建設業界の下請けとは?外注との違いやメリット・デメリットも解説

建設業 下請け

建設業界には元請け、下請けという独特の仕組みがあります。建設業界ではクライアントから直接仕事を受注した元請けが、仕事を下請け業者に発注するという構造が基本になっており、下請けには一次請け、二次請けなど複数の階層があります。今回は建設業界の下請けについて、外注との違いやメリット、デメリットについて詳しくご紹介します。

建設業界の下請けとは

建設業界における下請けは、直接依頼を受注した元請けから仕事を請け負う業者を指します。建設業界は仕事の専門性が高く、元請け業者が建設のすべての工程をこなすことはできません。そこで元請け業者は仕事の一部を下請けに発注するという仕組みがあるのです。続いて、下請けと外注の違い、孫請けとの違いについてご紹介します。

外注との違い

下請けと外注は似ていますが、作業の指示者がいるかどうかという点で異なります。外注はクライアントからの依頼を受けて、おおまかな方針を提示されつつも作業そのものは自社の判断で行います。一方で、建設業界における下請けは、現場で元請けの指示に従って作業を行います。

元請けとの違い

元請けと下請けとの違いは仕事の受注先です。元請けが直接クライアントから仕事を請け負うのに対して、下請けは元請けから仕事を請け負います。元請けが地方公共団体や不動産デベロッパーなどから仕事を請け負って、工事を管理するのに対して、下請けは元請けの管轄のもと工事を行います。

孫請けとの違い

規模の大きな工事になると孫請けと呼ばれる業者も仕事に参加します。孫請けは二次請けや三次請けなどと呼ばれ、下請けから更に仕事を請け負う業者を指します。このように下請け会社が二次請けに、二次請けが三次請けに仕事を依頼する階層構造が建設業界の特徴です。

建設業界の下請けのメリット

それでは続いて建設業界で下請けとして仕事をするメリットを解説します。主なメリットは下記の4点です。

  • 一定量の仕事を確保できる
  • 企画や開発の労力を抑えられる
  • 営業費用を抑えられる
  • 専門性の高さをアピールできる

一定量の仕事を確保できる

建設業界で下請けとして仕事をするメリットのひとつ目は一定量の仕事の確保です。どの業界でも言えることですが、クライアントに営業をかけて仕事を取ってくることが独立した際の最初の難点です。一方で、下請けとして仕事をする際には、元請けとのつながりによって常に一定量の仕事を確保できます。

企画や開発の労力を抑えられる

建設業の元請けとして仕事をする際には、クライアントからの依頼に応じて自ら企画を立案する必要があります。またプロジェクトによっては自社で新たな工法の開発などを行う必要があります。このような企画の立案や開発にはコストがかかりますが、下請けであればこのコストを抑えて仕事ができます。また、下請けは依頼が具体的な形になってから仕事を受注することがほとんどです。せっかく受けた仕事が企画段階で潰れる心配がない点もメリットと言えるでしょう。

営業費用を抑えられる

下請けとして仕事をする際には営業費用を抑えられることもメリットの1つです。先程もご紹介したように、元請けとして直接クライアントから仕事を請け負う場合は、発注者への営業が必須です。立ち上げたばかりの会社で知名度がそれほどない場合は、広告を打つなど自社をアピールする費用もかかります。一方で、下請けとして元請けからの依頼に基づいて仕事をする際は、営業費用や広告費を抑えられます。

専門性の高さをアピールできる

建設業界では元請けと下請けとでは仕事の分野が異なります。ゼネコンや大手建設会社など、元請けとして依頼を受ける建設会社は工事の舵取り役として、あらゆる工程を管理します。そのため工事のあらゆる分野に精通している必要があります。一方で、下請け会社は専門性の高さを武器にして工事の特定の部分を担います。このような専門性の高さは替えのきかないものであるため、下請けとして仕事をする際の強みの1つです。

建設業界の下請けのデメリット

下請けにはメリットが多くある一方で、デメリットもあります。続いて建設業界の下請けのデメリットを4点ご紹介します。

  • 取引条件を変更できない
  • 全体のスケジュールを調整できない
  • 元請け企業の業績に影響されやすい
  • 仕事が打ち切られるリスクがある

取引条件を変更できない

下請けは基本的に初めに取り決めた取引条件を変更できません。下請けは元請けからの依頼を受けて、決められた納期までに工事を完了させる必要があります。しかし、工事は天候などの様々な要因に左右されるため、予期せぬ工事の遅滞が発生することがしばしばあります。こうした遅延を埋めるために追加で工事を行った場合でも取引条件を変更できないため、追加コストは下請けが自己負担しなくてはなりません。契約の際に主導権がないことも下請けのデメリットの1つです。

全体のスケジュールを調整できない

下請けとして仕事をするデメリットのふたつ目はスケジュールを調整できない点です。工事全体のスケジュール調整は元請けの役目であり、下請けにその裁量権はありません。場合によっては厳しいスケジュールでの工事を強いられることもあるため、スケジュール管理の難しさは下請けのデメリットであると言えるでしょう。

元請け企業の業績に影響されやすい

下請けはクライアントではなく元請けから仕事を受注します。そのため、元請けの業績が直接下請けの業績に反映されます。仮につながりのある元請けの業績が悪化した場合、仕事の数や契約額に影響がでます。元請け企業の業績に影響されやすい点が下請けのデメリットの1つです。

