再下請負通知書とは?必要な条件や書き方をわかりやすく解説

再下請負通知書

建設現場では元請業者の下に複数の専門業者が階層的な構造を形成しながら作業に従事しています。このような複雑な下請構造の中で、元請業者が現場全体を適切に管理するためには、各下請業者の作業内容や役割を正確に把握する必要があります。

そこで重要な役割を果たすのが「再下請負通知書」です。この記事では、再下請負通知書が必要となる条件や具体的な書き方をわかりやすく解説します。建設現場の適正な施工管理に欠かせないこの書類について、確実に理解を深めましょう。

再下請負通知書とは

再下請負通知書とは、建設工事の現場で下請業者間の契約関係を示す重要な書類です。下請業者はこの通知書に、自社と次請業者との契約内容を記載し、元請業者へ提出します。元請業者は通知書の内容を確認することで、現場で働く全ての業者とその役割分担を把握できるようになります。

大規模な建設工事では、多数の専門業者が関与することになります。効率的な運営のため、工事は分業化され、各業者が得意分野を請け負う体制が組まれます。しかし、下請業者が次々に別の下請業者を起用すると階層構造が複雑になり、元請業者側で現場全体を適切に管理できなくなる恐れがあります。

そこで下請業者に対し、次請業者との契約内容を記した再下請負通知書の作成を義務付けています。この通知書には、会社概要や発注工事内容、工期、人員配置などの詳細情報が記載されます。元請業者は下請業者全てから提出された通知書を収集・確認することで、現場で活動する全ての業者とその役割を一覧できるようになるのです。

再下請負通知書は、このように建設現場の施工管理に不可欠な重要書類です。下請業者間の契約関係を可視化し、元請業者による適正な安全管理を実現する役割を担っています。

再下請負通知書が必要な条件

再下請負通知書の作成が義務付けられるのは、一定の規模を超える大型建設工事で、かつ下請業者が次の業者に更に工事を発注する場合です。

具体的には以下の2つの要件が設定されています。

  1. 元請業者から一次下請業者への発注総額が、一定金額以上である
  2. 一次下請業者以降の階層で、次々と下請発注が行われている

要件1については、土木工事では4,000万円以上、建築工事では6,000万円以上の発注総額が基準となっています。一方の要件2は、一次下請業者がさらに二次下請業者に、二次下請業者が三次下請業者にと、下請構造が複雑に階層化していることが条件です。

小規模工事や元請・一次下請の直接施工にとどまる場合は、再下請負通知書の作成は不要です。書類の提出が義務化されるのは、大規模プロジェクトで下請階層が複雑化した場合のみとなります。

下請構造が複雑化すれば、元請業者が現場全体を適切に管理することが難しくなります。そこで再下請負通知書の提出を義務化し、元請業者に現場の状況を確実に報告させることで、安全で適正な施工管理を実現しようとしているのです。

施工体制台帳との違い

施工体制台帳と再下請負通知書は、密接な関係にありながらも作成主体が異なる書類です。施工体制台帳とは、建設工事全体の施工体制と安全管理体制を示した書類の総称です。

一方、再下請負通知書は施工体制台帳に含まれる一部の書類に過ぎません。この通知書では、各下請業者がさらに次の次請業者を起用する場合の契約関係を記載します。つまり、再下請負通知書の作成主体は一次下請業者以下の下請業者なのです。

再下請負通知書は直接工事を行う業者が作成する

再下請負通知書を作成するのは、建設現場で直接作業工事に従事する請負業者に限定されています。資材納入業者や測量業者、警備業者など関連業務を行う事業者は対象外となります。

建設現場には土木工事業者、建築工事業者、電気工事業者、設備工事業者、左官工事業者などの作業請負業者が数多く関与しています。しかし、再下請負通知書の作成が義務付けられるのはこれらの業者だけです。

再下請負通知書のフォーマット

再下請負通知書は、A3サイズの用紙で構成されています。1枚目の用紙の左半分に自社の情報を、右半分に下請業者の情報を記載します。2枚目の用紙には複数いる下請業者の情報を追加で記載します。

フォーマットはシンプルですが、記入する項目は多岐にわたります。自社情報には工事内容、工期、建設業許可、役職者名などを詳細に記載します。下請業者情報も同様に、会社概要、工事内容、人員配置など多数の項目があり、正確な記入が求められます。間違えると重大な記載ミスに繋がりかねません。

