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工事経歴書とは、事業者が建設業許可を申請する際に添付する書類です。建設業許可を取得後は、毎事業年度終了後から、4か月以内に提出しなければなりません。今回は、工事経歴書の書き方について詳しく解説します。
経営事項審査を受ける場合と受けない場合の2通りの書き方や、工事経歴書に記入する際に注意しなければならないこと、対象となる工事の範囲など、分かりやすくお伝えします。この記事が、建設業許可申請を予定している事業者のみなさんの参考になれば幸いです。
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工事経歴書とは
工事経歴書とは、建設業許可の申請や公共事業の入札に参加する際に添付する書類です。工事の注文者や件名、現場、期間などを明示するもので、以下の場合に提出する必要があります。
- 建設業許可を申請するとき
- 建設業許可を取得済みの業者が毎営業年度終了時に届出を出すとき
- 経営規模などの評価申請を受けるとき
- 公共工事の入札参加にあたり経営事項審査申請をするとき
また、建設業許可の申請用とは異なる工事経歴書も存在します。建設業界や建設関連の職種に就業している人が転職など、就職活動する際に使用する書類です。
工事経歴書の書き方は2通り
工事経歴書の書き方は、経営事項審査を受けるものと受けないもので異なります。経営事項審査は、公共工事を受注するときに必ず受けなければなりません。建設事業者の成績表のようなものとなり、事業者ごとに点数がつけられます。
審査の公平さを保つため、工事経歴書には、あらかじめ経営事項審査用の記載ルールが設けられています。そのため、事業者はこちらのルールに沿って、工事経歴書へ記載するのが大切です。
一方、公共事業を受注しない場合は、比較的簡素なルールで記載可能です。
経営事項審査を受ける場合
経営事項審査を受ける場合、書き方は以下の通りです。
- 請負金額の大きい順に、全ての請負金額が7割を超えるまで記載する
- 1で記載していない工事についても、請負金額が7割を超えるまで金額の大きい順に記載する
- 着手はしたが、完成していない工事についても「未成工事」と見出しをつけて記載する
経営事項審査を受ける場合は、基本的に税抜きで作成します。なお、免税事業者は税込みです。経営事項審査を受けない場合よりも記載ルールが細かいため、注意が必要です。
経営事項審査を受けない場合
経営事項審査を受けない場合の書き方は、以下の通りです。
- 業種ごとの全ての請負工事の中で「完成した工事」について、金額の大きい順に記載する
- 着手はしたが、完成していない工事を「未成工事」と見出しをつけて記載する
経営事項審査を受けない場合の工事経歴書の記載ルールは、審査を受ける場合に比べて簡易的です。
いずれも、請負合計金額の5割に達するまでです。経営審査を受ける場合に比べて記載工事数が少なくなります。また、金額の書き方については、税込み、税抜きどちらでもかまいません。
工事経歴書の記載方法
ここでは、工事経歴書の記載方法について解説します。工事経歴書は、建設事業者にとって大切な書類です。しかし、書くときのルールに複雑な部分もあり、ミスが発生しやすいといわれています。
そのため、工事経歴書の記載方法について、事前に予習をしておくことが大切です。正しい工事経歴書をスムーズに作成できるよう、理解を深めていきましょう。
記入の対象となる工事とは
工事経歴書に記載する場合の記入対象となる期間と、工事について説明します。申請書類の対象となる期間は、申請日が属する事業年度のひとつ前の事業年度です。
したがって、工事経歴書の申請時の前年度に「請け負って着手し、完成した工事」と「着手はしたが完成しなかった工事」全てが対象となるので注意しましょう。
例えば、事業者が2023年8月に申請を行う場合、事業年度が4月1日から3月31日であれば、2022年4月1日から2023年3月31日までに請け負った工事が対象となります。
工事実績がないときの作成方法
工事経歴書は、前年度中に工事実績がない場合でも作成し提出する必要があります。複数の業種で経営している営業所や、新設された法人の新規申請などでは、工事実績がない状態で届け出をするケースも珍しくありません。この場合は工事経歴書の工事名の欄に「工事実績なし」と記入して提出します。
なお、1年以上営業を停止した場合、建設業許可の取り消し事由に該当します。ただ、工事実績がないといった理由で、1年以上建設業の営業休止とみなされることはありませんので、安心してください。
工事経歴書を書くための準備
工事経歴書を作成する際は、最小限、次の情報を準備しておく必要があります。工事の業種や内容、元請か下請けか、現場の所在地や注文者情報などの他に、担当した主任技術者の名前も必要です。
工期や請負代金の金額ももれなくチェックしましょう。このような情報をシステム化し、すぐに抽出できるようにしておくと便利です。
しかし、数多くの工事件数を抱えている場合は、情報を集めるだけでも大きな負担がかかります。提出期限に間に合うよう、余裕を持って準備しましょう。
項目ごとの工事経歴書の書き方
ここでは、項目別に記載する上で特に複雑な部分を解説します。まず、工事名は許可申請する工事の種類ごとに記載します。その際、注文者欄も同様に個人の名前が特定されないよう注意しましょう。
例えば工事名欄に「A工事」注文者欄に「A」などと記載します。共同で請け負った工事の場合は、共同事業体を意味する「JV」と記入しましょう。請負金額は合計額に出資比率を乗じた金額、または分担した工事の金額です。
配置技術者は、建設業法第26条の規程に基づいて該当する欄にレ点を入れます。一般建設業者の場合は、全て主任技術者にチェックを入れます。請負金額は千円単位で記入しましょう。また、工事進行基準を適用している場合は、完成工事高にカッコをつけて記載します。
請負金額欄の「うち( )」のPCは土木一式、法面処理はとびや土木、鋼構造物は鋼橋上部のことを指します。
工事経歴書の記載例
ここでは、工事経歴書の記載例について解説します。国土交通省の記載例を元に、以下のケースにて1つずつ詳しくお伝えします。
