解体工事に必要な届出一覧や提出に関する注意点などを解説!

解体工事 届出 一覧

解体工事を行う際には、法律に沿った手続きが必要なことをご存じでしょうか。また、提出書類は工事の内容によって提出先や期限が異なるため注意が必要です。今回は解体工事に必用な届出と提出する際の注意点、工事の流れなど解体工事に関する基本的な情報を説明します。解体工事をご経験の方も、業務に取り入れようと検討中の方もぜひご覧ください。

解体工事に必要な届出一覧

前述したように解体工事を行う前には、工事の内容に応じた書類を提出しなければなりません。解体工事に必要な届出を、まずは一覧で紹介します。

  • 建設リサイクル法に関する届出
  • ライフラインの撤去
  • 建設リサイクル法に関する届出
  • 道路使用許可申請
  • 建築物除却届
  • 建物滅失登記申請

解体工事に必要な6種類の届出

解体工事には6種類の届出書が必要です。しかし、解体工事の際にこれらすべての書類を提出しなければならないわけではありません。また、それぞれの書類によって提出期限や届出者、費用は異なります。解体工事に必要な6種類の届出書を、どのようなケースの際に提出しなければならないのか、添付書類が必要かなどを以下で徹底的に解説します。

アスベスト除去の届出

解体工事を行う前には、建物の築年数や規模に関わらずアスベストの調査を行うことが義務付けられています。しかし、以下のケースに該当する場合は例外として行う必要はありません。

  • 金属、木材、ガラス、石等のみで構成されているもの
  • 畳、電球等で石綿等が含まれていないことが明らかなもの
  • 既存の材料等の除去は行わず、新たな材料を追加するのみの作業
  • 釘打ち、釘抜きなど材料に極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業
  • 国交省等の調査でアスベストが使用されていないことを確認している工作物

アスベストの調査は、発塵性によってレベル1〜3の3段階に分かれており、各レベルで提出書類は異なります。詳しくは以下で説明しましょう。

レベル1

極めて発塵性が高いと判断された建物は、レベル1に該当します。具体的に言うと、石綿含有吹き付け材が使用された建物です。石綿含有吹き付け材は居室以外の駐車場やエレベーターの周囲、機械室やボイラー室の壁などに利用されている建材です。調査を行い該当した場合は、以下の書類を提出する必要があります。

  • 工事計画届(工事14日前までに労働基準監督署長宛に提出)
  • 特定粉じん排出等作業届書(工事14 日前までに各都道府県知事等宛に提出)
  • 建築物解体等作業届(作業前に労働基準監督署長宛に提出)
  • 事前届出の実施(工事着手 7 日前までに各都道府県知事等宛に提出)

レベル2

やや発塵性が高いと判断された建物は、レベル2に該当します。具体的に言うと、ケイカル板2種などの耐火被覆板、煙突、屋根折板などの断熱材、保温材を使用した建物です。耐火被覆板は梁や柱、壁に、保温材は配管や空調ダクト、ボイラー本体に使用されています。レベル2に該当する場合は、以下の書類を提出する必要があります。

  • 特定粉じん排出等作業届書(工事14 日前までに各都道府県知事等宛に提出)
  • 建築物解体等作業届(作業前に労働基準監督署長宛に提出)
  • 事前届出の実施(工事着手 7 日前までに各都道府県知事等宛に提出

レベル3

発塵性が比較的低いと判断された建物は、レベル3に該当します。具体的には石綿含有岩綿吸音やスレート、Pタイルやサイジングや石綿セメント板などを使用した建物です。これらは外壁だけでなく、内装材にも利用されています。レベル3に該当する場合事前に調査する必要はありますが、どこかに書類提出の必要はありません。しかし、作業はアスベストに配慮して慎重に行う必要があります。

ライフラインの停止

解体工事の前には、水道以外のガスや電気、インターネットなどのライフラインを停止しなければなりません。なぜならこれらのライフラインを止めなければ、解体工事の際にガス漏れや漏電などの事故のリスクが考えられるからです。停止依頼は各業者に電話やオンライン上で行ないます。ただし、水道だけは防塵のため散水しながら作業する可能性もあるので、契約したままにしておきましょう。

建設リサイクル法に関する届出

以下の条件に該当する場合は、建設リサイクル法に基づき解体工事後に予想される廃材の見込み量などを届け出る必要があります。届け出なければならない書類の種類に関しては、以下で説明します。

