土木工事であると便利な資格は?資格の種類や難易度を徹底解説!

土木工事では、資格を持っている人員がいないと工事ができないことがあります。そのため、資格を持つ人員は貴重で適切な資格を持っていれば待遇改善などが期待できるでしょう。しかし、具体的にどのような場面でどのような資格が必要なのかわからない方も多いはずです。
土木工事に必要な資格は人の技量や知識を客観的に評価できるので、就職や転職でも役に立ちます。本記事では、土木工事であると便利な資格や種類、難易度について解説します。

土木工事の仕事内容は?

土木工事は主にインフラ開発に関わるプロジェクトで、以下のようなものが含まれます。

・道路、鉄道、港湾、空港などの交通インフラ
・橋、トンネル、擁壁、舗装、上下水道
・山林、河川、海岸等を対象とした災害対策のための水門、護岸、ダムの建設

そして、これらのプロジェクトでは次のような作業が行われます。

・山、河川、海岸などの掘り出し、埋め立て、爆破
・建築資材の運搬車による運搬
・クレーンを使った現場内での建築資材の水平と垂直移動
・現場での加工作業(鉄筋配置・溶接やコンクリートの打設等)

その結果、プロジェクト管理、品質管理、コスト管理、安全管理、環境管理などの各種管理業務が求められ、作業者には高度な技術や専門知識が必要とされます。

土木工事に関する資格を取得するメリット

人々の生活に密接に関わる土木工事には、様々な国家資格があります。ここでは土木工事に関する資格を取得することで得られるメリットを、以下の2つに分けて紹介します。

・昇給しやすくなる

・受けられる仕事の幅が広がる

昇給しやすくなる

資格を取得することで、責任感のある役職に就きやすくなり、昇給につながるという一面があります。

例えば、「1級土木施工管理技士」を取得すれば、「監理技術者」という土木工事全般の現場指揮を担うポストを担当できるようになり、さらに経営審査においても高い評価が得られます。ます。他の資格においても資格を取得しているだけで、「資格手当」が別途企業から支給されるケースも多く見受けられます。

このように、資格取得は収入アップへの近道になるのです。

受けられる仕事の幅が広がる

資格を取ることで大規模な工事を担当できるようになります。

例えば、前述した「土木施工管理技士1級」を取得し監理技術者に就いた場合、大規模な現場を任される機会が増えることが予想されます。なぜなら、4,500万円以上(建築一式の場合は7,000万円以上)の下請契約がされた現場には必ず一人は設置しなければならないと定められているからです。監理技術者は複数の現場を兼任できないため需要が高く大規模な現場での経験が多くなると予想されます。

このように、キャリア形成をする上でも資格を取得することは非常にメリットが大きいのです。

土木工事に関する資格

土木工事は危険を伴うことが多いため、資格を保有する人員を配置しないといけないケースが多いです。

そのため、資格を保有している人は定年後の優遇や待遇改善が期待できるでしょう。
しかし資格の種類は多く、活躍できる場面も違います。

ここでは土木工事に関係する資格の種類や、その難易度について解説します。建築業界の中でも土木に関わる仕事がしたい方や、転職を考えている方は参考にしてみてください。

1級・2級土木施工管理技士

土木施工管理技士は、土木工事の進捗・施工管理を行いながら責任者に指示を出す仕事で1級と2級があります。

前述したように取得することで資格手当が期待できるほか、4,500万円以上(建築一式の場合は7,000万円以上)の下請契約がされた工事に対して必ず設置しなければいけないためキャリアが広がるというメリットがあります。 土木施工管理技士には以下の受講資格が定められています。

・1級土木施工管理技士 3年から15年の実務経験、1年以上の指導監督経験の経験

・2級土木施工管理技士 1年から8年以上の実務経験

令和5年度の1級土木施工管理技士の合格率は第一次検定49.5%、第二次検定は33.2%でした。

1級・2級建設機械施工技士

土木分野におけるもう一つの資格は、1級および2級建設機械施工技士です。この国家資格は、建設現場で建設機械の操作や施工管理を行う監理技術者や主任技術者を認定します。

