建設業の資金調達方法6選!資金繰りが難しい理由や改善方法を解説

建設業 資金調達

建設業を営んでいると、資金調達をすることも珍しくありません。優秀な人材の確保や資機材への投資、資金繰りに困るなど理由は多岐にわたりますが、資金調達で頭を悩ませたことのある人は多いのではないでしょうか。

今回は、建設業で利用できる資金調達の方法を紹介します。資金繰りが難しいと言われる理由や改善方法もあわせて解説しますので、会社のお金のことで不安があったり資金調達で悩んだりしている人は参考になるので、ぜひ最後まで読んでください。

建設業の資金繰りの特徴

建設業の資金繰りには他の業界とは異なる特徴があり、そのせいで苦しんでいる経営者もいるでしょう。ここでは、そうした建設業界特有の資金繰りの特徴を次の2点から解説します。

  • 入金サイトが平均3か月半と長い
  • 手形取引が多い

それぞれの特徴を把握して、自社が当てはまるかどうか、どうすべきかを考える参考にしてください。

入金サイトが平均3か月半と長い

建設業の資金繰りの特徴として、入金サイトの長さが挙げられます。建設業では工事を受注してから入金するまで、およそ3カ月半かかるというケースが一般的です。

基本的には工事の完成まで請求ができないため止むを得ない面もありますが、それでも会社を経営していく上では楽な状態ではありません。長期や大規模な工事では進捗状況に応じて支払いに応じてくれる取引先もあります。しかし、入金までの期間が基本的には数ヶ月かかることが、資金繰りではネックになります。

手形取引が多い

他の業種と比べて、手形取引が多いことも建設業の資金繰りの特徴です。建設業でも手形取引は減少傾向にありますが、まだまだ他の業種に比べると割合が多い業界です。

手形は発注元が支払いを先延ばしにするために使われますが、受け取る会社の多くは下請けや孫請けなどの中小企業となっています。中小企業は大企業に比べて資金繰りが難しく、手形を受け取っても入金されるまで苦しい状況に陥る企業も少なくありません。

建設業の資金繰りが難しいといわれる理由

ここまでは、建設業の資金繰りの特徴を解説しましたが、ここからはなぜ難しいのかを見ていきましょう。建設業の資金繰りが難しいのは、主に次の3つの要因が原因です。

それぞれの要因を解説するので、自社の場合はどうか比べながら内容の把握に努めてください。

  • 重層下請構造で利益率が低い
  • 建設業許可が必要
  • 建築資材などの先行出資が多い

重層下請構造で利益率が低い

建設業の資金繰りが難しい理由の中でも特に大きいのが、重層下請構造による利益率の低さです。建設業は元請会社が受注した後、下請会社に発注します。下請会社は更に下請会社に発注することも多く、結果的に建設業界は重層構造になりやすい業種です。

重層構造になると1社あたりの利益は低くなり、末端の会社ほど利益はほとんどない状況で仕事を請け負っています。こうした建設業界の構造が資金繰りを難しくしています。

建設業許可が必要

建設業許可も資金繰りの足かせになっていることがあります。なぜなら、一部の軽微な工事を除いて、ほとんどの建設工事では建設業許可が必要だからです。

ここでは、建設業許可が資金繰りに与えるケースを、次の2つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。

  • 建設業許可が必要ない工事
  • 建設業許可がないことによる支障

建設業許可が必要ない工事

建設業許可がなくても、軽微な工事であれば受注は可能です。建設業許可なしで受注できる工事は、以下のいずれかの条件を満たした場合のみです。

  • 受注金額1,500万円未満の建築一式工事
  • 延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
  • 受注金額500万円未満の建築一式以外の工事

上記の工事を受注する場合は、建設業許可は必要ありません。しかし、上記に当てはまらない工事を受注するには、建設業許可が必要です。

建設業許可がないことによる支障

先ほど解説したとおり、建設業許可がなくても受注できる工事はあります。しかし、建設業許可がないと、次のような点で不利になります。

  • ゼネコンなどの元請企業から下請けとして指名されにくい
  • 公共工事の受注に必要な経営事項審査が受けられない
  • 技能実習制度や特定技能制度が利用できず、外国人を雇用できない

建設業許可がないと一部の工事しか受注できないだけでなく、こうしたデメリットがあります。

建築資材などの先行出資が多い

建設業の資金繰りを難しくしている要因として、建築資材などで先行投資が多いことも挙げられます。なぜなら、建設業で工事を受注しても、必要となる資機材の費用は受注した会社が一時的に負担しなければならないからです。

工事に使用する材料や重機のリース費用、足場や現場事務所のような仮設費用が、主な出費として挙げられます。入金が数ヶ月先であるにもかかわらず、支払が先行することも多く、建設業の資金繰りを難しくしています。

建設業の資金調達方法6選

ここからは、建設業で使える資金調達方法を6つ紹介します。次に挙げる6つの資金調達方法を詳しく解説するので、自社で利用できるかを検討していざという時の参考にしてみてください。

  • 日本政策金融公庫の融資
  • 信用保証制度
  • プロパー融資
  • 手形割引
  • ファクタリング
  • 地域建設業経営強化融資制度

日本政策金融公庫の融資

「日本政策金融公庫」では多種多様な融資を提供しているため、条件に合う融資サービスを選ぶことで、資金調達が可能です。特に資金が何かと必要になる創業時には、「創業時支援」という融資が受けられます。創業時支援は、7,200万円を上限に融資を受けられます。建設業で創業する人の多くは業界経験者で、創業時支援はそういった人が利用しやすい融資です。そのため、創業にあたって民間の金融機関からお金が借りにくくても、資金調達が行えます。

