法改正に伴う解体業の分類の変化について解説!具体的な工事例も紹介

「法改正で解体業に変化はあるの?」「今までの解体工事と違う点は?」「現在の解体業の定義が知りたい」と気になる方はいませんか。平成28年に建設業の法改正があり、解体業の定義が変わりました。解体工事業が新設されたことでいまだに混乱する方も多いのではないでしょうか。今回は法改正に伴う解体業の分類の変化について詳しく解説しました!具体的な工事例も紹介するので、ぜひ最後までお読みいただき参考にしてください。

解体業とは

まず解体業とは「建築物の一部もしくは全てを取り壊す」業者のことです。解体業は建設工事に分類されています。建設工事のなかでも「解体工事業」に区分される専門業者です。また解体業は現場で解体作業をすることで、廃棄物を運搬する作業などは含まれません。

建設業法改正に伴う解体業の分類の変化

解体業は建設業法改正に伴い、どのような分類に変わったのでしょうか。この法律は平成28年6月1日に施行され、建設業の区分に「解体工事業」が新設されました。これにより建設業法上の解体工事は、以前の解体工事から意味合いが変化しています。では改正前(平成28年5月以前)と改正後(平成28年6月以降)で、解体業の分類はどのように変化したのでしょうか。

改正前:平成28年5月以前

平成28年5月以前の解体工事は全て「とび・土木工事業」の分類でした。解体工事の定義も、建設業における解体作業全般を意味していました。

改正後:平成28年6月以降

しかし平成28年6月以降、次のような定義に変わりました。解体工事とは「工作物の解体を行う工事」を意味しており、解体する工事は各専門工事に該当するとしています。つまり建築する工作物が専門工事に該当する場合、解体する際も同じ業種の専門工事が取り扱わなければなりません。たとえば工事内容によって、解体する工事は電気工事業や内装仕上工事業などが該当することになります。このような専門工事以外の土木工作物を解体する工事は「土木一式工事」、総合的な企画、指導、調整のもと建築物を解体する工事は「建築一式工事」に該当します。

建設業法改正に伴い必要になった許可・登録

建設業法改正に伴い、建設業許可が必要な業種に「解体工事業」が29種目に追加されました。これにより解体工事を請負・施工する建設業者は「建設業の許可」もしくは「解体工事業の登録」を受けなければなりません。ではどんな時に建設業の許可や解体工事業の登録が必要になるでしょうか。

資格1:建設業許可:工事費が500万円以上の場合必須

工事費が500万円以上の場合、「建設業の許可」を受ける必要があります。建設業の許可は建設業法に基づき、5年ごとに更新します。もし二つ以上の都道府県に営業所を設置する場合は国土交通大臣、一つの都道府県で行う場合は該当の都道府県知事による許可が必要です。どちらの場合でも主任技術者や監理技術者などの技術者を設置することが義務付けられています。

資格2:解体工事業者の登録:工事費が500万円未満の場合必須

500万円未満の工事費に限定する場合、土木や建築一式の建設業の許可、もしくは「解体工事業の登録」が必要です。建設業の許可がない場合、解体工事業の登録は必須となります。これは工事を行う都道府県ごとに登録しなければなりません。解体工事業の登録は建設リサイクル法に基づき、主に二つの要件があります。一つは「技術管理者を設置している」、二つ目は「欠格要件に該当しない」です。技術管理者には「実務経験を満たす者、資格を有する者、国土交通大臣の資格を受けた試験に合格した者」のいずれかに該当する必要があります。次に欠格要件とは「建設リサイクル法の違反事例がある・前科がある・暴力団員である」の項目に該当しないことが求められます。要件の詳細は、各都道府県のホームページをご参照ください。

解体工事ごとの建設業許可業種の分類

では具体的にどの解体工事が、何の建設業許可業種に分類されるのでしょうか。次のようなケースを例にそれぞれ解説します。

戸建・マンション:解体工事

戸建やマンションの場合、基本的に「解体工事」に分類されます。しかし建設業許可事務ガイドラインに基づき、総合的な企画、指導、調整のもとに行われる大規模で複雑な工事は「建築一式工事」に該当します。ただし下請業者として建築一式工事に参加する場合は、建設業許可業種の「解体工事」で行います。

スケルトン工事:内装仕上工事

スケルトン工事とは内装を現状回復することです。これには「内装仕上工事」が該当します。ただ工事の内容によっては部分的な撤去になるため、その際は各専門業種とされるでしょう。たとえばキッチンの設備を撤去する場合、とび・土木工事に該当します。また電気設備を撤去する際は電気工事が担当することになります。もし複数の業種を含む工事なら、主な工事で業種を判断します。

街灯の撤去:電気工事

街灯の撤去は「電気工事」に分類されます。街灯の撤去だけでなく舗装工事をしたとしても、主な工事業種で決まるため電気工事に該当します。このように工事ごとに許可業種を判断しなければなりません。

【まとめ】解体業の法改正によって解体工事が細分化!必要な許可・登録を必ずチェックしましょう

いかがだったでしょうか。今回は解体業の法改正に伴う分類の変化について解説しました。平成28年の建設業法改正により、解体業の定義が変わりました。今までは建設業における解体工事全般を意味していましたが、現在では「工作物の解体を行う工事」としています。解体する業者も各専門業者が行うとされ、これまでの解体における分類方法が大きく変わりました。解体工事には建設業の許可、もしくは解体工事業の登録が必要となります。工事費用によって必要な条件が変わるので注意しましょう。また解体する際もどの業種に分類されるのか判断する必要があります。このような法改正における変化をぜひ知っていただき、今回の記事をお役立てください。