さく井工事業とは?建設業許可取得要件や専任技術者についてもご紹介!

さく井工事とは井戸を掘る工事のことを指しますが、建設業許可取得する際には、6つの要件を満たす必要があります。
今回は、そんなさく井工事業について解説します。今回の記事を読めば、さく井工事業の建設業許可取得の要件や専任技術者の要件に関する知識が学べます。さまざまな仕事を受注するためにも、さく井工事の知識を身に着けましょう。

さく井工事業とは?

さく井工事業は、建設業法で定められている、29種類ある建設業許可の業種です。さく井は「さくせい」と読み、井戸を掘ることを指します。つまり、さく井工事業は簡潔に言えば、井戸掘りのプロです。温泉や石油、天然ガスの掘削もさく井工事の範囲に含まれます。地面に井戸を掘る、さく井工事を行う際は、基本的にさく井工事の建設業許可が必要です。しかしさく井工事業の建設業許可は29種類の建設業許可の中でも、2番目に取得業者が少ない業種です。そのため、取得している業者は希少といえます。

さく井工事業の建設業許可取得の要件

ここからは、さく井工事業の建設業許可を取得するために必要な、次の6つの要件を解説します。

  • 経営業務の管理責任者
  • 専任技術者
  • 誠実性
  • 財産的基礎
  • 欠格要件
  • 社会保険への加入

6つの要件の中でも、財産的基礎は一般建設業と特定建設業で要件が異なります。今回はその違いも解説しますので、さく井工事業の建設業許可について知識を身に着けたい方は参考にしてください。

1.経営業務の管理責任者

建設業の経営は、他の産業とは趣きが異なります。そういった理由から、適正な建設業の経営のために、建設業法施行規則により経営経験のある人材の配置が義務付けられています。経営経験とは一定期間経営業務の管理を責任者として担う経験のことです。
多くの建設会社では、経営業務の管理責任者は基本的に役員が担います。そのため、経営業務の管理責任者を代表取締役が務めている会社も珍しくありません。

2.専任技術者

「専任技術者」は、建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保する専門的知識を有する人を指します。専任技術者として認められる要件は、一般建設業と特定建設業で異なります。それぞれで専任技術者として認められるための要件は次の通りです。

一般建設業

  • 建設業法施行規則で定める指定学科修了者で、高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務経験がある人
  • 建設業法施行規則で定める指定学科修了者で、専門学校卒業後5年以上実務経験がある人
  • 専門学校卒業後、3年以上実務経験があり、専門士や高度専門士呼ばれる人
  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務経験がある人
  • 国家資格者

特定建設業

  • 国家資格者
  • 指導的立場の監督のような実務経験がある人
  • 過去に特別認定講習を受けて効果評定に合格、若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した人

3.誠実性

さく井工事の建設業許可を得るには、誠実性が欠かせない要件です。建設業界では、請負契約における不正や不誠実な行為は許されません。不正行為には詐欺、脅迫、横領、文書偽造などが含まれ、法律違反にあたります。
また、不誠実な行為は契約違反を意味し、工事の内容や期間に関する契約の破棄や変更も不誠実な行為です。こういった行為が発覚した場合、建設業許可は得られないだけでなく、ブラックリストに載る可能性もあります。誠実性は、建設業界での信頼と品質の保証に不可欠な要素です。

4.財産的基礎

さく井工事の建設業許可を受けるためには、十分な財産的基礎が必要です。財産的基礎とは、工事着手前の資材購入や機械器具の購入、作業員の確保に必要な準備資金を意味します。
特に特定建設業の許可を目指す場合、一般建設業より厳格な財産基準が求められます。なぜなら、特定建設業者は多くの下請け業者を使うからです。そのため健全な経営が求められ、発注者からの支払いが遅れたとしても、下請け業者へ支払える財産がなければいけません。
一般建設業と特定建設業では、財産的基礎の要件が異なります。それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。

一般建設業の場合

一般建設業の許可を得るためには、自己資本が500万円以上あるか、500万円以上の資金調達能力がなければいけません。自己資本は、資産合計から負債合計を差し引いた金額を指します。法人の場合、純資産の合計が自己資本となります。
資金調達能力に関しては、金融機関に預けられた預貯金が500万円以上あることで、証明可能です。一部自治体では、資金調達能力に関しては土地や建物の固定資産評価証明書による証明も認められています。さらに、過去5年間継続して営業した実績があることも、許可を受けるための条件の一つです。これらの要件は、一般建設業の健全な経営と信頼性の保証に寄与します。

建設業許可に必要な500万円がない場合の対処法

「建設業許可を取得したいけど500万円も手元にない・・・」このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。そのような場合には以下のような対処法で解決できます。

  • 複数の口座に入っているお金を1つにまとめる
  • 入金のタイミングで残高証明書を取得する
  • 資金を調達する

詳しい内容や、資金調達に関する注意点などは以下の記事で分かりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可に必要な500万円がない場合はどうする?資本金が足りない場合の対処方法をご紹介!

