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建築に興味はあるものの、「意匠設計ってよく聞くけれど具体的にはどんな仕事?」「設計との違いは?」「どうすればこの職業に就けるの?」と疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。
意匠設計(いしょうせっけい)は、建物の外観や内装、間取りなどをデザインし、建築物全体の「見た目の美しさ」と「使いやすさ」を形にする設計分野です。住宅や商業施設、公共建築など、様々な場面でセンスと知識が求められます。しかし目指すのであれば、仕事内容だけでなく、働ける場所や年収、必要な資格などについても事前に知っておくことが大切です。
今回は、意匠設計の基本から実際の働き方、キャリアアップの方法まで、幅広く紹介していきます。建築分野でデザインに関わる仕事に就きたい人や、意匠設計に興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
意匠設計とは
意匠設計は、建物の見た目や空間の快適性など、人が直接感じる部分を形にする建築設計の一分野です。一般的に「設計」という言葉からは、構造の強度や空調・電気といった機能面を思い浮かべることも多いかもしれませんが、意匠設計では「どんな空間にしたいか」「どのような印象を与えたいか」といったデザイン面に重きが置かれます。
加えて、設計図の作成だけでなく、クライアントとの打ち合わせやコンセプト提案、建築士や施工業者との連携なども意匠設計の重要な仕事です。建築における「見た目」の要となる存在として、意匠設計者の役割は非常に大きなものです。
ここからは、そんな意匠設計の特徴や具体的な仕事内容、必要な資格について順番に紹介していきます。
特徴
意匠設計の特徴は、建築物のデザイン面を担うという点にあります。建物の外観や内装、配置、窓の取り方など、人の視覚や感覚に大きく関わる要素を形にしていくのが主な仕事です。建築主の要望を聞き取ったうえで、魅力的かつ実用的な空間を設計するため、センスとコミュニケーション力の両方が求められます。
また、意匠設計は周囲の景観や建物との調和を考慮する役割も担います。例えば、住宅地であれば周辺住民に圧迫感を与えない配置を工夫したり、商業施設であれば人を引き寄せるような外観デザインを考えたりと、ケースごとに柔軟な対応が必要です。
単に「きれいなものをつくる」のではなく、法令、構造、安全性、機能性といった条件の中で美しさを実現しなくてはなりません。そのため、芸術的感性と技術的知識の両立が意匠設計者の特徴であり、やりがいとなっています。
仕事内容
意匠設計者の主な仕事内容は、建築主の要望をヒアリングし、そのイメージを設計図として具体化することです。初期の段階では、敷地の調査や法規の確認を行いながら、デザインの方向性を検討します。次に、コンセプトやラフ図を作成し、建築主にプレゼンを行います。
その後、詳細な設計図である「実施設計図」を作成し、構造設計者や設備設計者と連携を取りながら、建物全体の完成度を高めていきます。さらに、施工現場での設計意図の伝達や確認、変更対応など、工事期間中の対応も意匠設計者の大切な業務の1つです。
見た目の美しさだけでなく、安全性や機能性も考慮した建築をつくるためには、こうした一連の工程すべてに関わる必要があります。
必要な資格
意匠設計の業務に就くためには、「一級建築士」や「二級建築士」といった建築士資格が必須です。これらの資格がなければ、一定規模以上の建築物の設計は行えません。意匠設計としてキャリアを築いていくためには、とくに一級建築士の取得が重要です。
建築士資格を取得するには、まず指定された大学や専門学校などで所定のカリキュラムを修了し、受験資格を得る必要があります。その後、国家試験に合格し、実務経験を積むことで登録が完了します。
また、建築CADやBIM(Building Information Modeling)といった設計支援ソフトを扱えるスキルも重視されます。資格と技術、どちらも備えることで、意匠設計者としての活躍の幅が広がっていくでしょう。
意匠設計と似ている仕事
意匠設計は「設計」という言葉から、ほかの設計職と混同されやすい傾向があります。中でも混同されやすいのが、構造設計と設備設計です。いずれも建築物の完成に欠かせない存在であり、意匠設計と連携しながらそれぞれの専門分野で設計を担当していますが、役割や視点は大きく異なります。
