一人親方でも施工体系図の作成が必要!書き方と記入例を解説

一人親方 施工体系図

施工体系図は建設業法で定められている書類を指し、工事に入る前に作成が義務付けられています。建設業で一人親方をされている方のなかには、施工体系図の作成が複雑でお悩みの方もいることでしょう。施工体系図は工事に関わる元請けと下請けの関係を可視化した書類であり記入項目が複雑であるため、作成の手間がかかります。

そこで今回は一人親方の施工体系図の作成について、書き方や記入例を詳しく解説します。また、同じく安全書類として記入が必要な再下請負通知書の概要と書き方も解説します。

施工体系図とは?

まずは施工体系図の概要からご紹介します。施工体系図は建設業法で作成が義務づけられている書類です。施工体系図は元請けと下請けとの関係をわかりやすく可視化することで、工事現場での施工体制の確認、役割分担の円滑化に用います。施工体系図の詳細な作成目的は以下の3点です。

  • 工事現場におけるあらゆる元請け、下請けの関係を可視化し把握する
  • 工事現場における元請け、下請けの施工分担を可視化し把握する
  • 監理技術者や主任技術者など工事に必要な人員が適切に配置されていることを確認する

続いて下記で以下の2点を詳しく解説します。

  • 施工体系図の作成が必要な工事
  • 施工体系図の保存期間

施工体系図の作成が必要な工事

施工体系図は施工体制台帳と並び作成が義務付けられている建設業書類です。原則として施工体制台帳の作成義務がある事業者は施工体系図を作成しなくてはいけません。また施工体系図は請け負った工事が公共工事か民間工事かによって作成の条件が異なります。施工体系図の作成が必要な工事は以下の通りです。

公共工事 工事の発注者から直接請け負った公共工事の施工に関して、下請け契約を結んだ場合に作成が必要です。また元請け事業者は、公共工事に関する施工体系図を作業現場において関係者全員が閲覧できる場所に掲示する義務があります。
民間工事 工事の発注者 から直接請け負った建設工事の施工に関して、下請契約の額が 4,500 万円以上、建築一式工事で7,000 万円以上の場合は作成が必要です。また元請け事業者は民間工事における施工体系図を周囲の公衆が閲覧できる場所に掲示する義務があります。

施工体系図や施工体制台帳は一人親方の場合でも作成・提出が必要です。本来は元請けが作成しますが、下請けに作成を依頼する場合もあるため、書き方や記入方法についての知識が必要です。

施工体系図の保存期間

建設業法では、安全書類ごとに保存期間が定められています。施工体系図は営業に関する図書に分類される書類で、施工から10年間の保存が義務付けられています。似た書類である施工体制台帳が帳簿の添付種類として5年保存であり、施工体系図と混同しやすい点には注意が必要です。安全書類は、必要に応じて提出できない場合は罰則が課されるほか、契約に関する後のトラブル回避、トラブルの悪化防止に役立つためしっかりと保管しましょう。

施工体系図の記入内容

続いて施工体系図の具体的な記入項目をご紹介します。施工体系図は記載項目がツリー状となっており、一次請け以下の下請けの事業者情報を詳細に記載します。

また、施工体系図は左欄と右欄で記載する項目が異なります。下記でそれぞれついて詳しく解説します。

施工体系図の左欄の記入項目

施工体系図の左欄に記入する項目は以下の通りです。

  • 発注者名
  • 工事名称
  • 元請名・事業者
  • 監督員名
  • 監理技術者・主任技術者名
  • 監理技術者補佐名
  • 専門技術者名・担当工事内容
  • 統括安全衛生責任者
  • 副会長
  • 元方安全衛生責任者
  • 書記

それぞれの内容について下記で詳しく解説します。

発注者名

発注者名の項目には工事を発注した事業者、会社名を記入します。下請け事業者の場合であっても自社に工事を依頼した元請け、上位の下請け業者名ではなく、工事全体の発注者名を記入しましょう。

工事名称

元請け業者が請け負った工事の名称を記載します。ここで記入する工事の名称はあくまで元請けが受注した工事名称であり、自社が担当する工事名称ではない点に注意しましょう。

元請名・事業者ID

元請け業者の事業者名を記載します。代表者の名称ではなくあくまで会社名を記載する点に注意が必要です。事業者IDは建設業キャリアアップシステムに登録している場合記入しましょう。

