熱絶縁工事業とは?熱絶縁工事業に必要な資格や建設業許可取得方法などをご紹介!

建設業を営む方のなかには、

  • 熱の絶縁工事についてもっと詳しく知りたい
  • 熱絶縁工事業の建設業許可を取得したい

このような悩みを抱えている方も多いでしょう。
この記事では、そういった熱絶縁工事業について解説します。また熱絶縁工事業における建設業許可の取得に必要な要件などの知識も身に付きます。ぜひ最後までご覧ください。

熱絶縁工事業とは?

熱絶縁工事とは、建物や設備の熱が外部に漏れるのを防ぐ工事です。具体的には、冷暖房や冷凍冷蔵、動力設備などから生じる熱が所定の範囲から先に通らないようにする工事です。また近年増えている、住宅建築で行われるウレタン吹付け断熱工事も熱絶縁工事の1つです。
熱絶縁工事は、設備のエネルギー効率を高めることを主な目的としています。住宅で熱絶縁を行うことで、快適な居住環境を実現するために重要な役割を果たします。こうした熱絶縁工事を行うには、一部の例外を除いて建設業許可を取得しなければいけません。

熱絶縁工事業の建設業許可取得の要件

先ほども解説した通り、一部の例外を除き、熱絶縁工事を行うには建設業許可が必要です。ここからは、熱絶縁工事業の建設業許可の取得に必要な6つの要件を解説します。熱絶縁工事業の建設業許可を取得するためには、次の要件を全て満たさなければいけません。

  • 経営業務の管理責任者
  • 専任技術者
  • 誠実性
  • 財産的基礎
  • 欠格要件
  • 社会保険への加入

それでは、それぞれの要件を具体的に見ていきましょう。熱絶縁工事業の建設業許可取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1.経営業務の管理責任者

熱絶縁工事業の建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者を定めなければいけません。熱絶縁工事業で建設業許可を取得するためには、法人の場合最低でも1人は経営業務の管理責任者を配置しなければいけません。では、経営業務の管理責任者とはどういった方が該当するのかというと、次のいずれかの要件に当てはまる方です。

  • 建設業に関して、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する。
  • 建設業に関して、5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位で、経営業務を管理した経験を有する。
  • 建設業に関して、6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位で、経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する。
  • 建設業に関して、2年以上役員等としての経験を有し、かつ5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位で経営業務を管理した経験を有する。
  • 加えて常勤役員等を直接に補佐する者として、当該建設業者又は建設業を営む者において財務管理や労務管理、運営業務について、5年以上の経験を有する
  • 5年以上法人役員等としての経験を有し、かつ建設業に関して、2年以上役員等としての経験を有する。
  • 加えて、常勤役員等を直接に補佐する者として当該建設業者又は建設業を営む者において財務管理や労務管理、運営業務について、5年以上の経験を有する。

2.専任技術者

熱絶縁工事業の建設業許可を取得するためには、専任技術者も定めなければいけません。専任技術者とは、許可を受けようとする建設業に関して建設工事についての専門的知識を有する人物です。他の建設業で専任技術者となっていても、熱絶縁工事業の専門的な知識や経験がなければ、専任技術者にはなれません。
専任技術者のより詳しい条件については、後ほど詳しく解説します。建設業許可の種類によって要件が異なるため、解説する内容を把握し、知識を身に着けてください。

3.誠実性

誠実性は建設業許可の審査で重視される要素です。建設業界では、契約の際に契約金額の一部が前払いされることもあるため、信頼関係の構築が必要不可欠です。信頼関係の構築には、会社に違法性があってはいけません。
法人や役員が法律違反や契約違反を行うと誠実性が疑われ、建設業の許可が下りにくくなります。また、不正や不誠実な行為で処分を受けた後5年間はその影響が続き、会社の経営に大きな支障を来たすことになるので注意しましょう。

4.財産的基礎

財産的基礎は、建設業者の事業継続に必要な財務力を指します。建設業許可を取得するには、大規模な工事に対応できる経済的安定性が必要です。事業を円滑に進めるため、契約後の準備資金や工事期間中の資金繰り能力がなければ工事を完了まで継続できません。
そのため、財務面での不安定さは、事業の遅延や倒産リスクを高めることになり、建設業の許可審査ではこの点が厳しくチェックされます。財産的基礎の具体的な要件は、一般建設業と特定建設業の場合で異なるため、詳しく見ていきましょう。