まず、構造設計は建物の骨組みを計画する仕事です。耐震性や耐風性など、建築物が安全かつ安定して建っていられるようにするための構造計算をし、柱や梁、基礎などの配置や強度を設計します。見た目よりも性能や安全性を最優先に考える点が特徴です。
一方、設備設計は空調・電気・給排水など、建物内部のインフラを整える仕事です。生活や業務がスムーズになるよう、配管や配線のルート、電源容量、換気計画などを細かく設計します。建物の快適性や機能性を担う重要な分野です。
これらの仕事は、意匠設計と連携しながら進められるため、密なコミュニケーションが不可欠です。意匠設計が美しさと使いやすさを提案し、それに対して構造設計が強度の面から、設備設計が機能の面からそれぞれアプローチすることで、1つの建築物が完成します。
同じ「設計」の名前がついていても、目的や専門性にははっきりとした違いがあります。それぞれの分野の役割を理解することは、建築業界で働くうえでも非常に重要です。
意匠設計者として働く方法
意匠設計の仕事に就くためには、まず建築に関する基礎知識やスキルを身につけなくてはなりません。多いのは、建築系の大学や専門学校を卒業し、建築士の資格を取得したうえで、設計事務所や建設会社などに就職するというルートです。
ただし、未経験からでも意匠設計の仕事に挑戦することは可能です。実際に、設計補助やCADオペレーターとしてキャリアをスタートし、現場経験を積みながら建築士資格の取得を目指す人もいます。建築業界では実務経験が重視されるため、資格がない段階でも現場での仕事を通じてスキルを磨けば、将来的に意匠設計の仕事に就けるでしょう。
転職を目指す場合は、建築設計の実務経験があると有利ですが、ポテンシャル採用をしている企業も少なくありません。その場合重視されるのは、建築に対する関心や学習意欲、ポートフォリオの内容などです。加えて、設計ソフト(CADやBIMなど)の操作スキルも評価の対象になります。
また、意匠設計は実務での成長がとても大きな意味を持つ分野です。そのため、未経験であっても現場での経験を地道に重ねていけば、将来的には建築士として設計の中心を担うポジションも十分目指せるでしょう。
意匠設計者として働く場所
意匠設計の仕事は、建築業界の様々な場所で必要とされます。ただし、どんな仕事を任されるのかは場所によって大きく変わり、例えば住宅を手がけるハウスメーカーでは、顧客とのやりとりを重ねながら住まいをデザインします。一方、大型施設を設計する事務所では、関係者と協力して大規模なプロジェクトに取り組むこともあります。
ここでは、意匠設計者が活躍できる4つの代表的な職場について、それぞれの特徴や働き方をわかりやすく紹介していきます。
ハウスメーカー
戸建住宅の設計・販売を主に手がけるハウスメーカーでは、意匠設計者は住宅の外観や間取り、内装などをプランニングし、顧客の要望に沿った住まいをデザインします。顧客との打ち合わせを重ねながら、快適で機能的な空間を提案する力が必要です。
ハウスメーカーでは、規格住宅と呼ばれる一定のデザインパターンをもとに設計する場合が多いため、自由度よりも効率やコスト管理が重視されます。住宅の量産を通じて幅広い設計経験が積めるため、業界未経験でも入りやすいといえるでしょう。
加えて、チームでの連携や営業担当とのコミュニケーションも重要なので、設計だけでなく顧客対応スキルも身につきます。
組織設計事務所
組織設計事務所は、複数の設計士がチームを組み、大規模な建築プロジェクトを手がける設計専門の事務所です。意匠設計者は主に商業施設や公共施設、集合住宅などのデザインに携わり、建築主や行政、構造・設備設計者との調整を重ねながら設計を進めます。
プロジェクトの規模が大きいため、長期的かつ複雑な業務に関わることが多く、設計者としての技術力やマネジメント能力が磨かれます。意匠設計者として専門性を高めたい人にとって、非常にやりがいのある職場です。
業務範囲が広いため、構造や法規、施工との連携に対する理解も求められ、総合的な設計力が身につきます。
建設会社
建設会社で働く意匠設計者は、設計から施工まで一貫して関わることが多いのが特徴です。設計部門でプランを立てるだけでなく、施工現場との連携を重視し、実際の建築工程を見据えて設計します。
建設会社では、コストや工期、安全管理など実務面を意識した設計が求められます。そのため、理想的なデザインと現実的な制約のバランスを取る力が必要です。実践的な経験が多く積めるため、施工現場を理解した設計者として成長できる環境が整っています。
