複合単価とは?原価公開方式との違いやメリット・デメリットを解説

複合単価

建設業の見積もり方式には、「複合単価方式」と「原価公開方式」があります。複合単価方式や原価公開方式ついておよそ理解はしているものの、「詳細は把握できていない」「計算方法が良く分からない」という方も多いのではないでしょうか。複合単価方式と原価公開方式の概要と、それぞれのメリット・デメリットについて徹底解説します。

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複合単価とは

複合単価は、ひと言でいうと材料と工賃を含む工事単価で、主に公共工事で使用されます。複合単価は、都道府県別の労務費に、材料費を足して算出します。労務費は歩掛りから算出します。一般的に、国土交通省が材料やサイズごとに定めた「標準歩掛」を使用します。国土交通省のホームページに掲載されている「公共建築工事標準単価積算基準」で閲覧できるので、参考にしましょう。
参考:国土交通省「公共建築工事標準単価積算基準

建設業の見積方式

建設業において見積書は、発注者が業者を比較検討するための大切な情報源であるだけでなく、工事が終了した後の信頼関係の構築のためにも重要なものと位置づけられています。建設業における見積もり方式は、大きく以下の2種類に分類できます。

  • 複合単価方式
  • 原価公開方式

複合単価方式

複合単価方式は、建設業では複数の工事項目を一括して評価する方式のことを指します。複数の工事項目とは、具体的に言うと労務費や資材費、機械器具費や仮説整備費などが該当します。

計算法は、「複合単価=労務費+材料費」で行なわれます。労務費は、労務費=(設計作業量×歩掛)×労務単価の式で算出してください。

原価公開方式

原価公開方式は、元請が発注者に対してあらゆるコストの原価情報を請負契約時から開示し、第三者に公正か判断をゆだねる方式のことを指します。「コスト+フィー」方式と呼ばれることもあります。

開示されるコストの情報には、工事にかかる原価だけでなく、元請けや下請けが支払う報酬も含まれるため、この名称がつきました。

複合単価方式のメリットとデメリット

まず、複合単価方式のメリット・デメリットについて、それぞれ説明します。

  • メリット
  • デメリット

メリット

  • 工期が短縮され、予算管理も容易になる
  • 見積書が簡略化される
  • 価格の比較が容易にできるようになる
  • 工事過程のトラブルもコストとして考慮できるため、予算追加のリスクが少ない

複合単価方式は、労務費さえ正しく算出すれば仕入れ値の多少の変動の影響を受けづらいという特徴があるため、正確な積算が可能になります。制度の高さを望む方におすすめの方式です。

デメリット

  • 工事単価が高額になる可能性が高い
  • 分析と複雑なプロセスを経なければ見積もりが出せない
  • 大規模で複雑なプロジェクトには不向きである

複合単価方式は、総コストを見積もる際に複雑なプロセスが必要になるだけでなく、継続的に請負業者がコストを追跡・評価しなければならないという一面があります。

そのため、出来るだけ見積もりにかかる費用を抑えたい、時間をかけたくないという方には不向きの方式と言えます。

原価公開方式のメリットとデメリット

まず、複合単価方式のメリット・デメリットについて、それぞれ説明します。

  • メリット
  • デメリット

メリット

  • 適正な賃金が支払われいわゆる「下請け叩き」の抑止策になる
  • 財務状況の詳細が把握できる
  • 建築の不正が起きづらくなる

原価公開方式を採用する一番のメリットは、透明性が確保されるため元請けと下請け間の公正さが高まることです。依頼者も正しく原価の詳細を把握できるため、適切な判断を下せるようになります。

デメリット

  • 価格交渉が柔軟に行えない
  • 利益の創出が困難になる
  • 自社の情報を外部に公開するリスクがある

原価公開方式を行なうと、利益をどれだけ確保するかを公開することになります。その結果、相場より低い利益を設定しなければ受注できないというリスクも発生します。

利益を創出しながら受注するためには、他者との差別化や品質の保証が重要になるため、企業に課される課題が大きくなる懸念があります。

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【まとめ】複合単価は材料費や労務費などを含んだ工事費!全体の予算を見積るときに使用される

複合単価方式とは、材料費や労務費などを総括的に含み算出する工事費のことを指し、公共工事などで主に利用される方式です。全体の複合的な予算を見積もるのに役立ち、正確な金額を出せるというメリットがありますが、工事単価が高額になる、コストを分析し、常に見直すなどの手間がかかるというデメリットも発生することを考慮しなければなりません。
原価公開方式との違いを把握し、自社にとって適切な見積方式を取り入れましょう。

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