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会社で測量士として働いている人の中には、将来独立したいと考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、独立するとなると個人の収入や仕事量などが不安になるものです。
今回は、測量士としての独立にスポットを当て、独立することで生じるメリットやデメリットをはじめ、気になる独立後の収入や、役立つ資格などについて解説します。
独立するまでの具体的な流れについても説明しますので、測量士として独立を考えている方は参考にしてください。
測量士の仕事内容
最初に測量士の仕事内容や働き方について説明します。
測量とは建築・土木工事の施工前に測量法に則って土地の面積や地形、距離などを測定する仕事です。道路工事やトンネル、橋梁、ダムといった公共工事の施工前に国家資格を持つ測量士が行います。
測量には「外業」と「内業」があり、外業は実際に現場で測量を行う仕事です。内業は測量計画や機器調達、製図などのデスクワークが中心で屋内で行います。
社会インフラなどの工事に測量士は欠かせません。
測量士が独立するメリット・デメリット
次に測量士が独立するメリットとデメリットについて解説します。ここでは、測量会社や事務所に測量士として所属していたときとの比較でメリットとデメリットを取り上げました。
以下、項目を分けて詳しく説明します。
メリット
測量士として独立した場合のメリットは、仕事の就業時間や場所が自分の裁量で決められることです。
仕事時間が自分でコントロールできるので1日の測量スケジュールの自由度が増します。自宅を事務所にすれば出勤時間もありません。1日の作業時間も融通が利くのでワークライフバランスの実現も可能です。
収入についても、会社員時代には会社に入っていた金額がそのまま自分の収入になるので、やればやるほど増えます。
測量士として独立するメリットは、作業時間を自分で調整できることと収入増が見込める点が挙げられます。
デメリット
測量士として独立した場合のデメリットは、大規模な工事の仕事が回ってこない点です。
特に官庁などが発注する公共事業は実績のある測量会社に依頼するので知名度や実績の乏しい独立開業者への依頼はほぼありません。
大規模な案件を受注するには、実績を積み上げ業界での信頼を掴むことが重要です。
更に、景気の影響を受けやすく収入が安定しない点もデメリットとして挙げられます。
景気が落ち込むと工事そのものの受注も減ります。独立開業した業者は景気の波を直接受けることになるので収入が安定しません。
独立する際にはしっかりとした資金計画を立てて地道に実績を積むことが重要です。
測量士が独立した場合の年収相場
独立開業した測量士の年収は500万円から700万円といわれています。一般労働者の平均年収より高額ですが、独立直後からこの収入は見込めません。
地道に実績を上げて顧客の信頼を得ることが大切です。顧客の信頼が得られれば、継続した仕事が受注できるので収入も安定します。
事業を続けることで手に入る人脈や保有資格、稼働時間によって収入は大きく変化するので徐々に収入を上げていくことも可能です。
測量士が独立するまでの流れ
この項目では、測量士として独立するまでの大まかな流れについて解説します。ここでは独立するまでの準備も含めて以下の3段階に分けました。
- 第一段階 資格を取得する
- 第二段階 実務経験を積む
- 第三段階 測量業者として営業登録する
以下、段階別に詳しく説明します。
1.資格を取得する
測量士として測量事業を行うためには測量士資格が必要です。測量士資格は国家試験を受けて取得します。将来独立することを見据えて早めに試験勉強を始めて準備しましょう。
比較的取得しやすい測量士補資格でも測量業務はできますが、広く測量の仕事をするのであれば測量士資格の取得をおすすめします。
他に、独立後に事業運営を進める上で有利な資格が土地家屋調査士や行政書士などです。詳しい内容は後述しますので参考にしてください。
2.実務経験を積む
資格が取得できたら、測量技術を体得して実務を経験します。
測量士として独立するためには、資格取得後測量会社などに就職して経験を積むのが王道です。
まず、測量会社や事務所に就職して測量技術を磨きます。実際の現場で経験することが実績作りには一番です。
現場で経験することで、測量技術だけでなく取引先や関係者との人脈が構築できます。取引先との人脈は、将来独立した際に仕事を請け負うのに役立つので重要です。
