解体工事はトラブルが起きやすい?6つの防止策や対処法などを解説

解体工事 トラブル

不要になった建物の解体工事はトラブルが起きやすいことで有名です。解体工事は工事の性質上、近隣住民への負担が大きく特にトラブルが生じやすいのです。そこで今回は解体工事の依頼を検討されている方に向けて、解体工事で起きやすい代表的なトラブルの種類、トラブルの6つの防止策や対処法などをご紹介します。

解体工事はトラブルが起きやすい?

解体工事は工事の特質上、近隣の住民とトラブルが起きやすい工事です。近隣住民への告知をしっかりとしていたとしても、予期せぬトラブルが生じることがあります。続いて解体工事で損害が生じた際の責任の所在についてご紹介します。

解体工事のトラブルにおける責任者

解体工事の際に生じたトラブルの責任は、原則として解体業者が負います。この際、過失が施主の指示による場合、あるいは損害が出ることが予期されていたにもかかわらず解体工事を行った場合は施主に責任があると見なされます。トラブルの責任が施主にない場合でも、トラブルの悪化を防ぐために施主は業者と連絡をとって対応にあたる必要があります。

解体工事前に起きやすい3つのトラブル

続いて解体工事で生じやすいトラブルをご紹介します。解体工事は解体工事前、工事中、工事後の三段階すべてでトラブルが発生する可能性がありますが、このうちで特に工事前に起きやすい3つのトラブルをご紹介します。

  • 近所への挨拶をしていない
  • 解体業者が許可を受けていない
  • 業者が損害賠償保険に加入していない

それでは詳しくご紹介します。

近所への事前挨拶をしていない

近隣住民へ挨拶や説明などがない場合は、トラブルが生じる可能性があります。解体工事は騒音などが生じますが、事前に工事を行う旨をしっかりと伝達すればトラブルを避けることができます。事前に挨拶をするだけではなく、解体工事のスケジュールを説明会などを通してしっかりと行うことでトラブル防止につとめましょう。

解体業者が許可を受けていない

解体業者が認可を受けている業者かどうか、事前にしっかりと確認を取ることも重要です。仮に解体業者が認可を受けていないことが解体工事が施工されたあとに発覚した場合は、そのまま解体工事を続行することはできません。契約した業者が違法な業者でないかどうか、事前に行政などに確認を取りましょう。

解体業者が損害賠償保険に加入していない

解体工事を業者に発注する際には、業者が損害賠償保険に加入しているかどうかを確認しましょう。損害賠償保険は業務上の偶発的な過失を補償してくれる保険のことで、業務中に生じたトラブルの拡大を防げます。先程もご紹介したように、原則として解体工事で生じた責任は施主ではなく解体業者に帰せられます。しかし解体業者が保険に加入していない場合は、損害賠償の支払いを巡って別のトラブルが生じる恐れがあります。依頼業者の保険への加入状況の有無を事前に確認しましょう。

解体工事中に起きやすい8つのトラブル

続いて解体工事中に起きやすい代表的なトラブルをご紹介します。解体工事というと騒音トラブルが有名ですが、実際に問題となっているトラブルはそれだけにとどまりません。

  • 養生や足場が適切に設置されていない
  • 近隣へ騒音や振動が響く
  • ほこりや粉塵が飛散する
  • 路上駐車で通行の邪魔をする
  • 解体業者と認識違いや作業員の態度が悪い
  • 隣家や公共物に傷をつけてしまう
  • アスベストを不適切に処理する
  • ゴキブリなどの害虫が近隣へ侵入してしまう

上記8つの代表的なトラブルについて詳しく解説します。

養生や足場が適切に設置されていない

養生シートや足場の設置が不適切であったり、ずさんであるとトラブルの元になります。養生シートは埃などの飛散を防止しますが、配置が適切でないと近隣住民に粉塵被害をもたらす恐れがあります。また、足場の設置は近隣住民だけではなく、作業員の安全にも直結しているため慎重に行う必要があります。

近隣へ騒音や振動が響く

解体工事に際したトラブルで一番に挙げられるものでしょう。建物の解体には大きな音が出る重機の使用が不可欠です。この際にトラブルの原因となるものは、指定の時間外の解体工事です。解体工事は事前に工事の期間と時間帯を指定して行いますが、近隣へ説明した時間外の工事や予定にない工事を行うとトラブルの原因になります。解体業者が提示する工事計画に問題がないかをしっかりと確認するようにしましょう。

ほこりや粉塵が飛散する

解体工事は文字通り建物を解体して取り壊すため、ほこりや粉塵が飛散します。飛散そのものをできるかぎり防止するために、防塵シートや養生シートの適切な設置が不可欠です。ほこりや粉塵の飛散は避けられませんが、飛散をできるかぎり防ぐ措置を取ることでトラブルを防止することができます。また先程もご紹介したように、防塵シートや養生シートは適切に設置される必要があります。これらのシートがずさんに設置されていると不誠実な対応だと思われてトラブルの原因になりかねません。

