一人親方は厚生年金に加入できない?適用除外になる理由と対策を解説!

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社会保険労務士 佐藤弘樹
社会保険労務士 佐藤弘樹

平成28年に社会保険労務士試験に合格。経理・財務や人事・労務といったバックオフィスシステムを手掛ける会社で16年間の営業経験を積む。その後、北海道札幌市にて「社会保険労務士事務所みらい経営アシスト」を開業し、オンラインでの人事・労務管理に関する相談サービス『どこでも社労士』を提供。「働くすべての人が、豊かで幸せな毎日を送れるように」というミッションを掲げ、企業の労務管理をサポート。豊富な実務経験と専門知識を活かし、クライアント企業の成長に貢献。プライベートでは双子の娘を持つパパの顔も覗かせる。北海道社会保険労務士会会員登録番号:第01180056号。『どこでも社労士』:https://www.dokodemo-sr.com/

この記事ではなぜ一人親方は厚生年金の適用除外になってしまうのか、また代わりになるような制度はあるのかについてまとめております。

厚生年金に加入できなくてもそれを補うことができる制度や仕組みについてわかりやすく説明しております。

一人親方で将来の老後資金や貯蓄について今のうちから考えたいという方はぜひ参考にしてください。

一人親方は厚生年金に加入できない

個人事業主である一人親方は厚生年金に加入できません。そのため、一人親方が老後に受給できる年金は基本的に国民年金のみです。ここでは、年金制度の仕組みや一人親方が適用外となる理由などについて解説します。

年金制度は2階建ての仕組み

日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建ての仕組みになっています。国民年金とは、公的年金の基礎となる制度で、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する年金制度です。

厚生年金は公的年金のいわば2階部分であり、主に会社員や公務員が加入しています。国民年金と厚生年金が2階建てになることで、65歳以降の受給見込み額が充実します。

国民年金と厚生年金の違い

国民年金は、職業や経歴などに関わらず20歳以上の日本国民に加入義務がある年金制度です。年齢や収入に関係なく保険料は一律です。一方、厚生年金は、企業に勤務する会社員や公務員が加入できます。また、厚生年金は事業主と従業員が保険料を半分ずつ負担することになっています。

厚生年金の場合、保険料の納付額は被保険者の標準報酬月額と標準賞与額から算出されるため一人ひとり保険料が違い、所得が高い人ほど納める金額も高くなる仕組みです。

また加入者の範囲が広い国民年金には所得が少ない人のために保険料の免除や納付猶予の制度がありますが、厚生年金には産休や育休を取得している間の免除制度などを除き、そういった制度がないのが特徴です。

一人親方は厚生年金の適用除外

前述の通り一人親方は厚生年金の適用除外となります。厚生年金は、一定の要件を満たす従業員を対象としているためです。労働者を雇用せず特定の事業を行っている一人親方は適用されません。

一人親方が厚生年金の代わりに自分で加入するべき制度

個人事業主である一人親方は厚生年金に加入できないため、国民年金だけでは備えが不十分なのではないかと将来に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

そこで、厚生年金以外にも老後のために備えておける制度がいくつかあるので紹介します。

国民年金基金

国民年金基金は、私的年金の一部で厚生年金のように国民年金に上乗せして受給できます。私的年金とは、公的年金の上乗せの給付を保障する制度です。

また、公的年金の支払いと同じように掛金の支払時に支払額の全額が社会保険料控除の対象となり、受給時には公的年金等控除が適用されることから節税にもなります。

掛け金の設定や自分の人生設計に合ったプランニングができる点や、国が運営する公的年金制度であるため安心できる点などから利用しやすい制度です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは原則20歳以上65歳未満の国民年金の被保険者が対象となる制度で、毎月積み立てて運用したお金を60歳以降に受け取れる制度です。

iDeCoの特徴は運用する商品を自分で選び、掛け金でどの運用商品をどれくらい購入するのかを決める必要があるという点です。購入した運用商品は、定期的に確認したり変更したりして自分で資産運用を行います。

また、受け取り方法も様々です。60歳以降に好きなタイミングで一括で受け取る方法や、指定した期間に年金として分割で受け取る方法、一部を一時金で残りは年金として受け取る方法など、とても自由度が高い制度です。

ただし、選択する商品によってはリスクがあるものや、原則60歳を迎えるまで掛け金を引き出せないなど、多少のデメリットもあります。

民間個人年金

民間の生命保険会社が提供する個人年金保険に加入して、老後の資金を増やしていく方法です。現在、貯蓄しているお金を銀行に預けておくだけではなく、個人年金保険に充てることで老後に得られる金額を増やしたり、税負担を軽減できたりします。

