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CADは造成物の設計作図には欠かせないシステムです。CADのカテゴリーには建設業に特化した「建設CAD」があります。
建設業に従事している人の中には「建設CADでどんなことができるのか」「建設CADを導入したいけれどどれを選んだら良いかわからない」と悩んでいる人も多いでしょう。
今回は「建設CAD」にスポットを当てました。建設CADで作成できる図面の種類や建設CADを導入するメリットなどを解説します。
おすすめのCADシステム7選についても説明しますので参考にしてください。
建築CADとは
建設CADとは建設業や土木業で使用される建築に特化したコンピューター設計支援システムです。
ビルや住宅などの設計や建築時に使用される基本設計図や施工図、構造図や断面図の作図など用途は多岐にわたります。ドアや窓、壁などの作図機能や便利なテンプレート機能も備えており、建設業において効率的な建築設計が可能です。
建設CADは、住宅やビルの建築から国が発注する公共施設の工事にいたるまで業界標準として多くの企業が導入しています。
建設CADを導入で設計ミスのリスクが軽減され、建設現場においてもスムーズな作業が可能です。
建築CADで作成できる図面の種類
建設CADで作成できる図面の種類と概要について説明します。ここでは、建築工事の基本設計から竣工までの建設フローで使用される5種類の図面を取り上げました。
- 建築物の骨格を決める「基本設計図」
- 建築施工に必要な情報を書き込んだ「実施設計図」
- 施工前に役所などに申請する「確認申請図」
- 施工にあたってさらに詳細に作られた「施工図」
- 竣工した建物の図面「竣工図」
以下、各項目について詳細に説明します。
基本設計図
基本設計図とは、建築物を設計する初期段階でデザインや間取りなど建物の骨格を決めるための設計図です。
「基本図」とも呼ばれ、依頼主の要望を取り入れ法規制も考慮しながら作図します。基本設計図には次のような要素が含まれます。
- 配置図
- 各階の平面図
- 断面図/立面図(東西南北の各面)
- 仕上表
- 概算見積書
基本設計図は施工依頼主への説明にも使われるため、建築に詳しくない人でも理解しやすいようにわかりやすく描かれているのが特徴です。
実施設計図
実施設計図とは、建築物を実際に施工するための図面です。基本設計図を基にして、詳細な寸法や施工に関する技術情報などが織り込まれています。
部材の接合方法や設備詳細なども記入され、建物の防水、断熱、遮音、換気に対する設計者の意図が確認できるのが特徴です。以下の図面で構成されています。
- 建物のデザインを示す「意匠図」
- 建物の構造を示す「構造図」
- 設備や配管、配線を示す「設備図」
実施設計図は施工者が施工図を作成するための基本情報です。見積もりは実施設計図をベースに算出します。
確認申請図
建物を新築したりリフォームするときは、関係する役所や検査機関へ申請しなければなりません。確認申請図とは申請時に必要とされる添付図面のことです。確認申請図には以下の図面が含まれます。
- 敷地や建物の位置関係を示す「配置図」
- 建物を上空から見た「平面図」
- 建物を切断した構造を示す「断面図」
- 建物の面積や体積を計算するために単純化した「求積図」
- 敷地全体の面積を寸法入りで図示した「面積表」
- 建物の自重や外力衝撃に対する安全基準を示した「構造計算書」
- 建築基準法に基づく居室の採光や換気量の検討図「換気採光計算図」
検査機関は確認申請図をもとに建築関連の法規に適合しているか審査します。
施工図
施工図とは、確認申請後に実際の施工のために詳細な情報が書き込まれた図面です。工事説明書のような役割と捉えればよいでしょう。
建築現場や施工に関係する各業者は施工図をもとに工事に着工します。下記は具体的に施工図に書かれる情報です。
- 建物の寸法
- 資材や部品の型式
- 使用するボルトサイズなどの施工に関する具体的な指示
施工図には次の種類があります。
- 平面詳細図(建物を上から見た平面の詳細図)
- 断面詳細図(建物の断面の詳細図)
- 天井伏図(天井を見上げた図面で天井に設置された設備や仕上げ材を記載)
- 仮設計画図(現場で仮設施設や車両などの配置を計画した図)
- コンクリート躯体図(建物の基礎や柱などの躯体の形状・寸法を記載した図)
- 仕上げ図(建物の内装・外装の仕上げ(仕上げ材の下地など)を記載した図)
- 外構図(建物の周囲の状況などエクステリアを示した図)
竣工図
竣工図は建てられた建築物を正確に表現した完成図です。建築現場では施工中の設計変更も多々あります。施工図は変更箇所も含めて完成した状態を示した図です。
竣工図は将来修繕やリフォームが必要になったときにも重要な役割を果たします。