信用保証制度

「信用保証制度」は、信用保証協会から「信用保証」をもらうことで、金融機関から融資が受けやすくなる制度です。信用保証協会は公的機関のため、保証してもらうと金融機関の審査で有利になります。

万が一返済できない場合は、信用保証協会が金融機関に代位返済を行い、債務者は信用保証協会に返済します。仮に債務者からの返済が滞っても確実に返済されるため、金融機関も融資がしやすくなる制度です。

プロパー融資

「プロパー融資」は、民間の金融機関から直接融資を受ける方法です。金融機関の独自判断で融資を受けるため、審査は非常に厳しく安定した実績がなければ受けられません。信用保証制度には上限額があるものの、プロパー融資にはありません。

そのため、大規模工事で多額の先行投資が必要な状況で利用できれば、大きな利益につながる可能性があります。建設業を営む人の最終的な目標は、プロパー融資を受けることされています。

手形割引

建設業の資金調達の方法として、「手形割引」という方法もあります。手形割引は、支払手形が定めた支払期日の前に現金に換金することです。支払期日の前に現金を受け取れるため、資金繰りが難しい状況で選ばれることの多い方法です。

手形割引も融資とされているため、実際にはお金を借りていることになります。そのため、利息の支払いが必要です。利率は手形の振出人の信用度で変動し、大企業の場合は低金利で利用できることがあります。

ファクタリング

「ファクタリング」による資金調達という方法も、建設業ではとられています。ファクタリングとは、売掛債権を期日の前にファクタリング会社に売却する方法です。ファクタリング会社が自社に代わって売掛先に代金を請求します。

手形割引と似ていますが、ファクタリングは債権の売却のため、利息は発生しません。資金繰りが厳しい状況で大きな負担なく売掛金を現金化できれば、難しい状態も乗り切れます。そのため、建設業とは相性の良いサービスとされています。

2社間ファクタリング

ファクタリングの中でも、特におすすめとされているのが、「2社間ファクタリング」です。通常のファクタリングでは売掛先に売掛債権を譲渡したことが通知され、取引先との関係が悪くなる恐れがあります。2社間ファクタリングではそうした心配がないため、ファクタリングをしても変わらずに取引が継続できます。

ただし、通常のファクタリングと異なり、自社がファクタリング業者に代わって売掛債権を回収しなければいけません。

建設業におすすめのファクタリング会社に関する記事はこちら

建設業でおすすめのファクタリング会社15選!ファクタリングのメリットも解説

地域建設業経営強化融資制度

建設業を営む人には、「地域建設業経営強化融資制度」を利用した資金調達もおすすめです。この融資は通常の融資とファクタリングの中間的な制度です。主に公共工事や公共性の高い工事を請け負う元請会社が利用でき、工事の出来高に応じて融資が受けられます。元請会社しか利用できない制度ではありますが、出来高に応じて融資を受けられるため、資金繰りの負担軽減につながります。

建設業の資金繰りを改善する方法

多様な資金調達の方法を把握したところで、ここからは建設業で資金繰りを改善する方法を解説します。建設業を営む中で資金繰りに悩んでいる人は、次の3つの方法を試してみてください。

  • 資金繰り表を活用する
  • 自社の規模に合う工事を受注する
  • 代金を早期回収できる工事を受注する

資金繰り表を活用する

資金繰りで悩んでいる人は、資金繰り表を作成して活用しましょう。資金繰り表は、一定期間の全ての現金の入出金を記録して現状を把握し、将来的な対策を検討できる資料です。資金繰り表があれば現金の残高を把握できるため、先手を打って資金調達も可能になります。作成方法もそう難しくはないため、資金繰り改善の最初の一歩として取り組んでみてください。

資金繰り表の作成については、「資金繰り表の作り方やメリット・必要な書類などわかりやすく解説!」でも解説していますので、あわせて読んでみてください。

資金繰り表 作り方資金繰り表の作り方やメリット・必要な書類などわかりやすく解説!

自社の規模に合う工事を受注する

資金繰りを改善するためには、自社の規模に適した工事を受注することも重要です。自社の規模に合わない大規模な工事を受注すると、それだけ先行投資が多くなり資金繰りが苦しくなります。逆に小規模な工事ばかりを受注しても、まとまった利益につながらず、資金繰りは苦しくなります。そうしたことにならないためにも、自社で余裕をもって施工が可能な工事を受注し、無理のない資金繰りを目指しましょう。

代金を早期回収できる工事を受注する

資金繰りを改善する手段として、代金を早期回収できる工事を受注する方法もあります。工事代金は基本的には完了後の支払いですが、出来高に応じて支払うことも珍しくありません。

また、中には一部代金の前払いに応じてくれるケースもあります。こうした工事を受注すれば資金繰りが改善し、新しく工事を受注して利益を増やすことにもつながります。

【まとめ】建設業界特有の事情や問題を解決できる資金調達方法を選ぼう!

建設業界では、他の業界にはない特殊な慣習により資金繰りに苦しむ会社も少なくありません。しかし、今回解説したような方法を試すことで、資金繰りを改善できる場合もあります。資金繰りで悩んでいる建設業経営者の人は、解説した内容を参考に資金調達などを図り、経営の健全化を目指しましょう。

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