※記事内に広告を含みます
解体工事の工事費の見積もりを作成するために欠かせない業務の一つに、積算があります。赤字工事を回避し利益を上げるために非常に重要な積算業務ですが、複雑さゆえに苦手意識を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は解体工事の積算業務の注意点や、積算の要素や項目まで、徹底的に説明します。積算に自信がない方は、ぜひ参考にしてください。
ツクノビBPOは、時間のかかる建設業業務をプロが代行する建設業特化のアウトソーシングサービスです。
工事図面作成、書類作成、事務作業などを代行できるため、現場作業に集中できることで、受注できる案件の増加や退職率の低下など、様々なメリットがあります。詳細はぜひこちらからご確認ください。
解体工事の積算とは
積算業務は、工事費の見積もりを算出するための業務です。ここでは、解体工事の積算業務について解説します。
積算の重要性
積算とは一言でいうと、「工事に係る費用の総額を割り出す」作業です。
仕様書や設計書を参考に、工事に必要な日数や人員、さらに材料費まで割り出します。予算内に予定している工事が収まるかを確認する非常に重要な作業で、建設業を営む事業者にとって欠かせない業務になっています。
積算の詳細や重要性についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
積算とは?見積もりとの違いや業務の流れ・必要なスキルなども解説
解体工事の積算の特徴
解体工事の積算の特徴は、現場の実情を踏まえて正確な費用を算出できることです。
建物の構造や使用建材、立地条件、搬入経路、周辺環境など、複数の要素が費用に影響します。
例えば、鉄筋コンクリート造(RC造)と木造では必要な重機や作業工程が異なり、単価にも差が生じます。さらに、都市部のように隣接建物が多い場所では、養生や防音対策のための費用も必要となるケースも少なくありません。
これらの条件を的確に反映して積算することで、現場ごとの実態に即した相場を正確に把握できます。
加えて、過去の施工データや国土交通省が公表する「公共工事設計労務単価」「建設資材単価」を参考にすると、地域差や時期による単価調整も可能です。
精度の高い積算を行うことで、見積金額の妥当性を判断しやすくなり、コストの透明化とトラブル防止にもつながります。
参考:令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について|国土交通省/令和7年度 土木工事設計材料単価表|中部地方整備局
見積もりとの違い
積算業務と見積もり業務を混同する方が良く見受けられますが、厳密にいうと両者の意味は異なります。
前述したように積算は工事原価を割りだしたものであるのに対し、見積書は積算に登記費用や仲介手数料などの諸経費、利益をプラスして作成したものになります。
つまり、積算で算出したデータをもとに見積書が作成されるのです。
解体工事の積算方法
解体工事の積算方法は、工事内容を正確に把握し、費用を項目ごとに算出します。
現地調査を行い、建物の構造・延床面積・階数・立地条件・搬出経路などを詳細に確認します。
これらの情報をもとに、解体対象の数量や使用する重機・人員を見積もり、単価表や歩掛(ぶがかり)を参照して費用を算出します。
さらに、現場に応じて仮設工事費・廃棄物処理費・安全対策費などを加算し、総工事費を導き出し、工事規模に応じて間接工事費や一般管理費を上乗せし、最終的な積算額を確定します。
近年では積算ソフトやクラウドシステムを活用し、現場情報の共有や計算の自動化を図る企業も増えてきました。
正確な積算は、適正価格の提示や利益の確保、顧客からの信頼向上に直結するため、データの裏付けと丁寧な現場確認が欠かせません。
解体工事の積算の要素
解体工事の積算は、主に以下の要素で構成されています。
- 歩掛
- 工事原価
- 純工事費
- 一般管理費
ここでは、それぞれの項目について説明します。
歩掛
歩掛とは、1つの作業にかかる手間を数値化したものです。歩掛から算出する工数の単位を、人工(にんく)といい、「(1人×作業時間)÷8時間」の数式で算出できます。
なぜ歩掛が必要かというと、単純な「作業時間×数量」の数式では、手順が異なる作業の労務費が適切に算出されないからです。「歩掛」を活用することで工法や難しさなどが異なる作業の労務費を、施工の難易度や工法に基づいて適切に算出できるようになります。
「歩掛りの算出が難しい」「計算したけど合っているかわからない」という方は、材料の種類やサイズごとに標準的な値を定めた「標準歩掛」が国土交通省のHPに掲載されているので、参考にしてください。
工事原価
工事原価とは、工事の過程で発生するあらゆる費用の総称です。解体工事においては人件費、重機損料、ガソリン代、事務所の設置費用などの費用が代表的なものと言えるでしょう。解体工事の工事原価は
- 純工事費
- 現場管理費
の2つに大きく分けられます。
純工事費
純工事費とは、工事の対象物に対して直接かかる費用です。解体工事における純工事費は、以下の2つで構成されています。
- 直接工事費
- 間接工事費
以下で各項目について説明しましょう。
直接工事費
直接工事費とは、工事の対象物に係る費用から「発生材価格」を差し引いた費用です。直接工事費用は具体的に言うと、「材料費」、「労務費」、「直接経費」、「雑工事」などが含まれます。
