コーキングとシーリングの違いは?役割や種類などわかりやすく解説

コーキング シーリング 違い

建築現場では、シーリング・コーキングという言葉をよく耳にします。実際に現場で使われているわけですが、どこが違うのかわからないまま使用している方も多いでしょう。そこで
今回はシーリングとコーキングはどこが違うのか、また使う役割や種類、施工手順などもわかりやすく解説します。

コーキング・シーリングの違い

コーキングとシーリングははっきりとした違いはなく、建設工事の現場では同じ意味として使われています。
ペースト状の材料で目地や隙間を埋め密封でき、防水性もあります。コーキングとシーリングは同じことができるためほとんど違いがないと言えるでしょう。建設現場で働く職人の年代や会社、地域によって使い方は異なりますが、ほとんど決まりがありません。

シーリング工事についてはこちらの記事で解説しています。
シーリング工事シーリング工事とは?材質の種類や施工手順・注意点などを解説

また、防止工事の4種類を比較や工法については、こちらの記事で解説しています。合わせてチェックしてみてください。
防水工事 種類防水工事の4種類を比較!工法別メリットとデメリットなども解説

コーキング・シーリングの役割

ほとんど用途が同じと言われているコーキング・シーリングですが、おもに3つの役割があります。ひとつずつ見ていきまょう。

サイディングひび割れ防止

建物の外壁下地にサイディングボードという板を張って組み立てられるのがサイディング壁です。硬く薄いのが特徴で、天候による気温の変化や地震などによって負荷がかかるとひび割れや破損してしまう恐れがあります。その補修材としてコーキング・シーリングが使われています。ひび割れによって起きる「目地」と呼ばれる隙間に充填して修正し、サイディング壁への負荷を軽減します。

雨漏り時の応急処置

コーキング・シーリングで雨漏りが起きている箇所を埋めることで応急処置が可能です。
雨漏りの主な原因は劣化によるものが多く、天窓や窓のサッシ周辺、外壁や屋根のひび割れ、金属屋根の穴あきなどがあります。雨漏りは建物の構造部分に影響を及ぼし劣化を早める可能性があります。建物を長く保つには早めの対応が必要です。

建材の固定

3つ目の役割としては、建材を接着して固定することができます。
瓦屋根のずれを補修する工法としてコーキング・シーリングを接着剤がわりに使用しています。また屋根工事では、屋根の棟板金が飛ばされるのを防ぐため釘を打ちますが、釘穴の接着に利用して飛散防止にも利用が可能です。

コーキング・シーリングの種類

コーキング・シーリングの材料には種類があります。種類によって使える場所と使えない場所がありますので、使用する前に把握しておきましょう。

ウレタン系

ウレタン系は外壁に適していて、耐久性が高いのが特徴です。固まるとゴムのような弾力性を持ち密着性があるため、外壁のひび割れや目地に対して使用されています。使いやすい反面、紫外線に弱く、汚れやほこりなどを寄せ付けやすいというデメリットを持っています。

完全に固まるまでは紫外線に当たらないようにしなければなりません。また、屋外で使用する際は塗装で上から保護をする必要があります。

アクリル系

水性の素材を使用しているのがアクリル系です。伸びがよいため作業がしやすく湿った箇所にも施工できるというメリットがあります。
しかし、耐久性や耐候性が低く、固まった際に肉痩せしやすいという点があります。外壁への使用は向いておらず、日が当たる場所では短期間でひび割れが起きてしまう可能性があるでしょう。

シリコン系

ホームセンターなどで売られているのがシリコン系です。シリコン系は一般的に価格が安く、耐久性・耐熱性・耐候性に優れているという特徴があります。
しかし、充填後にシリコンオイルが染み出る特性があるため、上から塗装ができず、仮に塗装しても剥がれてしまうデメリットがあります。そのため外壁の補修には向いていません。浴室やキッチンなどの水回り、ガラスの目地の補修に使われることが多いです。

変成シリコン系

ウレタン樹脂を原料とし作られたのが変成シリコン系です。変成シリコン系は耐候性にくわえ塗装もしやすく様々な補修に使われています。
固まる時間が早いという利点から外壁への使用に適しています。施工後30分くらいで表面に触れることができ、1時間ほどで塗装できるまで固まります。完全に固まるまでの期間も3日と短く、扱いやすいです。シリコン系と違いオイルがにじみ出ることもなく上から塗装でき、また塗装しなくても強度があります。

しかし、シリコン系より耐久性が劣り、ウレタン系より密着性が劣っているという点がデメリットと言えるでしょう。また、他の種類に比べて値段が高いという点もあります。

コーキング・シーリングのタイプ

コーキング・シーリングの役割、種類を解説しました。次はコーキング・シーリングの1液と2液というタイプについて解説します。それぞれについて見ていきましょう。

1液

1液のメリットはすぐに使える点です。塗料缶と希釈材を混ぜて使うもので価格が安く手間をかける必要がなく、余っても翌日使えます。コーキングガンを使った部分補修や施工箇所が少ない作業に向いています。
しかし、塗料缶の使用期限が短いことや2液よりも耐久性・耐候性が劣っているというのがデメリットです。

