左官工事業とは?左官工事業の建設業許可取得方法や資格などをご紹介!

建物の外部や内部の壁などに漆喰やモルタルなどを塗る左官工事業ですが、建築工事において美観や機能性を向上させる非常に重要な役割を担います。では実際に左官工事業の建設業許可はどのように取得すればいいのでしょうか?

今回は左官工事業の建設業許可取得に必要な要件や条件などについて詳しく紹介します。左官工事業を始めたい方や、既に営んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

左官工事業とは?

左官工事業とは、壁土やモルタルなどの材料を使って、建物の表面をこて塗りや吹付け、はり付けなどの方法で仕上げる工事を行う業者のことです。左官工事は、以下のような6種類に分類されます。

  • 左官工事
  • モルタル工事
  • モルタル防水工事
  • 吹付け工事
  • とぎ出し工事
  • 洗い出し工事

それぞれ解説していきます。

  • 左官工事
    建物の壁や床などの表面を土やモルタルなどの材料で仕上げる工事です。
  • モルタル工事
    モルタルを使って壁や床などの表面を仕上げる工事です。モルタルとは、セメントや砂、水などを混ぜて作る人工的な材料です。ひび割れしやすいというデメリットがありますが、コンクリートよりもなめらかな仕上がりが可能です。
  • モルタル防水工事
    モルタルに防水剤を混ぜて壁や床などの表面を防水する工事です。水や湿気による劣化やカビの発生を防ぐために、浴室やキッチン、屋上などの水回りや外壁に行われます。
  • 吹付け工事
    モルタルや漆喰などを機械で吹付けて壁や床などの表面を仕上げる工事です。広い範囲を均一かつ素早くに塗り固められるというメリットがあります。
  • とぎ出し工事
    モルタルや漆喰などで仕上げた壁や床などの表面をこてでとぎ出して平滑にする工事です。壁や床の表面の整え、綺麗な仕上がりにするために行われます。
  • 洗い出し工事
    モルタルや漆喰などで仕上げた壁や床などの表面を水で洗い出して石や砂などの素材を露出させる工事です。壁や床の表面に自然な風合いや質感を与えるために行われます。

左官工事業の建設業許可取得の要件

建設業許可には、一般建設業の許可と特定建設業の許可の2種類が存在します。一般建設業の許可および特定建設業の許可を取得するには、以下の6つの要件を満たす必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者
  2. 専任技術者
  3. 誠実性
  4. 財政的基礎
  5. 欠格要件
  6. 社会保険への加入

それぞれ解説していきます。

1.経営業務の管理責任者

建設業で健全な経営を行うためには、ある一定の経験や知識を持ち合わせている人が1人以上は必要とみなされています。そのため、許可を申請しようとする人が、法人の場合は常勤役員のうちの1人が、個人の場合は本人または支配人のうちの1人が、一定期間役員として業務に携わっていた必要があります。

2.専任技術者

「専任技術者」とは建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保する専門的知識を有する人のことです。詳しい条件は後述します。

3.誠実性

不正や不誠実なことをして請負契約を締結したり実施したりする可能性が高い場合は、建設業は行えません。許可の対象である法人や個人だけでなく、建設業の営業取引で重要な役割を果たす役員や支店長や営業所長等についても誠実性が求められます。

4.財産的基礎

建設工事を始めるには、資材や労働者、機械器具などを用意するため、ある程度の準備資金が必要となります。また、営業活動をする場合にも十分な資金を持っていることが必須です。このため、建設業の許可を受けるには、工事を請け負えるだけの財産的基礎等があることが条件となっています。さらに、特定建設業の許可を得ようとする場合は、この財産的基礎等の条件が一般建設業より厳しくなっています。これは、特定建設業者は多くの下請けを利用して工事をすることがあること、安定した経営が求められること、また、発注者から報酬をもらっていなくても、下請けには工事のものを渡したときから50日以内に報酬を払う義務があること等の理由があるためです。

一般建設業の場合

次のどれかに当てはまることが条件になります。

  • 自己資本が500万円以上ある
  • 500万円以上の資金を集めることができる
  • 許可をもらってから5年間営業した実績がある

建設業許可に必要な500万円がない場合の対処法

「建設業許可を取得したいけど500万円も手元にない・・・」このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。そのような場合には以下のような対処法で解決できます。

  • 複数の口座に入っているお金を1つにまとめる
  • 入金のタイミングで残高証明書を取得する
  • 資金を調達する

詳しい内容や、資金調達に関する注意点などは以下の記事で分かりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可に必要な500万円がない場合はどうする?資本金が足りない場合の対処方法をご紹介!

特定建設業の場合

次のすべてに当てはまることが条件になります。

  • 赤字の額が資本金の20%以下である
  • 流動資産が負債の75%以上ある
  • 資本金が2,000万円以上、かつ、自己資本金が4,000万円以上ある

5.欠格要件

許可申請書や添付書類に偽りがあったり、重要な事実について記載がない場合、また、許可申請者やその役員等や令第3条で定める使用人が次のものに1つでも当てはまる場合、許可を受けることはできません。

  • 破産して復権しない者
  • 一般建設業や特定建設業の許可を特定の理由で取り消され5年が経過していない人
  • 許可をもらおうとする建設業について特定の理由で営業を禁止され、その禁止の期間が終了していない人

このようにいくつかの条件があります。

6.社会保険への加入

建設業の法律が2020年10月から変更となり、建設業許可をもらうためには社会保険への加入が必要になりました。 そのため、これから建設業許可を申し込む時(新しくもらう時も更新する時も)、社会保険に加入していないと申し込みが受け付けられません。加入が必要な社会保険は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つです。