建設業キャリアアップシステムに未登録の事業者は未記入で空欄のままにしましょう。

監督員名

監督員は発注者の代理として建設現場で施工が計画通りに行われているかどうかを監督します。監督員は現場の施工の管理だけではなく、工事に関する契約書類など施工に関するあらゆる工程を監督する立場にあります。監督員名をフルネームで記載しましょう。

監理技術者・主任技術者名

監理技術者・主任技術者は原則としてあらゆる工事現場に配置が必要な技術者です。それぞれ一定の経験と資格を保持した技術者がなることができますが、監理技術者は発注者から直接工事を請け負った元請けに配置義務があります。

監理技術者と主任技術者ではそれぞれ担当可能な工事規模が異なります。主任技術者は下請けの額が4500万円未満、または建築一式工事で7000万円未満の工事を担当できます。一方で監理技術者は下請けが4500万円以上、建築一式工事で7000万円以上の現場を担当できます。監理技術者と主任技術者の名前をフルネームで記載しましょう。

監理技術者補佐名

監理技術者補佐は監理技術者を補佐する役割です。監理技術者補佐を配置することで監理技術者が複数の現場を兼任できます。氏名をフルネームで記入しましょう。

専門技術者名・担当工事内容

専門技術者は監理技術者などとは別に配置される専門技術を有した人物です。施工の過程で建築一式工事とはまた別に専門の工事を実施する場合は、専門技術者及びその工事内容を記入する必要があります。専門技術者の配置は軽微な工事を除いて義務ですが、監理技術者・主任技術者名が兼任することも可能です。担当工事内容は工程のなかで担当した工事名称を記入します。

統括安全衛生責任者

統括安全衛生責任者は建設業において、労働災害や健康被害の発生を防ぐために作業現場の安全管理を行います。統括安全衛生責任者は原則として50人以上の作業員がいる現場に配置が義務付けられています。元請業者が選任した責任者のフルネームを記載します。

副会長

副会長は元請けではなく下請けから選出されます。選出された者のフルネームを記入しましょう。

元方安全衛生責任者

元方安全衛生責任者は統括安全衛生責任者と同じく作業現場の安全管理を担い、主に安全に関する具体的な技術事項を管理します。元方安全衛生責任者は統括安全衛生責任者を補佐する役割を担い、統括安全衛生責任者が選出します。選任された責任者名をフルネームで記入しましょう。

書記

書記は災害防止協議会の議事録を作成します。選出された書記の名前をフルネームで記入しましょう。

施工体系図の右欄の記入項目

施工体系図の右欄に記入する項目は以下の通りです。

  • 工期
  • 会社名・事業者
  • 代表者名
  • 建設業許可番号
  • 工事内容
  • 特定専門工事該当の有無
  • 安全衛生責任者
  • 主任技術者
  • 専門技術者・担当工事内容
  • 工期

それぞれの内容について下記で詳しく解説します。

工期

請負った工事の具体的な工期を記入します。「自」と「至」の欄にはそれぞれ工事開始日と工程終了日を記入しましょう。

会社名・事業者ID

右欄の会社名・事業者IDには元請けと契約を結んだ下請けの会社名並びに事業者IDを記入します。縦の記載欄は元請けと直接契約を結んだ一次請けを、横欄は二次請け、三次請け業者を記入します。

代表者名

事業者の代表者名を記入します。

建設業許可番号

建設業許可番号を記入します。また、続けて許可が大臣許可であるか都道府県知事許可であるか、許可業種が特定建設業許可か一般建設業許可かを記入します。

工事内容

自社が請け負う工事の具体的な内容を記載します。長文で詳細な工事内容を記載する必要はありませんが、工事名と工事内容を簡潔に記入しましょう。

特定専門工事該当の有無

請け負う工事内容に特定専門工事が含まれているかどうかを記入します。該当する場合は「有」を、該当しない場合は「無」を記入しましょう。ここでの特定専門工事は、下請代金の総額が3,500万円未満の鉄筋工事または型枠工事を指します。

安全衛生責任者

安全衛生責任者は元方安全衛生責任者と同じく作業現場の衛生面、安全面を管理します。安全衛生責任者は統括安全衛生責任者の補佐を行いながら、統括安全衛生責任者と現場との間の連絡業務などを担います。元方安全衛生責任者は元方事業者が選ぶのに対して、安全衛生責任者は業務の請負人が選出します。選出された安全衛生責任者をフルネームで書きましょう。

