【建設業向け】工事注文書とは?書き方や注意点を無料テンプレート付きで紹介!

工事注文書

建築業で工事を発注する際に必要な「工事注文書」や「注文請書(ちゅうもんうけしょ)」の作成。一から自分で作成しようとすると、何を記載すべきか分からず、手間もかかるため抵抗を感じる方も多いでしょう。

この記事では、工事注文書の作成方法や必要な記載事項、作成時のポイントについて詳しく解説します。さらに、無料のテンプレートも提供していますので、初めて注文書や請書を作成する方や、PCでの文書作成に不安がある方はぜひ活用して、業務の効率化にお役立てください。

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【建設業向け】工事注文書とは?

建築業における注文書とは、建築業法に基づき、工事内容を依頼する際に作成する文書です。工事の内容、取引先の名称、発注金額、納期などを記載します。

実際に工事を始める前に交わすことで、基本契約で取り決めた工事内容を明確にし、受注側と発注側の合意を得ることができます。

基本契約の内容によって、発注側が注文書を提出した時点で工事契約が成立する場合もあれば、受注側が注文書に対して請書を作成することが必要な場合もあります。
【参照】「注文書及び請書による契約の締結について」(国土交通省)

工事注文書の役割

工事注文書の役割は、発注側が取引先に対して注文の意思を明確に示すことです。取引先はこの注文書をもとに作業を進めるため、注文書は非常に重要です。

注文書を作成せずに口頭の約束だけで仕事を進めると、双方の認識にズレが生じたり、「言った」「言わない」といったトラブルが発生する恐れがあります。

また、内容に誤りがあると、大きな損害を被る可能性があります。工事の内容を書面で提示し、作業内容を明確にすることで、トラブルやクレームを防げます。
【参照】「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第5版)」(国土交通省)

工事注文書の保存期間

工事注文書の保管期間は、確定申告の提出期限の翌日から7年間と定められています。これは、法人税法上、工事注文書が帳簿書類として扱われるためです。

基本的に、保管は紙で行う必要があります。電子契約を結んでいても、内容を紙に印刷して保管することが基本です。

紙での保管が必要な理由は、税務調査が発生した際に対応できるようにするためです。
ただし、税務署長の許可を事前に得ている場合は、電子契約書類のままで保管することができます。

工事注文書と注文請書の違いは?

工事注文書は、発注側が申込みの意思を明確にするための書面として発行する書類です。

一方、注文請書(ちゅうもんうけしょ)は、注文を受けた側がその注文を引き受ける意思を表明するために発行する書類です。つまり、工事注文書と注文請書は別々の書類であり、発注側と受注側がそれぞれの書類を発行し、相手に渡すことで契約が成立します。

また、注文書と注文請書を使う契約には流れがあり、注文書が必ず最初に発行されます。これは、発注側が注文する意思を明確にせずに、受注側が注文を受けたという注文請書が先に発行されると、契約の流れが正しくなくなるためです。

工事注文書の作り方

では、注文書を作成する際にはどのような方法が最適なのでしょうか。注文書を手書きで郵送することも可能ですが、複数の受注先に送る場合や継続的に送付する場合は、PCで作成しメールで送る方が便利で現実的です。

MicrosoftのWordやExcelを使う方法と、テンプレート作成ツールを使う方法について、それぞれどのように作成するかを見ていきましょう。

Word

Microsoft Wordを使った方法です。

Wordを使えば、A4サイズなど1枚の用紙に収まる注文書を作成できます。最近では、無料で提供されている注文書や請書のテンプレートもありますので、必要な情報を入力すれば比較的簡単に作成できます

ただし、数量や金額などの表に記載する部分は自動計算されませんので、事前に金額を計算してから手動で入力する必要があります。

Wordは使いやすいですが、数値を入力する部分では少し手間がかかるかもしれません。

Excel

Microsoft Excelを使った方法です。

Wordとは異なり、Excelでは数量の合計や合計金額を自動計算する機能があります。数式を使って計算するので、事前に計算する手間が省け、注文書の正確性が保たれます