現場との距離が近いため、施工中の図面修正や問題解決にも柔軟に対応できるスキルも身につくでしょう。
アトリエ事務所
アトリエ事務所は、比較的少人数で運営される設計事務所で、建築家個人の感性やこだわりが色濃く反映される作品づくりをする場所です。意匠設計者は、クライアントとの打ち合わせから基本設計、実施設計、施工監理まで、設計業務の全工程に深く関わります。自由度の高い設計ができる反面、業務量や責任も大きくなりやすいでしょう。
また、小規模事務所が多いため、一人で幅広い業務をこなす必要がありますが、そのぶん設計者としてのスキルが総合的に鍛えられます。
個性的なデザインや空間表現に関心がある人にとっては、自分らしい設計を追求できる環境です。
意匠設計の仕事の流れ
意匠設計の仕事は、建築主の理想をかたちにするところから始まり、建物が完成するまでの長い道のりを一貫して支える役割を担います。ただ図面を描くだけではなく、クライアントとの打ち合わせや敷地調査、設計の提案、詳細な図面作成、そして施工段階での確認や調整まで、幅広い業務に関わります。
それぞれのステップでは必要な知識やスキルが異なり、設計者としての柔軟性と責任感が求められます。ここでは、意匠設計の仕事がどのような流れで進んでいくのか、3つの代表的なステップに分けて紹介していきます。
1.クライアントとの打ち合わせを行う
意匠設計の仕事は、まず建築主との打ち合わせから始まります。どんな建物をつくりたいのか、どのような雰囲気や機能を求めているのかをじっくり聞き取り、理想のイメージを共有していく大切な工程です。この時点で、敷地の広さや形状、周辺の建物や道路、日当たり、風通しなども調査します。
また、法的な制限や地域のルールなども確認しながら、どんな建築が実現可能なのかを一緒に検討していきます。こうした打ち合わせを重ねることで、クライアントの想いや生活に合った設計プランの土台をしっかりと固められるのです。
2.プランの提案・……実施設計を行う
打ち合わせで得た内容をもとに設計プランを提案します。まずはラフな図面やパースを作成し、建築主に対してコンセプトをわかりやすく伝えます。デザインや動線、光の入り方、空間の使い方などを検討しながら、理想の建物像を形にしていきます。
提案がまとまったら、より詳細な図面である「実施設計」に進みます。この段階では、構造設計者や設備設計者と連携を取りながら、図面の精度を高めていきます。建築確認申請のための書類作成や法的チェックをするのもこの時期です。
3.施工を行う
設計が完了すると、いよいよ施工のフェーズに入ります。意匠設計者はこの段階でも重要な役割があり、工事が図面通りに進んでいるかを確認したり、施工中に発生する細かな変更に対応したりしなくてはなりません。
現場とのやりとりを通して、設計意図が正しく伝わるように調整をします。また、完成までの過程で、建築主から追加の要望が出ることもあるため、柔軟な対応力も必要です。
建物が完成し、設計通りに空間が仕上がったときの達成感は、この仕事ならではの魅力だといえるでしょう。
意匠設計の年収
意匠設計者として働くうえで、収入面がどうなのかは気になるところです。建築の専門職という印象から高収入をイメージする人も多いかもしれませんが、実際の年収は勤務先の種類や経験年数、保有している資格、地域などによってかなりの幅があります。さらに、働き方やキャリアの積み重ね方によっても大きく変動するのがこの職種の特徴です。
ここでは、意匠設計の平均年収と、年収を上げるための具体的な方法について紹介していきます。
平均年収
意匠設計者の平均年収は、おおよそ400万円~500万円ほどとされています。ただしこれはあくまでも全体の平均であり、勤務先の規模や個人のスキル、経験によって大きく変動します。例えば、若手で実務経験が少ない段階では年収300万円台からのスタートになることが一般的でしょう。
一方で、大手設計事務所やゼネコンの設計部門で働く場合や、一級建築士の資格をもち、マネジメントポジションを任されるようになると、600万円以上の年収を得るケースもあります。また、独立して成功すれば年収1,000万円を超えることも珍しくありません。
地域差もあり、都市部では案件数が多く単価も高めな傾向があるため、年収もやや多くなる傾向があります。資格や経験に加えて、どのような職場を選ぶかも収入に大きく影響するでしょう。
年収アップを目指す方法
意匠設計者として年収を上げるためには、一級建築士などの上位資格を取得するのが近道です。とくに一級建築士は高い専門性が求められ、設計業務の幅が広がるだけでなく、責任あるポジションに就くチャンスも増えるため、収入アップに直結します。
