ゼネコンの施工管理とは?仕事内容や求められるスキルなども解説

ゼネコン 施工管理

ゼネコンとは、自社で設計・施工・研究を一手に請け負う「総合建設業者」のことです。では、ゼネコンにおける施工管理は、ハウスメーカーなどの一般的な施工管理とどう違うのでしょうか。今回は、ゼネコンの施工管理の概要、仕事内容などについてまとめてみました。求められるスキルや施工管理として働くメリットデメリットにも言及します。

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ゼネコンの施工管理とは

ゼネコンの施工管理とは、品質の良い工事を決められたスケジュールで効率よく安全に進める総合的な管理業務です。スケジュール管理に加えて、原価や、安全・工事品質も総合的に管理しなければなりません。工事規模が大きい現場が多いので、複数の下請け業者も管理対象です。そのため、複数の業者の意見をまとめて工事を推進する裁量が求められます。

ゼネコンの施工管理になる方法

ゼネコンの施工管理者になるためには、建設会社へ就職することが必要です。出身校が建設系の学部を持っている場合や、工学部出身者が優遇される傾向があります。転職して就職する場合も建設業界や施工管理の経験があれば有利でしょう。なお、施工管理士や監理技術者・専任技術者になるためには、建築施工管理技士などの国家資格が必要です。

ゼネコンの施工管理に必要な資格

ゼネコンの施工管理業務に就くためには、建築施工管理技士資格は取得しておいた方が良いでしょう。絶対条件ではありませんが、資格を持っていると管理業務としての仕事の幅が広がります。施工管理は関わる分野によって内容が大きく変わるので注意が必要です。専門分野ごとの資格は以下の7種類があります。

  • 1級・2級建築施工管理技士
  • 1級・2級土木施工管理技士
  • 1級・2級造園施工管理技士
  • 1級・2級管工事施工管理技士
  • 1級・2級建設機械管理技士
  • 1級・2級電気工事施工管理技士
  • 1級・2級電気通信工事施工管理技士

女性の施工管理も増加している

最近では施工管理に従事している女性も増えています。従来、建設業界はガテン系という言葉にあるように男性の従事者がメインでした。しかし、平成26年に「けんせつ小町」という愛称が生まれてからは、建設業界で働く女性を後押しする動きが活発です。従事されている女性の多くは、時短勤務でも対応可能な施工管理者としてプロジェクトを担っています。

ゼネコンとハウスメーカーの施工管理の仕事内容の違い

この項目では施工管理の仕事内容が、ゼネコンとハウスメーカーとでどう違うかについて確認するために、それぞれの仕事内容を詳しく説明します。

ゼネコンの施工管理の仕事内容

ゼネコンが請け負う仕事は、主に公共事業です。具体的にはトンネルやダム、橋や道路などのインフラから、学校やマンション、病院など多岐にわたります。工事規模が大きいので基本的に1つの工事現場で施工管理者は1人です。プロジェクトマネージャーとして、工事スケジュールの管理だけでなく、工事品質の維持や原価、安全管理まで包括して業務を行います。

ハウスメーカーの施工管理の仕事内容

ハウスメーカーの仕事は主に住宅の建設です。メーカーの持つ自社規格の住宅や注文住宅などの施工管理を行います。お客さまが個人になる点がゼネコンとの違いです。仕事内容はゼネコンと同じですが、工事の規模が小さいことから施工管理者は1人で複数の現場を担当します。現場が住宅街になることが多いので、協力会社との調整だけでなく個人や近隣住民の方との調整も必要です。

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ゼネコンの施工管理の労働時間

ゼネコンの施工管理業務は仕事量が多いので激務といわれています。その原因の1つは短納期で仕事が詰め込まれることです。ゼネコンが手掛ける仕事はダムや道路など大規模な工事で工期も長く設定されています。しかし、天候や自然現象の影響で工期が短くなることも多く、実際は納期に追われ労働時間が長くなることが多いのです。建設業の労働時間は一般の仕事に比べて長いといわれており、その中でもゼネコンは厳しい労働環境といえます。

ゼネコンの施工管理の平均年収

ゼネコンに従事する人の平均年収は550万円と、国税庁の給与所得者調査の平均よりも100万円以上高くなっています。従業員1,000人以上の大手メーカーでは600万円以上とさらに高額です。これには大手企業の労働環境や福利厚生が充実している点が要因としてあげられます。ただし、前述のように多忙で労働時間が長いことも反映されているので注意しましょう。

ゼネコンで施工管理として働くメリット

ここでは、ゼネコン施工管理として働くメリットについて次の2点にポイントを絞って説明します。

  • 地図に残る仕事に携われる
  • 新技術を使用する機会が増える

以下詳細に説明します。

地図に残る大きな仕事に携われる

ゼネコンの施工管理として働くと、ダムや道路、学校や病院など大規模な仕事に携われます。いずれも地図に残る大きな仕事なので、モチベーションが上がるでしょう。基本的に工事着手から竣工までの管理を1人で担うので、仕事を終えた達成感や充実感は非常に大きいといえます。また、社会インフラは世の中にひとつしかないオーダーメイドです。その場に一生残る建築物を管理することもやりがいにつながります。