一般建設業の場合

一般建設業の許可を受けるには、財務基盤の確固たる証明が必要です。具体的には、次のいずれかの条件に当てはまらなければいけません。

  • 自己資本が500万円以上
  • もしくは同額の資金調達能力がある
  • 現在、建設業許可を有していて、過去5年間に建設業許可を受けて継続営業した実績がある。

自己資本は、法人の場合、純資産合計が基準となります。個人事業主は期首資本金や事業主利益から計算されます。資金調達能力は、金融機関からの預金残高証明書で証明され、許可申請日の1ヶ月以内に発行された証明書であれば有効です。

建設業許可に必要な500万円がない場合の対処法

「建設業許可を取得したいけど500万円も手元にない・・・」このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。そのような場合には以下のような対処法で解決できます。

  • 複数の口座に入っているお金を1つにまとめる
  • 入金のタイミングで残高証明書を取得する
  • 資金を調達する

詳しい内容や、資金調達に関する注意点などは以下の記事で分かりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可に必要な500万円がない場合はどうする?資本金が足りない場合の対処方法をご紹介!

特定建設業の場合

熱絶縁工事の特定建設業での建設業許可を得るためには、次の全ての財産的基礎の要件を満たさなければいけません。

  • 欠損比率が資本金の20%を以下
  • 流動比率が75%以上
  • 資本金の額が2,000万円以上あり、自己資本の額が4,000万円以上であること

特定建設業は大規模な工事を請け負うため、財産的基礎の要件が一般建設業より厳格になっています。特定建設業で建設業許可の取得を目指す方は、一般建設業と特定建設業の違いを把握し、財産的基礎の要件をクリアできるように準備を行いましょう。

5.欠格要件

建設業許可を取得するには、欠格要件に該当しないことが必須です。次の条件のいずれかに当てはまる場合は、欠格要件に該当するため、建設業許可が受けられません。

  • 復権を得ていない破産者
  • 一般建設業又は特定建設業の許可を取り消され、取消しの日から5年経過していない。
  • 営業の停止を命ぜられ、停止の期間が経過していない。
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行終了、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過していない。
  • 暴力団員、又は暴力団員であることを辞めた日から5年経過していない。
  • 精神の障害などにより建設業を適正に営むために必要な認知や判断、意思疎通が適切に行えない。
  • 暴力団員等がその事業活動を支配している。

建設業許可の取得後も、欠格要件に該当すると許可は取り消されます。したがって、許可申請時には正確な情報の提出が不可欠です。

6.社会保険への加入

2020年10月の建設業法改正で、建設業許可の取得要件に社会保険への加入が新たに加わりました。この改正により、建設業許可を取得する際には健康保険と厚生年金保険、雇用保険の3つに加入することが求められます。新規申請時だけでなく、許可の更新時にも社会保険に加入していないと、建設業許可の更新は認められません。
以前は社会保険未加入でも許可取得が可能でしたが、改正後は加入が必須条件となりました。

【一般建設業】熱絶縁工事業の専任技術者の要件

ここからは、一般建設業で熱絶縁工事の専任技術者となるための要件を解説します。一般建設業の熱絶縁工事の専任技術者として申請するためには、次のいずれかの条件を満たす人物が営業所ごとに常勤する必要があります。常駐できない場合は建設業許可が認められないため、複数の営業所で建設業を営む場合は、適任者を専任しなければいけません。

  • 資格
  • 指定されている学科の卒業と実務経験
  • 熱絶縁工事業に関する実務経験が10年以上ある

それぞれの条件を詳しく解説しますので、申請を検討している方は、参考にしてください。

資格

資格で専任技術者を申請する場合は、任命される人物が次のいずれかの資格を取得していなければいけません。

  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(仕上)
  • 技能検定 熱絶縁施工

いずれの資格も国家資格のため、取得は容易ではありません。資格取得のために実務経験が必要なこともあるため、取得できる人物は限られます。
「技能検定 熱絶縁施工」は2級の場合、合格後3年以上の実務経験が必要と他の資格と扱いが異なるため、注意が必要です。

