の設定や見直しを行いましょう。

利益や原価をリアルタイムで管理する

利益や原価は固定できるものではありません。施工が進む最中にも変化します。より正確に原価や利益を把握し、利益率を改善するには、リアルタイムでの管理が必要です。

資材の原価などが上がった場合は、すぐに事態を把握し、現在の施工に適用しましょう。未完成工事の利益や原価をリアルタイム管理できるような仕組み作りも有効です。標準原価とともに導入しておきましょう。

売上原価を定期的に見直す

粗利率を向上させるには、購入額だけでなくコストにも注目しなくてはなりません。商品やサービス販売時にかかる原価は定期的に見直しを行い、削減できるものがあれば積極的に取り組みましょう。

ただし、闇雲に費用を削減してしまうと、商品やサービスの品質低下につながります。品質を維持しながら削減できる費用を探すのがポイントです。工務店などでよく用いられている方法としては、以下のものがあります。

  • 作業工程や人数の見直しと適正化
  • 仕入れ業者の見積もりをもとに同じ資材をより安く購入できる業者を探す
  • 光熱費やインフラ業者との契約見直しによる光熱費や痛品費の削減
  • ITツール導入やDX化による管理や業務の効率化

このほかにもコスト削減に役立つ手段はたくさんあります。コスト削減に取り組む際は、自社ではどんな手段が用いられるかにも注目しながら取り組みましょう。

適正価格で住宅を販売する

粗利率の向上を狙う際、販売する住宅やリフォーム施工などの価値を高め、販売単価を上げることも有効です。とはいえ、ただ値段を吊り上げるだけでは、顧客の離脱を招きます。他社にはない魅力や自社の強みを活かした付加価値をプラスしましょう。

自社商品やサービスに付加価値をプラスすることで、価格が上がっても顧客に納得してもらいやすい状態を構築できます。また、他社との差別化により集客や顧客満足度の向上にもつなげられるでしょう。

原価管理システムを活用する

リアルタイムで原価を確認できるシステムを導入し、施工中でもすぐに適切な原価設定ができるようにするのも、粗利率向上に有効な手段です。

複数の案件を抱えている場合や、経営者自ら現場に出て作業している場合、原価管理などにまで手が回らないケースも珍しくはありません。リアルタイムですぐに原価が確認・調節できるシステムを導入できれば、施工後に原価価格が上がったことによる粗利率の低下を防げます。

おすすめの原価管理システム

原価管理システムは様々なものがありますが、大きく2つに分けることができます。

1つ目はクラウド型です。インターネットにつながっていればどの端末からでも使うことができ、導入費用も比較的安いのが特徴です。
2つ目はオンプレミス型です。セキュリティ面に強く、不正アクセスなどのリスクからも守ることができます。
それぞれのタイプでおすすめのシステムは以下です。それぞれの特徴を把握し、自社にあったものを導入しましょう。

クラウド型 アイピア
機能や料金などの詳細はこちら
オンプレミス型 MIYABI
機能や料金などの詳細はこちら

建設業でのおすすめの原価管理システム紹介の記事はこちら

建設業における工事原価管理とは?原価管理のメリットや難しい理由も解説!

工務店の粗利率を改善するまでの手順

工務店の粗利率は、すぐに回復できるものではありません。効率的に改善を達成するには、手順を守る必要があります。粗利率改善に取り組む際は、以下の手順に従いながら行いましょう。

1.現場を把握する

そもそも、なぜ粗利率が低下しているのかを把握しなければ、効果的な改善策は打ち出せません。まずは帳簿などをチェックして、以下の科目が現在いくらあるのかを把握しましょう。

  • 利益率
  • 売上原価
  • 販売管理費

上記の科目や数値をチェックすれば、赤字につながる要因が分かるはずです。要因ごとに適切な対策は異なるため、どのような対策を講じるべきかを考えましょう。

2.販売管理費のシミュレーションを行う

費用のシミュレーションは、専用ソフトやアプリを導入すると効率的にできます。クラウドシステムなどを導入して、販売管理費をどれだけ削減できるかもチェックしましょう。

なお、システム導入には費用が掛かります。導入費はソフトやアプリごとに異なるものの、大体数万円〜数十万円程度です。それなりにまとまった額が必要ですが、人件費などに比べればそれほど高い費用ではありません。余裕があれば、導入を検討してみましょう。

3.粗利率のシミュレーションを行う

これまでの手順をこなしていくと、粗利率をシミュレーションできるはずです。削減できる部分を取り除いた原価をベースに、現在の平均売上高から粗利率を計算してみましょう。計算後、計画に不備がないことが確認できたら次の段階に移ります。

4.シミュレーションを実施する

シミュレーションした内容を実行しましょう。具体的には、計画に沿って各種建材業者や設備・インフラ業者などと費用圧縮の交渉や、必要なシステムの導入に取り組みます。

実践後は実際の粗利率を計算して、シミュレーション状の数値と差異がないか確認しましょう。計画通りにいかない場合は、再度見直し・改善します。この作業を、目的の粗利率を達成するまで繰り返してください。

工務店の粗利率を改善するためのルール

工務店の粗利率改善は、闇雲に取り組んでも達成できません。改善するには守るべきルールがあります。改善策を実施する際は、以下のルールを守りながら行いましょう。

利益の重要性を周知させる

経営者は業務上、利益発生の重要性や流れを理解しています。しかし、末端となる社員や作業員はそうとは限りません。利益率向上は経営陣の努力だけでなく、企業全体で取り組むべき課題です。

利益率改善に取り組む際は、ただ対策を実施するのではなく、社員教育にも力を入れましょう。利益が何に使われているのか、自分たちにどのような影響があるのかといった基本的なことはもちろん、具体的な対策や注意すべき点なども周知するのがポイントです。

利益が下がった原因を追究し対策をとる

利益率はなんの理由もなく下がるものではありません。低下した原因が必ずあります。原因を追究し、その改善効果が見込める対策を適切に選ぶことも大切です。

利益率改善に取り組む際に決めた基準数値は、日別・月別で管理し、定期的に比較しましょう。常に原因を把握・分析できる環境を構築できれば、下がってもすぐに適切な対応を取れるようになります。

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【まとめ】工務店の粗利益は原価や利益をこまめに管理し改善しよう!

工務店における粗利率は、健全な経営をしていくうえで重要な要素です。定期的に原価や利益を把握・管理し、適切な比率を維持できるようにしておきましょう。また、改善が必要な場合はその原因を分析し、適切な対策を取れるようにすることも大切です。

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