電気設備設計の仕事がきついといわれる理由や仕事内容などを解説!

電気設備設計業務は技術的な難易度が高く、時には大きなプレッシャーを感じることもあります。しかし、それだけの努力を重ねることで達成感を得られることが多いのも事実です。
「仕事がきつい」と聞いて躊躇している方もいるかもしれませんが、その理由を理解していなければ、電気設備設計職を目指すべきかどうかを判断するのは難しいでしょう。
今回は、電気設備設計が「きつい」といわれる理由や具体的な仕事内容、求められるスキルや資格、将来性について詳しく解説します。

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電気設備設計とは

電気設備設計の仕事にはやりがいがある一方で、特有の難しさもあります。特徴を知るために、具体的な仕事内容について見ていきます。

仕事内容

電気設備設計の主な業務には、建物全体の電力供給計画の策定、配線・配電や照明、非常用電源や防災設備などの設計、通信・セキュリティシステムの構築などがあります。
具体的には、以下の仕事内容を担当します。

  • 基本設計
  • 詳細設計
  • 仕様書作成
  • 回路設計
  • 負荷計算
  • 設備選定
  • 安全設計
  • 施工監理
  • 試験・調整
  • メンテナンス計画

省エネ法や電気事業法などの法規制を遵守しながら、初期費用とランニングコスト、そして安全性のバランスを考慮した最適な電源システムを構築する必要があります。

回路設計・制御設計との違い

電気系の設計職には、電気設備設計のほかにも回路設計や制御設計の分野があり、それぞれに違いがあります。
これらの違いは、以下のとおりです。
■電気設備設計・回路設計・制御設計の違い

分野主な対象目的具体的な業務
電気設備設計建物や施設全体電力の安定供給・安全性の確保配線・配電設計、電源計画、照明・通信・防災設備の設計
例:オフィスビルの電源・照明設計
回路設計電子機器内部電子機器が正常動作するための回路を作る基板の設計、電源回路・信号処理回路の設計
例:スマホの基板回路設計
制御設計機械や設備の動作自動制御・効率化PLCプログラム作成、センサーとの連携設計
例:工場のロボット制御設計

このように、「電気をどう供給するか(電気設備設計)」「どう使うか(回路設計)」「どう動かすか(制御設計)」という視点で整理すると、それぞれの違いが明確になります。

電気設備設計の仕事がきついといわれる理由

電気設備設計は、建物や施設の電気インフラを支える重要な仕事であるからこそ、「きつい」といわれることもあります。その主な理由について説明します。

最新の知識・技術を身につける必要があるため

電気設備設計の仕事では、再生可能エネルギーの導入やスマートビルディングなどの普及により、高効率な電力供給システムやIoTを活用した制御技術など、常に新しい知識が必要になります。
さらに、省エネルギー基準の変更や電気設備関連の法改正が頻繁に行われるため、それらを正しく理解し、設計に反映しなければなりません。特に、ゼロエネルギービル(ZEB)や蓄電池システムの活用が求められる近年では、従来の設計手法だけでは不十分なケースも増えています。
日々の業務をこなしながら新しい技術や法規制を学び続ける必要がある点が、「きつい」といわれる要因の1つとして挙げられます。

プレッシャーが大きいため

電気設備設計に誤りがあると、停電や設備の誤作動、火災などの重大なトラブルを引き起こす可能性があり、責任の重さがプレッシャーにつながります。また、施工管理者や職人との綿密な連携やプロジェクト関係者と調整しながら設計を進める必要があり、スケジュール管理やコスト調整のプレッシャーも伴います。
高い精度が求められる上に多くの人と関わりながら進める仕事であることが、電気設備設計の大変さにつながっています。

電気設備設計の仕事がきついときの対処法

電気設備設計の仕事がきついと感じたときは、まず業務負担を調整し無理をしないことが重要です。タスクの優先順位を整理し可能な範囲で業務を分担することで、長時間労働を避けられます。
信頼できる身近な同僚や上司に相談するのもよいでしょう。社内だけでなく、業界の勉強会やオンラインフォーラムを活用し、他社の設計者と情報交換を行い、新しい視点や解決策を見つけるのもおすすめです。
しかし、それでも改善しない場合は転職を視野に入れるのも1つの選択肢です。同じ電気設備設計でも、企業や業界によって働き方は異なるため、体調を崩す前に労働環境が整った働きやすい会社を探すことを検討しましょう。

電気設備設計に役立つ資格

電気設備設計の仕事をする上で役立つ代表的なを4つの資格を紹介します。

電気工事士

電気設備の施工や保守を行うために必要な国家資格です。第一種と第二種があり、扱える建物の規模や規格に違いがあります。
■各資格の仕事内容

資格名電気工事内容
第一種電気工事士ビル、工場、大型店舗など600V以下で受電する設備の電気工事
第二種電気工事士一般住宅や小規模な商店などの600V以下で受電する設備のうち、小規模なものに限定

これらの資格は施工現場の実務に対する理解が深まるだけでなく、施工を考慮した設計が求められる場合に役立ちます。

電気通信技術者

通信インフラの設計・施工・保守に関わる技術者向けの資格です。
近年、オフィスビルや工場ではインターネットや通信ネットワークの整備が電気設備設計と密接に関係しており、この資格を持つことでLAN配線や光ファイバー通信設備の設計にも対応できます。
特に、IoT技術の普及により電気設備と通信設備の連携が不可欠であるため、プロジェクト全体の効率化やより高度なシステム設計を行えるようになります。