また、無料で提供されているテンプレートもあるので、難しい計算式を入力せずに簡単に作成できます。

ただし、複数の注文書や請書を作成する場合、同じ書式をコピーする必要があります。その際、入力漏れや間違いが起きると他社への情報漏洩となる可能性があるので注意が必要です。

無料テンプレートはこちらからダウンロード可能です。

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テンプレート作成ツール

専用のツールを使って、注文書のテンプレートを独自に作成する方法です。

この方法は、先述の2つの方法とは異なり、文書に直接書き込むのではなく、専用ツールに情報を入力して、自動的に文書を生成します。

企業情報や工事内容、数量、金額などを入力すると、テンプレートに情報が反映されます。数量や金額の計算はもちろん、複数の注文書や請書の金額管理もできるため、工事にかかる費用の一元管理が可能です

ただし、一般的なツールでは建築業向けの機能が不足していることがあるため、建築業に特化したツールを選ぶことが重要です。

工事注文書はテンプレートが最も簡単!

前述の3つの作成方法でも示したとおり、注文書や請書を作成する際には、テンプレートを利用するのが最も簡単で効率的です。

テンプレートがあれば、工事ごとに内容を書き換えるだけで済むので、作業時間が短縮されます。また、ペーパーレス化により、紙のファイリング作業が不要になり、便利です。

テンプレートを使用することで、人件費と紙代の両方のコストを削減できるため、最も良い方法といえるでしょう。

工事注文書の書き方と内容

工事注文書や請書には、工事の内容や工期、数量、金額などが記載されています。しかし、具体的な工事の詳細や取引条件は基本契約書で取り決められるため、注文書や請書には必要ありません。

ただし、建築業法で定められた必須項目は必ず記載しなければなりません。注文書や請書にはどのような内容が必要で、それらをどこに書くかなど、工事注文書の書き方について、5つのポイントを見ていきましょう。

【参照】「建設業法令遵守ガイドライン(改訂)」(国土交通省)

必須項目

工事注文書に決まったフォーマットはありません。また、注文書と注文請書に記載する項目はほとんど変わりません。ただし、建築業法によって定められた必須項目は以下の通りです。

  • 発注者の情報:発注者の事業者名や氏名
  • 受注者の情報:工事を受ける事業者名や氏名
  • 工事日程:工事着手の時期及び工事完成の時期
  • 工事内容:依頼した工事の内容
  • 取引金額:請負代金の合計金額

この5つが記載されていないと、国税庁が定める「工事注文書」として認められず、効力を失う可能性があります。そのため、注文書を作成する際には、必ず記載しましょう。

また、工事の期間や施工現場の場所、納期や支払い条件が決まっている場合には、それらも記載します。注文時に伝えるべき情報がある場合は、必要に応じて追加してください。

消費税率

工事注文書の必須項目には取引金額の記載がありますが、消費税率も記載する必要があります

工事内容と取引金額が記載された表の右下に、税抜き金額の小計、その下に税額、さらにその下に税込の合計金額を載せると、工事にかかる費用がより明確になります。

テンプレートが作成された時期によっては消費税率が変わっている可能性があるため、作成時には数式を確認し、消費税率が正しいかどうか注意しましょう。

テンプレートを使って書く

テンプレートを使用する際は、法定の必須項目がすべて含まれているか、文書の内容が発注したい内容に合っているかを確認しましょう。

テンプレートの中には、単純な物品発注のみを想定したものもあります。建築業の工事注文に使用する場合は、工期、施工場所、工事内容などを入力できる欄があるものが望ましいです。

必要な箇所を入力した後は、データの改ざんを防ぐために上書きできない状態に保護し、メールに添付するか、PDFに変換して相手に送付しましょう。

書く内容は必要最低限に

工事注文書の内容は、注文する項目と金額の記載がメインです。文書は1枚に収まるよう、最低限の内容にとどめましょう。

発注者と受注者の細かな規約や発注時の注意点は基本契約書に記載されているため、省略できます

その代わり、注文書の上部に「契約書第〇条の規定に基づき、下記の通り注文いたします」などの文言を入れると、注文の根拠が明確になり、双方にとって親切です。

書類に記載する本文はできるだけ短くし、シンプルな注文書を作成することをおすすめします。文章が長くなると受注者にとってわかりにくくなるため、必要最低限の文章で十分です。