仕事が打ち切られるリスクがある

下請けの仕事は元請けに依存しているため、元請けの都合によって突然仕事を打ち切られてしまう可能性があります。国土交通省が定める建設業法令遵守ガイドラインでは、元請けと下請けが対等な立場で請負契約を結ぶことが明記されていますが、取引では仕事を斡旋する元請け側が優位な立場であることに変わりはありません。引き受けられる仕事の量が元請けに依存している点もデメリットの1つです。

建設業界で元請けから下請けに発注するメリット

それでは続いて元請けの立場から下請けに仕事を発注するメリット3選をご紹介します。メリットは以下の通りです。

  • 自社が対応できない仕事を受注できる
  • 作業を効率化できる
  • 雇用にかかる固定費用を抑えられる

自社が対応できない仕事を受注できる

元請けが請け負うような一式工事は、高い専門性を要求される工程が多くあるため、元請けのみでは工事を完成させることができません。こうした自社が対応できない工事を下請けに発注し、元請けが工程管理をする分業体制を取ることで、工事をスムーズに回せます。元請けは協力会社と密に連携して工事を回す体制を整えることが何よりも重要です。

作業を効率化できる

元請けから下請けに仕事を発注することのメリットの1つは作業の効率化です。基本的にクライアントからの報酬は作業の日数に対してではなく、工事そのものに対する完成報酬で支払われます。そのため、工期を短縮できればその分を別の仕事に回すことができます。作業工程を適切に下請けに出すことによって、作業の効率化が可能です。

雇用にかかる固定費用を抑えられる

元請けから下請けに発注するもう1つのメリットは固定費用を抑えられる点です。ここでの固定費用とは元請けが自社で雇用する従業員の給料などを指します。このような固定費用はその月の売上の多寡に関わらず払わなくてはいけませんが、下請けに出すことで工事を行っている期間のみ依頼費用を支払うことで、人件費等を抑えられます。

建設業界で元請けから下請けに発注するデメリット

続いて建設業界で元請けから下請けに発注するデメリットをご紹介します。下請けへの仕事の発注は上記のように多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。元請けは発注者から依頼を受ける責任者として、工事のミスやクレーム対応など、工事のあらゆることに対して責任を負う必要があります。仮に工事完成後に発覚したミスが下請けによるものであったとしても、受注者として元請けが責任を負うことになるのです。

建設業界で下請けから元請になるポイント

ご紹介したように、元請けは自身で仕事を受注するため、自社の裁量で仕事を行えるというメリットがあります。現在下請けとして仕事をされている方のなかには、将来的に元請けとして仕事をしたいと考えている方もいるでしょう。それでは続いて建設業界で下請けから元請けになるポイントをご紹介します。主なポイントは以下の3点です。

  • Webで集客を行う
  • 取引先の幅を広げる
  • 協力会社と連携する

Webで集客を行う

建設業界は横のつながりが強く、人とのつながりで仕事を受注するケースが多く見られます。しかしながら元請けとして独立した時点では、まずは業界の内外に認知してもらうことが何よりも重要です。この際に自社ホームページを作成する、Web広告を出すことで集客につなげることができます。ホームページは自社の基本的な情報や特色を視覚的にわかりやすくまとめるようにしましょう。また、Web広告はただマス層に向けて発信すればよいというわけではありません。自社の営業地域の顧客にアピールできるようにターゲティングを行いましょう。

取引先の幅を広げる

受注数を増やすためには取引先の幅を広げることも重要です。下請けとは異なり元請けは自ら営業をして依頼を取るため、取引先が多ければそれだけ受注のチャンスが増えるからです。これまでの取引先だけではなく、幅広い取引先に営業をすることで受注数増加を狙いましょう。

協力会社と連携する

自社が元請けの立場になった場合は、協力会社と連携することも重要です。下請けの立場とは異なり、元請け側は仕事を発注する側になるためです。元請けは自社では担当できない工事を下請けに発注するため、下請けとして協力をする会社の存在が不可欠です。業界のつながりや伝手を使って協力会社とのコネクションを築きましょう。

一括下請けの禁止

続いて、下請けに関する禁止事項をご紹介します。元請けは受注した工事を一括して下請けに出すことが禁止されています。一括下請けは工事の責任放棄と見なされるため建設業法で禁止されています。元請けや下請けの立場に関わらず重要な規則であるため、契約の際には気を付けましょう。

電気工事の下請けで独立する方法は?下請けのメリットや独立手順も解説!

建設業で元請けになるには?元請け・下請けの違いについても解説

【まとめ】建設業界の下請けについてよく知って自分に合う働き方で仕事を選ぼう

今回は建設業界の下請けについて、元請けや外注との違い、下請けとして働くメリットやデメリットをご紹介しました。下請けには多くのメリットもありますが、デメリットも存在します。建設業界では自身のスタイルに合った働き方を見つけることが重要です。ぜひ今回の記事を参考にして自身に合ったスタイルを見つけてみてください。

 

※弊社の営業代行サービスであるツクノビセールスでは、
【効果が出なければ全額返金プラン】を新たにスタートさせました!

詳しくは👆👆👆のバナーをクリック!!