  • アスファルトや鉄、木材など、特定の建材が使用されている
  • 解体する建設物の延床面積の合計が80㎡以上

届出に必要な書類

建設リサイクル法に基づいて提出しなければならない書類は以下の種類です。書類の提出期限は、解体工事に着手する7日前までとされています。

  • 着手時期や工期と工程表
  • 解体建物の構造届
  • 廃材量の見込み
  • 分別解体計画
  • 上記の書類の変更届

道路使用許可申請

解体工事の際、工事車両や重機を敷地内に停めるスペースがない場合は、前面の道路に工事車両を停車しなければなりません。その際には、道路使用許可申請を提出する必要があります。許可申請の提出先は使用する道路を管轄する警察署で、費用は2,000円〜3,000円ほどです。申請に必要な書類は以下で説明しましょう。

申請に必要な書類

道路使用許可申請に必要な書類は、以下の通りです。提出期限は、解体工事着手2日~7日前とされています。申請書は管轄の警察署のホームページからダウンロードして使用しましょう。

  • 道路使用許可申請書(2通)
  • 道路使用の場所あるいは区間の付近の地図や見取図
  • 公安委員会が認めて定めた書類(必要な場合のみ)

建築物除却届

建築基準法第15条に基づき、建物を解体する際には建築物除却届を提出しなければなりません。提出先は各都道府県知事で、期限は工事着手前日までとされています。提出は原則施主がしなければなりませんが、委任状を作成すれば施工業者が代理で提出することも可能です。ただし、工事対象の床面積が10㎡以内、あるいは建て替えに伴う除却(解体)の場合は例外になり、提出する必要はありません。

建物滅失登記申請

解体工事を行い、建物が無くなったことを証明するのが建物滅失登記申請です。提出先は建物の所在地を管轄する法務局で、解体工事が終わってから1ヵ月以内に申請しなければなりません。申請費用は無料ですが、登記事項証明書の取得費が480円~600円程必要になります。また、提出を土地家屋調査士に委任する場合は、3~7万円ほどの手数利用が必要になります。建物滅失登記申請を提出しないと、10万円以下の罰金が課せられるため工事終了後速やかに提出しましょう。必要書類は以下で説明します。

申請に必要な書類

建物滅失登記申請をする際には、以下の書類が必要です。

  • 建物滅失登記申請書
    法務局のホームページからダウンロード可能です。
  • 建物滅失証明書
    「取り壊し証明書」とも言います。建物が取り壊されたことを工事業者が証明するための書類です。
  • 解体した工事業者の登記事項証明書と印鑑証明書
  • 解体した建物の案内図

解体工事の届出に関する注意点

解体工事の届出は様々な種類があり、多忙なスケジュールの中つい提出を怠ってしまうことも考えられます。しかし、各届出を怠ることで罰金などの様々なペナルティが発生します。解体工事に関する注意点を、以下の7つに分けて説明します。

  • アスベスト除去の届出を怠った場合
  • ライフラインの停止の届出を怠った場合
  • 建設リサイクル法に違反した場合
  • 道路の使用許可申請を怠った場合
  • 建築物除却届の提出を怠った場合
  • 建物滅失登記の提出を怠った場合
  • 立ち入り検査を妨害した場合

アスベスト除去の届出を怠った場合

アスベストに関しては「大気汚染防止法」で規制や罰則が定められています。アスベストレベル1~2に該当する場合に、「特定粉じん排出等作業実施届出書」の届出を怠ると、3ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が課されます。また、工事の事前届出書の提出を怠った場合にも、50万円の罰金が課されるので注意しましょう。
参考:環境省「大気汚染防止法

ライフラインの停止の届出を怠った場合

ガスや電気、インターネットをはじめとするライフラインの届出を怠った場合に課される法的な罰則はありません。しかし、利用していない間の料金が発生するため注意が必要です。前述したように停止の手続きをせず解体工事をした場合、ガス管が傷つきガス漏れやガス爆発などのリスクがあります。電気に関しても、感電事故などのリスクが発生します。金銭面と安全面の双方を考慮して、停止手続きを事前に行いましょう。

建設リサイクル法に違反した場合

建設リサイクル法で定められた書類の提出を怠り行政指導が行われても改善されなかった場合、罰金が発生します。罰金の金額は、自治体や違反内容によって前後するので一概には言えません。例えば、対象となる工事の違反をした場合や再資源化等義務の実施命令違反をした場合は20万以下の罰金が、分別解体等義務の実施命令違反の場合は50万円以下の罰金が科されます。罰金の対象は基本的には施主ですが、委託を受けていた場合は解体工事業者が対象になるので注意しましょう。