実務経験を積むことは独立開業のベースになる測量技術の向上と仕事関係のネットワーク構築に役立ちます。
3.測量業者として営業登録する
測量士として独立し事業を始めるためには、測量士の資格を取得した後に営業登録が必要です。
営業登録は営業所ごとに管轄の国土交通省地方整備局に申請します。個人、法人、元請け、下請けなどの営業形態に関わらず登録が必要です。
申請に必要な書類は登録申請書や営業経歴書、貸借対照表などで具体的には後述します。
なお、測量業として営業登録せずに事業を行った場合は測量法違反となり1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられる可能性があるので注意しましょう。
登録要件
測量業者として営業登録する場合の申請書類や登録要件について説明します。営業登録申請に必要な書類は下記のとおりです。
- 測量業登録申請書
- 定款
- 営業経歴書
- 直前2年間の測量実施金額(各事業年度別)
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 完成測量原価報告書
- 株主資本変動計算書
- 注記表
- 法人税(所得税)納付すべき金額、および納付済額を証明する書面
- 使用人数・営業所ごとの測量士、測量士補の人数
- 誓約書
- 登録事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 営業証明書(支店登録をしていない営業所を登録する場合)
- 測量士名簿記載事項証明書
- 直近の被保険者標準報酬決定通知書
測量法に基づく測量業者として登録するには、営業所に1人以上測量士を配置しなければなりません。測量士とは測量士資格を有し測量業者として登録した測量士を指します。
登録費用
測量業者として営業登録する場合の費用について説明します。登録費用は下記のとおりで法人と個人で異なり登録免許税として納付しなければなりません。下記金額はそれぞれ初回登録による新規申請の場合です。
- 法人:90,000円
- 個人:30,000円
登録免許税は、郵便局か銀行または税務署で納付できます。有効期限は5年で期限到達までに更新手続きが必要です。更新手続きにかかる費用は15,500円で更新するたびに手数料として支払います。
測量士が独立する場合に役立つ資格
測量士として独立するため取得していれば有利な資格は以下の3つです。
- 測量士(測量士補資格でも測量はできますが独立時には測量士が望ましい)
- 土地家屋調査士
- 行政書士
以下項目別に詳しく説明します。
測量士
測量士資格は前述したように測量業を行う上で必須の資格です。
測量士の資格には測量士と測量士補があります。どちらも国家試験に合格しなければなりません。
測量士補は測量士が計画した測量計画に沿った作業をするだけの資格です。独立すると測量計画を含めた業務が必要なので測量士の資格を取得しましょう。
測量士の国家資格は様々な要件を満たす必要があり、試験の合格率も10%程度と難関を突破しなければなりません。
なお、測量事業を行うためには資格取得後に測量業として登録する必要があります。登録には登録免許税(測量士30,000円、測量士補15,000円)の納付が必要です。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は独立後に仕事を受注する上で有利になる資格です。
資格を取得すると土地や建物の利用目的・土地の形状・広さなどの状況を登記するための調査ができます。
登記申請の代理手続きも可能で、測量業として仕事の幅を広げるために持っておくとよい資格です。
資格取得には総務省が実施する国家試験に合格しなければなりません。
試験は合格率10%程度と難関ですが、測量業として独立し事業を有利に進められるので取得をおすすめします。
行政書士
行政書士資格は行政書士法に基づいた国家資格です。取得すると建設業や測量業に関する様々な許認可申請が行えます。
前述した土地家屋調査士と行政書士資格があると、独立後の事業運営が有利になるので効果的です。一連の関連業務を請け負えるので他の測量会社と差別化でき、知名度も上がるので仕事の依頼も増えます。
行政書士資格を取得するには総務大臣が定める国家試験に合格することが必要です。合格率が低く難しい資格ですが独立後の事業運営のために取得をおすすめします。
測量士として独立するのに向いている人・向いていない人
