シーリング工事とは?材質の種類や施工手順・注意点などを解説

シーリング工事

どんな建築物でも、年月を経過するうちに外壁の劣化がおきます。それらの経年劣化を修繕する工事がシーリング工事です。シーリング工事をユーザーから依頼されたときなど、どのような材料を使ってどんな手順で工事を進めていくかを考慮しなければなりません。
そこで今回は、シーリング工事の役割やメリット、シーリング材料の種類や施工手順などをまとめました。

シーリング工事とは

シーリング工事とは、外壁の耐用年数を確保するために、外壁パネルなどの目地をシーリング材を充填して補強する工事です。建物の外壁はタイルやサイディングボードなどを合わせて仕上げますが、年数が経過すると目地と呼ばれる外壁材のつなぎ目にひび割れや切れができます。そこから雨などの水分が侵入すると外壁が経年劣化して建物の寿命を左右しかねません。劣化を防ぐために目地のひび割れなどを修繕することで耐用年数が確保できます。

シーリングの役割

シーリングの役割は大きく分類すると2つあります。最も大きな役割は外壁材の隙間からの雨水侵入を防ぐことです。雨水の侵入は外壁の劣化につながり、当初設計された建物の耐用年数が確保できなくなる可能性があります。

もう1つは、建物の強度を確保することです。地震や台風などの自然災害で建物が揺れたときに、外壁にひび割れなどがあると耐性が確保できない可能性があります。

シーリング材のタイプ

シーリング材は粘着性のあるペースト状の材料です。施工後に反応して硬化し目地を補強する役割があり、硬化反応方法の違いで1成分型と2成分型の2種類に分けられます。

  • 1成分型:1液型で、大気中の湿気や外気温に反応して硬化するタイプです。
  • 2成分型:2液型で、大気中の湿気に加え、基剤と硬化剤を混ぜ合わせることで反応して硬化します。

どちらも、反応前は歯磨き粉のような状態で、目地などに充填すると硬化反応を起こして接着し、ゴム状の仕上がりになります。

シーリング材の種類

シーリング材は、その特徴や用途によって次の4つの系統に大別できます。

  • ウレタン系シーリング材
  • アクリル系シーリング材
  • シリコン系シーリング材
  • 変成シリコン系シーリング材

以下、それぞれの項目について詳細に説明します。

ウレタン系

ウレタン系は、施工後にゴムのような弾力があり、耐久性に優れたシーリング材です。弾力性が高いので密着性も高いなどの特徴があります。ただし、紫外線に弱いことや空気中の埃などを吸着しやすいので、表面をカバーするために施工後の塗装が必要です。主に、ALCパネルやサイディングの目地、窓枠サッシ周りのシーリングに使用されます。

アクリル系

アクリル系は、水溶性のシーリング材で作業がしやすく施工表面が湿っていても粘着力が強い特徴があります。また、他のシーリング材と比較しても低価格です。硬化後は弾性を保持し表面に塗料を塗ることもできます。
デメリットは、耐久性や耐候性が低い点です。そのため、施工後に充填部分が肉痩せしたりひび割れがおこることもあります。ALCパネルの目地やリフォーム時のクロスの下地処理などが主な用途です。

シリコン系</h3
シリコン系は、ホームセンターなどでもよく見かける安価なシーリング材です。コストパフォーマンスが高く、安価ですが耐候性や耐湿性、耐水性に優れています。
デメリットは、施工後にシリコンオイルがしみ出して施工表面を汚してしまうことです。表面に塗装もできないので外壁工事には向いていません。
主な用途は、浴室、洗面所などの水まわりやガラスまわりの工事です。

変成シリコン系

変成シリコン系は、ウレタン樹脂が原材料で価格は高めですが、耐熱性・耐候性・耐水性に優れたシーリング材です。シリコン系ほどオイルのしみ出しもなく、ガラスやモルタル、金属などさまざまな素材とも相性が良いので外壁工事によく使われます。ただし、密着性がシリコン系より劣るので、施工面の下地にプライマー処理が必要です。

シーリング工事のメリットとデメリット

この項目では、シーリング工事のメリットとデメリットについてそれぞれ解説します。外壁を健全に保つメリットや、施工費用などについても列挙しました。以下詳細に説明します。

メリット

シーリング工事のメリットは、年数が経過することにより生じた外壁部などの経年劣化が改善される点です。外壁材の目地を新しくすることで雨水の侵入が防げ、しみ込んだ水分が原因で起こる雨漏りなども防止できます。結果的に外壁の寿命を延ばすことが可能です。また、施工時にはシーリング部以外のメンテナンスも行うので、外壁全体が健全な状態に保たれます。

デメリット

シーリング工事を行う上でのデメリットは費用面といえるでしょう。シーリング部の劣化が激しい場合には、外壁全体に劣化が進んでいることも考えられます。そのため必要な費用も嵩みます。さらに、建物の2階以上の工事を行う場合には足場を組まなければなりません。足場の設置費用も含めると工事も大掛かりになり費用も膨大になります。

シーリング材の劣化サインや施工タイミング

外壁の劣化が激しいと費用が嵩むデメリットを踏まえ、シーリング工事の施工タイミングについて取りあげました。注目すべき点は次の3点です。

  • 耐用年数の経過
  • ひび割れなどの劣化のサイン
  • 外装塗装の依頼時

以下それぞれを詳細に説明します。

耐用年数の経過

シーリング材の耐用年数は5年から10年です。環境や施工箇所によって違いはありますが、施工から5年が経過すると劣化が進んでいると考えましょう。劣化して、ひび割れや肉痩せなどが起こるとシーリング材本来の機能が維持できなくなり、建物全体へ影響します。前回の施工から5年経過した時点でシーリング工事の施工を検討しましょう。

