工事進行基準とは?工事完成基準との違いをご紹介!

「工事進行基準」と「工事完成基準」が建設業の会計方式にあります。この二つは建設業を経営する方にとって基本的な知識です。しかし、今まで現場で働いていて、独立したばかりの経営者のなかには

  • 聞いたことはあるけどよく分からない
  • 会計処理や仕訳の方法を詳しく知りたい

とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、工事進行基準の解説と工事完成基準との違いについてご紹介します。2つの会計方式を把握し今後の経営の参考にしてください。

工事進行基準とは?

工事進行基準とは、工事を進めながら工事が終了する期間までに売上や経費を分散して計上する方式です。建築・土木・建設業・ソフトウェアの開発で一般的に適応されている会計方式となります。
工事原価総額・工事収益総額・工事進捗度が工事進行基準に適応するために大切な3つの要因です。この要因で見積もりをする場合、工事原価総額・工事収益総額については正確な見積もりは可能ですが、工事進捗度は把握が難しいのが特徴です。工事進捗度は原価比例法という方法が一般的に取り入れられています。

工事進行基準と工事完成基準との違い

工事進行基準をご説明しましたが、では工事完成基準とはどういうものでしょうか。建設業の場合、長期請負契約を結んでから工事を始めていきます。工事完成基準は請け負った工事が完了し引き渡したところで売上と経費を計上する方式です。工事完成基準では、売上は工事完了後、引き渡しが終わるまで計上されません。工事完了後の売上高から請負工事完了までに発生した経費や費用などを差し引きます。この差額が請負業者の利益となります。
工事完成基準は工事が完了するまで売上高が計上されないため、費用がどれくらい使えるかわからないという点や赤字の可能性もあるところから請負業者にとってはリスクのある方法とされています。
工事が完了してから売上高や経費などを計上する工事完成基準に対して、工事完了前の期間中に売上や経費などを数回計上するのが工事進行基準です。

工事進行基準の会計処理

工事原価総額・工事収益総額・工事進捗度に応じて、工事進行基準が適用されます。工事収益と工事原価が当期の損益計算書へ計上されます。完成されていない工事にかかる支出については「未成工事支出金」として勘定項目で処理します。未成工事支出金は貸借対照表に計上されます。

未成工事支出金とは何かについてはこちらの記事で確認できます。ぜひこちらもご確認ください。

建設業の未成工事支出金とは?仕訳方法や勘定科目も徹底解説

進捗度の見積もりを基準に計上する

工事進捗度を合理的に見積もることが重要です。「原価比例法」が一般的な方法であると前述でご紹介しました。
具体的には、工事原価総額の見積もりに変更が必要かどうかを当期の決算日までの累計費用を確認して考えます。考えられた工事進捗度に工事収益総額を乗じたものが、売上高となります。工事進行基準は、工事期間中に売上が数回計上されるため、工事原価総額や工事収益総額が変更になる可能性があるでしょう。変更されたところから売上高を算定していきます。ただし、変更される以前に計上されている金額については原価、収益ともに変更はできません。

工事損失引当金の計上

工事損失引当金とは、工事原価総額が工事収益総額を上回る可能性が高い場合に発生します。上回る金額を合理的に見積もれる場合、工事損失から工事契約ですでに計上している損益の金額を控除した残額について計上するものです。工事損失引当金は損金と認められないため、会計処理として憶えておきましょう。

工事進行基準の仕訳例

工事進行基準は、工事の途中でも進捗に対して毎期売上を計上するのが基本的となっています。工事原価総額に対して決算日までに発生した原価累計の割合を工事進捗度とする原価比例法が進捗度を測る方法として使用されています。ここからは原価比例法の仕訳例として具体的な数字で解説していきます。会計処理の仕訳として参考にしてみてください。

初年度の会計処理

【工事請負契約として3年後に完了・引き渡しを行う場合】
工事収益総額が300万円、工事原価総額が200万円、発生原価が初年度として50万円であった。工事進捗度は原価比例法を用いる。

上記の条件で初年度会計の仕訳をすると、工事進捗度は50÷200=25%となります。
発生原価を売上原価にすると、借方が売上原価50万円・貸方が預金現金50万円となります。