指定されている学科の卒業と実務経験

指定されている学科の卒業と実務経験で専任技術者の申請をする場合、次のいずれかの条件に該当する必要があります。

  • 指定学科修了者で、高卒後は5年以上、大卒後は3年以上の実務の経験を有する者
  • 指定学科修了者で、専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者。
  • 専門学校卒業後、3年以上の実務経験を有する者で、専門士。
  • 専門学校卒業後、3年以上の実務経験を有する者で、高度専門士を称する者

熱絶縁工事業の建設業許可申請に必要な指定学科は土木工学か建築学、機械工学のいずれかです。

熱絶縁工事業に関する実務経験が10年以上ある

上記の2つの要件を満たしていなくても、熱絶縁工事に関する経験が10年以上あれば、専任技術者として申請可能です。実務経験は、建設業許可を有している会社の場合、建設業許可通知書のコピーと厚生年金の被保険者記録照会などで証明可能です。建設業許可がない会社での経験の場合、熱絶縁工事とわかる請負契約書や注文書など厚生年金の被保険者記録照会回答表で証明できます。
熱絶縁工事における実務経験が10年未満でも、熱絶縁工事の専任技術者として申請できる場合があります。その場合は、熱絶縁工事における実務経験が8年以上あり、他の業種での実務経験を合わせて実務経験が12年以上必要です。

【特定建設業】熱絶縁工事業の専任技術者の要件

ここからは、特定建設業における熱絶縁工事の専任技術者の要件を解説します。一般建設業よりも大規模な工事を施工できる特定建設業の場合、専任技術者の要件は財産的基礎同様に厳格になります。
資格で申請する場合、一般建設業とは違い、「1級建築施工管理技士」の有資格者しか申請できません。2級建築施工管理技士や技能検定では申請できないため、注意しましょう。実務経験で申請する場合は、次で解説しますのでそちらをご覧ください。

指導監督的な実務経験が2年以上ある

特定建設業の熱絶縁工事業で、専任技術者として実務経験で申請する場合は、指導監督的な実務経験が2年以上必要です。指導監督的な実務経験とは、建設工事の設計から施工の全般で、工事の技術面を総合的に指導監督した経験を指します。
特定建設業の申請における実務経験は、どのような工事でも良いわけではありません。請負金額が4,500万円以上の工事で2年以上の実務経験がなければ、認められないため、注意が必要です。また特定建設業の専任技術者になるためには、一般建設業の専任技術者の要件を満たす必要があります。

建設業許可申請の手順

建設業許可取得の要件を全て満たしており、実際に申請してみたいと思う方はこちらの記事で申請手順や必要書類、申請にかかる費用などを詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可申請の流れとは?申請の手順を解説!

建設業許可なしで工事を行ったときの罰則や罰金

建設業法で定められた、建設業許可が必要な工事を、許可なしで行った場合は法律違反となるため、罰則や罰金が科されます。
建設業法の違反に対しては、その犯した違反の程度に応じて様々な罰則が課されます。そのなかでも無許可で工事を受注した際には「300万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役」という最も重い罰則が科されますので注意が必要です。
以下の記事では、実際に無許可で工事を請負い逮捕された事例なども詳しく紹介していますので、必ず目をとおしておきましょう。
建設業許可なしで請負うとバレる?建設業許可なしで行ったときの罰則や罰金などを解説

【まとめ】熱絶縁工事業の建設業許可取得の際には6つの要件を満たすことが必須

熱絶縁工事業は、建設工事に携わっていても関わることの少ない業種です。そのため、深い知識が無いという建設業経営者の方も少なくありません。しかし、いざ熱絶縁工事の建設業資格が必要となった場合、必要な知識がなければ工事が行えません。
特に財産的基礎や専任技術者といった許可申請に必要な要件は、一般建設業か特定建設業かで内容が異なります。そういった違いを理解することも重要です。
今回解説した内容を参考に、将来的な必要性も踏まえて、熱絶縁工事の建設業許可取得を検討してみてください。

 

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