測量士として独立するのに向いている人とそうでない人について解説します。ここでは、測量に関する知識や測量技術、スキルなどについて考えてみました。
向いていない人の場合でも、意識の持ち方や個人の努力で解決できるようなアドバイスも含めて説明しますので参考にしてください。
独立に向いている人
測量士としての独立に向いている人の特徴は下記3点です。
- 測量士としてのスキルがあり知識が豊富な人
- コミュニケーション能力に優れた人
- 長期的な視野で業務に取り組める人
測量士として独立し成功を収める人の特徴の1つが測量に関するスキルや豊富な知識を持ち合わせている人です。業務を進めるうえで測量技術や知識は欠かせません。
コミュニケーション能力に優れた人も独立に向いています。クライエントの要求を理解し測量結果をわかりやすく伝える能力は必要です。
独立開業してもすぐに成果は出にくいものです。目の前の成果に捕らわれず長期的な視野で事業に取り組む姿勢も必要でしょう。独立して成功するためには、市場動向を把握して中長期的な経営戦略を立てる能力も重要です。
独立に向いていない人
測量士としての独立に向いていない人の特徴を下記に3点取り上げました。
- 測量士としての実務経験が少ない
- 経営的なスキルが不足している
- 自己管理能力が不足している
測量士としての実務経験が浅いと取引先や関係者との人脈も十分できていないので仕事の受注に中々繋がりません。
実務経験が浅い人は、独立を急がずに会社員として十分に実績を積んでから独立を考えましょう。実務経験の中で測量のスキルや問題解決能力も養われます。
経営的なスキルが不足していると独立してもビジネスがうまくいきません。独立を考える前に会計や法律、営業戦略などを学習して、実務に照らし合わせながら理解していきましょう。
自己管理能力が不足していると、時間のコントロールがうまくいかずプロジェクトの管理ができません。
独立するために自己管理能力は必須です。実務経験を積みながら時間管理力を鍛えて独立に備えましょう。
測量士が独立後に仕事を獲得する方法
独立後に測量業として十分な需要が見込めないと成功とはいえません。ここでは独立して仕事を獲得する手段を以下3点に絞って解説します。
- 会社員時代の繋がりを利用する
- 営業の時間を長めにとる
- フリーランスエージェントを活用する
仕事を獲得するために会社員時代の取引先などの人脈を利用する方法があります。
会社員時代に測量士として良好な関係を築くことが重要です。すでに信頼や実績が認められているので仕事を請け負う機会が増えます。
独立後の営業は必要不可欠です。地道な営業戦略が中長期的な需要に繋がります。独立直後は営業時間を長くとり自社のPRと特徴を伝えましょう。
フリーランスエージェントを活用するのも有効です。
最近ではフリーランス向けに業務委託案件を紹介する業者(フリーランスエージェント)が増えています。企業との面談や価格交渉、契約手続きもサポートしてもらえるので効果的です。地道な営業活動の1つとして検討してみましょう。
測量士が独立する場合の注意点
測量士が独立するときは地籍測量を中心に仕事を受けることがポイントです。
地籍測量とは市町村が主体で一筆ごとの土地の所有者や地番などを調査し境界の位置や面積などを測量する仕事です。
測量には土木測量・地図測量・地籍測量の3種類があり、土木測量は公共事業が多く官庁などが発注するため、実績や太い関係性が乏しい個人事業者に仕事が回ってきません。
地図測量は依頼される件数が少ないので狙い目ではないため、地籍測量にポイントを置いて営業するのが最も効果的でしょう。
測量士の資格試験に必要な勉強時間や活躍するためのスキルなどについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
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【まとめ】測量士として独立する際は実務経験が大切!人脈作りにも励み仕事の安定化も図ろう
測量士として独立すれば、時間のコントロールができスケジュールも融通が利くので、ワークライフバランスが取りやすく、売上げが直接収入につながるなどのメリットを享受できます。
反面、独立直後は仕事が獲得できない点など懸念点もあり、独立のタイミングを間違うと失敗しかねません。
独立のために会社員時代に十分な実務経験を積んで実績とスキルを身につけ、関係先との人脈を育てましょう。