特定建設業の場合

特定建設業の許可を受けるための要件は、一般建設業よりも厳格です。まず、欠損額が資本金の20%を超えないことが求められます。赤字による株主資本の一部消費が許容範囲内であることを意味します。
次に、流動資産と流動負債の比率で計算される流動比率が、75%以上でなければいけません。つまりある程度短い期間内の支払い能力が必要です。最後に資本金が2,000万円以上、自己資本が4,000万円以上なければいけません。
3つの要件は、特定建設業が請け負う大規模な工事に適した財務基盤と信頼性を確保するために必要不可欠です。

5.欠格要件

さく井工事の建設業許可を受けるには、「欠格要件」のクリアが必須条件です。欠格要件にはいくつかの重要な条件があります。まず、成年被後見人や被保佐人、破産者で復権を得ていない方は対象外です。不正行為や営業停止処分などで、許可が取り消されてから5年未満の方も同様です。
また、刑法や建設業法に違反し、禁錮以上の刑や罰金刑を受けて5年未満の方や暴力団員も許可されません。許可申請書に虚偽の記載がある場合や、重要事実が欠けている場合も許可の障害となります。欠格要件は、建設業の信頼性と社会的責任を守るために設けられています。

6.社会保険への加入

さく井工事の建設業許可を受けるには、社会保険と雇用保険への加入が必須です。社会保険への加入は、従業員が一人でもいる個人事業主にも当てはまります。
2020年10月の改正により、建設業許可申請の際、社会保険の加入状況が厳しく確認されるようになりました。行政指導を受けたにもかかわらず加入しない場合は、強制加入手続きや追加徴金の対象となることがあります。
また、建設業許可を更新する際にも、社会保険への加入が必要条件です。社会保険料を過去に遡って未加入分を徴収されることもあります。事業運営をスムーズに行うために、未加入の場合は早めの加入をおすすめします。

【一般建設業】さく井工事業の専任技術者の要件

ここまでは、さく井工事業の建設業許可取得の要件について解説しました。ここからは、一般建設業におけるさく井工事業の専任技術者の要件について、次の3つのポイントで解説します。

  • 資格
  • 指定されている学科の卒業と実務経験
  • さく井工事業に関する実務経験が10年以上ある

資格

次の資格を有していれば、一般建設業における、さく井工事の建設業で専任技術者になれます。

  • 技術士 上下水道部門「上水道および工業用水道」
    総合技術監理部門・水道「上水道および工業用水道」
  • 技能検定 さく井
  • 地すべり防止工事士

3つの資格のうち技能検定と地すべり防止工事士は、それぞれの資格取得後一定期間の実務経験が必要です。

指定されている学科の卒業と実務経験

一般建設業におけるさく井工事の専任技術者になるためには、特定の学科を卒業し、実務経験を積まなければいけません。対象となる学科は、以下の4つです。

  • 土木工学
  • 鉱山学
  • 機械工学
  • 衛生工学

実務経験は学歴によって異なり、中等教育学校や高等学校、専修学校卒業者は5年以上が必要です。高等専門学校や大学卒業者は、3年以上で構いません。実務経験の証明には、卒業証明書とともに、建設業許可通知書のコピーや工事関連の書類が必要です。こうした条件を満たすことで、専任技術者として認められます。

さく井工事業に関する実務経験が10年以上ある

さく井工事業において、10年以上の実務経験があれば専任技術者と認められます。しかし、実務経験を認められるためには、経験を適切に証明することが重要です。建設業許可を持つ会社での経験の場合、建設業許可通知書のコピーと厚生年金被保険者記録照会回答表で経験を証明します。
一方、許可を持たない会社での経験は、工事に関連する工事請負契約書や注文書、請求書などで証明しなければいけません。こうした証明書類は、さく井工事における専門技術者としての経験と知識を示す重要な資料となります。

【特定建設業】さく井工事業の専任技術者の要件

続いては、特定建設業におけるさく井工事の専任技術者の要件を解説します。特定建設業において、さく井工事の専任技術者となるためには、次の要件を満たさなければいけません。

  • 資格と指導監督的な実務経験が2年以上ある

どういった要件かを詳しく見ていきましょう。

資格と指導監督的な実務経験が2年以上ある

特定建設業におけるさく井工事の専任技術者になるためには、実務経験と特定の資格が必要です。実務経験は、4,500万円以上のさく井工事を2年以上指導監督した経験が必要です。加えて、上下水道部門「上水道および工業用水道」または総合技術監理部門(同分野)の技術士資格を持ち、関連する知識も必要となります。
こうした経験は、技術的な知識に加えて、現場での管理能力を示す指標として重要です。小先ほどの条件を満たすことで、特定建設業におけるさく井工事の専任技術者、または監理技術者としての資格が得られます。

建設業許可が必要ないさく井工事業

さく井工事業においても、一部の軽微な工事は建設業許可は必要ありません。具体的には、工事1件あたりの請負代金が500万円未満の工事が許可不要とされています。このように、小規模なさく井工事の場合は許可申請の必要はないため、規模を把握することが重要です。

建設業許可申請の手順

建設業許可取得の要件を全て満たしており、実際に申請してみたいと思う方はこちらの記事で申請手順や必要書類、申請にかかる費用などを詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可申請の流れとは?申請の手順を解説!

建設業許可なしで工事を行ったときの罰則や罰金

建設業法で定められた、建設業許可が必要な工事を、許可なしで行った場合は法律違反となるため、罰則や罰金が科されます。
建設業法の違反に対しては、その犯した違反の程度に応じて様々な罰則が課されます。そのなかでも無許可で工事を受注した際には「300万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役」という最も重い罰則が科されますので注意が必要です。
以下の記事では、実際に無許可で工事を請負い逮捕された事例なども詳しく紹介していますので、必ず目をとおしておきましょう。
建設業許可なしで請負うとバレる?建設業許可なしで行ったときの罰則や罰金などを解説

【まとめ】さく井工事業の建設業許可取得の際には6つの要件を満たすことが必須

さく井工事の建設業許可を取得するためには、6つの要件を満たさなければいけません。どの要件も建設業を営む上で重要なため、建設業許可の取得だけではなく、会社を経営する上で欠かせません。
さく井工事の建設業許可は取得している業者が少ないため、なかなか要件などの確認が困難です。さく井工事の建設業許可が必要な方は、今回解説した内容を参考に、取得に向けて取り組んでみてください。

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