近年の合格率は、1級学科が25.0%、実技が63.8%で、2級学科が42.3%、実技が83.8%となっています。
1級試験を受けるには、大学の指定学科卒業後3年以上の実務経験が必要であり、または学歴に応じた経験年数が求められます。
2級試験の受験資格は、職務経歴や学歴によってより多様な条件が設定されています。
1級建設機械施工技士は、様々な建設機械を使った施工において、指導や監督の役割を果たします。
一方、2級建設機械施工技士は第1種から第6種までのカテゴリに分かれており、それぞれの機械を使用した施工で運転や施工業務に従事します。

技術士(+技術士補)

技術士は土木関連の資格の一つで、高度な専門的な応用能力を持った技術者であり、国が認定した技術コンサルタントの能力を持つ人のことです。

技術士の資格を持っている人は、建設コンサルタントや公共工事の調査、計画、設計から管理、評価まで、多岐にわたる業務を担当することができます。ただし、合格率が9.4%と非常に低く、資格を取得するには高度な知識と技術力が必要です。

建設会社では、技術士の資格を持った人数が所定の数に達していることが大規模工事の入札要件なため、技術士の確保に力を入れています。また、技術士は専門的な知識や経験を持っているため需要が高く、定年後にも優遇されることがあります。

測量士(+測量士補)

測量士も、土木関連の資格の一つであり、国土地理院が実施する国家試験に合格することで取得できます。試験は、測量法と測量法施行令に基づいて行われ、必要な専門的な知識や技術を持っているかを判断するために行われます。令和元年度の合格率は14.8%で、取得するのは難しいです。

ただし、測量士になるための方法は試験を受けるだけでなく、学校や養成施設で測量に関する専門科目を学び、所定年数以上の実務経験を積んで国土地理院に登録することもできます。

測量士の試験は、毎年12月に国土地理院のホームページに掲載され、5月の日曜日に実施されます。また、試験の合格者には国土地理院や都道府県の土木関係部局、日本測量協会の地方支部などから毎年1月上旬から約1か月間、資格を交付する手続きが行われます。

コンクリート診断士

現代の建築物の多くがコンクリート造りであるため、老朽化によるコンクリートの劣化が問題になっています。

コンクリート診断士の資格を持つ人は、コンクリート構造物の劣化の程度を診断する知識が求められ、計画や調査・測定・評価・判定などの技術的な業務を実施できます。合格率は非公開のため明らかではありません。コンクリート診断士を取得するためには、日本コンクリート工学会が実施する講習会を受講し、コンクリート診断士試験に合格しないといけません。

この資格を持つ人は、コンクリートの劣化状態を正確に診断し、修繕や改善などの適切な対策を提案することが求められます。

コンクリート技士(+主任技士)

コンクリート技士は、公益社団法人日本コンクリート工学会が認定する資格でコンクリートの製造、施工、管理というあらゆる能力が認定されます。

資格には日常業務をプロとして遂行できるコンクリート技士と、それに加えて指導や研究が行えるコンクリート主任技士の2種類があります。資格を取得することで資格手当が期待できるほか、「JIS認定試験所」の技術職も目指せるというメリットがあります。

資格を取得するにはコンクリート診断士、技術士、1級建築士、1級土木技術者などの資格を持ち、所定年数以上の実務経験を有する必要があります。所定年数は学歴によって異なり、実務経験年数が2年から3年です。2021年度の合格率は30.6%でした。

下水道技術検定

下水道技術検定は、日本下水道事業団が認定する公的資格で、下水道に関する総合的な技術を問う資格検定試験です。
下水道は市街地において広く整備されており、その計画設計から設置、改築工事、維持管理に至るまで、高度な技術が求められます。
受験資格については、学歴・年齢問わず誰でも問題ありません。受験費用は第2種〜管理技術までは9,200円ですが、最も難しい第1種技術では12,300円の費用がかかります。

