鉄骨造の特徴や種類について解説!メリット・デメリットも紹介

大規模な建設工事では鉄骨造の建物が多く、戸建住宅でも鉄骨造の物件があります。しかし、建設業を営む方の中には、土木工事が中心で鉄骨造についての知識に自信がない方もいるのではないでしょうか。鉄骨造の知識があれば受注できる工事の幅も広がるため、知っていて損はありません。
この記事では、鉄骨造の特徴や種類について解説します。解説する内容を読めば、鉄骨造のメリットやデメリットについての知識も身に付きます。鉄骨造について学びたい方は、参考になりますので、ぜひ最後までご覧ください。

鉄骨造とは?

鉄骨造とは、建物の構造を支える梁や柱に鉄の合金である鉄骨を用いる建築様式です。鉄骨造はSteel(鋼鉄)の頭文字を取り「S造」とも称され、耐震性や耐久性に優れる点が特徴です。使用される鋼材の厚みにより、軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けられます。
鉄骨造は、マンションやビル、一戸建て住宅から工場や倉庫に至るまで幅広い建物に採用されています。鉄骨造で用いられる鉄骨はあらかじめ工場で製作され、現場で組み立てる方式が一般的で、工期と建築コストを抑えられます。

鉄骨造の種類

先述の通り、鉄骨造には軽量鉄骨造と重量鉄骨造があります。軽量か重量かの違いだけと思う方もいますが、軽量鉄骨造と重量鉄骨造には大きな違いがあります。そこで、ここからは、軽量鉄骨造と重量鉄骨造の違いを見ていきましょう。
それぞれにどのような特徴があり、どういった建物に向いているかを解説します。

重量鉄骨造

重量鉄骨造は、主に高層ビルや大型マンションの建設に採用される工法です。重量鉄骨造では、鋼材の厚みが6mm以上で、柱や梁を剛接合する重量鉄骨ラーメン構造を用います。ラーメンとはドイツ語で枠を意味し、鉄骨をジャングルジムのように組んでいくため、空間内の柱の数を減らせます。
空間内の柱の数が減ることで、広い空間や大きな窓を設ける自由度が高まります。ただし、重量鉄骨は軽量鉄骨に比べ建設コストが高く、軟弱な地盤では地盤改良が必要になることもあります。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は、6mm未満の鉄骨を使用する建築方法です。軽量鉄骨造では、鉄骨軸組工法が一般的で、柱や梁をボルトで接合します。筋交いとしてのブレースを取り入れることで強度を保ち、建物の耐震性向上が可能です。
工場でのプレハブ工法により、現場での作業負担が軽減され、工期短縮と安定した品質が実現します。主に一般住宅や小規模な共同住宅に採用され、建築コストの削減が可能です。ただし、遮音性には劣る点があり、重量鉄骨造と比べると店舗には不向きです。

工期短縮の効果的な方法についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

工期短縮工期短縮の効果的な方法とは?実際の事例や注意点も紹介

鉄骨造以外の建物構造

鉄骨造について知識を深めたところで、次は鉄骨造以外の建物の構造を学んでいきましょう。建物の構造には、鉄骨造以外にも以下の3つの造りがあります。

  • 鉄筋コンクリート造
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造
  • 木造

似ているような構造もあれば、全く異なる造りもあります。ここからそれぞれの違いを解説しますので、特徴を把握して鉄骨造以外の構造の知識を深めましょう。

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造はRC造柱とも呼ばれ、梁や床、壁を鉄筋とコンクリートで構成する建築方法です。3〜10階建ての中高層ビルやマンションに採用されることが多く、耐火性や耐震性、遮音性や気密性に優れています。
鉄筋は引張力に強く、コンクリートは熱に強いため、二つの素材を組み合わせることで構造的な強度を向上させます。この組み合わせにより、鉄筋の錆びやコンクリートの引張力の弱さを補い合い、多様な建築要求に対応します。ただし、鉄骨造と比較すると建築コストが高くなる傾向があります。

鉄骨鉄筋コンクリート造

鉄骨鉄筋コンクリート造は、SRC造とも呼ばれる鉄筋コンクリートと鉄骨を組み合わせた建築方法です。鉄骨鉄筋コンクリート造は主に超高層ビルや大型マンションなど大規模建築物で採用され、耐久性や耐火性能に優れています。
鉄骨がコンクリートに囲まれることで、錆びにくく、より広い無柱空間の実現が可能です。しかし、構造が複雑で工期が長くなるため、建築コストは高めになります。SRC造は、RC造よりも強度が高く、大規模な建築に適していますが、それに伴うコスト増も考慮しなければいけません。

木造

木造は、柱や梁などの主要構造部に木材を使用する工法で、W造とも呼ばれます。木造にはさまざまな工法があります。多く見られるのが日本で最もポピュラーな軸組構造や北米由来の耐震・断熱性に優れたツーバイフォー構造、丸太を用いる丸太組構造などです。
エンジニアリングウッドの発展により、より大規模な建築が可能になっており、アパートなどの多種多様な建物にも採用されています。木材のデザイン性を活かした「あらわし」構造は、木造ならではの魅力を提供し、準耐火建築物では耐火素材の被覆が不要です。

鉄骨造のメリット

ここまで、鉄骨造と鉄骨造以外の工法について解説しました。ここからは、鉄骨造のメリットを解説します。鉄骨造には他の工法より優れた点があり、メリットと次に解説するデメリットを理解することで、適切な工事が行えます。
鉄骨造が持つメリットは以下の4つです。