新技術を使用する機会が増える

大手建設会社の工事では新技術を扱う機会が増えるのも魅力的なメリットです。ゼネコンが請け負う大型の公共事業は、基本的に数社の入札を通じて受注先が決まります。「新技術」は公共事業入札時の加点項目に設定されており、大手建設会社が力を入れて開発に取り組んでいる内容です。ゼネコン施工管理に携わると、このような「新技術」に触れる機会が増えます。

ゼネコンで施工管理として働くデメリット

ゼネコン施工管理として働くことのデメリットは転勤や出張が多いことです。大手ゼネコンは、全国各地に営業所を構えているので出張や転勤が増えます。公共事業の大型案件が地方で受注することが多いのも、出張や転勤が多い理由のひとつです。地方赴任を命ぜられることが多いので、単身赴任者が多いのもゼネコンの特徴です。

ゼネコンの施工管理に求められるスキル

ここからは、ゼネコン施工管理者に求められるスキルについて解説しましょう。ここでポイントとしてあげたのは次の4点です。

  • コミュニケーション能力
  • 技術力
  • 対応力
  • 危機管理能力

以下、順に説明します。

コミュニケーション能力

施工管理に求められるスキルとして最初にあげるのがコミュニケーションの能力です。工事をスムーズに進めるには協力会社とも連携しなければなりません。不測の事態や緊急対応で協力会社に契約外の業務を依頼する場合もあります。その場合には丁寧に状況を説明し、必要な業務であることを納得してもらうことが重要です。結果的に協力会社にも利益が生まれれば、たとえ契約外の業務でも理解して貰えるようになるでしょう。

技術力

次にポイントとしてあげるのは技術力です。知識や学術的な内容だけでなく、経験に基づいた正確な判断力も技術力の1つといえます。施工管理では、施工ステップをイメージしながら、二度手間を省きスムーズに工事を進めることが重要です。そのためには、技術と経験を積み重ねて効率の良い施工計画を立案する技術力が求められます。

対応力

臨機応変な対応力も施工管理には欠かせないスキルです。工事現場では、思わぬ人材不足や機械のトラブル、材料納期の遅れなどのアクシデントが発生することもあります。対応が遅れると、重大な事故に発展したり大幅な納期遅延が起こりかねません。そのような不測の事態にこそ、適切な判断と冷静な対応力が求められます。工事が計画どおりに進まないことも想定して、問題が発生してもスマートに対応できる能力が施工管理に必要です。

危機管理能力

危機管理能力も必要なスキルです。施工管理は、工事現場の安全管理も含めた総合的な管理業務です。常に危険と隣り合わせの工事現場では、事故を未然に防ぐ危機管理能力が安全管理の見地からも求められます。現場周辺の住民も含めて、普段から安全に気を配りながら、危険な個所がないか察知する心がけが必要です。

ゼネコンの施工管理の転職先

この項目では、施工管理者がゼネコンへ転職する場合の転職先について説明します。ゼネコンは規模別に次の3つをあげました。

  • スーパーゼネコン
  • 準大手ゼネコン
  • 大手ゼネコン

各ゼネコンとも常に採用募集しているわけではないので、公式サイトや転職サイトなどで確認してください。また、それぞれに特徴があり、所有する国家資格など採用条件も異なるので公式ページで確認してください。

スーパーゼネコン

スーパーゼネコンの定義ははっきりと決められていません。一般的には年間の売上げや完成工事高の高いゼネコンをスーパーゼネコンと呼びます。日本では次の5社です。

  • 清水建設
  • 大林組
  • 鹿島建設
  • 竹中工務店
  • 大成建設

各社とも年間売上1兆円を超える大手ゼネコンです。すべてのゼネコンの中で資本金や売上、実績ともに圧倒的な規模と実績があります。手がけている工事も高層ビルやスタジアム、道路や発電所など大規模な工事が中心です。

準大手ゼネコン

準大手ゼネコンとは、年間売上が3000億円以上で4000億円未満のゼネコンの総称です。最新(2023年度)の集計では以下の2社が該当します。

  • 安藤ハザマ
  • 西松建設

準大手ゼネコンは、事業領域が比較的幅広いので、事業領域ごとの部門を設置している企業もあります。民間工事や公共工事など地域に密着した工事を請け負っています。

大手ゼネコン

大手ゼネコンとは、年間売り上げが4000億円を超える大手企業を指します。そのうちの上位5社がスーパーゼネコンです。2023年度の集計によると大手ゼネコンには次の7社が該当します。なお、スーパーゼネコンに該当する会社は省略しています。

  • 長谷工コーポレーション
  • 前田建設工業
  • フジタ
  • 戸田建設
  • 五洋建設
  • 三井住友建設
  • 熊谷組

スーパーゼネコンと同様に、公共事業や有名な建築物にも多く関わっています。

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【まとめ】ゼネコンの施工管理はやりがいのある仕事!積極的に挑戦しよう

ゼネコンの施工管理は、大規模な工事の着手から竣工まで1人で管理する業務なのでやりがいがあり達成感や充実感があります。ただし、労働環境や仕事量からかなり負担の大きい業務です。公共事業の現場が多いので地方への長期出張や転勤が多いデメリットはありますが、実際に地図に残る建築物に携われるメリットは大きいといえます。積極的に挑戦して自身の仕事の幅を広げましょう。

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