山積み工程表とは?メリットや管理手法・エクセルでの作成方法を解説

山積み工程表

建設工事の発注を受けて、資材や作業員を手配しても、いざ工事が始まると思わぬ人手不足などでスケジュールに支障をきたすことがあります。そういった事態を事前に予防するには山積み工程表を利用すると便利です。

今回は、資材や人員のリソースが事前に把握できる山積み工程表について、その意味やメリット、作成方法などを解説します。

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山積み工程表とは

山積み工程表は、施工時に必要な人や資材を「負荷」と捉えて工程表に表現したもので、リソースヒストグラムともいわれます。山積み工程表を利用することによって施工開始から終了までに必要なリソースの把握が可能です。工期を通じて負荷の平準化を図ることで、各作業工程における負荷の発注量が事前に把握できるので、スムーズな施工が運営できます。

山積み工程表の概要

山積み工程表は、プロジェクトに必要な人員・機材・資材といったリソースを時系列で示す管理手法です。各工程で求められるリソースを山の形で積み上げて表現するため、特定の時期に負荷が集中するかどうかを直感的に把握できます。

特に建設業や製造業など、複数の工程が同時進行するプロジェクトでは全体像を俯瞰しやすく、計画の調整に役立ちます。

さらに進捗や計画変更に応じて随時更新できるため、関係者全員が最新の状況を共有可能です。結果として、情報伝達の齟齬を防ぎ、リソース配分を最適化し、計画の安定化と生産性向上につなげられます。

山積み工程表の作成目的

山積み工程表を作成する目的は、資源の需給バランスを正確に把握し、効率的な計画を実現するためです。各工程に必要な人材・機材・資材を見積もり、供給可能な量と照らし合わせることで、過剰や不足を防ぎ、無駄を最小化できます。

さらに、工程の開始・終了時期や依存関係を整理すると、作業の重複や遅延を回避し、全体の流れを円滑に保てます。

人員配置では、必要な時期に適切なスキルを持つ人材を割り当てることで負荷を分散し、現場のパフォーマンスを高めることが可能です。

加えて、資材調達計画にも有効で、必要量を事前に把握すると、在庫過多や納期遅延を避け、予算管理の精度向上にもつながります。

山積み工程表の作成手順

山積み工程表は、以下の手順で作成します。

  1. 作業を洗い出す
  2. 作業時間を設定する
  3. リソースを見積もる
  4. グラフを作成する

段階を分けた設計により、全体像の把握が簡単になります。下記で、各ステップを具体的に解説します。

1.作業を洗い出す

山積み工程表を作成する手順は、プロジェクトに必要な作業を洗い出しましょう。

各作業の内容と開始・終了条件を具体化し細分化すると、全体像を明確に把握できます。同時に、依存関係や優先順位を整理すると、後の工程管理や調整が容易になります。

さらに、関係者間で共通認識を持つ体制を整えれば、情報不足や認識のずれによるトラブルを防止できます。

作業の洗い出しは計画の土台を築き、進捗管理やリスク対応を確実に行える環境を整えることにつながります。

2.作業期間を設定する

次に行うべきは、各作業の開始日と終了日を明確に定めることです。

期間を具体的に設定すると、全体スケジュールを俯瞰しやすくなり、進行管理の精度が高まります。決定にあたっては、過去のプロジェクトデータや担当者の実務経験を参照し、無理のない現実的な期間を設けることが重要です。

そして、作業間の依存関係や同時進行の可否を検討すると、計画全体の整合性を確保できます。さらに、一定の余裕を持たせた設定により、予期せぬトラブルや遅延にも柔軟に対応可能です。

適切な期間設定は、進捗確認や遅延対策を容易にし、プロジェクト全体を効率よく進めるために重要です。

3.リソースを見積もる

続いて、各作業に必要な人員・機材・資材といったリソースを具体的に算出します。そのうえで、供給可能な範囲と照合し、過不足を正確に確認しましょう。

適切な見積もりは偏りを防ぎ、効率的な配分を可能にします。さらに、需給バランスを維持するためには、調達時期を事前に計画し、必要に応じて外部リソースの活用も検討しましょう。

事前に準備を徹底しておくことで、コスト効率を高めつつ、安定した進行を支えられます。結果として、リソースの的確な管理はプロジェクトの成功を左右し、計画全体の信頼性を大きく向上させます。

4.グラフを作成する

最後に、収集した情報を基に山積み工程表をグラフ化します。

各作業の期間や必要なリソース量を視覚的に示すことで、関係者全員が直感的に状況を把握できます。グラフは定期的に更新し、進捗や計画変更を反映させることが大切です。

その結果、問題を早期に発見し、対処が可能です。

さらに、山積みの推移を把握すると、リスク管理にも活用でき、計画全体の透明性を高められます。共有されたグラフは意思決定を迅速化し、チーム全体の生産性を押し上げる効果を持ちます。