路上駐車で通行の邪魔をする

解体工事では、解体や足場の設置に重機などが用いられます。また、作業者を含め様々な車が乗り入れます。これらの作業車が路上駐車などによって公共道路を塞いでしまうと近隣の方にとっては大きなストレスです。駐車場に停められる車はできる限り駐車場に停めるなどして、近隣の交通を妨げないようにすることが大事です。

解体業者と認識違いや作業員の態度が悪い

解体工事を行う前に、施主と解体業者との間で工事の期間や内容についてしっかりとすり合わせることが大切です。解体業者の一存で工期や工事の内容を変更してしまうと、近隣とのトラブルになりかねません。解体工事前に業者の方と予定のすり合わせを入念に行いましょう。また作業員の態度が悪いとトラブルの原因になりかねません。近隣への説明などを行う際には良い印象を持たれるように心がけましょう。

隣家や公共物に傷をつけてしまう

解体工事は重機の使用が前提となるため常に家屋や公共物の破損のリスクが伴います。特に近隣家屋の破損は大きなトラブルの原因となるため、細心の注意が必要です。仮に隣家に傷をつけてしまった場合は解体業者が加入している保険から補償されますが、施主側も対応の指示が必要です。また、公共物に傷をつけてしまった場合は管轄の官庁にすみやかに連絡をしましょう。

アスベストを不適切に処理する

アスベストは健康に甚大な被害を及ぼす有害物質です。解体にあたっては、建物にアスベストが使用されているかどうかを事前に調査することが必要です。アスベストが使用されている場合は事前にアスベストの除去作業をしなければなりません。また場合によっては自治体への届出が必要です。有害物質の取り扱いに関する規則に関しても解体業者と事前に共有しましょう。

ゴキブリなどの害虫が近隣へ侵入してしまう

解体する建物が長年使用されていないものである、老朽化したものである場合はゴキブリやネズミなどの害虫、害獣が発生することがあります。対策を怠ってこれらの害虫が近隣へと侵入してしまうとトラブルに発展するため、駆除グッズを使う、駆除業者に依頼するなどして対策しましょう。

解体工事後に起きやすい3つのトラブル

それでは最後に解体工事後におきやすいトラブルを3つご紹介します。具体的なトラブルは以下の3点です。

  • 整地作業がきちんと行われていない
  • 産業廃棄物が不法投棄
  • 建物取毀し証明書が発行されない

整地作業がきちんと行われていない

解体工事は建物を取り壊して終わりというわけではありません。取り壊し後には解体された建物の撤去、ゴミの清掃、整地を行って解体工事が完了です。ゴミが残されていたり、整地がずさんであったりすると近隣へとゴミや砂が飛散する恐れがあります。解体工事後に近隣の方が過ごしやすい環境を整備することも解体工事の一部です。

産業廃棄物が不法投棄されている

解体工事では多くの産業廃棄物が排出されますが、これらは廃棄物処理法に基づいて適切に捨てられなければなりません。悪質な解体業者は産業廃棄物を山などに不法投棄することもあります。こうした不法投棄を避けるために、施主は解体業者に廃棄物の処理の予定を記した産業廃棄物管理票を提示してもらうようにしましょう。

建物取毀し証明書が発行されない

解体工事が終わったあとには、建物がしっかりと取り壊されたことを証明する建物取毀し証明書が必要です。建物取毀し証明書は官公庁での建物滅失登記に必要であるため、できるだけ速やかに入手したい書類です。この証明書は施主が解体業者に発行してもらう書類であるため、解体工事後に業者に発行を依頼しましょう。

解体工事のトラブル6つの防止法

ここまでは解体工事で起きやすい主なトラブルについてご紹介しました。続いてこのようなトラブルの具体的な6つの防止法をご紹介します。具体的な防止法は以下の通りです。

  • 事前に近隣へ挨拶回りを行う
  • 解体工事業者の実績を確認する
  • 見積もりを丁寧に確認する
  • 追加工事の費用の規定を確認する
  • 事前に許可証や登録を確認する
  • 廃棄物の処理についてマニュフェストで確認する

解体工事でのトラブルは周囲とのトラブルだけではありません。場合によっては依頼した業者とのトラブルもあります。それでは具体的に解説します。

事前に近隣へ挨拶回りを行う

解体工事でトラブルを防止するためには、工事前に近隣への挨拶回りをかかさないことが大事です。解体工事は周囲の理解を得ないまま強行するとクレームにつながります。粗品を持って事前に挨拶回りをする、工事の内容や時間帯に関して説明会を行うなどの対応を徹底することで、近隣と良好な関係を保ちながら解体工事を行えるようにしましょう。

解体工事業者の実績を確認する

解体工事を依頼する前に解体業者の実績や評判を確認することも重要です。施主は基本的に解体工事が始まって以降、基本的に解体工事業者に現場をすべて預けることが基本です。解体工事業者のマナーや工事の仕方によっては、施主の意図に反してクレームやトラブルが発生してしまうこともあるのです。解体工事業者の工事実績が十分であるか、評判がよいかどうかをインターネットなどで調査しましょう。