再下請負通知書の書き方

再下請負通知書には多くの項目があり、記載を誤ると重大な問題につながります。適切な書き方を確実に理解しましょう。項目ごとに具体例を参考にしながら、ポイントを押さえていきます。

欄外部分の記載内容

再下請負通知書の欄外部分には、作成日や関係者名称などの項目があります。書類の最初に、以下の内容を正しく記入する必要があります。

  • 日付
  • 直近上位の注文者名
  • 現場代理人名(所長名)
  • 元請名称・事業者ID
  • 報告下請負業者

順に解説します。

日付

書類の作成日付を記入します。1枚目と2枚目で日付が異なることはありません。

直近上位の注文者名

自社への発注者である直近上位の会社名を記入します。自社が一次下請の場合は元請業者名、二次下請なら一次下請業者名となります。

現場代理人名(所長名)

直近上位発注会社の現場代理人名を記入する欄です。場合によっては本来の趣旨とは異なり、元請業者の現場代理人名を記入する事例もあります。発注元に確認して適切なものを記入しましょう。

元請名称・事業者ID

元請業者の正式名称を記入する欄です。元請業者が建設キャリアアップシステムに登録済みであれば、その事業者IDも併せて記入します。

報告下請負業者

この欄には、再下請負通知書の作成主体である自社の会社情報を記入します。自社の住所、正式会社名、代表者名、電話番号、FAX番号を正確に記載する必要があります。

さらに、自社が建設キャリアアップシステムに登録済みであれば、事業者IDも付記しなければなりません。発注者との信頼関係にも影響する大切な項目ですので、記載ミスには十分注意を払いましょう。

自社に関することの記載内容

1枚目の左半分【自社に関する事項】には、主に自社の工事内容と人員体制などを記載していきます。

工事名称及び工事内容

自社が請け負う作業工事の具体的内容を記載する欄です。フォーマットは「[全体工事名]に係る[自社の工事内容]」となっています。

例えば「○○ビル新築工事に係る鉄筋工事」、「△△高架橋補修工事に係る足場工事」といった具合に、全体工事名の後に自社の役割作業内容を明記します。

工期

自社の工事着手予定日を「自」欄に、完了予定日を「至」欄にそれぞれ記入します。ただし、再下請負通知書の作成は工事開始前なので、あくまでも見積もりの工期を書いておけば構いません。実際に工期が延長になった場合は、追加で書類を新たに作成し直す必要があります。

注文者との契約日

直近上位の発注者と自社の間で、工事請負契約を締結した日付を記入する欄です。

建設業の許可

建設業の許可は以下の3つの項目に分かれています。該当する内容を確実に記入しましょう。

①施工に必要な許可業種今回の工事で必要となる建設業の29業種から、自社が許可を受けている業種の全てに丸を付けます。土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業など該当する業種を缶れなく記入する必要があります。
②許可番号許可を受けた際に付与された許可番号を記載します。許可番号の前には「大臣」「知事」「一般」「特定」のいずれかを丸で囲む必要があります。
③許可(更新)年月日建設業の許可を取得した年月、または最新の更新を行った年月を記入します。請負金額が500万円未満(建築工事は1,500万円未満)の小規模工事の場合、許可は不要です。その際は【建設業の許可】の項目全体を斜線で無効にしてください。

監督員名・権限及び意見申出方法

自社に所属する監督員の氏名を記入する欄と下請業者との意見や申し出のやり取り手順を簡潔に書く欄があります。

現場代理人名・権限及び意見申出方法

自社の現場代理人の氏名を書く欄と直近上位発注者とのやり取り手順を記す欄があります。

主任技術者名・資格内容

工事現場の技術的管理を担う主任技術者の氏名と、その者が保有する資格名を記入する欄があります。主任技術者には、一定以上の実務経験や国家資格の保持が義務付けられています。

大規模工事の場合は現場への専任配置が法的に義務化されており、その際は主任技術者名の欄に「専任」と明記し、併せて保有資格名を書く必要があります。一方で、小規模工事であれば、他現場との兼任が認められており、「非専任」と記し、保有資格のみを書けば足ります。

主任技術者に求められる国家資格には、建築施工管理技士、土木施工管理技士、管工事施工管理技士、電気工事施工管理技士などがあります。

安全衛生責任者名

安全管理を担当する現場常駐員の氏名を記入する欄です。資格要件はありませんが、一般的には現場代理人や主任技術者、職長から選任されています。

安全衛生推進者名

現場従業員が10人以上50人未満で自社現場事務所がある場合、安全衛生推進者の選任が必要になります。自社から選任した場合はその名前を、該当者がいなければ直近上位発注者の推進者名を記入する必要があります。