民間の生命保険会社の個人年金保険には、主に3つの種類があります。

  • 確定年金:加入者の生死を問わず契約時に決められた期間内給付の受け取りが可能
  • 有期年金:契約時に決められた期間内は給付されるが、加入者が死亡すると給付が終了する
  • 終身年金:加入者が生存する限り年金が給付される

それぞれ性質が異なるため、自分のライフプランに合うものを選択することが大切です。

また、個人年金保険控除の対象となるため、所得税や住民税を抑えられます。さらに、メリットとして、比較的柔軟性に優れており積み立ての期間を選択できる点や、途中解約ができる点が挙げられます。

小規模企業共済

個人事業主や小規模企業の経営者、役員を対象とした退職金の代わりになる制度です。メリットは、掛け金として選択できる幅が広く、加入後もいつでも金額を変更できるという点です。

ただし、加入期間が短いと元本割れする可能性があるため、将来をしっかり見極めたうえで加入を検討することが大切です。

社会保険に未加入だと現場に入れない?

国土交通省は、厚生労働省と連携し、社会保険(雇用保険、健康保険、年金保険)への加入を促進する取り組みを強化しています。社会保険に加入していない業者が多いことが、建設業界に若い人材が集まりにくい要因の一つだと考えているためです。

したがって、国土交通省は元請業者を通じて下請業者に指導を広めるよう通達を行うほか、元請業者に対して社会保険に加入していない下請業者との契約を禁止するなどの対策を行っています。

また、公共工事の入札審査に社会保険の加入の有無を項目として設け、加入していない業者は減点対象になるような仕組みを作るなどあらゆる面から社会保険加入を促しています。

公共工事の現場は社会保険加入が必須

国土交通省の指導により社会保険への加入が強く求められるようになり、国民健康保険(組合)や国民年金に加入していない一人親方は基本的に現場への立ち入りができないなど、社会保険の未加入が仕事に大きく影響を与えるようになりました。

前述のとおり、社会保険未加入の業者には入札に不利になったりそもそも契約ができないといった弊害が生じます。建設業界は元請、下請、二次下請と連なっていく構造であるため、社会保険に未加入であることがあらゆる方面に支障をきたし、結果として仕事が得られないという状態に繋がっていきます。

また、採用活動に影響が出るほか、悪質の場合は罰金等のリスクもあります。

そのため現場では社会保険加入は必須といえるでしょう。

怪我や病気の際に費用負担が大きい

社会保険に加入することにはもちろんメリットがあります。

例えば万が一の事故やケガ、病気にかかったときに医療保障を受けることができます。もし健康保険に未加入であった場合だと医療費が全額自己負担となるためかなりの金額を負担しなくてはなりません。

また、障害を抱えてしまった場合や老後の備えとしても活用できます。社会保険は納付した金額に応じて受給額が決まるため、加入期間が長いほど将来多くの金額が得られ、短いほど受給額が少額になるか、もしくは受け取れないこともあります。

公的年金は老後以外にも受け取れる?

公的年金は「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3つから成り立っています。

「老齢年金」はよく知られている年金のイメージのもので、原則65歳以上になると受け取ることができる年金です。他の二つに比べて受給する人が多く老後の生活資金や生活の支えとして充てられています。

障害年金

障害年金は病気やケガが原因で障害を抱え収入が途絶えてしまい、かつ一定の受給要件を満たした際に受け取ることができる年金です。

受給要件としては「初診日に被保険者であること」や「障害認定日に一級、二級(厚生年金のみ三級も含む)に該当すること」などが挙げられます。

障害年金制度によって万が一、病気やケガによる障害を抱えたとしても収入を得ることが出来ます。

遺族年金

遺族年金は年金の被保険者が死亡し、かつ一定の受給条件を満たした際に被保険者の遺族が受け取ることができる年金です。

受給できる遺族の範囲や受給額の求め方などは、加入する年金制度によってそれぞれ異なります。

遺族年金制度によって被保険者が死亡したとしても、残された遺族の生活を支えることができます。

【まとめ】一人親方は厚生年金に代わる備えを自分で準備しよう

一人親方は厚生年金には加入できないものの、さまざまな制度でそれを補うことができます。

国民年金基金と小規模企業共済を利用すれば厚生年金と同様の効果を得られるほか、iDeCoや民間の生命保険会社の個人年金保険を上手く利用すればさらに資産を増やしていくことができるでしょう。

自分のライフプランから将来や老後に備えられるよう、ぜひこれらの制度を利用してみてください。