電気工事業とは?電気工事業の建設業許可取得方法や必要な資格などをご紹介!

電気工事業の建設業許可は500万円以上の電気工事を施工する際に必要です。許可申請に必要な要件の中には、一般建設業と特定建設業で内容が異なるなど、注意する点もあります。電気工事業で建設業許可取得を考えているけれども、どうやって取得申請すればよいか分からず悩まれている方もおられるでしょう。
そこで今回は、電気工事業における建設許可申請の要件や、取得方法、また必要な資格などについて解説します。電気工事業の建設業許可を申請する際の参考にしてください。

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電気工事業とは?

電気工事業とは、発電設備や変電設備、送配電設備などを設置する工事を請け負う事業のことです。具体的には次の工事が挙げられます。

  • 発電設備工事
  • 送配伝染工事
  • 引き込み線工事
  • 変電設備工事
  • 構内電気設備工事(非常用電気設備を含む)
  • 照明設備工事
  • 電車線工事
  • 信号設備工事
  • ネオン設備工事

太陽光発電設置工事は電気工事業になりますが、屋根一体型の太陽光パネルの設置については電気工事ではなく屋根工事に該当するので注意が必要です。

電気工事業の建設業許可取得の要件

ここからは、電気工事業の建設業許可申請に必要な要件について項目別に説明します。電気工事許可に必要な要件は全部で6項目あります。そのなかでも特に気をつけなければならないのは専任技術者の配置と財産基礎要件です。これらは一般建設業と特定建設業では申請内容や技術者選定の基準が異なります。
それでは詳しく見ていきましょう。

1.経営業務の管理責任者

経営業務の管理責任者とは、建設業で、電気工事における経営業務を責任者として適正に執行できる人のことです。事業所には、経営業務を一定期間経験した責任者を最低でも1人専任する必要があります。管理責任者の条件としては次のとおりです。

  • 建設業に従事し管理責任者として5年以上の経験がある者
  • 建設業に従事し5年以上管理責任者に準ずる地位(経営業務を執行する委任を受けた者)で経営業務を管理した経験がある者
  • 建設業に従事し6年以上管理責任者に準ずる地位にあり、経営管理を補佐する業務の経験がある者
  • 建設業に従事し2年以上の役員経験があり5年以上の役員またはそれに準ずる地位で、労務管理、財務管理、業務運営を担当した経験がある者。この場合、補佐役として「財務管理」「労務管理」「運営業務」の経験者を置く必要あり)
  • 株式会社などの役員経験が5年以上あり、さらに建設業での役員経験が2年以上ある者(この場合、補佐役として「財務管理」「労務管理」「運営業務」の経験者を置く必要あり)

2.専任技術者

専任技術者とは請け負った電気工事について、その請負契約の適正な締結や履行をする専門的な知識を有する人のことです。専任技術者は営業所ごとに設置する必要があり、その営業所に常勤していなければなりません。専任技術者が許可取得後に、異動などで不在になると許可取り消しになるので注意が必要です。
専任技術者の条件は許可を取得しようとする業者が一般建設業か特定建設業かで異なります。詳しい条件は後述しますのでご確認ください。

3.誠実性

電気工事業で建設業許可を受ける事業者は、請負契約の履行に関して、常に誠実に業務を行わなければなりません。申請時における不正や、不誠実な行為が発見された場合は許可を受けることができません。また、建設業許可を取得した後でも、請負契約に対する不正が発覚した場合は許可が取り消されることがあります。それは、個人事業主でも法人においても同様です。営業取引に対して重要な立場にある役員においても誠実な業務執行が求められます。

4.財産的基礎

電気工事に着工する場合には、資材の購入や労働力の確保などの資金が必要になります。このため、建設業許可申請においては、請け負った工事が確実に施工できるよう十分な財産的基礎があることも重要な要件です。この財産的基礎の要件は一般建設業と特定建設業で異なり、特定建設業の要件は一般建設業よりも厳しくなっています。これは、特定建設業の場合多くの下請け業者を使うことが一般的であるためです。この項では一般建設業、特定建設業それぞれの要件について順を追って説明します。