電気主任技術者

工場やビルなどの高圧受電設備の保守管理を行うために必要な資格で、以下のように第一種・第二種・第三種に分かれています。
■各資格で扱える電気工作物の範囲

種類電気工作物の範囲
第一種全ての電気工作物(発電所・変電所・工場・ビルなどの特別高圧を含む)
第二種電圧17万V未満の電気工作物(大規模工場・変電設備など)
第三種5万V未満の電気工作物(一般の工場・ビル・商業施設などの高圧設備)

高圧・特別高圧設備の設計や保守性を考慮した設計を行う際に、この資格の知識が活かされます。設計だけでなく設備管理の観点からも深い知識を得られるため、有益な資格といえます。

電気工事施工管理技士

電気工事の現場監督として工事全体の管理を行うための資格です。1級と2級があり、1級を取得すると大規模工事の監理技術者としても業務を行えます。
工事の実務や現場管理の知識を持つことで、より実現性の高い設計を行えるようになります。特に、現場の進行管理や施工性を考慮した設計が求められるプロジェクトでは、この資格の知識が役立つでしょう。

電気設備設計に役立つスキル・知識

電気設備設計の仕事では、単に回路を考えるだけでなく、実際に施工できる形に落とし込むことが必要です。そのために、役立つスキルや知識を紹介します。

CAD

電気設備設計では、施工現場で使用する配線図や系統図、盤配置図などを作成するためにCAD(Computer-Aided Design)のスキルが不可欠です。
特に、AutoCADやJW-CADといったソフトが業界で広く使われており、これらを習得することで設計業務のスピードと精度が向上します。3D CADも設備の配置や配線の干渉を事前にチェックできることから、設計業務をより効率的に進めるのに役立ちます。

電気や設計に関する知識

電気設備設計には、電気工学や建築・設備関連の幅広い知識と、電気理論や配線設計、負荷計算の具体的な知識が必要です。さらに、以下のような法規制や基準の理解も不可欠です。
■法規制・基準

項目名内容
電気設備技術基準・電気事業法法令に準拠した安全な設計
JIS規格・建築基準法機器の仕様や建築設備との整合性
配線・保護機器の選定電線サイズ、ブレーカー、絶縁抵抗値

建築設備との調整も重要で、空調・給排水・通信設備と干渉しない配線計画が求められます。

電気設備設計の仕事に向いている人の特徴

電気設備設計は専門的で高度な技術を必要とする仕事です。そのため、長く続けるには適性が重要です。どのような人がこの仕事に向いているのか、その特徴を紹介します。

電気や設計に関わる経験を持っている人

電気工事士や回路設計の経験があれば、設計図が現場でどのように実装されるかを予測し、施工性や安全性を考慮した設計ができます。
業界の規格や法規制に関する知識も深く、設計段階で法令を遵守した設計が行える点や、過去の経験から得た知識を活用して事前に対策が行える点も、大きな強みです。
専門分野での経験者は設計ミスを減らせるだけでなく、柔軟に解決策を考え実現可能な計画を立てられるでしょう。

好奇心や向上心を持っている人

電気設備設計の分野では技術が日々進化しており、常に新しい情報を捉え続けることが必要です。
好奇心の強い人や向上心のある人は、新しい技術や設計手法に興味を持ち、常に学び続ける姿勢が備わっている傾向があります。そのため、新技術や設計ソフトのアップデートを学び、業界の最新動向を把握しやすいといえます。

細かい部分にこだわって作業できる人

電気設備設計では、非常に細かい計算やチェックが必要です。例えば、配線や機器の配置、電流の流れなど、設計図を正確に描くためには綿密な作業が必要です。小さなミスが後のトラブルにつながる可能性があるため、計算や図面のチェックに対する集中力や注意深さが求められます。
特に、回路設計や配線設計では、1mmの違いが後々大きな影響を及ぼすこともあるため、細部にまでこだわって作業できる人は、電気設備設計の仕事に向いているといえるでしょう。

電気設備設計の平均年収

厚生労働省の調査によると、電気設備設計者を含む電気技術者全般の平均年収は688.2万円とされています。
一方、国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」での全職種の平均給与が460万円であることから、電気設備設計者は一般的な給与水準よりも高い傾向にあります。このように、電気技術者としての専門性への評価が給与に反映されていることが明白です。
ただし、企業や役職などによって実際の年収は異なるため、これらのデータは目安として参考にしてください。
出典: 厚生労働省「電気技術者 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典: 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査

電気設備設計の将来性

AIやIoT技術の進展によりスマートシティの実現や高度な自動化が進んでいる中で、電気設備設計の分野では、効率的な設備運用や自動管理、予知保全など、最新の技術を活用した設計手法やシステム開発への対応が求められています。
また、ゼロエネルギーハウス(ZEH)や再生可能エネルギーの導入、電気自動車(EV)の普及や電力インフラの再構築が進行中であり、これらの分野と密接に関連する電気設備設計は、今後より多様化することが予想されます。
このような進展に柔軟に対応できる電気設備設計者は、引き続き需要が高く、将来的にも安定した職業といえるでしょう。

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【まとめ】電気設備設計はきつい部分があるが魅力も豊富!適性を見極め挑戦しよう

電気設備設計の仕事は、最新の技術を取り入れた設計が求められるため、常に勉強やスキルアップが必要です。そのため、仕事の中でのプレッシャーや責任の大きさを感じることが多いかもしれません。しかし、これらの課題を乗り越えられる人には、大きな達成感や成長を感じられる仕事でもあります。
資格や知識を身につけることでさらに多くのチャンスが広がり、収入やキャリアアップにもつながります。また、将来的な成長性も高く、AIやIoT技術の進展により、新たな分野で活躍できる可能性も十分にあります。自分の適性を見極めて挑戦していけば、充実したキャリアを築けるでしょう。

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