売上高は工事収益総額に工事進捗度を掛けた金額が算定されます。300万円✕25%=75万円で、借方が工事未収入金75万円・貸方が売上高75万円と計上します。

翌年度以降の会計処理

翌年以降の会計処理です。工事進行基準は工事進捗度の算定が必要となりますので注意しましょう。翌年度からは計上した過年度の売上高を差し引きます。

【想定されるケース】
工事収益総額300万円、工事原価総額が200万円、発生原価は初年度50万円、翌年は90万円であった。工事進捗度は原価比例法を用いる。

翌年度会計の仕訳をすると、工事進捗度は(初年度50万円+翌年度90万円)÷200=70%です。発生原価を売上原価に計上すると、借方が売上原価90万円・貸方が預金現金90万円となります。

次に工事進捗度に応じた売上を計上していきましょう。
工事進捗度は300万円✕70%=210万円、210万円から過年度売上高75万円を引いた135万円が売上高です。
借方が工事未収入金135万円・貸方が売上高135万円の計上をします。
3年度会計の仕訳は、原価累計は200万円-(初年度50+翌年度90)=60万円になり、売上原価に計上すると、借方が売上原価60万円・貸方が預金現金60万円です。

工事進捗度は工事収益総額300万円-過年度売上高計上額(初年度75+翌年度135)=90万円となります。売上高として借方が工事未収入金90万円・貸方が売上高90万円と計上してください。

工事進行基準のメリット

工事完了後の1回だけ売上の計上が行われる工事完成基準は、工事期間内で発生した注文や修正などによる赤字が途中で把握できないという問題がありました。一方の工事進行基準は工事期間内に数回売上の計上が行われるため、修正や追加の注文などでも請求が可能です。そのため完了後に大きな赤字にならないのがメリットと言えます。また、依頼する事業者からの無理な要求を減らすということも期待できる部分です。職場環境の改善や無駄な残業も無くなってくることもメリットと言えるでしょう。

工事進行基準のデメリット

工事進行基準では数回計上が行われます。その分の負担が増えることになるのがデメリットです。進捗度は常に把握が必要となります。また、依頼者の事業所に対して事前説明を十分に行うことが重要です。これを怠ると契約ができないという可能性もあります。会社全体として取り組んでいく体制を整えなければ工事進行基準に対応することは難しいと言えるでしょう。

建設業会計の特徴や勘定科目とは

建設業の会計処理には、他の業種とはちがう勘定科目や仕訳などが存在しています。建設業では一般的に工事の受注から竣工まで長期間かかることや、多額に金額が動くことから、会計処理を正しくおこわなければ最悪の場合、気づかないうちに赤字になっているということもあります。
こちらの記事を参考に、建設業における会計の基礎知識を身につけておきましょう。
建設業会計とは?特徴や勘定科目・対応方法などを徹底解説!

建設業の会計業務を効率化する「ERP」とは

会計処理が複雑と言われる建設業の会計ですが、「ERP」というシステムを利用すれば、会計処理を効率よく行えるようになります。またこうしたシステムを利用することで会計処理のミスも減らすことができるでしょう。
以下の記事では、「ERP」とはそもそも何かやおすすめのERPシステムをご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください
建設業の会計業務を効率化するERPシステムとは?導入メリットやおすすめシステムについても紹介

【まとめ】工事進行基準は先に利益が計上される!しっかり理解して経理作業を行おう

ここまで、工事進行基準の解説と、工事完成基準との違いをご紹介してきました。工事進行基準は、工事請負契約の期間の中で数回売上の計上が行われ、必要な費用などがその都度請求可能なため赤字になりにくいのが特徴です。しかし、現状ではまだまだ課題がある方式と言えます。メリット・デメリットを把握することも大切です。工事進行基準を理解して経理作業を行うようにしましょう。

工事進行基準の廃止工事進行基準と収益認識基準の違いについてはこちらの記事でより詳しく解説しています。

工事進行基準はなぜ廃止された?建設業で知っておくべき「新収益認識基準」についてご紹介!

工事進行基準 収益認識基準工事進行基準と収益認識基準の関係は?収益認識基準が導入されたことによる影響についても解説

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