注文請書と工事注文書の違いを理解する

注文請書(ちゅうもんうけしょ)は、工事の受注側が注文を引き受けることを証明する文書で、工事注文書によって発注者が注文した内容の契約が成立したことを示します。

建築業法では注文請書の提出が義務付けられていませんが、工事注文書に「注文をお引き受けの場合には、請書を提出願います」といった記載がある場合に必要となります。

通常、注文請書は受注側が作成して発注元に提出しますが、文書作成の手間を省くために、発注元が両方の文書を作成し、内容を確認した受注側が承諾する場合もあります。

注文請書が必要な場合は、工事注文書とセットで作成できるテンプレートを活用すると便利です。

【建設業向け】工事注文書を作成する際の注意点

建設業において、工事注文書は非常に重要です。そのため、作成する際には、いくつかのポイントに注意する必要があります。

そこで、工事注文書の作成に関する基本的なルールや注意点について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

訂正する場合は再発行が必要になる

注文書に記載ミスがあった場合は、基本的には注文書を再発行しなければなりません。ただし、再発行が難しい場合は、訂正箇所に二重線を引き、印鑑を押します。

その際には、工事注文書で使用した印鑑を使うようにしてください。なお、取引先によっては訂正のやり方が異なる場合があるので、事前にルールを確認しておくと安心です。

工事注文書のみでの契約には収入印紙を貼り付ける

工事注文書には、原則、収入印紙の貼付は不要です。ただし、工事注文書のみで契約が成立する場合は、課税文書にあたるため、収入印紙が必要になります

具体的には、以下のケースで収入印紙が必要です。

  • 工事注文書を注文請書としても使用している
  • 当事者双方の署名や記名押印がある
  • 工事注文書に申込みや承諾の意思が示されている

これらの注文書は契約書とみなされるため、収入印紙を貼る義務があります。ただし、別途注文請書が発行される場合は、収入印紙を貼る必要はありません

また、印紙税は紙の文書を発行した際に発生する税金です。そのため、注文書をメールなどでやり取りする場合も、収入印紙を貼る必要はありません。

正式な書面のため押印する

工事注文書には、基本的に押印の必要はありません。印鑑や社印がなくても契約は成立します。
しかし、会社が正式に発行した書類であることを証明するためや、改ざん防止の観点から、社印などを押印するのが一般的です。

基本契約書を結んでない場合契約約款を添付する

基本契約を結んでいない場合は、契約約款を添付する必要があります。注文書および請書を相互に交付する場合には、注文書に記載されていない細かな事項を定めた工事請負契約約款を用意し、注文書と注文請書に添付する必要があります。

一方、基本契約書を結んでいる場合は、契約約款を添付する必要はありません。

工事注文書の作成はアウトソーシングもおすすめ

工事注文書の作成は、アウトソーシングサービスの利用もおすすめです。

従業員のリソースがひっ迫している場合や、工事注文書の作成に対応できる人材が不足している場合などは、アウトソーシングサービスを活用すると、少ない工数で業務に必要な書類を作成できます。専門的な知識を持っているスタッフが対応するため、スムーズに書類作成を進められます。

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注文書や請書を書いたことがなくても、テンプレートで簡単に作成が可能!

以上、建築業で工事を発注する際の注文書と請書について、作り方や記載内容、注意点を紹介しました。

工事の注文書や請書を初めて作成する方や、PCでの文書作成が苦手な方でも、テンプレートを活用すれば簡単に作成できます。特にテンプレート作成ツールを使えば、注文内容の記録だけでなく、複数の注文にかかるコストの計算も可能です。これにより、他社との比較や予算の見直しが簡単にできます。自分に合った使いやすいツールを選んで、文書作成の効率化を図りましょう。

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