【一般建設業】左官工事業の専任技術者の要件

建設業に関する建設工事の契約をきちんと締結したり履行したりするためには、専門的な知識が必要となります。見積もりや入札、契約などの建設業に関する営業は各営業所で行われるため、営業所ごとに一定の資格や経験を持った者(専任技術者)を配置することが必要となります。 なお、経営業務の管理責任者と同じように、専任技術者の置き方も許可の条件の1つのため、許可をもらった後に専任技術者がいなくなった場合は許可の取り消しの対象になるので、注意が必要です。

資格

下記の資格のいずれかを持っている場合、一般建設業における左官工事の専任技術者になれます。

  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(仕上)
  • 技能検定 左官 ※2級の場合、合格後に3年以上の左官工事の経験が必要

指定されている学科の卒業と実務経験

上記の資格を持っていなくとも、「土木学科」もしくは「建築学科」を卒業し、中学校や高校や専修学校を卒業後5年以上、もしくは高専や大学を卒業後3年以上の実務経験がある人は、一般建設業での左官工事の専任技術者になれます。実務経験の証明は、以下の通りです。

  • 建設業許可がある会社で働いたことのある人
    卒業証明書+建設業許可通知書の写しと厚生年金の記録などで証明
  • 建設業許可がない会社で働いたことのある人
    卒業証明書+電機通信工事と確実に分かる工事の契約書や注文書や請求書などと厚生年金の記録などで証明

左官工事業に関する実務経験が10年以上ある

上記の資格や学歴がなくても、10年以上の左官工事の経験があれば、一般建設業における左官工事の専任技術者になれます。実務経験とは、具体的に工事の施工に携わる、工事の施工を管理・監視、工事発注の際に設計技術者として設計に関わる、現場監督を担当することなどが該当します。工事現場での簡単な雑用や事務作業は、実務経験としては認められません。また、実務経験を証明するためには、「工事を行っていたこと」と「在籍していたこと」の示す資料が必要となります。この二つの資料がある期間が実務経験として認められます。

【特定建設業】左官工事業の専任技術者の要件

特定建設業は一般建設業と、以下の相違点があります。

  • 下請契約の金額
    一般建設業の場合は、発注者から直接請け負った工事1件につき、4,500万円(建築工事の場合は7,000万円)未満の下請契約を締結できますが、特定建設業の場合は、発注者から直接請け負った工事1件につき、4,500万円(建築工事の場合は7,000万円)以上の下請契約を締結できます。
  • 一般建設業よりも厳しい要件
    特定建設業の許可を受けるには、後述にもある通り、一般建設業よりも厳しい要件を満たす必要があります。
  • 特定建設業の許可を受けると、一般建設業の許可を受けることができない
    これは、建設業法の規定によるものです。建設業法では、同一業種において、特定建設業と一般建設業の両方の許可を取得することを禁止しています。つまり、特定建設業と一般建設業は、上位と下位の関係ではなく、排他的な関係にあるということです。

1級建築施工管理技士の資格取得

次の資格を持っている場合には、特定建設業で左官工事の専任技術者になれます。

  • 1級建築施工管理技士

指導監督的な実務経験が2年以上ある

一般建設業で左官工事の専任技術者になる条件しか満たしていなくても、4,500万円以上の左官工事の元請工事を2年以上監督した実務経験があれば、特定建設業で左官工事の専任技術者(または監理技術者)になることができます。このような実務経験を「指導監督的実務経験」といいます。指導監督的実務経験があることを証明するためには、「4,500万円以上の元請工事をしていたこと」と「在籍していたこと」の二つのことを示す資料が必要となります。この二つの資料がある期間が指導監督的実務経験として認められます。

建設業許可申請の手順

建設業許可取得の要件を全て満たしており、実際に申請してみたいと思う方はこちらの記事で申請手順や必要書類、申請にかかる費用などを詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可申請の流れとは?必要な理由や申請の手順を完全解説!

建設業許可なしで工事を行ったときの罰則や罰金

建設業法で定められた、建設業許可が必要な工事を、許可なしで行った場合は法律違反となるため、罰則や罰金が科されます。
建設業法の違反に対しては、その犯した違反の程度に応じて様々な罰則が課されます。そのなかでも無許可で工事を受注した際には「300万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役」という最も重い罰則が科されますので注意が必要です。
以下の記事では、実際に無許可で工事を請負い逮捕された事例なども詳しく紹介していますので、必ず目をとおしておきましょう。
建設業許可なしで請負うとバレる?建設業許可なしで行ったときの罰則や罰金などを解説

左官 仕事がない左官職人の仕事がないは誤解?仕事の内容や将来性などを解説

【まとめ】左官工事業の建設業許可取得の際には6つの要件を満たすことが必須

左官工事業の建設業許可の取得方法や資格などをご紹介しました。左官工事業は、壁や床などの仕上げ工事を行う建設業で、一般建設業と特定建設業の2種類があります。それぞれ異なる条件を満たす必要がありますが、共通する要件としては以下の6つになります。

  1. 経営業務の管理責任者
  2. 専任技術者
  3. 誠実性
  4. 財政的基礎
  5. 欠格要件
  6. 社会保険への加入

左官工事業の建設業許可を得ることは大変難しいことではありますが、取得すればより大きな工事や公共工事を請け負うことができたり、取引先や顧客からの信頼や評価を高めることができたりと、大きなメリットがあります。ぜひ建設業許可の申請を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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