また、設計だけでなく施工管理やマネジメント業務など、多方面の知識や経験をもてば評価が高まり、年収も上がりやすくなるでしょう。実績のあるプロジェクトを担当したり、ポートフォリオを整えてキャリアアップを狙ったりすることも有効です。
さらに、設計事務所や建設会社でのキャリアを積んだうえで独立するという道もあります。自らの名前で仕事を請け負えるようになれば、収入の上限を自分で広げられるでしょう。
意匠設計の仕事の魅力
意匠設計の魅力は、なんといっても自分のアイデアや感性をかたちにできる点にあります。図面の中に描いたプランが実際の建物として完成し、だれかの日常の一部になるというのは、大きなやりがいでしょう。住宅であれば住む人の暮らしに、店舗や施設であれば利用者の体験に影響を与えるため、社会への貢献を実感しやすい仕事でもあります。
また、地域に根ざした設計に携われるのも大きな魅力の1つです。景観と調和するデザインを考えたり、街の中に新しい価値を生み出したりと、建築を通して地域に関わる機会が多くあります。自分が手掛けた建物が地域のランドマークになったり、長く愛される空間として残ったりすることもあり、成果が実感できるのは意匠設計ならではの醍醐味でしょう。
デザインだけでなく、人や街と深くつながるこの仕事は、多くの設計者にとって誇りとなる職業です。
意匠設計の仕事がしんどいといわれる理由
意匠設計はやりがいがある一方で、「しんどい」という声も少なくありません。その理由の1つが、どうしても発生する長時間労働です。建築主との打ち合わせが夜に行われたり、納期に追われて休日返上になったりするため、時間管理が難しいと感じる人もいます。
また、意匠設計は多くの関係者とやりとりしながら進める仕事であり、その分プレッシャーも大きくなります。クライアントの希望をくみ取りながら、法令や構造面の制約を考慮してデザインを成立させる必要があるため、頭を使う場面も多く、精神的に負荷がかかりやすい側面もあります。
さらに、完成までに長い期間を要するため、途中で予算変更や設計の見直しが入ることもあり、思い通りに進まないもどかしさも感じやすいでしょう。華やかに見える仕事だからこそ、裏側には地道な努力と根気が必要です。
意匠設計の仕事がしんどい場合の対処法
意匠設計の仕事にやりがいを感じつつも、長時間労働やプレッシャーでしんどいと思った場合、まずは働き方や職場環境を見直してみましょう。職場によって業務量や残業時間は大きく異なるため、働き方を変えるだけで負担が軽くなるケースもあります。
例えば、設計補助のポジションに一時的に移る、業務量が少なめの企業に転職するなどの選択肢もあります。また、意匠設計の経験を活かして、建築CADオペレーターや施工管理といった関連職種にキャリアチェンジするという方法もあります。
長く建築業界で働き続けるためには、無理して心身に支障をきたす前に、自分に合ったペースや環境を見つけることが大切です。理想の働き方を目指して、柔軟にキャリアを見直していく姿勢をもちましょう。
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【まとめ】意匠設計は建築物の外観や間取りなどをデザインする仕事!資格を取得し挑戦しよう
意匠設計は、建物の外観や間取り、空間の雰囲気までをかたちにする、デザイン性と創造力が求められる仕事です。クライアントの想いをくみ取りながら、法令や構造、安全性にも配慮し、美しさと機能性を両立させる設計をします。
働く場所も、ハウスメーカーや組織設計事務所、建設会社、アトリエ事務所など幅広く、それぞれに異なるやりがいや特性があります。年収や働き方にはばらつきがありますが、経験や資格、スキルを積み重ねることで、より高い収入や自由度のある働き方が目指せるでしょう。
ただし、仕事としてのやりがいは大きい一方で、長時間労働や高い責任など、しんどさを感じやすい側面もあります。だからこそ、長く活躍し続けるためには、自分に合った職場環境や働き方を見つけることが欠かせません。
建築物を通して人の暮らしや街の景観に貢献できる意匠設計。興味をもった今こそ、資格取得に向けて一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
意匠図の詳細や設備設計の仕事内容・構造設計一級建築士の資格を取得するメリットについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。