変更が生じやすい配管や配線などは壁や天井に隠されているため、竣工時に目視で確認できません。竣工図があると配管配線などすべてが網羅されているので、修繕・リフォームのときに便利です。
竣工図には、平面図・意匠図・構造図・電気配線図・設備図などがあります。
建築CADを導入するメリット
建設業において建設CADを導入するメリットは以下の3点です。
- 作図作業の効率向上
- 図面管理の効率向上と共有化によるコミュニケーションの効率化
- 作図コストの削減
建設CADを導入すると設計作図の作業時間短縮が可能です。建設CADは、建築設計に便利なテンプレート機能や自動計算機能を備えています。
機能を効果的に使えば、設計作図時間が大幅に短縮されます。更に、作図した図面はデータ化できるので効率の良い図面管理が可能です。
クラウドにデータをアップすれば関係会社などとの共有ができるため無駄なコミュニケーションがなくなります。データ共有により複数人で図面の確認ができるので改善点などの意見共有も可能です。
建設CADの導入には初期費用が必要ですが、長期的見地では大幅にコストが削減できます。作業時間の削減や、設計作図ミスの低減化、再作図のリスク減少などで作業時間の削減が可能です。
建設CADの選び方
建設CADの技術革新は日進月歩です。最新の建設CADは、AIや自動化技術の進歩により、精密度が増しスピーディに処理できるようになりました。
建設CADを導入する場合には、最新情報をしっかり確認しておきましょう。この項目では、最新情報も踏まえて建設CADを選ぶ際のポイントについて以下の3点を解説します。
- 2Dか3Dか
- クラウド型かモバイル対応型か
- ほかのシステムと連携できるか
以下に各項目を詳細に説明するので参考にしてください。
2Dか3Dか
建設CADには2DCADと3DCADがあります。それぞれの特徴やメリットを理解し、用途によって使い分けるなど適切に活用しましょう。
2DCAD(2次元) | 3DCAD(3次元) | |
特徴 | 線や円弧を用いて紙上に描くように平面的に造形物を表現する。建築設計の基礎的なところが把握しやすい。 | 直方体や球体を用いて造形物を立体的にモデル化できるので完成イメージを視覚的に確認可能。設計ミスが減少する。 |
用途 | 平面図、立面図、断面図、間取りの作図。 | 完成図 |
令和5年度、国土交通省は公共工事に原則としてBIM/CIMを適用するように通達しました。
BIM/CIMとは建築物の設計から施工、維持管理までの一連の情報をPC上の3次元データで可視化し維持管理するソリューションです。BIM/CIMがトレンドになることで今後の建設CADは3DCADが主流になるでしょう。
クラウド型かモバイル対応型か
最近ではクラウド型の建設CADも増えています。
従来は、CADソフトで操作したデータをハードディスクかLAN接続されたデータベースに格納するシステムが一般的でした。
クラウド対応の建設CADを導入すれば、データはクラウド上に格納されます。データの共有もできるので、タブレットやスマートフォンでいつでもどこでも設計や閲覧が可能です。
離れた場所でもデータ処理できるので作業効率は格段に向上します。ハードディスク破損によるデータ紛失のリスクもありません。
建設CAD導入の際にはクラウド型でモバイル対応可能か確認しましょう。
ほかのシステムと連携できるか
建設CADを選定するときは、ほかのシステムとの連動も重要なチェックポイントです。
最近ではVR(仮想現実)やAR(拡張現実)と連動できる建設CADもあります。VR/ARとはコンピュータ技術で仮想世界と現実世界を融合するシステムです。
建設CADと連携できれば、仮想現実で完成後の建物を確認したり、拡張現実で設計と現場とを重ね合わせてチェックできます。
ARシステムで現場の配管や電気配線をリアルタイムでチェックすれば施工ミスが減少し大幅なコスト削減が可能です。
建設CAD導入の際はVRやARなどのシステムと連携可能か確認しましょう。
建築CADソフトおすすめ7選
ここからは、建設CADのソフトで特におすすめする製品について解説します。ここで取り上げた製品は以下の7製品です。
- Jw_cad(フリーソフト)
- AutoCAD(オートデスク社)
- ARCHICAD(グラフィーソフト社)
- Revit(オートデスク社)
- Vectorworks Architect(エーアンドエー社)
- ARCHITREND ZERO(福井コンピュータアーキテクト)
- SketchUp(Trimble社)
以下、各製品の特徴を詳しく解説します。
Jw_cad
引用元:https://www.jwcad.net/
特徴
Jw_cadとは代表的な国産CADで数少ないフリーソフトです。2DCADなので製図板に作図する操作感覚で、直線コマンドや四角コマンドを使い簡単に2次元図が作図できます。
開発者に建設関係者が入っていることもあり、建設業に関連する専門的なコマンドが多いのがJw_cadの特徴です。
