土木工事業が税理士を選ぶポイントとは?税理士をつけるメリットや会計処理についても説明

土木工事業とは、トンネルやダム、高速道路、公道下の下水道、灌漑用水、宅地造成工事などを担当する事業です。通常の工事とは異なり複数の専門工事を担うため、比較的大規模な工事となります。
つまりその分、会計処理が複雑であるため、一般人では処理しきれません。そのため、土木工事業では、税理士を付けた方が良いといわれています。では、税理士を付けることで事業にどのようなメリットがあるのでしょうか?またどのような税理士を選べば良いのでしょうか?
そこで今回は、土木工事業において税理士を付けるメリットや、選び方のポイントについて解説していこうと思います。

土木工事業における会計処理とは

土木工事業の会計処理では、一般会計とは異なる特別な勘定項目を使います。
例えば完成工事未収入金は売掛金に相当します。これは、工事自体は完了していても、資金が回収されていない際に用いられる勘定項目です。また未成工事支出金は「仕掛品」に相当します。こちらは、まだ完成されていない工事現場で発生した費用を示す勘定項目を指します。そして工事未払金は「買掛金」と表記し、工事は完了したもののまだ完全に支払いが済んでいない際に使われます。

さらに収益の計上基準も「工事完成基準」と「工事進行基準」と2つに分かれている等、土木工事業の会計処理はとても複雑です。

土木工事業で税理士をつけるメリット

冒頭でも説明した通り、土木工事業の会計は損益が予想しにくかったり、資金の出入りが常に発生したりと、会計管理は非常に難しいです。とても1人では把握できず、誤った会計処理をする恐れがあるため、税理士と契約した方が良いでしょう。

さらに工事の入札に参加するためには審査(経営事項審査)がありますが、この審査では決算書の内容を数値化しなければなりません。ここで建設業につよい税理士を付けておくと、審査を考慮した決算書を作成してくれるのでおすすめです。

土木工事業につよい税理士とは

そもそも’’土木工事業につよい税理士’’とは、どんな税理士なのでしょうか?税理士と言っても業種や専門分野が異なります。また企業向けなのか個人事業主向けなのか、対象もバラバラです。あなたの企業が中小企業なのにも関わらず、大企業を専門とする税理士が付いても意味がありません。
これを踏まえた上で土木工事業につよい税理士には、特殊な会計管理ができること、また行政機能も持っていること、この2つの条件が最低限に必要になってきます。

土木工事業に強い税理士を選ぶポイント

だからと言って、上記2つの条件を有している税理士が必ずしもあなたと相性が良いかは別です。契約してから後悔をしないためにも、税理士と契約する前に以下の6つのポイントをおさえておきましょう。
・実績公開しているか
・建設業の資金調達にも強いのか
・建設業界の会計を把握しているのか
・建設関係の節税・融資に詳しいか
・サポート体制の有無
・行政書士の有資格者なのか

ではこれらのポイントについて詳しく解説していきます。

ポイント1:実績を公開している

1番のポイントは、その税理士の実績を公開しているかどうかです。実績というのは税理士の実力や評価の指標であるため、企業が税理士を選ぶ際の材料にもなります。
税理士のなかには、実際に取引した企業の社名まで公開している方もいますが、そこまで記載されていなくても特に問題はないでしょう。もし社名公開されていれば、その企業の規模はどれくらいなのか、またどんなジャンルの企業なのかを調べてみる参考にしやすいでしょう。

ポイント2:資金調達に強い

資金調達については、大企業よりも中小企業で税理士を付ける際に大切なポイントとなります。なぜなら建設業というのは、工事が完了するまでは売上金は入ってこず、その反面支出金は工事が完成するまでに必要となるからです。
つまり資金のやりとりに強い税理士でないと、黒字なのにも関わらず事業が破綻し、最悪倒産せざるを得ない状況になるかもしれません。このような状況を避けるためにも、実際に資金調達の経験がある税理士を付けると良いでしょう。

ポイント3:土木工事業特有の会計に強い

土木工事業では会計管理が特殊なため、売上金などの計算に苦戦することが多いです。さらに売上金だけではなく、支出面では外注費、人件費、建材費なども発生し、会計関係の書類が手元にたくさん揃ってしまいます。
一般人がこの書類1枚ずつを片付けていくのには無理があり、また会計ミスが起きてしまうリスクも高まります。
事業の会計ミスを起こさないようにするには、土木工事業の特殊な会計管理に慣れている税理士を付けることが重要となります。

ポイント4:土木工事業の節税・融資などに詳しい

税理士を契約する上で、節税や融資に詳しいのかどうか判断することもポイントです。税理士は税の専門家です。そのため、節税の方法や融資の動き方などに詳しい税理士ほど頼りになります。
さらに言うと、事業側から問うのではなく税理士側から話を切り出してもらえる税理士の方が良いでしょう。自分たちでは気づかなかったことを、税理士側の視点で意見を述べてもらうのとではまた違ってきます。

ポイント5:経営者のサポートができる

税理士事務所によっては、打ち合わせや顧客との書類のやりとりが明確に定められていたり、対応マニュアルがある所が多いです。このマニュアルは、顧客と税理士との間で行き違いが起きたり、サービスムラが起きないために作られています。
しかし予めよく確認しておかないと、後で「ここだけをやってほしい」という個別の要望には応えてもらえない場合もあります。したがって自分の事業の要望に対して、柔軟に応じてくれる税理士を選んだ方が良いでしょう。

ポイント6:行政書士の資格を持っている

土木工事業を進めていくなかでは様々な許可申請が必要です。
自社で対応できることが1番ですが、やはり土木工事業の会計は難しく面倒な業務なので、申請を代行できる行政書士が活躍します。
税理士と行政書士が別だと、決算申告は税理士に依頼し、その後申請代行業務を行政書士に依頼となり二度手間になります。しかし行政書士の資格を持っている税理士であれば、手続きが1回で済み、書類の不備やミスが起きることは少ないでしょう。

土木工事業の税理士における費用相場

土木工事業の税理士と契約をする際、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
たとえば確定申告だけを税理士に依頼する場合、事務所に属さない個人の税理士であれば約10万円、事務所の税理士であれば約20万が相場です。
また顧問契約費用は、事業の売上1,000万円未満で月額1万~3万円程度、ここに確定申告料として月額顧問料の4〜6ヶ月ほどが足されるケースが多いと言われています。
税理士を付ける際に金額を気にしてしまいがちですが、それよりも税理士と契約したことで事業にどのようなメリットがうまれるのか等を考えるのがポイントです。

【まとめ】税理士をつけて特有の会計をおまかせ!税理士を選ぶポイントについても要チェック

今回は、土木工事業が税理士を選ぶメリットや実際に選ぶ際のポイントについて紹介しました。まとめると以下のようになります。

・税理士の実績は公開されているか、資金調達につよいのか等のポイントを確認した上で税理士と契約した方が良い

・「とりあえず税理士を付けたい」と適当に税理士を選ぶのではなく、あなたの事業に合った税理士をしっかりと吟味すること

今回紹介したポイントに全て当てはまれば、必ずしもあなたの事業にぴったりの税理士だということではありません。
事業が求めている条件と、税理士のつよみを比較し、あなたが納得のいく税理士を付けることで、土木工事業が成功すると思います。ぜひ参考にしてみてください。