2液

2液は、主剤・硬化剤・溶剤と分かれていて専用の攪拌機で混ぜ合わせる必要があります。用途に合わせて分量を多く作ることも可能です。耐久性や耐候性が高く使用期限も長いというメリットがあります。また塗る場所を選ばないため大規模な補修作業に向いているでしょう。

しかし、値段が高くなる、余っても次の日に使えない、準備に手間がかかるというデメリットがあります。さらに硬化剤を使用しているため、塗装の専門的な知識がないと効果不良が起こってしまう場合があるため、2液を混ぜるときは注意をしなければなりません。

コーキング・シーリングの劣化サイン

コーキング・シーリングの劣化はいつから起こるのでしょうか?いくら新築の建物でも毎日雨風や紫外線にさらされていると劣化が進んでいきます。劣化のサインは様々ありますがどのようなことなのかチェックしてみましょう。

ひび割れや破れ

まずは経年劣化によってコーキング・シーリングにひび割れや破れがでてしまう場合です。
他にも地震による影響によって起こる場合もあるでしょう。劣化の初期症状として硬化があり、さらに進むとひび割れがおき、最後にはコーキング・シーリングが裂けてしまいます。そうなる前に症状を見極めて早めの補修が必要です。

肉やせ

経年劣化によってコーキング・シーリングが薄くなってきている状態を肉やせと言います。コーキング・シーリングに含まれる柔軟性を与えるために添加される可塑剤が溶け出している症状です。
コーキング・シーリングが薄くなり隙間ができてしまうため、外壁や屋根の場合には雨漏りの原因となってしまいます。
また、コーキング・シーリングの充填が足りないことも肉やせの症状が起きる可能性があります。肉やせは早急に対処する必要がある劣化の症状と言えます。

コーキング・シーリングのメンテナンス目安や費用

コーキング・シーリングのメンテナンスですが、一般的に外壁では10年に1度が目安と言われています。
コーキング・シーリングの場所や種類にも違いはありますが、短くて5年、長くても10年を目安にメンテナンスすることをおすすめします。

また、メンテナンスの費用は方法によって異なります。方法は以下の2種類です。

  • 打ち替え
    古くなったコーキング・シーリングをすべて剥がして新しくする打ち替え
  • 打ち増し
    古いコーキング・シーリングはそのままで上から新しいコーキング・シーリングをする

相場として

  • 打ち替え・・・700〜1200円/m
  • 打ち増し・・・500〜900円/m

ほどになります。ただし、10年以上経ってしまうと劣化の症状も進んでしまう場合があり、目安とする費用よりもかかってしまう可能性があります。

コーキング・シーリング施工の手順

ここからは自分でコーキング・シーリングをおこなう場合の施工手順を解説します。DIYで使えるコーキング・シーリングも増え、施工する方も多くなっています。自分でやってみたい方は参考にしてください。

1.古いコーキング・シーリングの撤去と清掃

まずは古いコーキング・シーリングの撤去です。古い部分をカッターなどを用いて剥がしていきます。この作業は意外と時間がかかり、男性でも慣れてコツをつかむまでに相当な時間を要しますが、きれいに仕上げるためにも丁寧におこないましょう。

2.周囲を養生する

「目地」以外にコーキング・シーリングやプライマーが着かないように「目地」に合わせて外側に養生テープを貼ります。養生がきちんとできていないと他の箇所にもついてしまう可能性があります。まっすぐに貼ることが大切です。

3.プライマーを塗布

慎重に作業しなければならないのがプライマーの塗布です。プライマーは接着剤のようなもので、コーキング・シーリングと下地との接着の強化や被着面の細かいほこりを抑えることができます。
きちんとできないと界面剥離が起きたり、水漏れを起こす可能性もあります。この作業は難しいため、相当な技術が必要です。

4.コーキングの充填

壁と壁の間に充填していきますが、隙間なく仕上げなければなりません。内側に空気が入らないよう少し多く充填していくとよいでしょう。充填している作業中に硬化が進んでしまうので注意しましょう。

5.養生の撤去

最後に養生の撤去です。コーキング・シーリングが乾く前に剥がしましょう。雑に剥がしてしまうと乾いていない部分にずれが生じ施工が台無しになってしまいます。完全に乾いてしまうとうまく剥がれなくなるため剥がすタイミングと剥がし方には注意しましょう。

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【まとめ】コーキングとシーリングに違いはない!用途に合わせて種類を選ぼう

コーキング・シーリングは年代や会社、地域によって呼び名は違いますが、ほとんど同じ役割で使うため違いはありません。種類によって使える場所が異なるため、用途に合わせて適切なものを選びましょう。コーキング・シーリングのメンテナンスを最低でも10年に1度を目安におこなうことをおすすめします。また自分でDIYしたい方には手順を解説しました。こちらも参考にしてみてください。

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