ひび割れなどの劣化サイン

シーリング材の寿命は施工方法によっても変わります。施工不良で十分な機能が確保できなければ、2年から3年で劣化が起こるので要注意です。シーリング工事の施工を検討劣化症状は様々ですが、シーリング材のひび割れ・肉痩せ・剥離が見られたら耐用年数を待たずに施工を検討しましょう。
このような症状は専門知識がなくても判別できます。定期的にシーリング箇所を点検することが肝心です。

外装塗装の依頼時

外装塗装は、足場も組む必要があり工事も大掛かりです。シーリング工事の施工を検討外装塗装をするタイミングでシーリング工事を同時に施工する方法もあります。
足場の仮設と解体にはかなりの費用が必要です。外壁塗装とシーリング工事を同時に行えば費用の節約にもなります。さらに、両者を同時に行えば、忘れがちな外壁のメンテナンス時期を合わせることも可能です。

シーリング工事の費用や工期

シーリング工事の費用は、施工方法とシーリング材で試算できます。平均的な相場は以下です。

  • シーリング打ち替え工事 900円~1,200円/平方メートル
  • シーリング打ち増し工事 500円~900円/平方メートル

この相場には足場の組み立てや解体費用は入っていません。足場を組むと一般的な一軒家で約20万円の費用がかかります。工期については目安として2日から5日です。途中雨天などで延期になる場合もあります。それ以外に、足場の組み立てに1日、解体に半日かかることも理解しておきましょう。

シーリング工事の流れ

ここからは、シーリング工事の流れを手順に沿って説明しましょう。シーリング工事には以下の2つの工法があります。

  • 打ち替え工法
    古いシーリング材を取り除いて新しいシーリング材で施工する
  • 打ち増し工法
    既存のシーリング材を残したまま、その上から補強するようにシーリングする

今回は、打ち替え工法における流れを紹介します。

1.既存シーリング材の撤去・清掃

古いシーリングが施工された目地にカッターナイフなどで切り込み、そのまま丁寧にシーリング材を剥がしていきます。このとき、古いシーリング材が残らないように除去することが大切です。シーリング材を除去した後は、目地の状態や寸法、施工箇所に亀裂などがないか確認してきれいに清掃します。古い材料が残ったままで充填すると新しいシーリング材の密着性が落ちるので注意が必要です。

2.バックアップ材やボンドブレーカーの取りつけ

清掃が終わったら、目地にバックアップ材を取りつけます。バックアップ材の目的は、シーリング材の充填深さ調整と、目地の底にも接着する三面接着を防ぐためです。
三面接着すると、シーリング材が建物の歪みに追随してしまい密着性が活かせません。継ぎ目が浅すぎてバックアップ材が取りつけられないときにはボンドブレーカーを使用します。

3.マスキングテープなどで養生

バックアップ材の取り付けが終わったら、マスキングテープで施工箇所の周りを養生します。目的は、シーリング材が不要な個所に付着しないよう保護するためです。シーリング材には粘着性があるので、充填時に狭い目地を狙っても周囲にはみ出す可能性があります。
はみ出したシーリング材が硬化後に異物として目地の内側に入り込んでしまうと、水や埃と同様にシーリング材が劣化する原因になるので注意が必要です。

4.プライマーの塗布

シーリング材を目地にしっかり接着するため、目地にプライマーを塗布します。プライマーは塗装工事で使用されることが多い下地処理剤です。古いシーリング材を除去した跡の目地表面は剥がれやすい凹凸状になっています。プライマーを下地に塗ることによって凹凸が埋まり平面状になるので接着力向上が可能です。また、プライマー自身にも接着効果が望めます。

5.シーリング材の充填

一連の下地処理が終了したら、コーキングガンを使って目地にシーリング材を充填していきます。仕上がりを良くするには、使うシーリング材の種類やコーキングガンのノズル選択などを適格に行う判断が必要です。また、コーキングガンの操作は難しく、慣れていないと、均一に充填できません。コーキングガンを自在に操るには専門の職人技が必要です。

6.ならし・撤去

コーキングガンによる充填が終了したら、シーリング表面をヘラでならしながら圧力をかけて圧着します。ならしの目的は、余分なシーリング材を取り除き、表面をきれいに仕上げることです。同時に、ヘラで表面に圧力をかけることで密着力も高まります。後は、シーリング材が完全に硬化する前に、養生に使用したマスキングテープを剥がせば工事の終了です。

シーリング工事の注意点

シーリング工事の注意点として以下の3つのポイントが考えられます。

  • シーリング材の有効期限
    有効期限の切れたシーリング材の使用は、施工後の劣化に関わる重要なポイントなので十分に注意しましょう。
  • 施工時の天候
    シーリング工事のクォリティを上げるために雨の日は避けましょう。
  • 工事担当者のスキル
    特にコーキングガンによる充填時は、均一性や仕上がり状態、密着性の確保など担当者の経験とスキルがものをいいます。

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【まとめ】定期的なシーリング工事で雨漏りなどから建物を守ろう

シーリング工事は、タイルやサイディングボードなどの目地を埋めて密着させ、雨漏りなどを防ぎ外壁などの経年劣化を防ぐ重要な工事です。シーリング材は特徴や用途によって4種類あり、それぞれ建築物や環境によって最適なものを選択します。耐用年数の確保と建物の劣化を防ぐために、適切なタイミングで効率の良いシーリング工事を心がけましょう。

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