無料ソフトですがレイヤ設定や日陰コマンド、3次元的な作図ができる2.5Dコマンドなど機能も充実しています。
Jw_cadは無料のフリーソフトでありながら、建築図面の作図に必要な機能が豊富で、実務でもかなり有用に使える2DCADソフトです。
AutoCAD
引用元:https://www.autodesk.com/jp/products/autocad/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
特徴
AutoCADは世界基準のCADとして幅広い分野で導入されている2D/3DCADソフトです。
高度な2D作図だけでなく、3Dの立体的なモデリングや設計やドキュメントの作成など充実した機能を備えています。
専門分野に特化した様々なツールセットを備えており、建設業関連では設計やドキュメント作成ができるツールセット「AutoCADArchitecture」が選択可能です。
AutoCADは、建築設計に有用な8000以上の建築オブジェクトが活用できるほか、リフォーム設計に有効なリノベーション機能も備えています。
更に、ワークフローの自動化やデータの保存・共有機能も備えているので有効に活用すれば業務の大幅な効率向上も可能です。
ARCHICAD
引用元:https://graphisoft.com/jp/solutions/products/archicad
特徴
ARCHICADは建設業に特化した建築3DCADシステムです。
基本的な3Dモデリング機能では、3Dモデルから2Dの平面図を切り出したり、平面・断面・立面などから自在に編集できます。編集で変更した内容はすべての図面に反映されるので編集ミスのリスクもありません。
部材などの情報をインプットして3D設計を行う「BIM」にも対応しています。ARCHICADは「BIM」を世界で一番早く取り入れたCADソフトです。
設計の流れに沿って「BIM」データが自然に格納でき、必要なデータはその都度追加できるので効率の良い設計が可能です。
「OPEN BIM」という共有システムがあるので、データや情報が共有でき、タブレットなどで同時にアクセスして編集できます。
Revit
引用元:https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
特徴
RevitはAutoCADを開発したオートデスク社によるBIMソフトです。
建築物をPC上の3D空間で構築し、基本設計から施工、維持管理など建設フローのすべての情報を一括管理して活用できます。
設計ツールも持ち合わせており、3Dでモデル化したデータから平面図や断面図、立面図の自動作成が可能です。
図面だけでなく集計表などのドキュメントも作成できます。すべてのデータが連動しているので、修正点が全データに反映され業務の効率改善が可能です。
ワークシェアリングという機能により、複数の設計者が同時にデータ編集などの作業が行えます。
AutoCADとRevitがパッケージされた「AEC COLLECTION」を導入すれば、更に業務効率が向上し一気通貫で図面の作成や管理が可能です。
Vectorworks Architect
引用元:https://www.aanda.co.jp/Vectorworks2025/vwa_index.html
特徴
Vectorworks Architectは建築設計や内装、ディスプレイデザインに特化した2D/3DCADソフトです。
高度な作図機能に加えBIM機能や建築向けの豊富なライブラリーを備えています。
空間プログラミング用の専用ツールで3Dの建築モデルが作成でき、3Dモデルから平面図や断面図などの2D図への展開も可能です。
ドア・窓の作成や屋根の軸組作成など豊富な機能を搭載していて現実と同様のモデルが作成できます。3Dデータを活用したインテリア設計や空間計画などのBIM対応も可能です。
作成したモデルはワークシートで集計できるので工数削減や施工ミス防止に役立ち、設計プロセスの効率が大幅に向上します。
ARCHITREND ZERO
引用元:https://archi.fukuicompu.co.jp/products/architrendzero/
特徴
ARCHITREND ZEROは建設業に特化した建築・土木系の3DCADシステムです。
住宅設計の業務を設計から申請、見積もり、アフター管理までトータルサポートします。
2D平面図を素早く3Dモデルに変換し、設計に必要な図面やドキュメント、建築CGパースまで一貫して作成可能です。
CGパースを活用したプレゼンテーションには特に力を入れています。外観や内観に加えてウォークスルーしながら採光などがシミュレーションできる「ARCHITRENDウォーカー」や3DモデルがVR体験できる「ARCHITREND VR」は魅力的です。
法改正に準拠した書類作成や省エネ計算など多くの機能を搭載しています。
SketchUp
引用元:https://www.sketchup.com/ja-jp
