JV(ジョイント・ベンチャー)の会計処理とは?2つの会計方式と仕訳例を紹介

建設業では、複数の建設企業がJV(ジョイント・ベンチャー)となってひとつの建設工事を行うことが多くあります。ひとつの会社では受注できない資金や人手などを要する大きな建設工事などもJVにすることで受注、施工が可能になります。JVに参加しようと検討しているが自社の会計処理をどうしたらよいのかとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
今回は、JVの会計処理とはどういうものか、また2つの会計方式と仕訳について具体的に例を用いてご紹介いたします。

JVの会計処理とは?

JVは複数の共同企業体から構成されていて、参加している企業は対等の立場です。しかし、企業体を効率的に運営していくためには、業務の代表となる企業を選ばなければなりません。代表企業のことをスポンサー会社、その他の企業をサブ会社と言い会計処理も異なります。会計処理は出資割合に基づいた完成工事高や工事原価を記録していくことです。スポンサー会社は現場管理やJV委員会の運営、予算を策定するなどの役割があります。なかでも会計処理の担当は重要なことです。サブ会社への出資金の請求処理や下請け会社への支払処理をする必要があります。サブ会社は、スポンサー会社からの出資金に応じて支払いをし、原価明細から会計処理を行います。

JVにおける2つの会計方式

JVではスポンサー会社が会計処理を担当する割合が多くなります。もちろんサブ会社でも会計処理は必要です。JVの会計方式は「独立会計方式」と「取込会計方式」の2つがあります。それぞれ内容についてご紹介していきます。

独立会計処理

JVという共同企業体に参加するスポンサー会社とサブ会社の各企業が、JV独自の会計処理を個々の企業の会計から独立して行うことを独立会計方式と言います。つまり、JVの会計処理と企業の会計処理を別々におこなわなければなりません。

取込会計方式

JVという共同企業体の代表となるスポンサー会社がすべての取引を取り込み、処理することが取込会計方式です。スポンサー会社の財務諸表にJVの会計が入ってしまうことになります。スポンサー会社とサブ会社の出資比率に応じてそれぞれ分け、修正をしなくてはなりません。

JVの会計処理例

JVの会計処理をおこなう際の方法について、一般的な会計処理を例に解説していきます。基礎データとJVの工事内容から、独立会計方式と取込会計方式、それぞれの会計処理を具体的に数字を用いて解説します。決算期は1年間です。

①基礎データ

JV構成会社 出資割合
スポンサー会社 60%
サブ会社 40%

②JVの工事内容

金額
工事契約高 12,000千円
工事原価 9,000千円

前受金の処理

前受金を受け入れた場合の処理方法をご紹介します。独立会計方式、取込会計方式、それぞれの処理方法は下記の通りです。

独立会計方式

工事に係る前受金4,000千円の受取をした。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 4,000 JV 未成工事受入金 4,000

スポンサー会社、サブ会社ともに仕訳はなし。

 

上記4,000千円の前受金を構成会社へ分配した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
スポンサー会社出資金 2,400 JV 現金預金 4,000
サブ会社出資金 1,600
借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 2,400 スポンサー会社 未成工事受入金 2,400
現金預金 1,600 サブ会社 未成工事受入金 1,600

取込会計方式

工事に係る前受金4,000千円の受け取りをした。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 4,000 スポンサー会社 未成工事受入金 2,400
預り金(JV) 1,600

サブ会社は仕訳なし。

 

上記4,000千円の前受金をサブ会社に分配した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
預り金(JV) 1,600 スポンサー会社 現金預金 1,600
預金現金 1,600 サブ会社 未成工事受入金 1,600

工事原価の処理

工事原価が発生した場合の処理方法は下記の通りです。ご紹介している2つの会計方式をそれぞれで解説します。

独立会計方式

JVに9,000千円の工事原価が発生し、各構成会社に請求をおこなった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
未成工事支出金 9,000 JV 工事未払金 9,000
未成工事支出金 5,400 スポンサー会社 工事未払金 5,400
未成工事支出金 3,600 サブ会社 工事未払金 3,600

上記の原価、9,000千円のうち7,000千円の支払いを各構成会社が出資した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 7,000 JV 出資金(スポンサー会社) 4,200
出資金(サブ会社) 2,800
借方科目 金額 貸方科目 金額
工事未払金 4,200 スポンサー会社 現金預金 4,200
工事未払金 2,800 サブ会社 現金預金 2,800

上記の資金により、JVは現金の支払いをおこなった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
工事未払金 7,000 JV 現金預金 7,000

スポンサー会社、サブ会社は仕訳なし。

取込会計方式

9,000千円の工事原価が発生し請求原価の支払いのため、スポンサー会社はサブ会社に請求した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
未成工事支出金 5,400 スポンサー会社 工事未払金 9,000
立替金(JV) 3,600
借方科目 金額 貸方科目 金額
未成工事支出金 3,600 サブ会社 工事未払金 3,600

 

上記、9,000千円のうち、7,000千円の支払いをするため、サブ会社が現金で出資した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 2,800 スポンサー会社 立替金(JV) 2,800
工事未払金 2,800 サブ会社 現金預金 2,800

