建設業の実務経験証明書の書き方とは?記入例や必要書類も徹底解説!

建設業で仕事をしていると、建設業許可の申請や更新、新しい工事を受注するたびに実務経験証明書の提出が必要なことがあります。前回の提出から時間が経っていなければ、流用が可能なこともあります。しかし、少し時間が経過するたびに内容を確認し、細かく修正することが面倒に思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、建設業における実務経験証明書を解説します。この記事を読めば、詳細な書き方や注意点についても学べます。実務経験証明書の書き方で迷ったり悩んだりしたことがある方は、参考になりますので、ぜひ最後までご覧ください。

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建設業の実務経験証明書とは

実務経験証明書とは、文字通り建設工事における実務の経験を証明する書類です。実務経験証明書は建設業許可の申請や更新の際に必要で、多くの建設会社で提出している書類の一つです。ただし、申請する建設業許可の種類に対応する国家資格を保有している場合は、提出が不要なこともあります。
また、工事を受注した際に、実務経験証明書の提出を求められることがあります。急な提出を求められて焦らないように、定期的に実務経験証明書を更新しておくと便利です。

専任技術者の実務経験証明の際に必要

建設業の専任技術者を、実務経験で証明したい場合、実務経験証明書の提出が必要です。国家資格があれば所定の知識と経験があると判断されます。しかし、ない場合は必要な知識と経験は実務経験で証明するしかありません。
そのため、実務経験証明書は国家資格保有者であれば不要です。しかし、国家資格以外で専任技術者として申請する際は、以下の条件のいずれかを満たさなければいけません。

  • 指定学科の卒業+卒業後の規定年数の実務経験
  • 対応する資格+資格取得後の規定年数の実務経験
  • 所定の年数の実務経験

実務経験を証明する期間

実務経験証明書の提出に必要な実務経験の期間は、対象者の卒業した学科や保有している資格によって異なります。必要な実務経験の期間を対象者の状況ごとに表にまとめましたのでご覧ください。

出身校や資格の取得状況必要とされる実務経験の期間
指定の資格を取得済み1~5年(資格により規定される)
指定学科の大学及び専門学校を卒業3年以上
指定学科の高等学校・中等教育学校を卒業5年以上
指定学科の卒業や資格の取得なし10年以上

このように、必要な実務経験は卒業した学校や資格によって異なるため、計算する際は注意が必要です。

建設業の実務経験証明書の書き方

ここからは、建設業において必要な実務経験証明書の書き方を実際の書類の記入例と合わせて解説します。次の10の項目の書き方を把握して、記載漏れなく実務経験証明書を作成しましょう。

①実務経験を証明する工事の種類
②証明した日付
③証明者
④被証明者との関係
⑤技術者の氏名・生年月日
⑥使用者の商号又は名称
⑦使用された期間
⑧職名
⑨実務経験の内容
⑩実務経験年数

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なお、上の記入例は国土交通省のホームページよりダウンロードできます。

①実務経験を証明する工事の種類

①の実務経験を証明する工事の種類は、申請する建設業の種類を記載します。工事を受注した際などは、受注した工事件名を記載することもあります。実務経験証明書の用途により、記載内容が異なるため、目的を間違えないよう注意しましょう。

②証明した日付

②証明した日付は、実務経験の証明を受けた日付を記載します。多くの場合、書類の作成日を記入します。他の項目を全て記載し終わったタイミングの日付が理想的なため、最後に記載する方も珍しくありません。

③証明者

③証明者は、実務経験を積んだ建設業者の本店住所と名称、代表者名を記載します。こちらは技術者ではなく、証明する建設業者が記載するケースも多くあります。建設業者の本店住所と名称、代表者名が確認できれば、ゴム印などでも構いません。

④被証明者との関係

④被証明者との関係は、証明者視点による被証明者との関係を記載します。主に社員や元社員、役員などが入ります。

⑤技術者の氏名・生年月日

⑤技術者の氏名・生年月日は、実務経験を証明する技術者の氏名と生年月日を記載します。指定されてはいませんが、生年月日は元号で記載することが一般的です。なお、技術者の氏名と生年月日は、別途で提出が必要な専任技術者証明書(様式第八号)の記載内容と一致しなければいけません。

⑥使用者の商号又は名称

⑥使用者の商号又は名称は、被証明者が実務経験を積んだ証明者の正式な商号や名称を記載します。法人の場合は正式な会社名を記載し、個人事業主の場合は屋号を記載します。基本的には、③証明者で記載した証明者の名称を、そのままこちらにも書けば問題ありません。

⑦使用された期間

⑦使用された期間には、被証明者が証明者に雇用されていた期間を記入します。使用された期間は実務経験の年数とは異なるため、実務経験年数と一致しなくても問題ありません。そのため、他の業務に従事していた期間も算入されます。