道路の使用許可申請を怠った場合

道路の使用許可申請を怠ったまま警察庁の定める【許可基準】に該当する道路で工事を始めると、3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科されるので注意しましょう。もし申請を行っていたとしても、申請した場所以外を使用した際には同様の罰則が発生します。
参考:警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等

建築物除却届の提出を怠った場合

建築物除却届の提出をせずに、床面積が10㎡以上で建て替えを伴わない解体を行うことは法律上許されていません。もしも、届出をせずに解体工事を行う、あるいは虚偽の報告を行った場合には、50万以下の罰金が科せられるので注意しましょう。
参考:国土交通省「建築物を除却しようとするときは、届出が必要です

建物滅失登記の提出を怠った場合

建物滅失登記を怠ると10万円以下の罰金が発生するだけでなく、施主は解体した検知気宇物の固定資産税を払わなければならなくなります。建物滅失登記を行わなければ、解体後の土地の売却や譲渡もできません。複雑な登記手続きを面倒に思われる方もいるかもしれませんが、解体後なるべく早く行いましょう。

立ち入り検査を妨害した場合

解体工事の際には、自治体による立ち入り検査が行われるケースがあります。都道府県知事等による、立入検査の対象に解体工事の対象物が追加されたことにより行なわれるようになりました。いかなる理由があろうと、自治体の立ち入り検査を阻む、あるいは妨げた場合には30万円以下の罰金が発生します。
参考:環境省「第12章自治体による立入検査

解体工事の流れ

解体工事に関する届出書と、提出を怠った際に発する罰則や罰金について説明してきました。次に解体工事はどのような手続きで行なわれるかを、以下の5つに分けて説明します。

  1. 解体業者の現地調査
  2. 見積もり比較・契約
  3. 解体工事の準備
  4. 解体工事
  5. 廃棄物分別・排出・整地

1.解体業者の現地調査

施主から見積もりを受けたら、まず解体予定の建築物のある場所に現地調査に向かいます。現地調査の際は、可能であれば施主に同行してもらいましょう。なぜなら敷地内に解体するものとしないものが混在する場合など、あらかじめ確認しておいた方が後のトラブルの防止になるからです。

2.見積もり比較・契約

近年では、施主は見積もり比較サイトなどで複数の業者を比較検討してから申し込むケースが主流になっています。そのため、現地調査後も即契約とはならず、複数の業者の相見積もりを取るため時間を要することが予想されているのです。自社を選んでいただいたら、建物解体工事請負契約を締結します。工期や金額について双方の認識に違いがないか、しっかり確認しておきましょう。

3.解体工事の準備

建物解体工事請負契約を締結したら、解体工事の準備を行います。まず、前述した所定の届出書類を各提出先に提出しましょう。また、ライフラインの契約がまだそのままの場合は施主に解約を促してください。必要な届出書類は以下の4つです。

  • 建設リサイクル法関連書類
  • アスベスト除去の届出
  • 建築物除去届
  • 道路関係書類

4.解体工事

所定の手続きを行なったら、解体工事に取り掛かります。解体工事は以下の手順で行います。

  1. 足場を設置し、必要な個所に養生を行います。養生にはほこりや騒音の防止効果があります。
  2. 内装を解体していきます。内装から解体を始めることで、建材の分別を事前に行なうことができ、廃棄物の排出がスムーズに行えます。
  3. 最後に、建物本体の解体を行います。

5.廃棄物分別・排出・整地

解体後は、廃棄物を分別し適切に処理を行います。その後、建設物があった場所を整地して解体工事は完了になります。工事後30日以内に、「建物滅失登記申請」を提出しましょう。

解体工事のときは近隣へ挨拶を忘れず行う

解体工事の際は様々な届出が必要になるため多忙になりますが、近隣への挨拶も怠らないようにしましょう。解体工事の際には、砂埃や騒音などがどうしても発生するため、近隣の住宅の生活にも影響を及ぼしてしまいます。工事のスケジュールと共に挨拶を行うことで、近隣の住宅も事前に事情を理解できるため近隣からのクレームを未然に防げます。

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【まとめ】解体工事に必要な届出をきちんと行ってスムーズに作業を進めよう

解体工事の際には、警察署や自治体、法務局などに所定の届出を提出する必要があります。提出を怠ると数万円〜数十万円の罰金や罰則が科されるため、注意しましょう。また、工事前にライフラインを停止するのも事故防止のために忘れないようにしてください。安全に工事を行うために、契約前に必要な手続きを必ずチェックすることをおすすめします。

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