雇用管理責任者名

会社の労務管理を統括する者の氏名を記入する欄です。資格要件はありませんが、通常であれば代表者または人事労務担当者が就任しています。自社に従業員がいる限り、雇用管理責任者の設置が法的に義務付けられています。

専門技術者名・資格内容・担当工事内容

自社の本来業種以外の専門工事を同時に請け負う必要がある場合、その専門技術者に関する情報を記載する欄があります。専門技術者の氏名、保有資格、担当工事内容をそれぞれ記入する必要があります。専門技術者に求められる資格要件は主任技術者と同等であり、記入例も同様です。

登録基幹技能者名・種類

工事に登録基幹技能者が関わる場合、その氏名と基幹技能の種類を記入する欄があります。記入は任意ですが、該当者がいれば漏れなく記載しておきましょう。基幹技能の種類としては電気工事、建築板金、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート圧送工事などが挙げられます。

一号特定技能外国人の従事の状況(有無)

自社工事に一号特定技能外国人が従事する予定があれば「有」に、ない場合は「無」にそれぞれ丸を付ける必要があります。一号特定技能外国人とは、特定の産業分野で高度な知識や技能を持つ外国人労働者に付与される在留資格です。

外国人建設就労者の従事の状況(有無)

自社工事に外国人建設就労者が従事する予定があれば「有」に、ない場合は「無」にそれぞれ丸を付けます。外国人建設就労者とは、建設分野の技能実習を修了し引き続き在留する者、または一時帰国後に再入国する者を指します。「有」を選んだ場合は、別途「外国人建設就労者建設現場入場届出書」の提出が必要になります。

外国人技能実習生の従事の状況

外国人技能実習生の従事状況についても、「有」または「無」にそれぞれ丸を付けます。外国人技能実習生とは、本国への技術還元を目的に日本企業で実習を行う外国人労働者のことです。

健康保険等の加入状況

自社の健康保険、厚生年金保険、雇用保険の各種保険加入状況を記入する欄があります。1行目では「加入」「未加入」「適用除外」のいずれかに丸を付けます。「加入」は加入済みで届出も済んでいる場合、「未加入」は未加入で未届の場合、「適用除外」は規模などで保険の適用が除外されている場合となります。

2行目以降では、保険の加入先と事業所の整理番号、番号等を正確に記載する必要があります。一括適用の場合は本社の番号を、適用除外の場合は斜線を記入します。

再下請負関係の記載内容

1枚目の右半分【再下請負関係】と2枚目以降は、下請業者の情報を記入する欄になります。基本的には【自社に関する事項】と同じ項目がありますが、自社の立場から一歩下がった観点での記載が必要になります。

特に以下の3点に気をつけながら、下請業者の情報を正確に記入する必要があります。

  • 工事名称及び工事内容は自社の工事内容から更に細分化した内容を明記する
  • 工期は自社との契約期間ではなく下請業者自身の工事期間を記載する
  • 注文者との契約日は自社と下請業者の契約締結日を記入する

自社より次の請負業者がいない場合は、【再下請負関係】の欄全体を斜線で無効にします。

再下請負通知書の押印

記入済みの再下請負通知書には、会社の実印(代表者印ではなく法人の実印)による押印が必要になります。ただし、押印を不要とする自治体もあり、事前の確認が必要です。

再下請負通知書の提出先

完成した再下請負通知書は、まずは自社への直近の発注元である上位業者に提出します。ただし最終的な提出先は元請業者となるため、一部の業者では手間を省いて直接元請業者に提出するケースもあります。提出先は発注元に確認するよう心がけましょう。

一次請負業者は下請業者全てからの再下請負通知書を回収し、その内容を確認します。それを踏まえて、元請業者へ提出する「下請負業者編成表」を作成・提出することになります。

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【まとめ】再下請負通知書が必要な条件や書き方をよく理解しよう!

再下請負通知書は、建設現場における安全と適正な施工管理に欠かせない重要書類です。関係者一同でその重みを認識し、確実な作成と提出を行う必要があります。主な内容を改めてまとめると以下のようになります。

当記事で解説した項目の内容を再確認し、重大なミスがないよう細心の注意を払いながら、作業を進めていきましょう。不備があれば重大な問題に発展する可能性もあり、適切な対応が何より大切です。

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