上記の資金によってJVは支払いを現金でおこなった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
工事未払金 7,000 スポンサー会社 現金預金 7,000

 

サブ会社は仕訳なし。

手形支払い

次の例は、手形による支払いの処理方法です。下記になりますので参考にしてください。

独立会計方式

工事原価9,000千円のうち、3,000千円の支払いを各構成会社が手形により出資した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
出資手形 1,800 JV 出資手形(スポンサー会社) 1,800
出資手形 1,200 JV 出資手形(サブ会社) 1,200
借方科目 金額 貸方科目 金額
工事未払金 1,800 スポンサー会社 支払手形 1,800
工事未払金 1,200 サブ会社 支払手形 1,200

ここで注意したいのは、手形の振出がJVではできないことです。スポンサー会社が手形を用意して、JVの支払いをおこなうことが少なくありません。

 

上記の手形によって支払いをおこなった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
工事未払金 3,000 JV 出資手形(スポンサー会社) 1,800
出資手形(サブ会社) 1,200

スポンサー会社、サブ会社は仕訳なし。

 

上記の手形によって決済がおこなわれた。

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払手形 1,800 スポンサー会社 現金預金 1,800
支払手形 1,200 サブ会社 現金預金 1,200

この場合のJVは仕訳なし。

取込会計方式

原価9,000千円のうち、3,000千円をサブ会社が手形で出資した。

借方科目 金額 貸方科目 金額
受取手形 1,200 スポンサー会社 立替金(JV) 1,200
工事未払金 1,200 サブ会社 支払手形 1,200

独立会計方式と同様、JVでの手形振出がおこなえないため、スポンサー会社が準備することが多くあります。

 

上記の手形によって支払いをおこなった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
工事未払金 3,000 スポンサー会社 支払手形 1,800
受取手形 1,200

サブ会社は仕訳なし。

 

上記の手形で決済がおこなわれた。

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払手形 1,800 スポンサー会社 現金預金 1,800
支払手形 1,200 サブ会社 現金預金 1,200

完成工事高の計上

工事が完成し引き渡しが終了となったら、完成工事高の計上やJVの決算などをおこないます。完成工事高の処理は下記の方法となります。

独立会計方式

請負工事が完成し、発注者へ引き渡しをした。

借方科目 金額 貸方科目 金額
完成工事原価 9,000 JV 未成工事支出金 9,000
未成工事受入金 4,000 完成工事高 12,000
完成工事未収入金 8,000

スポンサー会社、サブ会社は仕訳なし。

JV会計の決算をおこなった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
完成工事高 12,000 JV 完成工事原価 9,000
スポンサー会社出資金 3,000 未払分配金 8,000
サブ会社出資金 2,000
借方科目 金額 貸方科目 金額
未成工事受入金 2,400 スポンサー会社 完成工事高 7,200
完成工事未収入金 4,800
借方科目 金額 貸方科目 金額
未成工事受入金 1,600 サブ会社 完成工事高 4,800
完成工事未収入金 3,200

工事請負代金を精算し、各構成会社に残金の入金が分配された。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 8,000 JV 完成工事未収金 8,000
未払分配金 8,000 現金預金 8,000
借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 4,800 スポンサー会社 完成工事未収入金 4,800
現金預金 3,200 サブ会社 完成工事未収入金 3,200

※決算が工事施工中の場合は、JVのみ仕訳を作成します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
スポンサー会社出資金 〇〇〇 JV 未成工事支出金 〇〇〇
サブ会社出資金 〇〇〇

取込会計方式

工事が完成し、引き渡しをした。

借方科目 金額 貸方科目 金額
完成工事原価 5,400 スポンサー会社 未成工事支出金 5,400
未成工事受入金 2,400 完成工事高 7,200
完成工事未収入金 4,800
借方科目 金額 貸方科目 金額
完成工事原価 4,800 サブ会社 未成工事支出金 4,800
未成工事受入金 1,600 完成工事高 4,800
完成工事未収入金 3,200

JV会計の決算をおこないますが、スポンサー会社、サブ会社の仕訳はありません。

 

工事請負代金の精算、残額が入金されサブ会社に分配をおこなった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 8,000 スポンサー会社 完成工事未収入金 4,800
預り金(JV) 3,200
預り金(JV) 3,200 現金預金 3,200
借方科目 金額 貸方科目 金額
現金預金 3,200 サブ会社 完成工事未収入金 3,200

※決算が工事施工中の場合ですが、スポンサー会社、サブ会社どちらも仕訳処理の必要はありません。

【まとめ】JVの会計方式は独立会計と取込会計の二つが存在する!会計処理方法を間違えないようにしよう

JV(ジョイントベンチャー)の会計処理についてご紹介しました。JVの会計方式は二つあり、自社がスポンサー会社になるのか、サブ会社になるのかによっても出資比率が異なり、会計処理も違ってきます。どちらの方式でおこなうか、把握したうえで会計処理方法を間違えないようにしなければなりません。実際に数字を用いて例をご紹介していますので、参考にしてください。

記事内に出てきた未成工事支出金についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。

建設業の未成工事支出金とは?仕訳方法や勘定科目も徹底解説

JV(ジョイントベンチャー)とは?建設業におけるJVのメリット・デメリットも解説!

 

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