見積もりを丁寧に確認する

解体工事を発注する際には、解体工事業者による見積もりを丁寧に確認することも重要です。見積もり費用が相場と比較して適正価格であるかどうかをしっかりと確認するようにしましょう。費用が極端に高い場合はもちろんのこと、極端に安い場合にも注意が必要です。工事後に追加費用を請求されるケースもあるため、事前に丁寧な見積もりを取りましょう。

追加工事の費用の規定を確認する

解体工事に関するトラブルは近隣とのトラブルだけではありません。業者との金銭トラブルにも十分に気を付けなければいけません。解体工事を依頼する際に、追加工事に関する費用規定を確認するようにしましょう。業者によっては追加工事の費用を、事前に告知なく請求する場合もあるため依頼の際に事前に確認を取りましょう。

事前に許可証や登録を確認する

解体業者がしっかりと認可を得ている業者かどうかを確認することも重要です。解体工事業の登録は以下の2種のいずれかです。

  • 建設業許可
  • 解体工事業登録

建設業許可は500万円以上の解体工事業を請け負う際に取得が必要です。500万円未満の工事を発注する際にも、建設リサイクル法に基づいて解体工事業登録がされているかどうかを確認しましょう。

廃棄物の処理についてマニュフェストで確認する

解体工事後のトラブルについての項目でご紹介したように、工事で排出される廃棄物の処理に関しても、事前に解体工事業者と確認を取ることが必要です。廃棄物の不法投棄を防止するために、平成2年度から行政の主導でマニフェスト制度が実施されています。マニフェスト制度は、廃棄物の中間処理、最終処理方法を事前に告知する産業廃棄物管理票を事前に伝達する仕組みです。解体などを委託する場合には発行が義務付けられているため、事前に解体業者に確認を取りましょう。

解体工事でトラブルが起きたときの対処法

それでは最後に、実際に解体工事でトラブルが起きたときの対処法をご紹介します。具体的な対処法は下記の通りです。

  • しっかりと相手の話を聞いて謝罪する
  • 専門機関に相談する
  • 違法な業者の通報

相手の話しを聞く

解体工事でトラブルが起きた場合、まずは相手の言い分に耳を傾けることが大切です。トラブルには明らかに施主、業者側の過失である場合も理不尽なクレームである場合もあります。どちらの場合であってもまずは相手の言うことをしっかりと聞き、謝罪する姿勢が大切です。初動での対応を誤るとトラブルがエスカレートして対処不可能になることもあるからです。誠実に相手の言い分に耳を傾ける姿勢を大事にしましょう。

専門機関に相談する

解体工事で実際に損害が生じてしまった場合は専門機関に相談しましょう。相談可能な専門機関は以下の3つです。

  • 消費者センター
  • 弁護士
  • 法テラス

それではそれぞれの特徴について詳しく解説します。

消費者センター

苦情やトラブルの相談は消費者センターが受け付けています。消費者センターは全国の地方公共団体が運営する団体で、苦情などの様々なトラブルに関する相談が可能です。消費者センターへの相談は誰でも無料で行えます。万が一のトラブルの際には、まずは消費者センターに相談してみましょう。

弁護士

解体工事でのトラブルが損害賠償請求へと発展する場合は、より専門的な知識を持った人や機関への相談が必要です。このような場合は弁護士へと相談しましょう。既に顧問弁護士がいる場合を除き、初めて弁護士に相談する場合は建設業界でのトラブル対応経験が豊富な弁護士に相談しましょう。

法テラス

法テラスは日本司法支援センターとも呼ばれ、国営の法律相談センターです。借金や離婚をはじめ解体工事に関する法的なトラブルも相談可能です。法テラスは三回まで無料で法的なトラブルに関する相談を行うことができますが、利用に関しては収入等の条件があります。法テラスは費用の問題で弁護士等に相談をすることができない方向けの相談機関です。公式サイトを確認して無料相談の要件を満たしているかどうかを確認してみましょう。
参考: 法テラス

違法な解体業者は役所へ通報する

解体工事業者が違法業者である場合、工事のマナーが悪い場合は業者を管轄の行政へと通報しましょう。クレームがあった際に、対応を行わない、改善が見られないなどの場合は業者の問題点をまとめたものを提出しましょう。違法業者を通報することで営業資格の停止ができるため、悪質業者は積極的に通報しましょう。

建設業における元請けと下請けで起こるトラブルとは?実例と対処法をご紹介

【まとめ】解体工事は近隣へ丁寧に対応すればトラブルも未然に防げる!

今回は解体工事における代表的なトラブルの種類、6つの防止策や対処法などを解説しました。確かにしっかりとした防止策を講じなければ、解体工事におけるトラブルは避けられません。しかし近隣住民へと丁寧に対応することでトラブルを未然に防ぐことができます。ぜひ今回の記事を参考に解体工事のトラブル対策に取り組んでみてください。

解体工事業者におすすめの保険の種類と注意点についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

解体工事業者におすすめの保険は?加入するべき保険の種類と注意点を解説!

※弊社の営業代行サービスであるツクノビセールスでは、
【効果が出なければ全額返金プラン】を新たにスタートさせました!

詳しくは👆👆👆のバナーをクリック!!