工事代金未払いは労基で対応できる?未払いを防ぐ方法や相談の流れなどを紹介

建設業で起こりやすいトラブルの1つに、工事代金の未払いがあります。もし工事代金を支払ってくれない場合、どのように対処すればよいのか気になるでしょう。工事代金は高額になるのが一般的ですし、未払いが続くと経営自体に悪影響を及ぼしかねません。
そこで今回は工事代金の未払いが発生したらどう対処するのか解説していきます。

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工事代金未払いは労基で対応できるのか

工事代金未払いトラブルの相談先の候補となるのが労働基準監督署になります。まずは国土交通省のホームページに記載されている駆け込みホットラインから気軽に相談をしてみましょう。労働基準監督署では、トラブルの相談だけではなく、取引先が工事代金を支払ってくれないなどの違法行為を調査している国土交通省への取次ぎも行ってくれます。相談は匿名でも行えるので、氏名や会社名を知られたくない人でも安心です。

工事代金未払いが起こる原因

工事代金の未払いが発生するには、何かしら理由が存在しています。どのような理由が考えられるのかを知り、事前に対策をするだけでも、工事代金の未払いが発生する確率を下げることができます。もちろん悪質な業者を利用しないことも大切ですが、きちんとしている業者であっても未払いが発生する可能性があるのです。そこで工事代金の未払いが発生する可能性が高い原因について3つ紹介していくので、建築関連の会社を経営している人は参考にしてみて下さい。

元請けの経営の悪化

最初から代金を踏み倒すつもりで契約をする人はあまりいません。しかし、現在の日本は物価が急激に上昇し、税金も大幅に引き上げられているのが現状です。特に個人経営や中小企業は経営が厳しいところも多いため、元請けの経営が悪化したことで、工事代金が支払えなくなる場合もあります。他にも資金繰りが悪化する原因としては、

  • 下請け工事が多くて資材などの建て替え費用が多々発生する
  • 労働者災害が発生した
  • 瑕疵担保責任を追及された

などが考えられるでしょう。

契約書が曖昧だった

工事を下請けに発注する場合や、引き受ける場合には、必ず契約書を交わします。契約書には支払いに関することも記載されています。しかし、工事というのは費用が高額になるケースも多いので、複数回に分けて支払いを行うのが一般的です。近年は材料費が急に高騰することも多く、施工業者と施主のどちらが費用を持つのかで問題になる場合もあります。そのため、支払いの回数や価格の高騰による費用負担に関する内容まで、詳しく契約書に記載しなければいけません。契約書に詳しく記載されていないと、代金未払いなどのトラブルが発生しやすくなります。

成果物を先に渡してしまう

民法第633条では、請負契約を行う場合、完成した物の引き渡しと報酬の支払いは同時に行うように記載されています。しかし、下請け業者は元請け業者よりも弱い立場にあります。そのため、先に建物の引き渡しを行ってしまい、料金の支払いを後回しにされてしまうことで、代金未払いとなるケースもあるのです。元請け業者の要望を聞かないと、次回から仕事がもらえなくなる可能性があると不安に思うこともあるでしょう。それでもトラブルを防ぐためには、成果物を先に渡さないことが重要です

【元請け向け】工事代金未払いを防ぐ方法

代金に関することはトラブルに発展しやすいので、元請負人側もいくつか心掛けることがあります。トラブルは発生してから対処するのも重要ですが、それ以上に発生しないように努力することが大切です。元請けであっても、トラブルが発生すれば信用が落ちてしまうことも多いでしょう。
元請け側が工事代金未払いを防ぐ具体的な方法を見ていきましょう。

下請けの管理を徹底する

まずは下請負人をしっかりと選定し、信頼できるところに依頼しないといけません。作業員に適切な賃金を支払っているか、納期を守って安全な作業を心掛けているかなど、元請け側もきちんと管理を行うことが重要です。作業量が多い大規模な工事になると、下請負人もさらに下請負人に仕事を依頼することも珍しくありません。そのため、下請構造についてもきちんと目を光らせておく必要があります。下請構造が重層化すると、目が行き届かなくなる場合もあるので注意しましょう。

下請けへの資金繰りの配慮

下請けの場合、仕事が安定せずに資金繰りが不安定になるケースもあります。そのため、下請けから資金について相談を受けることもあるでしょう。その際には積極的に相談に応じ、資金繰りにも十分配慮しないといけません。資金繰りが不安定になっているのであれば、前払いや貸し付けなどで対応する必要もあります。代金に関するトラブルを前もって防ぐためには、コミュニケーションの円滑化を図り、じっくりと話し合いをすることも大切になるのです。