  • 品質を担保しやすい
  • 耐用年数が長い
  • 建設費用を抑えられる
  • 工法によっては間取りの自由度が高い

それぞれのメリットを具体的に解説します。

品質を担保しやすい

鉄骨造は、品質を担保しやすい建築方法です。鉄骨造では、鉄骨の製造から組み立てまで、多くの工程が工場でコンピューター制御された機械によって行われます。そのため、完成した建物の品質安定度は高くなり、施工ミスのリスクも低減されます。
対照的に、木造では、材料の品質にばらつきがある上、現場作業が職人の技量に依存するため、完成度に差が出ることがあります。鉄骨造は、その工業製品に近い品質の高さで、建築物の信頼性を高める要因となっています。

耐用年数が長い

耐用年数が長い点も、鉄骨造のメリットです。鉄骨造は耐用年数が長く、重量鉄骨造では34年、軽量鉄骨造では27年と法定耐用年数が設定されています。しかし、適切なメンテナンスが行われれば、実際の寿命は60〜70年、場合によってはそれ以上に延びることもあります。コンクリート構造の建物、特に鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造では、寿命の目安が100年以上とされ、雨や紫外線に対する耐性が高いため、長期間にわたって建物の使用が可能です。

建設費用を抑えられる

鉄骨造は、建設費用を抑えられる点もメリットです。鉄骨造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造と比較して、材料費が低く抑えられます。さらに、プレハブ工法の採用により工期が短縮され、結果として人件費の削減が可能です。こうした要素が組み合わさることで、坪単価は比較的安価になる傾向があります。
一方で、木造は伝統的にコストが低いとされていますが、近年は木材価格の高騰で、鉄骨造との費用差が縮まってきています。鉄骨造は特にコストを意識した建築プロジェクトにおいて、効率的な選択肢となるでしょう。

工法によっては間取りの自由度が高い

鉄骨造では、工法によっては間取りの自由度が高まることがあります。重量鉄骨造でラーメン構造を採用した場合、柱や梁の強度が高く、使用する本数が少なくて済みます。これにより、広々とした開放感があり、大きな窓のある空間が実現可能です。
一方、鉄骨軸組工法を用いると、ブレースを設けた壁の位置が固定されるため、間取りの自由度は低くなる傾向があります。しかし、鉄骨造の強度の高さは、さまざまなデザインの自由度をもたらす利点と言えます。

鉄骨造のデメリット

解説した通り、鉄骨造には多くのメリットがあります。しかし、鉄骨造も良いところばかりではありません。いくつかのデメリットもあります。メリットばかりを意識し、デメリットを見落とすと、大きなミスや損失につながることも珍しくありません。
そこで、以下の3つのデメリットを把握し、鉄骨造についての理解を深めましょう。

  • 地盤補強が必要
  • 断熱施工が必要
  • 防音対策が必要

それぞれのデメリットについて詳しく解説しますので、参考にしてください。

地盤補強が必要

鉄骨造では、地盤補強が必要になることがある点がデメリットです。鉄骨造の中でも、重量鉄骨造の建物を建設する場合、地盤の状態が重要です。重量があるため、不安定な地盤では地盤補強や基礎工事が必要になることも少なくありません。
地盤補強は、建築費用に追加のコストが必要です。ただし、木造建築でも地盤が軟弱であれば同様の工事が必要です。地域によっては、地盤の安定性に合わせた基礎の追加工事や地盤改良が必要で、これらの工事は建築コストに大きく影響を及ぼします。したがって、建物の種類に関わらず、地盤の状態は重要な考慮事項です。

断熱施工が必要

鉄骨造の建物は鉄の熱伝導性が高いため、外気温の影響を受けやすく、断熱施工が必須です。夏は暑く、冬は寒くなりやすいこの特性に対応するため、発泡ウレタンなどの断熱材を使用することがおすすめです。
発泡ウレタンはグラスウールに比べコストは高くなりますが、断熱性能の向上に貢献します。木造や鉄筋コンクリート造の建物でも、断熱施工は重要となりますが、鉄骨造の場合は特に熱の伝わりやすさを考慮した施工が求められます。このような断熱対策により、鉄骨造の建物でも、季節の変化による室温の変動を抑え、居住性の向上が期待できます。

防音対策が必要

鉄骨造の物件では、音の伝わりやすさに対する防音対策が重要です。鉄骨の振動により周囲の生活音が聞こえやすいため、特にアパートなどの集合住宅においては注意が必要です。重量鉄骨造は木造や軽量鉄骨造に比べて遮音性が高いものの、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造と比較すると劣る傾向があります。
防音性の向上には、ALCパネルの使用やQLデッキを使ったコンクリート打ち込みが効果的です。しかし、これらの方法はコストが増加する点を考慮しなければいけません。建物の立地や用途に合わせ、適切な防音対策を施すことが重要です。

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【まとめ】鉄骨造の特徴を知って満足する物件を見つけよう

鉄骨造は、耐用年数が長く品質を担保しやすいというメリットがあります。また、費用を抑えやすく、間取りの自由度が高いという点もメリットです。しかし、地盤や断熱性の補強が必要で、同時に防音対策も取らなければいけない点がデメリットでもあります。
数々のメリットとデメリットがありますが、鉄骨造は多くの建物に採用されている工法です。特徴を把握してメリットとデメリットを理解していれば、鉄骨造の受注がしやすくなります。解説した内容を把握し、今後の工事に活用していきましょう。

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