山積み工程表のメリット

山積み工程表を建設現場やプロジェクト管理に用いることで、具体的にどのようなメリットを得られるでしょうか。この項目では、山積み工程表を用いることで得られるメリットについて説明します。

工程を可視化できる

山積み工程表は、横軸に時間軸(それぞれの作業期間)を縦軸に負荷(人員や資材などのリソース)の大きさをグラフで表します。これにより、どの作業期間にどれだけのリソースがかかっているかの視認が可能です。

進捗状況が克明に分かるガントチャート工程表などと照らし合わせれば、詳細な工程の進捗状況と消費したリソースとの関係も一目瞭然です。このように工程の可視化ができるのは山積み工程表を作成するメリットです。

作業の偏りを防止できる

各作業工程におけるリソースの偏りが防止できるのも、山積み工程表を作成するメリットです。山積み工程表を見れば、各作業期間別のリソースの偏りが分かります。工期の長い建設工事では関係する人員の負荷配分を平準化することが重要です。

山積み工程表に能力線(能力の総合計)を引いて、能力線を上回っている期間のリソースを配分すれば作業の偏りを対策できます。

問題を早期発見できる

山積み工程表は、進捗状況やリソースの消費を時系列で可視化できるため、問題の兆候を初期段階で捉えられる有効な管理手法です。

計画との差異を小さいうちに把握できることで、遅延や人員不足、資材調達の遅れといったリスクが顕在化する前に調整が可能です。早期に認識すれば対策の選択肢が広がり、追加コストや工期延長といった深刻な影響を回避できます。

さらに、関係者全員が同じ情報を共有できるため、トラブル発生時にも即座に協力体制を構築できる点も強みです。結果として、リスクマネジメントの精度が高まり、プロジェクト全体の安定性を大きく向上させます。

山崩しが簡単

山崩し(作業リソースの平準化)が簡単にできるのも山積み工程表のメリットです。前述したように負荷配分ができれば作業の偏りがなくなり平準化できます。

山崩しは、事前に作成された山積み工程表から作業リソースのピーク時期を判断し、予想される仕事量と能力を見比べてピークのリソースを再配置する手法です。山積み計画表があれば、施工期間中の負荷配分が簡単にできます。

山積み工程表を使った管理手法

この項目では、山積み工程表を使った工程の管理(負荷配分)手法として、フォワード方式(順行負荷法)とバックワード方式(逆行負荷法)を取り上げました。

安定したリソースでスムーズに施工を管理するために負荷配分は重要な要素です。以下にそれぞれ具体的に説明します。

フォワード方式

フォワード方式は別名順行負荷法と呼ばれています。山積み工程表を作成した日を起点にして、施工開始日から作業手順に沿って時系列に作業リソースを積み上げていく方式です。

予定に沿って計画するので、施工全体のスケジュールが把握しやすい特徴があります。最終納期の算出や、受注前の大まかな納期予想に利用すると効果的です。

ただし、短納期で結果を要求される場合や、施工開始までに余裕がないときは計画が立てにくいので注意しましょう。

バックワード方式

バックワード方式は別名逆行負荷法と呼ばれています。納期を起点にして作業完了日から開始日に向けて時間軸の逆方向に作業リソースを積む方式です。

納期が決まっている工事の負荷配分に適しています。決められた納期から逆算するので、無駄のない人的リソースの配分が可能です。余計な資材の在庫も抑えられます。ただし、納期変更やリソースの調整が多くなると、負荷計算が複雑になるので注意が必要です。

山積み工程表を作成する手段

この項目では、山積み工程表を作成する方法を紹介します。山積み工程表を作成する手段は複数あるため、施工する工事の規模や自社の状況で使い分けると良いでしょう。

手書き

手書きは、山積み工程表を作成するときに最も手軽で身近な方法です。紙やホワイトボードに書くのが一般的で、少人数のプロジェクトなどに向いています。

手書きのため、一度立てた計画を修正するのも簡単です。ミーティングなどで作業員の意見を聞きながら作成でき、即時に周知徹底できます。ただし、規模の大きな工事で作業員が大勢必要な計画作成には不向きです。

エクセルなどの表計算ソフトを使う

山積み計画表を作成するときに、表計算ソフトがよく使われます。最もポピュラーなエクセルは、豊富な機能を搭載しているので使い勝手の良い表計算ソフトです。自動入力や用意されたテンプレートなどを使えば、山積み工程表のようなヒストグラムも簡単に作れます。

ただし、操作に慣れていないと、入力ミスなどで無駄に時間がかかるので注意しましょう。

工程管理ツールを使う

工程管理ツールを使えば、山積み計画表の作成だけでなくシステム上でガントチャート工程表などと連携でき、リソース管理の業務効率も改善します。自社でネットワーク環境やシステムを構築する「オンプレミス型」を採用すれば、自在なカスタマイズも可能です。

ただし、オンプレミス型の導入には初期コストやランニングコストがかかります。事前に自社予算も含めて入念な検討が必要です。

建設業向け工程管理ソフトおすすめ12選についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

工程管理ソフトおすすめ!無料ソフトや特徴も紹介! 建設業向け工程管理ソフトおすすめ12選!無料ソフトや特徴も紹介!