一般建設業の場合

一般建設業で電気工事業の建設業許可を受ける場合、財産的基礎の要件は、まず、自己資本金が500万円以上あることです。次に500万円以上の資金調達能力があると判断されること。これは金融機関などの預貯金残高証明書(申請前4週間の残高)で判断されます。また、指定された対象期間内(建設業許可申請の直前からさかのぼって過去5年間)の安定した経営実績があることです。もちろん、許可後も安定した経営実績が継続されなければなりません。許可後の実績は更新許可を受ける場合の要件となります。

建設業許可に必要な500万円がない場合の対処法

「建設業許可を取得したいけど500万円も手元にない・・・」このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。そのような場合には以下のような対処法で解決できます。

  • 複数の口座に入っているお金を1つにまとめる
  • 入金のタイミングで残高証明書を取得する
  • 資金を調達する

詳しい内容や、資金調達に関する注意点などは以下の記事で分かりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可に必要な500万円がない場合はどうする?資本金が足りない場合の対処方法をご紹介!

特定建設業の場合

特定建設業申請における財産的基礎の基準は、一般建設業よりも厳しくなります。まず、自己資本金は4000万円必要です。さらに資本金は2000万円確保しなければなりません。
次に欠損の額(決算上の損失額)が資本金の20%を超えないこと。最後に流動比率(現金化が見込める資産の、支払いすべき負債に対する割合)が75%以上であることです。財産的基礎の基準をクリアするためには、この4項目をすべて満たす必要があります。特定建設業は、請負案件の規模から下請け業者が多くなる傾向があるため厳しい基準が設けられているのです。

5.欠格要件

電気工事事業で建設許可を取得する場合には、次にあげる多くの欠格要件に十分注意が必要です。欠格要件に該当すると他の要件を満たしていても許可取得ができません。

  • 破産者(復権を得ていれば問題なし)
  • 一般または特定の建設業許可をとり消されてから5年を経過しない者
  • 許可申請書または添付書類の重要項目に虚偽の記載があった場合
  • 建設許可取り消しを免れるために廃業手続きをして5年が経過していないとき
  • 工事業者が適切な施工をしなかったために公衆に危害が及んだ、又はその可能性がある場合
  • 不誠実な請負契約のために営業停止処分を受け、現在も停止期間中の場合
  • 法令違反により刑の執行を受け、刑期終了から5年を経過していない場合
  • 役員などに暴力団や過去5年間に暴力団員が所属する、または暴力団員に事業を支配されている場合

この項目の対象は法人では役員、個人事業では本人や支配人、営業所長です。建設業法8条および17条をよく理解しておきましょう。

6.社会保険への加入

2020年施行された改正建築業法で、電気工事業でも建設許可申請時に社会保険の加入が義務付けられました。該当する社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」です。2020年以前に建設業許可を取得した業者で社会保険未加入の場合は、すぐに許可取り消しとはなりませんが次回の更新までには加入しておきましょう。加入条件は個人事業と法人では異なり、個人事業の場合は従業員の数によって加入義務があります。健康保険厚生年金保険は5名以上で加入必須。雇用保険は1名以上の従業員であれば加入が必要です。この場合個人事業主は従業員の対象に入りません。法人の場合は従業員数に限らず加入必須です。なお、雇用保険のみ役員の加入義務はありません。

【一般建設業】電気工事業の専任技術者の要件

ここからは、一般建設業で電気工事業の建設業許可を申請する場合の、専任技術者選定要件について説明しましょう。電気工事業で専任技術者になるには、大きく分けて3点の選定条件があります。最初に指定された国家資格を所有することです。次に指定された学科を卒業した学歴と実務経験で選定される場合。最後に、電気工事業に関する実務経験のみで申請できる場合があります。それぞれにおける専任技術者の選定条件について以下に詳しく説明します。

資格

指定の国家資格を持っていると、電気工事業で専任技術者に選定できます。以下の国家資格のいずれかを取得していることが、一般建設業での専任技術者になる条件です。

  • 1級電気工事施工管理技士
  • 2級電気工事施工管理技士
  • 技術士法「技術士試験」建設・総合技術監理
  • 技術士法「技術士試験」建設「鋼構造およびコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造およびコンクリート」)
  • 技術士法「技術士試験」電気電子・総合技術監理(電気電子)
  • 第1種電気工事士
  • 第2種電気工事士(資格取得後3年の実務経験要)
  • 電気主任技術者(1種~3種)(資格取得後5年の実務経験要)
  • 建築設備士(資格取得後1年の実務経験要)
  • 計装(資格取得後1年の実務経験要)

この記事では、2級電気工事施工管理技士の難易度と合格率を解説しています。

2級電気工事施工管理技士の難易度と合格率を解説!

