火気使用願とは?使用する書式や書き方などをわかりやすく解説

火気使用願

建設現場で火気を使用する際は、安全管理上、「火気使用願」を提出する必要があります。しかし、初めて書類を作成する人にとっては、どのように記入すればよいのか悩むこともあるでしょう。また、そもそも火気使用願とはどのような書類なのか、よくわからないという方もいるかもしれません。この記事では、火気使用願の概要や使用する書式、記入項目ごとの具体的な書き方について解説します。

火気使用願とは

火気使用願とは、建設現場において溶接機やガスバーナーなどの火気を使用する際に、元請会社に提出して使用許可を得るために作成する安全書類の1つです。現場で使用されるすべての火気について、いつ、どこで、何の目的で、どのように使用し、どのような安全管理体制を敷いているのかを明確にする役割を担います。

工事で直接使う火気だけでなく、現場事務所の暖房器具やお茶を沸かすためのガスコンロなど、現場内のあらゆる火気が対象です。火気は取り扱いを誤ると火災などの重大な事故につながる危険性があるため、使用に際してはルールを遵守し、細心の注意を払う必要があります。

使用する書式

火気使用願の書式は、「全建統一様式参考様式第9号」が広く使われています。A4サイズの用紙1枚で完結するシンプルな書式で、必要事項を漏れなく記載できるようになっています。ただし、元請会社独自の書式を使用するケースもあるため、提出先の指示に従いましょう。いずれの書式でも、記載すべき項目に大きな違いはありません。

火気使用願の記入項目と書き方

火気使用願は大きく分けて、欄外部分と欄内部分の2つの記入エリアに分かれています。以下、それぞれの記入項目と書き方を詳しく見ていきましょう。

欄外部分の記入項目と書き方

欄外部分には、以下の項目を記載します。

  • 日付
  • 事業所名称
  • 所長名
  • 一次会社名
  • 使用会社名
  • 現場代理人の名前

順に解説します。

日付

火気使用願を提出する日付を記入します。書類の作成日ではなく、提出日であることに注意しましょう。和暦・西暦どちらで記載しても問題ありませんが、他の書類と統一するとよいでしょう。

【記入例】
令和○年○月○日
2023年4月1日

事業所の名称

工事を行う現場の名称や工事名を記載します。例えば、「〇〇新築工事」「△△ビル改修工事」など、具体的な工事名を書きましょう。

【記入例】
ABC商業施設新築工事
大手町オフィスビル改修工事

所長名

元請会社の現場所長(現場代理人)の氏名を記入します。一次会社や使用会社ではなく、元請会社の所長名であることに注意が必要です。

【記入例】
山田太郎

一次会社名

火気使用願を提出する一次下請会社の名称を記載します。二次以下の下請けが作成する場合は、一次下請会社に提出するため、その会社名を書きます。

【記入例】
株式会社〇〇工業

使用会社名

火気使用願の作成者である自社の名称を記入します。また、自社が二次下請けなのか三次下請けなのかを括弧内に数字で明記します。

【記入例】
△△建設株式会社(2次)

現場代理人(現場責任者)

自社の現場代理人(現場責任者)の氏名を記載し、押印します。現場に常駐できる人を選任しましょう。

【記入例】
佐藤次郎 ㊞

欄内部分の記入項目と書き方

欄内部分には、以下の項目を記載します。

  • 火気の使用場所や目的
  • 使用期間
  • 火気の種類
  • 管理方法
  • 火元責任者と火気使用責任者の名前

順に解説します。

使用場所

火気を使用する具体的な場所と、そこで行う工事内容を記載します。例えば、「2階鉄骨梁の溶接」のように場所と施工内容の両方を書きます。

【記入例】
1階 鉄骨柱の溶接
3階 空調ダクトの溶接
現場事務所 湯沸かし器の使用

使用目的

火気の使用目的を、用紙に記載された選択肢の中から選んで〇印を付けます。複数の目的に該当する場合はすべてに〇を付けます。選択肢にない目的の場合は、「その他」を選び、横の()内に具体的に書き入れます。

使用目的は具体的かつ明確に記載することが重要です。例えば、「溶接」と記載するだけでなく、「鉄骨梁の溶接接合」のように詳細を記すことで、作業内容がより明確になります。また、使用目的が複数ある場合は、主たる目的を最初に記載するようにしましょう。

使用期間・使用時間(原則)