特徴
SketchUpは建設業向けの3DCADです。
無料で3Dモデリングが可能な無料板もありますが、導入するなら建築や住宅設計に特化したプロ向けの「SketchUp Pro」をおすすめします。
SketchUp Proの特徴は、基本的な2D作図から3Dモデリングに加えCGやVR技術を駆使したモデル表示機能を搭載していることです。3DCADで作成した3次元モデルがVR再生できるので、住宅販売や協力会社に向けたプレゼンテーションで効果を発揮します。
クラウドに対応している点も魅力です。CADデータはクラウドで管理できるので容量の大きい3Dデータを持ち運ぶ必要はなく情報共有により効率的にプロジェクトが推進できます。
建築CADを扱う職業
この項目では、建設業でCADを扱う職業について解説します。ここでは、CADの取り扱いに関連する職種として次の3点を取り上げました。
- CADオペレーター
- 設計士
- 建築士
以下、項目別に詳しく説明します。
CADオペレーター
CADオペレーターはCADソフトを駆使して各種モデルの作図を専門的に行う仕事です。建築や土木、インテリアデザインなど幅広い分野で活躍しています。
CADオペレーターは作図を専門に行うので自ら設計することはありません。設計者が設計した内容を指示通りに忠実に作図します。
図面の調査や修正もCADオペレーターの仕事です。指示に従ってCADを操作するだけなので、未経験で建築に関する知識が浅くても業務ができます。建設業の中では比較的就職しやすい職種です。
設計士や建築士の登竜門としてCADオペレーターでキャリアを積む人もいます。
設計士
設計士は建築物の設計や補助業務を行う人で、建設業では会社や設計事務所などに所属しています。
一から建築物を設計し、CADを用いて設計図を作成することが主な仕事です。設計を進めるために、クライエントの要望をヒアリングしたり、施工会社との打ち合わせや行政手続きなども行います。施工開始後は現場管理や進行管理も設計士の仕事です。
設計士に資格は必要ありませんが、仕事が小規模な設計案件に制限されるので、建築士資格を取得してキャリアを積む人もいます。
設計士に求められるスキルは、CAD操作知識、建築学や関連する法規知識、想像力や空間把握能力、提案力です。
建築士
建築士は国家試験を受けて建築士資格を取得した建築設計・監理の専門家です。
建築設計ではCADを用いて一から設計を行いますが、資格の種類によって扱える建物の規模が異なります。建築士の資格と扱える建物の規模を以下にまとめました。
- 一級建築士:すべての建物の設計ができます。
- 二級建築士:面積や高さに規定があり、規定内の建物の設計ができます。
- 木造建築士:木造建築物に限られ、面積や高さに規定があります。
建築士になるには規定の専門学校、大学を卒業し実務経験を経て国家試験に合格する必要があります。
CADでの図面作成はアウトソーシングもおすすめ
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CADを活用した図面作成は、アウトソーシングサービスの利用もおすすめです。
従業員のリソースがひっ迫している場合や、CADを活用できる人材が不足している場合などは、アウトソーシングサービスを活用すると、少ない工数で業務に必要な書類を作成できます。専門的な知識を持っているスタッフが対応するため、スムーズに図面作成を進められます。
弊社では、建設工事に必要なCADの活用に対応している建設業特化のBPOサービス「ツクノビCAD」を提供しています。CADを活用した図面作成はもちろん、安全書類や図面の作成、積算業務など、幅広い業務を代行できます。ツクノビBPOでは、倍率200倍の選りすぐりの専任スタッフが対応いたします。
図面の作成や建設業事務を効率化したい方は、ぜひこちらからお問い合わせください。
【まとめ】建設CADを活用して図面の作成・管理を効率的に行おう!
建設CADとは、建設業で使用される建築に特化したコンピュータ設計支援システムです。
建設CADの用途は多岐にわたり、基本設計の平面図や断面図などから、施工図、竣工図など建設フローのすべての段階で必要な図面を作図します。
建設CADを導入することで設計業務の作業効率は飛躍的に向上しました。最近では、データの情報共有が可能なクラウドに対応したものや建設フローが一括して管理できるBIM対応、VRと連携したものまであります。
建設CADを効果的に活用すれば、設計作図・管理の更なる効率向上が期待できます。
CAD図面作成代行会社おすすめ10選や3DCADの作成代行会社おすすめ5選・3DCADフリーソフトおすすめ10選についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
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