造園工事業の許可申請に必要な要件は?必要な資格や申請の注意点などをご紹介!

造園工事業の建設業許可を取得するためには、いくつかの要件をクリアしなければなりません。2020年10月の建設業法改正により、適切な社会保険への加入も必要になりました。要件のひとつである専任技術者になるためにも、いくつかの条件を満たす必要があります。
本記事では、造園工事業の建設業許可の要件、専任技術者になる要件、建設業許可を取得せずに工事をした際の罰則や罰金を解説します。

造園工事業とは?

造園工事は、建設業許可における27種類の専門工事のひとつです。国土交通省による「建設工事の内容を定める告示」では、造園業は「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事」とされています。例として、以下の工事が挙げられます。

  • 植栽工事
  • 地被工事
  • 景石工事
  • 地ごしらえ工事
  • 公園設備工事
  • 広場工事
  • 園路工事水景工事
  • 屋上等緑化工事
  • 緑地育成工事

造園工事業の建設業許可取得の要件

造園工事業の建設業許可取得の要件は、以下の6つです。すべての要件を満たさないと、建設業許可を取得できません。

  1. 経営業務の管理責任者
  2. 専任技術者
  3. 誠実性
  4. 財産的基礎
  5. 欠格要件
  6. 社会保険への加入

それぞれの内容を解説します。

1.経営業務の管理責任者

建設業法施行規則第7条第1号で、経営業務の管理責任者の設置が定められています。法人である場合は常勤役員のうちの1人、個人事業主である場合は本人と支配人のうちどちらか1人が、以下の要件のいずれかを満たしている必要があります。

  • 造園工事業に関し役員の経験が5年以上ある
  • 造園工事業に関し、経営業務執行の委任を受けたうえで経営業務管理責任者に準ずる地位として経営業務を管理した経験が5年以上ある
  • 造園工事業に関し、経営業務管理責任者に準ずる地位として経営業務管理責任者の補助業務に従事した経験が6年以上ある
  • 建設業に関して2年以上役員として経験を有し、かつ5年以上役員又は役員に次ぐ職制上の地位にある + 5年以上財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した者を補佐として置いている
  • 5年以上役員としての経験を有し、かつ建設業に関して2年以上の経験がある + 5年以上の財務管理、労務管理、業務運営管理に従事した補佐役を置いている

2.専任技術者

専任技術者の設置が、建設業法第7条第2号、同法第15条第2号で定められています。専任技術者とは、建設工事に関する請負契約を適正に締結し、履行する役割を持つ技術者を指します。営業所に常駐しなければならないので、工事現場で働くことは基本的にありません。後述するように、専任技術者になるには、一定の資格または経験が必要です。専任技術者が退職や異動などで営業所からいなくなった場合、建設業許可を維持できません。速やかに新たな専任技術者を設置する必要があります。

3.誠実性

請負契約の締結・履行で不正や不誠実な行為をする恐れがあるとみなされた場合、建設業許可を取得できません。建設業法第7条第3号で規定されています。不正とは、具体的期には請負契約を締結・履行するときに、詐欺、脅迫、横領などの違法行為をすることを指します。請負契約の違反は、不誠実な行為とみなされるでしょう。建築士法や宅地建物取引業法といった法律に関して不正や不誠実な行為をしたことで免許取消処分を受け、その処分の日から5年を経過していない場合も、誠実性を満足しておらず、建設業許可を取得できません。

4.財産的基礎

建設業法第7条第4号、同法第15条第3号で財産的な要件が規定されています。建設工事をするには、資材や機械の購入、作業員の雇用などのために多くの資金が必要です。一定の自己資本や資金調達力、営業実績がないと、建設業許可を取得できません。一般建設業の場合と特定建設業の場合では、求められる財産要件が異なります。特定建設業は大規模な工事を請け負うと想定されているので、一般建設業よりも求められる財産的基礎が厳しめです。

一般建設業の場合

一般建設業の場合、以下のいずれかに該当している必要があります。

  • 自己資本が500万円以上であること
  • 500万円以上の資金調達能力を有すること
  • 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

自己資本とは、法人の場合、貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額を指します。個人事業主の場合、以下の式で計算された額が自己資本です。

(期首資本金 + 事業主借勘定 + 事業主利益)- 事業主貸勘定 +(利益留保性の引当金 + 準備金)

建設業許可に必要な500万円がない場合の対処法

「建設業許可を取得したいけど500万円も手元にない・・・」このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。そのような場合には以下のような対処法で解決できます。

  • 複数の口座に入っているお金を1つにまとめる
  • 入金のタイミングで残高証明書を取得する
  • 資金を調達する

詳しい内容や、資金調達に関する注意点などは以下の記事で分かりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可に必要な500万円がない場合はどうする?資本金が足りない場合の対処方法をご紹介!