⑧職名

⑧職名は、被証明者が工事に従事した際の役職を記載します。たとえば、工事主任として実務を経験した場合は、「工事主任」と記載します。どういった役職になるかは使用者によって異なるため、記載する際は確認しましょう。

⑨実務経験の内容

⑨実務経験の内容は、携わった工事における業務内容を記載します。どういった工事で具体的にどのような業務を担当したか記載しなければいけません。内容が具体的に記載できなければ、実務経験として認められないため、注意が必要です。

⑩実務経験年数

⑩実務経験年数では、工事の案件ごとに携わった年数を記載します。経験年数は、12カ月以上の空白期間がない限り、連続した実務経験と見なされます。前の工事が終了した時期と次の工事が開始した時期が重複する場合は、期間を調整して重ならないようにしましょう。

実務経験証明書を作成時の注意点

ここまでは、実務経験証明書の記載方法を解説してきました。ここからは、実務経験証明書を作成する際の注意点を解説します。もし実務経験証明書の作成で誤りがあれば、建設業許可の申請が認められなかったり、工事に従事できなくなります。
そのため、実務経験証明書を作成する際は、次のポイントに注意して記載していきましょう。

  • 証明すべき経験年数は間違っていないか
  • 証明に必要な書類が揃っているか

それぞれのポイントを詳しく解説します。

証明すべき経験年数は間違っていないか

資格や指定学科の卒業といった要素がない場合は、専任技術者として認められるためには10年以上の実務経験が必要です。10年以上の実務経験を証明するためには、経験年数を正確に記載しなければいけません。
建設業許可申請の場合は、特にできるだけ詳細に記載しなければいけません。そのため、被証明者がどの工事にいつからいつまで携わったか、確認することが重要です。被証明者がどの工事にどれだけ携わったかは過去に提出した工事書類などで確認しましょう。

証明に必要な書類が揃っているか

実務経験証明書を作成する際は、証明に必要な書類が揃っているかも確認しましょう。書類で実務経験を詳細に記載しても、内容を証明できなければ、認められない場合があります。実務経験証明書の作成と並行して、携わった工事の関係書類を確認しましょう。
実務経験証明書の内容を証明する書類は、提出先によって異なります。そのため、提出先がどのような書類を求めるかを事前に確認しておかなければいけません。工事の注文書や請負契約書、作業員名簿など必要な書類を確認し、揃えておきましょう。

工事実績を証明するための資料

工事実績を証明するための書類は、提出先や証明者によって異なるため、一律に必要な書類は挙げられません。しかし、一般的には証明者に建設業許可があるかないかで分けることができますので、それぞれの場合で必要な書類を見ていきましょう。建設業許可がある場合は、以下の書類の写しが必要です。

  • 建設業許可申請書
  • 建設業許可通知書
  • 変更届
  • 廃業届

続いて、証明者に建設業許可がない場合は、以下の書類が必要です。

  • 注文書
  • 工事請負契約書
  • 請求書
  • 入金確認ができる資料

必要な書類を確認し、実務経験証明書とあわせて提出できるように、準備を整えましょう。

期間内に常勤していたことを証明する資料

実務経験証明書を提出するには、証明する期間内に証明者の事業所で常勤していたことを証明する資料の提出も必要です。常勤を証明する資料は、証明者が個人か法人かで異なります。それぞれの場合に必要な書類を見ていきましょう。
まず、法人の場合は、次の書類が必要です。

  • 保険証の写し
  • 健康保険組合等による資格証明書
  • 住民税特別徴収税額通知書
  • 直近の決算の法人用確定申告書の写し
  • 健康保険・厚生年金被保険者に関する標準報酬決定通知書
  • 厚生年金記録照会回答票

上記の書類も提出先によっては要不要が分かれるため、事前に確認しましょう。
次に証明者が個人事業主の場合は、以下の書類が必要です。

  • 証明する期間分の確定申告書の写し
  • 保険証の写し

いずれの場合も、提出先ごとに必要書類が異なるため、実務経験証明書の作成と並行して確認し、準備しましょう。

【まとめ】専任技術者の実務経験証明書を提出する際は必要書類なども確認しよう

建設業許可の申請や更新に際して、専任技術者の配置は不可欠です。そのため、実務経験証明書もしっかりと記載し、必要書類をそろえなければいけません。万が一実務経験証明書に不備があったり、必要書類が揃っていなかったりすれば、建設業許可の申請が降りないというケースも考えられます。
そういったケースに陥らないためにも、今回解説した内容を参考に、実務経験証明書を作成してください。あわせて必要書類を揃えて、専任技術者として認められるように準備を整えましょう。

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