指定されている学科の卒業と実務経験

国家資格を持っていなくても、指定された学科を卒業していることを前提に実務経験があれば一般建設業の専任技術者になれます。指定学科は「電気工学」と「電気通信工学」です。いずれかの学科を卒業後、高等学校卒であれば5年以上、大学や高等専門学校卒の場合は3年以上の電気工事の実務経験があれば一般建設業の専任技術者になれます。なお、実務経験は、連続して経験した年数ではありません。仮にブランクがあっても他事業所での経験であっても、それらを合算して実務経験証明書を提出すれば認められます。

電気工事業に関する実務経験が10年以上ある

国家資格や指定の学歴がない場合でも、10年以上の電気工事実務経験があれば、電気工事業における一般建設業専任技術者に選定できます。この場合の実務経験も、連続した10年の経験である必要はありません。なお、軽微な電気工事作業などは実務経験として認められない場合もありますので注意しましょう。また、実務経験が10年に満たない場合でも、緩和措置があります。電気工事経験が8年を超え、他事業種の経験も合算して12年以上あれば、一般建設業の専任技術者要件を満たすことができます。

【特定建設業】電気工事業の専任技術者の要件

特定建設業の電気工事業においては、一般建設業と異なり実務経験では専任技術者にはなれません。電気工事が総合的な施工技術を必要とする点や、社会的な責任が大きいことから厳しい選定条件を満たす必要があります。指定の国家資格については、一般建設業における専任技術者の資格要件よりも難易度の高い資格が必要です。以前は国土交通大臣が前述した国家資格と同等と認める特別講習と検定がありましたが、現在は実施されていません。

資格がある

特定建設業における電気工事業の専任技術者になるため取得が必要な国家資格は、次の4件のみです。いずれかの資格を取得していれば専任技術者になれます。

  • 1級電気工事施工管理技士
  • 技術士法「技術士試験」建設・総合技術監理
  • 技術士法「技術士試験」建設「鋼構造およびコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造およびコンクリート」)
  • 技術士法「技術士試験」電気電子・総合技術監理(電気電子)

一般建設業の専任技術者よりもより難易度の高い資格の取得が必須となります。たとえば電気工事施工管理技士に関しては一般建設業では「2級電気工事施工管理技士」でも要件を満たしていました。しかし特定建設業の場合は「1級」のみとなります。

建設業許可申請の手順

建設業許可取得の要件を全て満たしており、実際に申請してみたいと思う方はこちらの記事で申請手順や必要書類、申請にかかる費用などを詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業許可申請の流れとは?必要な理由や申請の手順を完全解説!

建設業許可なしで工事を行ったときの罰則や罰金

建設業法で定められた、建設業許可が必要な工事を、許可なしで行った場合は法律違反となるため、罰則や罰金が科されます。
建設業法の違反に対しては、その犯した違反の程度に応じて様々な罰則が課されます。そのなかでも無許可で工事を受注した際には「300万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役」という最も重い罰則が科されますので注意が必要です。
以下の記事では、実際に無許可で工事を請負い逮捕された事例なども詳しく紹介していますので、必ず目をとおしておきましょう。
建設業許可なしで請負うとバレる?建設業許可なしで行ったときの罰則や罰金などを解説

【まとめ】電気工事業の建設業許可取得の際には6つの要件を満たすことが必須

電気工事業は、建設業の中でも指定建設業に位置づけされ、総合的な施工技術が必要で社会的責任も大きい業種です。建設業許可を取得する場合でも、特に特定建設業の場合は、専任技術者の要件が厳しくなっています。今回の記事では、電気工事業における建設許可取得するための6つの必須要件について説明してきました。どれも重要で真摯に向き合って準備を進めることが重要です。また、申請書を提出するにはかなりの準備期間が必要と思われます。漏れのないよう、着実に準備して建設業許可を取得しましょう。

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