特定建設業の場合

特定建設業の場合、一般建設業よりも要件が厳しく、以下のすべてに該当しなければなりません。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金の額が2,000万円以上であること
  • 自己資本の額が4,000万円以上であること

財務諸表や預金残高証明書が、財産的基礎を証明するために必要です。決済時に作成した財務諸表をそのまま提出することは認められていません。規定された方法で改めて計算し、計算結果を指定の様式に転記する必要があります。

5.欠格要件

欠格要件が建設業法第8条、同法第17条で規定されています。欠格要件に該当し、法律に従って営業することが期待できないとみなされた場合、建設業許可を取得できません。許可申請書や添付書類に虚偽の内容を記載すること、重要な事実を記載しないことは、欠格要件に該当します。許可申請者や役員、令3条使用人などが、過去5年間に懲役刑を受けていたり、暴力団員であったりしても、欠格要件に該当します。過去に破産した経験があっても、復権すれば欠格要件には該当しません。

6.社会保険への加入

2020年10月の建設業法改正により、建設業許可の取得要件に、社会保険への加入が追加されました。医療保険、年金保険、雇用保険などの公的保険を総じて社会保険と呼びます。怪我や病気のリスクが他業種よりも高いにもかかわらず、社会保険未加入者が多いことが、建設業の長年の課題に挙げられます。社会保険の加入を促すことが、法改正の目的です。業態や役職によって加入すべき社会保険が異なるので、十分に把握して適切に加入するよう注意してください。

【一般建設業】造園工事業の専任技術者の要件

一般建設業における、造園工事業の専任技術者の要件は以下の3つです。いずれかの要件を満たす必要があります。

  • 資格
  • 指定されている学科の卒業と実務経験
  • とび土工工事業に関する実務経験が10年以上ある

それぞれの内容を解説します。

資格

造園工事業の専任技術者になるには、以下の資格のいずれかが必要です。★の付く資格を保有していれば、特定建設業における専任技術者にもなれます。

建設業法「技術検定」
・1級造園施工管理技士(★)
・2級造園施工管理技士

技術士法「技術士試験」
・建設・総合技術監理(建設)(★)
・建設(「鋼構造及びコンクリート」)・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)(★)
・森林「林業」総合技術監理(森林「林業」)(★)
・森林「森林土木」総合技術監理(森林「森林土木」)(★)

職業能力開発促進法「技能検定」
・1級造園
・2級造園(専任技術者になるには3年の実務経験が必要)

基幹技能者
・登録造園基幹技能者
・登録運動施設基幹技能者

指定されている学科の卒業と実務経験

前述した資格を保有していない場合は、指定されている学科の卒業と実務経験が必要です。造園工事業における指定学科は以下の4つです。

  • 土木工学
  • 建築学
  • 都市工学
  • 林学

実務経験は、中等教育学校、高等学校、専修学校の場合は5年以上、高等専門学校、大学の場合は3年以上必要です。実務経験として認められるのは、造園工事業に関する業務のみです。後述するように、実務経験を証明するために、工事をしていたことを証明する書類と在籍していたことを証明する書類の2種類が必要です。

造園工事業に関する実務経験が10年以上ある

資格を保有せず、指定学科の卒業もしていない場合は、造園工事業の専任技術者になるために造園工事業に関する実務経験が10年以上必要です。実務経験を証明するには、工事をしていたことを証明する書類と、在籍していたことを証明する書類の2種類が必要です。大臣許可か知事許可か、知事許可ならばどの都道府県で申請するかによって多少異なりますが、以下のような書類の提出を求められます。

工事をしていたことを証明する書類
・工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書
・入金確認資料(入金通帳、金融機関の取引明細書)

在籍していたことを証明する書類
・社会保険(厚生年金)の加入記録
・住民税特別徴収税額通知書
・源泉徴収票
・源泉徴収簿

【特定建設業】造園工事業の専任技術者の要件

特定建設業における造園工事業の専任技術者の要件は、資格のみです。以下で解説します。

資格

特定建設業において造園工事業の専任技術者になるには、前述したように、以下の資格のいずれかが必要です。造園に関わる学科の卒業や、実務経験での代替はできません。

建設業法「技術検定」
1級造園施工管理技士

技術士法「技術士試験」
・建設・総合技術監理(建設)
・建設(「鋼構造及びコンクリート」)・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
・森林「林業」総合技術監理(森林「林業」)
・森林「森林土木」総合技術監理(森林「森林土木」)

建設業許可申請の手順

建設業許可取得の要件を全て満たしており、実際に申請してみたいと思う方はこちらの記事で申請手順や必要書類、申請にかかる費用などを詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可申請の流れとは?申請の手順を解説!

建設業許可なしで工事を行ったときの罰則や罰金

建設業法で定められた、建設業許可が必要な工事を、許可なしで行った場合は法律違反となるため、罰則や罰金が科されます。
建設業法の違反に対しては、その犯した違反の程度に応じて様々な罰則が課されます。そのなかでも無許可で工事を受注した際には「300万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役」という最も重い罰則が科されますので注意が必要です。
以下の記事では、実際に無許可で工事を請負い逮捕された事例なども詳しく紹介していますので、必ず目をとおしておきましょう。
建設業許可なしで請負うとバレる?建設業許可なしで行ったときの罰則や罰金などを解説

【まとめ】造園工事業の建設業許可取得の際には6つの要件を満たすことが必須

造園工事業の建設業許可の要件、専任技術者になる要件、建設業許可を取得せずに工事をした際の罰則や罰金を解説しました。造園工事業の建設業許可を取得するためには、誠実性や財産的基礎といった要件を満たす必要があります。2020年10月の建設業法改正により、適切な社会保険に加入しなければ建設業許可を取得できなくなりました。造園工事業の建設業許可の申請を検討している人は、本記事を参考に、要件をクリアしているか確認してみましょう。

庭師・造園業の平均年収についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。

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