山積み工程表をエクセルで作成する方法

この項目では、山積み工程表作成法の中でエクセルを使う方法について解説します。紹介するのは、エクセル機能のテンプレートとグラフ機能です。テンプレートについては山積み表の雛型が無料でダウンロードできるサイトも多数ありますので検索してみてください。

テンプレートを使う

エクセルを使い慣れていなかったり初めて使う場合には、あらかじめ雛型が作られたテンプレートを使うと便利です。大抵の雛形には、白紙の山積み工程表の枠組みが用意されています。あとは横軸の時系列の欄に、その日に予想される工数を入力するだけです。

能力線を書けば、負荷が不足しているか余力があるかひと目でわかります。エクセル上で数字を変えることで、山崩しのシミュレーションも可能です。

エクセルのグラフ機能を利用する

エクセルのグラフ機能を利用すると、山積み工程表の作成は簡単です。エクセルのグラフ機能「折れ線と積み上げヒストグラムの組み合わせ」を使います。詳細は以下のとおりです。

  1. ワークシートの任意の列に「工数」「能力」「能力と工数の差」の項目を入力
  2. 項目を入れた上の行に施工期間の日付(月)を順に記入
  3. 月々のデータを項目別に入力
  4. 表全体を選択してメニューの挿入から「グラフ」を選択
  5. グラフの種類からヒストグラムを選択して「組み合わせ」を選択
  6. ポップアップメニューで「能力」だけ折れ線にする
  7. 「OK」をクリックすると山積み工程表のできあがり

工数の欄で工数が能力を超えるときは、能力値を入れ、差分は「能力と工数の差」に記入しましょう。

山積み工程表をエクセルで作成するときの注意点

山積み工程表をエクセルで作成するときは、注意点を把握しておくことが大切です。ここからは、山積み工程表をエクセルで作成するときに注意点を4つ紹介します。

属人化してしまう

山積み工程表をエクセルで作る場合、エクセルの操作に長けている人に工程表を作る作業が集中する可能性があります。エクセルはポピュラーな表計算ソフトですが、初心者にとっては煩雑な操作です。

作業が集中して属人化すると、作業が偏り一部の人に負荷がかかり作業効率が低下します。エクセルは便利なソフトですが、同時に属人化するリスクも考慮しておきましょう。

入力ミスが起きる

エクセルのデータ入力は手作業なので人為的なミスは防げません。また、エクセルは編集が容易なので、修正や変更が簡単にできてしまいます。山積み工程表は負荷の平準化に有効です。

しかし、数字を入れ間違うとリソースの発注や納期の遵守などにも影響を及ぼします。入力間違いのリスクを考慮して、入力内容を何人かでチェックするなど工夫が必要です。

修正や管理作業が煩雑になりがち

エクセルデータは編集や修正が容易なので、ファイルの保管には十分な注意が必要です。

急な納期変更や注文変更が起こった場合には、ファイルを取り出してデータを見直さねければなりません。誤って他の施工プロジェクトのファイルを変更しないように、厳重な管理が必要です。

エクセルを使用した山積み工程表の作成は簡単ですが、データ修正や管理作業は慎重に行いましょう。

オンライン共有ができない

社内ネットワークでの利用が想定されているため、外部とのオンライン共有ができません。そのため、エクセルで作成した山積み工程表は、出張先から閲覧することは難しいでしょう。

オンラインで共有するためには、エクセルではなく専門の工程管理システムが必要です。エクセルはコストをかけずに山積み管理表を作成できます。

しかし、外部とのデータ共有が必要なら、導入コストをかけてでも専門の工程管理システムを構築する方が効率的です。

工程表と行程表の違いについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

工程表 行程表 違い 工程表と行程表の違いを解説!それぞれの意味や使い分け方も紹介

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【まとめ】山積み工程表で負荷を分配し生産性を向上させよう

山積み工程表を活用すると、施工期間における負荷配分の偏りが平準化できるメリットがあります。

工程管理の方式には、フォワード方式とバックワード方式があり、それぞれのメリットをいかすことで、工事の種類や規模に応じた使い方が可能です。山積み工程表を有効に活用し、リソースの偏りをなるべく平準化して効率的な生産管理を行いましょう。

工程管理ソフトの機能や特徴、費用についてはこちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
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