1級・2級舗装施工管理技術者

1級・2級舗装施工管理技術者は民間資格で、日本道路建設業協会が認定しているものです。
道路建設における高度なニーズに応えることのできる、技術者を育成することを目的としています。
道路は全国に広がっているため、新設や維持管理が必要な場所が数多くあり、需要は高いとされています。

この資格には1級と2級があり、1級には指定学科を卒業して実務経験が3年以上、2級には指定学科を卒業して実務経験が1年以上が必要となります。試験の受験料は合格が難しいとされている1級が15,000円、2級が8,000円となっています。

労働安全コンサルタント

労働安全コンサルタントは、厚生労働大臣の指定登録機関に登録して国家資格として厚生労働大臣によって認定されます。
この資格を持つ人は、事業所の安全性を診断し、安全性向上の指導を行い、労働者の安全水準を向上させるために専門的な知識や指導力が求められます。
合格率は令和元年度で約30%となっています。
労働安全コンサルタントの試験は、筆記試験と口述試験で構成されており、機械・電気・化学・土木・建築のいずれかの区分で受験できます。
労働安全コンサルタントの名簿に登録するためには、安全衛生技術試験協会が実施する厚生労働大臣指定の試験に合格しないといけません。

RCCM

RCCMとはシビルコンサルティングマネージャーの略称であり、建設業界の29種類の枠の中で土木工事に当たる土木工事関連の専門技術者のことを指します。
この資格を持つ人は、土木工事に関する専門知識を有し、管理技術者や照査技術者として地質コンサルタント業務に必要とされる人材です。
また、国土交通省でも重視される専門技術に携わる専門技術者の総称でもあります。
RCCMの資格を持つ人は、建設コンサルタント業務に携わる専門技術者として活躍しますが、業務に中立であり独立した立場から業務遂行に当たる必要があります。
橋や道路、鉄道、ダム、トンネル、河川、空港などの土木構造物の施工に携わる専門技術者、管理技術者や照査技術者として点検や診断などを行い、地盤や地質調査などを含む地球環境保全に対しての維持や調和に努め、地域の発展に貢献できる資格です。

地質調査技士

住宅や建物を建てる際には、地盤の強度を測定する地盤調査が必要です。
というのも、地盤の強度によっては地盤改良や基礎の変更が必要になるため、建設計画に影響を与えることがあるからです。
この地盤調査の中で、地質調査技士はボーリングや地質計測、試験を行い、報告書を作成し、工程管理や安全管理を行います。
地質調査技士の資格には、「現場調査部門」「現場技術・管理部門」「土壌・地下水汚染部門」の3つがあり、受験資格に必要な実務経験年数が異なります。
資格は、公共工事の品質や安全を保証するために重要であり、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に密接に関わっています。
したがって、企業内でも需要や重要性が高まっています。

環境計量士

環境計量士とは、環境に関する数値を計測する仕事を行います。
具体的には、大気や水中の汚染物質の濃度や、騒音、振動の大きさを測定します。
この資格は、かつては「計量士」という資格でしたが測量法の改正により、「一般計量士」と「環境計量士」に区分されるようになりました。
環境計量士は、「環境計量士(濃度)」と「環境計量士(騒音・振動)」の2つに分かれています。
前者は大気や水中の汚染物質の濃度を測定し、後者は騒音や振動の大きさを測定します。
環境計量士の資格は1つの事業所に対して1名必要とされるため、総合建設コンサルタント企業などにおいては、非常に重要な資格であるといえます。