直接工事費は解体工事に関するそれぞれの工程や資材に対してひとつひとつ計算しなければなりません。積算において細やかな作業が必要とされる項目の1つになっています。
間接工事費
間接工事費とは、工事の対象に間接的にかかる費用です。具体的には、「現場管理費」、「共通仮設費」、「一般管理費」などが例として挙げられます。間接工事費の計算も、前述した国土交通省の「公共建築工事標準単価積算基準」をもとに行います。
一般管理費
一般管理費とは、工事とは直接関係しない会社経営に必要な費用の総称です。具体的には、「事務所の運営費」、「従業員の福利厚生費」、「広告費」、「工事保険などの保険料」などが含まれます。一般管理費は、「工事原価×一般管理費率」の数式で算出されます。
解体工事ならではの積算項目
解体工事では、他の工事にはない独自の積算項目が存在します。
特に、建物の解体に伴って発生する廃棄物の処理費用は、重要な要素の1つです。
さらに、隣接建物との距離が近い現場では、防音パネルや養生シート、粉じん対策用の散水設備などの仮設費用も積算に含める必要があります。
項目を的確に見積もることで、実際の工事費とのかいりを防ぎ、正確で信頼性の高いコスト管理が可能です。
解体工事の積算では、現場の状況を1つひとつ丁寧に確認しましょう。廃棄物処理や安全対策まで含め、実際の作業にかかるコストをできるだけ正確に見積もる必要があります。
ここでは、解体工事ならではの積算項目について解説します。
建物取壊費用
建物取壊費用とは文字通り建物の解体に必要な費用です。前述したように、築年数や立地、隣家との距離などによって必要な作業が異なるため費用は変動します。建物取壊費用は作業内容に応じて
- 建物解体費用
- 内部解体費用
の2つに分けられます。
廃棄物処理費用
廃棄物処理費用は、解体工事で発生した廃棄物を処理するのに必要な費用で、解体工事費全体の約4割を占めるとも言われています。
解体工事に伴う廃棄物は、木くず、レンガ、コンクリート、石膏ボード、発泡スチロールなど多岐にわたり、それぞれによって単価が違うため計算の際は注意が必要です。廃材を運搬するトラックの費用も、廃棄物処理費用に含まれます。
また、アスベストや有害物質を含む建材を扱う場合は、専門業者による除去・処理費用が追加されるため、事前確認が不可欠です。
付帯工事費用
付帯工事費用とは、建物の解体以外に必要な工事にかかる費用を指します。例えば、
- 足場の設置費用
- 仮設工事費用
- 重機が敷地内に入るために植栽や塀を撤去する費用
- 屋内の家電の処分費用
- 建物の養生費用
- 敷地内の整備費用
などが含まれます。
諸経費
諸経費とは、上記の建物取壊費用、廃棄物処理費用、付帯工事費用に含まれない雑費を指します。具体的には、
- 各種申請に係る費用
- 書類の作成費用
- 重機を運搬するための費用
- 近隣への挨拶費やトラブル対応費
- 重機を留める駐車場の賃料
- 事務用品費用
- 予備費(追加費用やトラブルのために用意する費用)
などを諸経費として計算します。
この記事では、工事見積書の諸経費についてより詳しく解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
工事見積書の諸経費とは?内訳や説明するときのポイントなどを解説
解体工事の積算時に注意するポイント
独自の項目が多い解体工事の積算業務では、注意するポイントがいくつかあります。ミスなどを防止するためにも、注意するポイントを把握しておくことは大切です。ここでは、解体工事の積算時に注意するポイントを解説します。
施工条件や建物の構造で費用は異なる
前述したように、建物の施工条件や建物の構造によって解体費用は大きく異なります。基本的に木造住宅が最も安価に解体ができるといわれており、木造住宅の解体と鉄筋コンクリート造の解体では約2倍ほど坪単価が異なるといわれています。
建物だけでなく、土間や植栽があるかなども解体費用に大きく影響します。そのため、周辺の環境や残置物の有無など併せてしっかり確認する必要があるのです。
現地調査を行う
積算の前に必ず現場に足を運び現地調査を行いましょう。現地調査では、以下の項目を確認してください。
- 植栽や塀などの重機の搬入を妨げるものが敷地内にないか
- 前面の道路の幅が、使用する予定の重機が通るのに十分か
- 隣地との距離は近すぎないか。防音対策や養生の必要はないか
隣地と距離が近いと手作業が増え解体費が高額になるので注意が必要です。
追加費用が発生する可能性がある
事前調査では予期できない追加工事が発生する可能性も、持ち主に伝えておきましょう。
追加工事とは、地中にある浄化槽、井戸、以前に立っていた建物の基礎部分などの処分費用です。これらが見つかった場合は、見積もり以外の費用が発生します。
依頼主とのトラブルを防ぐため、事前に「埋蔵物に心当たりはないか」ヒアリングし、もしある場合は処分しなければならない旨を伝えておきましょう。
解体工事はトラブルが起きやすい?6つの防止策や解体工事で基礎撤去が必要な理由についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
解体工事はトラブルが起きやすい?6つの防止策や対処法などを解説
解体工事で基礎撤去が必要な理由や費用・安く抑える方法も解説!
