山積み工程表とは?メリットや工程管理をする手法などを解説

山積み工程表

建設工事の発注を受けて、資材や作業員を手配しても、いざ工事が始まると思わぬ人手不足などでスケジュールに支障をきたすことがあります。そういった事態を事前に予防するには山積み工程表を利用すると便利です。今回は、資材や人員のリソースが事前に把握できる山積み工程表について、その意味やメリット、作成方法などを解説します。

山積み工程表とは

山積み工程表は、施工時に必要な人や資材を「負荷」と捉えて工程表に表現したもので、リソースヒストグラムともいわれます。山積み工程表を利用することによって施工開始から終了までに必要なリソースの把握が可能です。工期を通じて負荷の平準化を図ることで、各作業工程における負荷の発注量が事前に把握できるので、スムーズな施工が運営できます。

山積み工程表のメリット

この項目では山積み工程表を用いることで得られるメリットについて説明します。代表的なものは次の3点です。

  • 工程の可視化ができる
  • 作業の偏りを防止できる
  • 山崩しが簡単

以下、それぞれのメリットについて詳しく説明します。

工程の可視化ができる

山積み工程表は、横軸に時間軸(それぞれの作業期間)を縦軸に負荷(人員や資材などのリソース)の大きさをグラフで表します。これにより、どの作業期間にどれだけのリソースがかかっているかの視認が可能です。進捗状況が克明に分かるガントチャート工程表などと照らし合わせれば、詳細な工程の進捗状況と消費したリソースとの関係も一目瞭然です。このように工程の可視化ができるのは山積み工程表を作成するメリットです。

作業の偏りを防止できる

各作業工程におけるリソースの偏りが防止できるのも、山積み工程表を作成するメリットです。山積み工程表を見れば、各作業期間別のリソースの偏りが分かります。工期の長い建設工事では関係する人員の負荷配分を平準化することが重要です。山積み工程表に能力線(能力の総合計)を引いて、能力線を上回っている期間のリソースを配分すれば作業の偏りを対策できます。

山崩しが簡単

山崩し(作業リソースの平準化)が簡単にできるのも山積み工程表のメリットです。前述したように負荷配分ができれば作業の偏りがなくなり平準化できます。山崩しは、事前に作成された山積み工程表から作業リソースのピーク時期を判断し、予想される仕事量と能力を見比べてピークのリソースを再配置する手法です。山積み計画表があれば、施工期間中の負荷配分が簡単にできます。

山積み工程表を使って工程管理する手法

この項目では、山積み工程表を使った工程の管理(負荷配分)手法として、フォワード方式(順行負荷法)とバックワード方式(逆行負荷法)を取り上げました。安定したリソースでスムーズに施工を管理するために負荷配分は重要な要素です。以下にそれぞれ具体的に説明します。

フォワード方式

フォワード方式は別名順行負荷法と呼ばれています。山積み工程表を作成した日を起点にして、施工開始日から作業手順に沿って時系列に作業リソースを積み上げていく方式です。予定に沿って計画するので、施工全体のスケジュールが把握しやすい特徴があります。最終納期の算出や、受注前の大まかな納期予想に利用すると効果的です。ただし、短納期で結果を要求される場合や、施工開始までに余裕がないときは計画が立てにくいので注意しましょう。

バックワード方式

バックワード方式は別名逆行負荷法と呼ばれています。納期を起点にして作業完了日から開始日に向けて時間軸の逆方向に作業リソースを積む方式です。納期が決まっている工事の負荷配分に適しています。決められた納期から逆算するので、無駄のない人的リソースの配分が可能です。余計な資材の在庫も抑えられます。ただし、納期変更やリソースの調整が多くなると、負荷計算が複雑になるので注意が必要です。

山積み工程表を作成する手段

この項目では、山積み工程表を作成する方法を紹介します。今回紹介する作成方法は以下の4点です。

  • 手書きで作成する
  • エクセルなどの表計算ソフトを利用する
  • クラウドで管理する
  • 工程管理ソフトを利用する

それぞれ、施工する工事の規模や自社の状況で使い分けると良いでしょう。以下、詳細に説明します。

手書き

手書きは、山積み工程表を作成するときに最も手軽で身近な方法です。紙やホワイトボードに書くのが一般的で、少人数のプロジェクトなどに向いています。手書きなので、一度立てた計画を修正するのも簡単です。ミーティングなどで作業員の意見を聞きながら作成でき、即時に周知徹底できます。ただし、規模の大きな工事で作業員が大勢必要な計画作成には不向きです。

エクセルなどの表計算ソフトを使う

山積み計画表を作成するときに、表計算ソフトがよく使われます。最もポピュラーなエクセルは、豊富な機能を搭載しているので使い勝手の良い表計算ソフトです。自動入力や用意されたテンプレートなどを使えば、山積み工程表のようなヒストグラムも簡単に作れます。ただし、操作に慣れていないと、入力ミスなどで無駄に時間がかかるので注意しましょう。