特定建設業者の場合

複数の種類がある建設業許可ですが、その中の1つに特定建設業が存在しています。特定建設業というのは、建設工事1件につき4000万円以上、一式工事であれば6000万円以上の場合に所得しなければいけない資格です。大規模な建設工事を下請けに出すときに必要になる資格で、元請負人のみ取得する必要があります。特定建設業の資格を得るためには、一般建築業許可よりも要件が厳しくなっています。また、法律上重い役割を持っているので、下請負人の管理や指導も徹底しなければいけません。

【下請け向け】工事代金未払いを防ぐ方法

工事代金をしっかりと支払ってもらえないと、下請け側は経営が困難になることもあります。下請けという立場でも、工事代金未払いを防ぐためにできる方法は複数存在しています。そこで下請けができる工事代金未払いを防ぐ方法や、元請けと紛争が発生しないように心がけるべきこととは何なのかを確認していきたいと思います。

元請けの経営状況を事前に確認する

下請負人の場合、すぐにでも仕事が欲しいので、元請負人についての情報収集をあまり行わない人もいます。しかし、元請け側の情報をきちんと集めておかないと、工事代金を支払ってくれない、無理な要望を突き付けられるなどのトラブルが発生することもあります。特に知り合いから元請けを紹介してもらい、仕事を行った場合などは、トラブルが発生しやすい傾向にあるのです。たとえ知り合いからの紹介であっても、元請け側の情報収集は念入りに行うべきでしょう。

受注後の適切な対応

工事を受注する前に行うべきこともいろいろとありますが、工事を受注した後にもいくつか注意点があります。工事を受注したら、まず現場の状態が示されていた内容や状況と異なっていないか確認しましょう。異なっていた場合には、工事を行う前に確認を行います。変更点などがあれば、改めて書面化することも大切です。特に金銭面は齟齬が生じやすいので、必ず書面化しておきましょう。工事を開始してからも、工期が変更になった、一時中断するように言われた場合なども同様です。

契約を書面で交わす

建築関連の仕事は、1度の作業でかなり大きなお金が動きます。得られる金額が大きくなるのと同時に、材料費なども高額になるので、金銭面でトラブルが発生しやすいと言えるでしょう。このような事態を防ぐために、事前に書面で契約を行うことが建設業法で定められているのです。書面で契約を行うことを徹底することで、工事費の未払いも防ぐことができます。元請けに対しても必ず書面で契約を交わし、支払金額や工事内容などを明確に記載するように求めましょう。

下請債権保全支援事業を利用する

下請けは元請けから仕事と報酬をもらうため、どうしても立場が弱くなってしまいます。そんな弱い立場の下請けが損をしないように、国土交通省では下請債権保全支援事業を実施しているのです。経営や雇用が安定することを目的に行っている事業で、工事の請負代金などを保証してくれます。下請負人は万が一のときに備えて、下請債権保全支援事業の利用を検討してみることをおすすめします。まずは下請債権保全支援事業について、いろいろと調べてみましょう。

元請け・下請け間で遵守すべき建設業法とは?

元請負人と下請負人が対等な立場で取引を行うために制定されたのが建設業法です。建設業法にはいろいろな項目が設けられています。建設業法で定められている項目に違反していると、最初は助言や勧告が行われます。助言や勧告を受けても改善されない場合には、直接指導を受けることになるでしょう。それでもダメな場合は、最悪営業停止や許可の取り消しと言った重い処分を受けます。内容を知らなかったでは済まされないので、ガイドラインの概要にはきちんと目を通しておきましょう。

建設業における元請けと下請けで起こるトラブルの実例と対処法

建設業で元請負人と下請負人の間で発生しやすいトラブルがいくつかあります。主なトラブルを挙げてみると、
・工事代金の未払い
・無理な工期で契約を強要する
・嫌がらせを受ける
・意図的に手抜き工事を行う
などがあります。詳しくは以下の記事で紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業における元請けと下請けで起こるトラブルとは?実例と対処法をご紹介

【まとめ】工事代金未払いは労基に相談可能!相手の状況や契約書を交わして工事代金未払いをなくそう

建設業の中でも比較的多いトラブルが工事代金の未払いです。未払いが発生する理由はいろいろとありますが、自分たちだけでは解決するのが難しい場合もあります。そんなときには労働基準監督署に相談をしてみましょう。国土交通省への取次ぎも可能となっています。しかし、もっと重要なのはトラブルが発生しないようにすることです。トラブルを未然に防ぐためには、いつまでにいくら支払うかなど、細かい内容まできちんと記載した契約書を交わすことです。これだけでもトラブルが発生する確率は大きく下がります。ぜひ参考にしてみてください。

元請けがお金を払ってくれないときの対処法についてはこちらの記事でも解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

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