解体工事の積算を効率化する方法
解体工事の積算を効率化するには、現場調査から見積作成までの流れを最適化し、デジタル技術や外部リソースを積極的に活用しましょう。
人手不足や短納期の案件が増える中で、正確性とスピードを両立させることが求められています。
特に、現場調査のデジタル化や積算業務の外注化、積算ソフトの導入は効率化に直結する取り組みです。ここでは、3つの方法を中心に、積算業務を省力化しながら精度を高めるためのポイントを詳しく解説します。
現場調査をデジタル化する
解体工事の積算を効率化する方法の1つが、現場調査のデジタル化です。
従来は紙の図面や手作業で行っていた情報収集を、スマートフォン・タブレット・3Dスキャンツールなどを活用してデジタル化すれば、現場の状況を正確に把握できます。
例えば、ドローンによる上空撮影を導入することで、建物の高さや周囲の障害物を安全に測定でき、見落としのリスクを軽減できます。
また、クラウド上でデータを共有すると、現場と事務所の情報連携が円滑になり、修正や確認作業も効率化します。
さらに、写真データや測量情報を自動整理できるアプリを活用すれば、報告書作成の負担も大幅に削減可能です。
このように、現場調査をデジタル化すると、作業効率の向上と積算精度の両立が実現します。
積算業務を外注する
解体工事の積算を効率化するには、専門業者へ積極的に外注をしましょう。
積算業務は専門知識と経験を要するうえ、手作業が多く煩雑になることが多いです。外注すると社内の負担を軽減し、見積書作成や顧客対応などのコア業務に集中できます。
積算代行業者は最新の資材単価や地域相場を把握しているため、精度の高い積算が可能です。また、短期間で複数案件を処理できる点もメリットで、繁忙期や人手不足時の遅延防止にも役立ちます。
ただし、外注先の実績や守秘義務への対応を必ず確認し、信頼性を重視して選定しましょう。適切に外注を取り入れれば、コストを抑えながら効率的で安定した積算体制を構築できるでしょう。
解体工事向けの積算ソフトを活用する
解体工事の積算を効率化するには、専用の積算ソフトを活用しましょう。
積算ソフトは、建物の構造・面積・解体材質を入力するだけで自動的に概算費用を算出でき、手作業に比べて作業時間を大幅に短縮できます。
近年は、廃棄物処理費や重機費、運搬費などの単価データが自動更新されるソフトも登場しており、常に最新の相場に基づいた正確な積算が可能です。
また、見積書を自動生成できる機能を備えた製品も多く、書類作成の負担軽減にも役立ちます。
さらに、クラウド型ソフトを導入すれば、現場と事務所間でデータを共有でき、複数の担当者による同時編集も容易です。
初期費用はかかるものの、業務効率の向上やヒューマンエラーの防止につながるため、長期的には費用対効果の高い投資といえます。
解体工事の積算業務を外注するならツクノビBPOがおすすめ
解体工事の積算業務を外注するなら、建設・解体業界に特化した「ツクノビBPO」がおすすめです。
ツクノビBPOは、積算や見積作成といった煩雑な業務を代行できるバックオフィス支援サービスです。
現場経験を持つ専門スタッフが担当し、構造や建材の種類、廃棄物処理費など実際の現場条件を踏まえた正確な算出を行います。
また、クラウド環境でデータを共有できるため、進捗確認や修正依頼もすぐに対応可能です。
さらに、積算以外にも請求書作成・書類管理・人材派遣など幅広いサポートを提供しており、業務全体の効率化を実現します。
積算作業を専門家に任せたい方は、ぜひ公式サイトをチェックしてください。
【まとめ】解体工事の積算をよく理解し正しく計算しよう
解体工事の積算は建物の状態によって取り壊し費用が大きく変わることや、廃棄物処理費用がかかることから複雑と言われています。
しかし、積算をしっかり行うことは、工事費を的確に算出し利益を出す、つまり経営を安定させるため最も大切な作業の1つです。適切な積算ができるよう、「公共建築工事標準単価積算基準」などを参考に、基礎をしっかりと押さえておきましょう。
積算で失敗しないためのコツや足場の積算についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
積算は難しい?失敗しないためのコツや構成要素・主な流れなどを解説
※弊社の営業代行サービスであるツクノビセールスでは、
【効果が出なければ全額返金プラン】を新たにスタートさせました!

※詳しくは👆👆👆のバナーをクリック!!