クラウドで管理する

表計算ソフトで作成した山積み工程表をクラウド上で管理すると、誤ってデータを消去することもなく、情報の共有もできるので便利です。クラウド上に表計算ソフトをアップロードすることで、多数の端末から同じデータを閲覧することができます。大規模な工事や、複数の協力会社や作業者が関わる場合に効果的です。ただし、操作が難しいことや、ネットワーク環境の整備が必要になります。

工程管理ツールを使う

工程管理ツールを使えば、山積み計画表の作成だけでなくシステム上でガントチャート工程表などと連携でき、リソース管理の業務効率も改善します。自社でネットワーク環境やシステムを構築する「オンプレミス型」を採用すれば、自在なカスタマイズも可能です。
ただし、オンプレミス型の導入には初期コストやランニングコストがかかります。事前に自社予算も含めて入念な検討が必要です。

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山積み工程表をエクセルで作成する方法

この項目では、山積み工程表作成法の中でエクセルを使う方法について解説します。紹介するのは、エクセル機能のテンプレートとグラフ機能です。テンプレートについては山積み表の雛型が無料でダウンロードできるサイトも多数ありますので検索してみてください。

テンプレートを使う

エクセルを使い慣れていなかったり初めて使う場合には、あらかじめ雛型が作られたテンプレートを使うと便利です。ほとんどの雛型は、白紙の山積み工程表の枠組みができています。あとは横軸の時系列の欄にその日に予想される工数を入力するだけです。能力線を書けば、負荷が不足しているか余力があるかひと目でわかります。エクセル上で数字を変えることで、山崩しのシミュレーションも可能です。

エクセルのグラフ機能を利用する

エクセルのグラフ機能を利用すると、山積み工程表の作成は簡単です。エクセルのグラフ機能「折れ線と積み上げヒストグラムの組み合わせ」を使います。詳細は以下のとおりです。

  1. ワークシートの任意の列に「工数」「能力」「能力と工数の差」の項目を入力
  2. 項目を入れた上の行に施工期間の日付(月)を順に記入
  3. 月々のデータを項目別に入力
  4. 表全体を選択肢てメニューの挿入から「グラフ」を選択
  5. グラフの種類からヒストグラムを選択して「組み合わせ」を選択
  6. ポップアップメニューで「能力」だけ折れ線にする
  7. 「OK」をクリックすると山積み工程表のできあがり

工数の欄で工数が能力を超えるときは、能力値を入れ、差分は「能力と工数の差」に記入しましょう。

山積み工程表をエクセルで作成するときの注意点

ここからは、山積み工程表をエクセルで作成するときに注意するポイントについて4点説明します。

  • 属人化してしまう
  • 入力ミス
  • 修正や管理が煩雑になる
  • オンライン共有ができない

以下順に詳細を説明します。

属人化してしまう

山積み工程表をエクセルで作る場合、エクセルの操作に長けている人に工程表を作る作業が集中する可能性があります。エクセルはポピュラーな表計算ソフトですが、初心者にとっては煩雑な操作です。作業が集中して属人化すると、作業が偏り一部の人に負荷がかかり作業効率が低下します。エクセルは便利なソフトですが、同時に属人化するリスクも考慮しておきましょう。

入力ミスが起きる

エクセルのデータ入力は手作業なので人為的なミスは防げません。また、エクセルは編集が容易なので、修正や変更が簡単にできてしまいます。山積み工程表は負荷の平準化に有効です。しかし、数字を入れ間違うとリソースの発注や納期の遵守などにも影響を及ぼします。入力間違いのリスクを考慮して、入力内容を何人かでチェックするなど工夫が必要です。

修正や管理作業が煩雑になりがち

エクセルデータは編集や修正が容易なので、ファイルの保管には十分な注意が必要です。急な納期変更や注文変更が起こった場合には、ファイルを取り出してデータを見直さねければなりません。間違って他の施工プロジェクトのファイルを変更しないように、厳重な管理が必要です。エクセルを使用した山積み工程表の作成は簡単ですが、データ修正や管理作業は慎重に行いましょう。

オンライン共有ができない

エクセルは外部とのオンライン共有ができません。エクセルは、社内ネットワークでの利用が想定されています。エクセルで作成した山積み工程表は、出張先からは閲覧できません。オンラインで共有するためには、エクセルではなく専門の工程管理システムが必要です。エクセルはコストをかけずに山積み管理表を作成できます。しかし、外部とのデータ共有が必要なら、導入コストをかけてでも専門の工程管理システムを構築する方が効率的です。

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【まとめ】山積み工程表で負荷を分配し生産性を向上させよう

山積み工程表を活用すると、施工期間における負荷配分の偏りが平準化できるメリットがあります。工程管理の方式には、フォワード方式とバックワード方式があり、それぞれのメリットをいかすことで、工事の種類や規模に応じた使い方が可能です。山積み工程表を有効に活用し、リソースの偏りをなるべく平準化して効率的な生産管理を行いましょう。

工程管理ソフトの機能や特徴、費用についてはこちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
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