- 元請工事で軽微な工事が10件に達した場合
- 全体で軽微な工事が10件に達した場合
- 全ての完成工事工事高の合計額7割に達した場合
正しく工事経歴書を作成することで、自社の強みをアピールしましょう。
元請工事で軽微な工事が10件に達した場合
A~Kは、元請工事の7割部分に係る完成工事を、大きい請負金額から記載したものです。また、軽微な工事について10件を超える部分は書く必要がないため、こちらで記載終了となります。
さらにL~Mに記載していない下請け工事に係る完成工事を記載し、全ての完成工事高の合計金額が7割を超えたため、こちらで完了です。
全体で軽微な工事が10件に達した場合
A~Cは元請工事の中で7割部分に係る完成工事を、大きい請負金額から記載したものです。
続けて、D~MにA~Cで記載していない元請工事及び下請け工事に係る完成工事を記載します。こちらも、請負金額は大きい順です。そして、全体で軽微な工事が10件に達したため、こちらで工事経歴書への記載は完了となります。
全ての完成工事工事高の合計額7割に達した場合
A~Cは元請工事の中で7割部分に係る完成工事を、大きい請負金額から記載したものです。
続けて、D~IにA~Cで記載していない元請工事及び下請け工事に係る完成工事を記載します。こちらも、請負金額は大きい順です。全体で完成工事高の7割を超えたため、こちらで工事経歴書への記載は完了となります。
工事経歴書を書くときの注意点
ここでは、工事経歴書を記載する上で注意しなければならない点について解説します。特に注意が必要な部分は、請負金額の記載方法と配置技術者の建設業法違反です。請負金額の書き方は、経営事項審査を受ける場合と受けない場合で異なります。
また、配置技術者については、技術者の配置方法をきちんと理解しておきましょう。以下にて詳しくお伝えします。
大きい金額順に記載する
工事経歴書の請負金額は、対象期間内の工事を、金額の大きい完成工事から順に記載します。特に、公共工事を受注するための経営事項審査を受ける場合は、注意が必要です。審査前に提出する決算変更届に、工事経歴書も含まれます。そのため、必ず正しいルールに沿って記載しましょう。
経営事項審査を受ける場合は、元請工事金額の大きいものから記載するルールが設けられています。記載数は全体金額の7割です。次に、下請けも含めたその他の元請工事も大きい金額順に記載します。未完成工事がある場合は、その金額も大きい順です。
また、審査を受けない場合は、元請下請けに係わらず請け負った金額の大きい順となります。さらに、未完成工事がある場合も、大きい金額から記載しましょう。
配置技術者の配置方法が建設業法違反になっていないか確認する
経営事項審査を受ける事業者が工事経歴書を提出する際、配置技術者の配置方法が建設業法違反になっているケースも多いです。建設許可事業者には、現場に必ず配置技術者を配置する義務があります。
しかし、建設業法上、専任技術者は配置技術者になることができません。専任を求められる場合は、他の現場の配置技術者を兼任できない規則があります。配置技術者は、法律上 様々な制約があるため、工事経歴書を作成する上でこちらのルールに沿っていない場合、指摘される可能性も高いです。
法律を犯さないという課題は、正しく工事経歴書を記載する以前の問題です。そのため、日頃から建設業法を遵守するようにしましょう。
経営事項審査の点数の目安や点数をアップさせるコツ
国や地方公共団体が発注する公共工事は、建設業許可業者であることが必要ですが、経営事項審査を必ず受けなければなりません。
経営事項審査の点数は、いくつかのポイントをおさえることで点数をアップさせることができます。詳しくはこちらの記事で紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
経営事項審査の点数とは?点数の目安や点数をアップさせるコツをご紹介!
建設業の書類作成はBPOサービスの活用がおすすめ
建設業の書類作成に取り組む場合は、BPOサービスの活用がおすすめです。BPOサービスとは、業務プロセスの一部を専門業者に外部委託するサービスです。
建設業では現場作業以外に様々な書類作成を行う必要があります。慣れない書類作成は負担となり、時間がかかるため残業につながることが多いです。
建設業許可申請に必要な書類や安全書類など、建設業の業務には多くの書類作成に対応する必要がなります。非効率な書類作成の負担を減らすことで、現場作業に集中でき、工期遅れの防止や受注案件の増加につながります。また、専門的な知識を持っているため、正確な書類作成をスムーズに行えるでしょう。
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工事図面作成、書類作成、事務作業などを代行できるため、現場作業に集中できることで、受注できる案件の増加や退職率の低下など、様々なメリットがあります。詳細はぜひこちらからご確認ください。
【まとめ】工事経歴書はすべての工事実績を記入する!すぐ書けるように日ごろから準備をしておこう
工事経歴書の項目別の書き方や請負金額記載のルールなどについて説明してきました。工事経歴書の書き方には2種類あります。特に、公共工事を受注するための経営事項審査を受ける場合には、請負金額の書き方に細かいルールがあるので注意が必要です。
また、年間に多くの工事を請け負っている事業者では、書類申請に必要な情報も膨大になります。期限間際にあわてて準備するのではなく、日ごろから情報の整理をして効率よく記入できるようにしておきましょう。
JVの会計処理についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
JV(ジョイント・ベンチャー)の会計処理とは?2つの会計方式と仕訳例を紹介
建設業の実務経験証明書の書き方はこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
建設業の実務経験証明書の書き方とは?記入例や必要書類も徹底解説!
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