公害防止管理者

公害防止管理者は特定の工場に常駐して公害が発生する可能性がある環境を常に監視し、大気や水質、騒音や振動などの検査を行い、公害の発生を未然に防止する役割を担います。
この資格は、1960年代に日本で公害問題が深刻化したことを背景に、1971年に制定された「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に基づいて登場しました。
この資格には、大気関係、水質関係、ダイオキシン類関係、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、公害防止主任管理者の13種類があり、それぞれの資格には異なる受験資格や取得に必要な実務経験が求められます。

施工管理や現場監督をする際に有利な資格

施工管理や現場監督をする際に有利な資格を持つことで、待遇面や評価の向上に役立ち、転職の際にも有利になることがあります。
設計分野では1級建築士がおすすめで、施工管理に関しては、各分野の施工管理技士の資格を取得しましょう。
電気工事に関する現場監督には、電気工事士や電気主任技術者の資格が役立ちます。
消防関連には、消防設備士や消防設備点検資格者などの資格が挙げられます。
これらの資格を取得することで、現場での業務のスキルアップや待遇改善につながるでしょう。

土木工事の資格の勉強方法

土木関連の資格を取得するためには、専門知識を学ぶための大学や専門学校での学びやオンライン講座を利用できます。 オンライン講座を活用すれば、学校等に通わずに在宅で学習できるのでおすすめです。

しかし、受験資格に実務経験の年数が必要な場合もあるため、有資格者の指導の下で実務経験を積むことも重要です。

ここでは実務と並行しながら効率的に勉強ができるおすすめの方法を2つ紹介します。それぞれの項目をチェックしましょう。

オンライン講座を活用する

オンライン講座は自分のペースで専門知識を学ぶことができ、過去問を中心に基礎的な勉強から受験対策まで効率的に準備ができる方法です。

オンライン講座は予備校などに通うコストや時間をかけず、自分のスケジュールに合わせて受講できるというメリットがあります。インターネット環境があれば始められる手軽さも魅力です。

独学の勉強だと「範囲が広く注力すべき分野が分からない」「スケジュールをうまく立てられない」など難しさを感じる方も多いでしょう。実務に集中しながら、プライベートの時間に効率よく勉強したい方にはオンライン講座がおすすめです。

模擬試験や過去問を解く

独学で合格を目指したい方は、模擬試験や過去問を解き、出題傾向を掴むことをおすすめします。

過去の試験と似た問題が出題されるケースも珍しくないので、少なくとも過去2~3年の問題は解いておきましょう。得意分野を延ばし、間違えた問題を解きなおすことで合格点に近づいていきます。問題を解く際は試験と同じ時間にタイマーをかけ、時間内に解けるようにシミュレーションをしておくのも良いでしょう。一度解いただけだと忘れてしまう可能性が高いので可能な限り解きなおし、記憶に定着させましょう。

受験の条件である実務経験を積む

土木関連の資格を取得するための対策として、実務経験を積む必要がある資格があります。
資格によって必要な実務経験年数は異なりますが、資格取得後の実務経験も合算することができる場合があります。
大学卒業者は、指定学科を卒業した場合と一般卒業者の場合で必要な実務経験年数が異なります。
指定学科を卒業していない場合は、オンライン講座を活用して資格取得と同時に実務経験を積むことも有効な方法です。
座学と実務の両立は大変なので、計画的に進めていきましょう。

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【まとめ】土木関連の資格は多数存在!自分のニーズに合った資格を取得してキャリアアップに繋げよう

土木は主にインフラに関わる仕事で、工事を行うために特定の資格保有者を配置しないといけないケースが多いです。
そのため、土木工事に必要な資格を取ると、現場で重宝されるため自身のキャリアアップや待遇改善に繋がります。
土木工事で優遇される資格は多岐に渡り、それぞれで必要な試験や実務経験、所定年数が異なるので、資格の勉強を始める前に、確認しておきましょう。
資格の勉強では独学ではなく、在宅でも気軽に学べるオンライン講座がおすすめです。

2級土木施工管理技士の合格率や勉強法をご紹介します!

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