火気を使用する期間と、1日の使用時間帯を記入します。使用期間は工事の期間と同じことが多いですが、火気を使用する作業期間を書くようにしましょう。

なお、記載した期間や時間外に火気の使用が必要となった場合は、必ず事前に元請けに連絡し、許可を得る必要があります。また、長期の工事の場合は、定期的に使用状況を確認し、必要に応じて火気使用願を更新することも重要です。安全管理の観点から、実際の使用状況と願いの内容に相違がないよう注意しましょう。

【記入例】
使用期間:2023年4月1日〜2023年6月30日
使用時間:8:00〜17:00

火気の種類

使用する火気の種類を、用紙に記載された選択肢から選んで〇印を付けます。複数の火気を使用する場合は、該当するすべての選択肢に〇印を付けます。

管理方法

火気使用時の管理方法として、現場に用意する消火設備や防火対策を選択肢から選んで〇印を付けます。特殊な管理が必要な場合は「取扱上の注意」欄に記載します。

【取扱上の注意記入例】
・可燃物の除去を徹底する
・火気使用場所の換気を行う
・監視人を配置する

火元責任者(後始末巡回者)

火気の使用後に後片付けや確認を行う火元責任者(後始末巡回者)の氏名を記入します。資格の有無は問いませんが、火災予防に関する知識を持つ人が望ましいです。

火気使用責任者

火気を直接取り扱う作業の責任者名を記載します。ガス溶接やアーク溶接など、法令で有資格者の使用が定められている作業の場合は、必ず有資格者の氏名を書く必要があります。火元責任者との兼任はできません。

【記入例】
高橋四郎(ガス溶接技能講習修了者)

火気使用願の提出先

火気使用願の提出先は作成者の立場によって異なります。一次下請けが作成した場合は元請けに直接提出しますが、二次下請け以下の場合は、一次下請けを経由して最終的に元請けに提出・許可を得る流れとなります。

したがって、二次下請け以下の業者は、自社で作成した火気使用願を一次下請けに提出した段階では完了ではありません。一次下請けから元請けへ提出され許可が下りるまでは、火気の使用を開始してはいけない点に注意が必要です。

また、提出の際は複数部数を用意し、元請けの許可印が押された控えを必ず受け取るようにしましょう。この控えは現場での火気使用時に必要となる場合があります。さらに、提出から許可までに時間がかかる可能性もあるため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。急な作業変更にも対応できるよう、常に最新の情報を元請けと共有することを心がけましょう。

火気使用願の注意点

火気使用願の提出後、元請けから許可条件が付されて返送されることがあります。単に許可されたからといって、その内容を確認せずに使用を開始するのは危険です。必ず許可条件をしっかりと読み、全ての項目を理解・遵守した上で火気を取り扱うようにしましょう。

許可条件の例としては、「指定場所以外での使用禁止」「可燃物との離隔距離の確保」「火気使用中の監視員の配置」「定期的な安全パトロールの実施」などが挙げられます。これらはいずれも、火災の発生を防止し、万が一の際の被害拡大を最小限に抑えるために重要な条件ばかりです。

また、火気使用願の提出は1回きりではありません。長期間の工事では火気を使う作業内容や場所が変わることもあるでしょう。その際は新たな火気使用願を作成し、再度許可を得る必要があります。日々の作業に慣れてくると、つい最初に出した火気使用願の内容を忘れがちになります。しかし、安全に火気を取り扱うためには、火気使用願の内容を常に意識し、それを守ることが何より大切なのです。

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【まとめ】火気使用願の書き方を正しく理解して安全な使用環境の管理を証明しよう!

火気使用願は、建設現場で火気を使用する際に欠かせない安全書類です。本記事では、火気使用願とは何か、使用する書式、記入項目ごとの具体的な書き方、提出先、許可条件の確認の重要性などについて詳しく解説しました。

正しい情報を過不足なく記載することで、元請会社は現場で使用されるすべての火気を把握し、その安全管理体制を確認できます。また、作成者側にとっても、火気使用に関するルールを再確認し、慎重に火気を取り扱う意識を高める良い機会となるはずです。

火気は、その特性上、取り扱いを誤ると重大な事故につながる可能性があります。したがって、火気使用願の作成・提出は単なる事務手続きではなく、現場の安全を守るための重要な責務であるという認識が重要です。一人ひとりが高い安全意識を持ち、ルールを守って火気に接することがなによりも大切だと言えるでしょう。

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