主任技術者

主任技術者は工事現場に配置すべき専門技術、専門知識を有した技術者です。専任技術者が営業所への常駐が必要であるのに対して、主任技術者は工事現場に配置が必要です。主任技術者のフルネームを記入しましょう。

専門技術者・担当工事内容

下請け業者は、工事内容によっては自社が請け負った工事内容に附帯した専門工事を施工する場合があります。このような場合には、その専門工事に適した専門技術者を配置する義務があります。この際に専門技術者の配置が必要となるのは500万円を超える工事です。

500万円に満たない軽微な工事であれば専門技術者の配置は必要ありません。専門技術者の名前をフルネームで記入しましょう。

工期

工期欄には自社が請負う工事にかかる工期を記載しましょう。

施工体系図の再下請負通知書とは?

再下請負通知書は施工体制台帳に含まれる書類の1つです。主に一次請け以下の下請け契約状況をまとめた書類です。施工体制台帳は元請けが作成する安全書類であるのに対して、再下請負通知書は下請けが作成します。

再下請負通知書は工事現場の施工体制把握のために必要な書類であり、一人親方であっても作成が必要です。続いて下記について詳しく解説します。

  • 再下請負通知書の作成が必要な場合
  • 再下請負通知書の記載内容

再下請負通知書の作成が必要な場合

再下請負通知書は下請け契約を結んだすべての業者が作成しなければいけません。二次請けや三次請けなどすべての下請け業者が作成しなければならず、これは一人親方であっても同様です。

また、自身が下請け構造の最後の下請け業者であり、以降に下請け業者が存在しない場合も作成が義務付けられています。再下請負通知書は施工体制台帳の中の安全書類の1つであるため、作成義務がある工事は施工体制台帳の作成義務と同様に、下請負契約の総額が4,000万円、建築一式工事の場合は6,000万円を超過する工事です。

一人親方であっても請負契約を締結している場合は再下請負通知書を作成しなければ、作業現場に入場することはできません。また近年は、偽装一人親方の問題があるため作成と提出が求められています。

再下請負通知書の記入内容

再下請負通知書の記入内容は大別して自社の概要と下請け会社の概要の2つです。再下請負通知書のフォーマットはA3用紙で、用紙の左半分に自社項目を右半分に下請け事業者の項目を記載します。続いて再下請負通知書の記入内容を解説します。

欄外 再下請負通知書の欄外に記載する項目は下記の通りです。

  • 日付
  • 直近上位の注文者名
  • 現場代理人名(所長名)

直近上位の注文者とは自社に直接工事を発注した事業者です。自社が一次請けの場合は元請けの事業者名を記載しましょう。

事業者 自身の事業者情報を記入します。会社名がない場合は自身の名前をフルネームで記入します。
工事名称・工事内容・工期・契約日 自社が請け負う工事の名称、並びにその内容、工期、契約を締結した日付を記入しましょう。
建設業許可の情報 事業者が取得している建設業許可の情報を記入します。事業者によっては複数の許可を取得しているケースがありますが、請負った工事内容に対応する許可を記入しましょう。
人員配置 人員配置には上記の項目で解説した各種技術者の配置状況などを記載しますが、一人親方の場合は状況が異なります。現場代理人、安全衛生責任者、雇用管理責任者には一人親方自身の名前を記入しましょう。主任技術者、専門技術者に関しては、自身が建設業許可を取得していないケースでは、記入の必要はありません。
保険等の加入状況 事業者が加入している各種社会保険などの加入状況、情報を記入しましょう。

自社の項目並びに下請業者に関する記載項目は基本的に同じです。注意が必要な項目は下請業者の「工事名称・工事内容・工期・契約日」です。下請業者の工事内容には、業務を依頼する自社の工事内容の一部を詳細に記入します。

一方で工期は自社の工期を記載してはいけません。下請業者の工期を確認して記載するようにしましょう。自社が最後の下請け業者である場合は「再下請負関係」欄全体に斜線を記入しましょう。

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【まとめ】書き方を把握して施工体系図を効率よく作成しましょう!

今回は一人親方における施工体系図の書き方や記入方法について詳しく解説しました。施工体系図は工事現場における請負関係や役割分担の可視化に欠かせない重要な安全書類で、建設業法で保存の義務も課されています。

たとえ下請けの立場で業務を引き受けた一人親方であっても、施工体系図の作成を求められることがあるため記入方法をしっかりと熟知することは重要です。同じく記入が必要な再下請負通知書に関しても解説しているため、是非参考にしてみてください。

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