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建設業を経営する中で、従業員の出勤状況やどの現場で作業をしているかを管理することはとても重要です。建設業界では従業員の出勤の状況を出面表で管理していることもあります。出面表の管理や集計は手間がかかることが多く、効率的な管理方法を模索している方も多いのではないでしょうか。
今回は、そうした出面表について解説します。出面表の意味や作成目的、管理方法や管理する上での注意点を把握し、自社にあった方法で管理を行いましょう。
出面表とは
出面表は、建設業界において作業員の出勤状況や作業時間を記録する書類です。出面表は、本来工事現場の大工や左官など作業員の出勤を記録するために用いられています。しかし、現在では建設会社で新入社員の業務学習ツールとしても活用されることも珍しくありません。
作業員の現場での作業記録とも呼べる出面表は、労務費の把握や人件費削減に欠かせません。また、実務経験を通じて現場の規模感を学ぶ重要な手段となっています。
出面表と出席簿の違いは?
出勤簿と出勤表には重要な違いがあります。 出勤簿は主に勤怠の確認に使用され、通常は出勤時に判子を押すことで記録します。 一方、出勤表は出社時間と退社時間を記入するもので、主に残業計算に使用されます。
※ただし、これらの呼称は会社ごとに異なる場合があります。
両者を一つにまとめることも可能です。 その場合は管理職も含めて出社・退社時間を記入することになります。
管理職については、深夜残業の割増分が給与に含まれると明記されていない場合は支払いが必要なため、通常は管理職も含めて記録を取ります。 会社によっては出勤していることを前提として出勤簿を使用しない場合もありますが、管理職だけが不要というわけではありません。
出面表を作成する目的
出面表は、作業員の現場への入退場を記録する書類です。そして、出面表で作業員の入退場を記録することで、さまざまな社内業務に利用します。出面表の作成目的は、主に次の3つです。
- 労務管理
- 賃金管理
- 安全管理
- リソース管理
ここからは、それぞれの管理について詳しく解説します。把握しきれていない内容があれば、この機に理解を深め、今後の業務に活用しましょう。
労務管理
出面表は労務管理において重要な役割を果たします。労務管理は、従業員の賃金や福利厚生などの労働関連事項を総括する業務です。企業は労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの作成と保存が労働基準法で義務付けられています。
作業員の出勤状況や労働時間の把握により、効率的な労務管理が可能です。また、業務改善やコスト管理、適切な人件費の割り当てにも貢献します。労務管理の適切な実施は、企業運営の基盤を強化すると同時に、従業員の働きやすい環境を保障するために不可欠です。
賃金管理
出面表は賃金管理において中心的な役割を果たす記録です。賃金管理は、従業員の労働に対する適切な報酬を確保し、企業運営の公平性を保つ重要な業務です。出面表には、従業員がいつ、どれだけ働いたかの詳細が記録され、これに基づき賃金が計算されます。
特に下請け事業者との契約においては、日当で給料を支払う場合、出面表の情報が不可欠です。出面表を適切に活用することで、賃金計算のミスや情報漏れを防ぎ、担当者の負担を軽減できます。
安全管理
出面表は安全管理にも大きく役立ちます。安全管理は、作業現場での労働者の健康と安全を確保するための重要なプロセスです。効率的な作業プロセスと安全性を両立させるためには、出面表の正確な記録と分析が不可欠です。
出面表を使うことで労働時間を可視化できるため、過重労働や危険な作業の連続を回避できます。このように出面表は労務や賃金の管理だけでなく、安全管理のための重要なツールとなり、労災防止や業務改善にも寄与します。
リソース管理
出面表は、効率的なリソース管理にも役立ちます。計画的なリソース配分は、プロジェクトの予算管理に直結します。日々の業務の労務を数値化し管理することで、人的リソースの管理が可能です。そのため、追加の採用が必要か分かります。
また、機材の配分を最適化することでリソースの無駄遣いも防げるため、コスト削減も可能です。
出面表に記載する内容
出面表を作成する際は、記載内容に注意しなければいけません。なぜなら必要な項目が記載されなければ正確な管理が出来ないからです。出面表に必要な記載内容は以下の項目です。
- 現場名
- 氏名
- 職種
- 労働形態
- 勤務日
上記の項目は基本的な記載内容となります。建設会社によってどのように現場を管理したいかは異なります。そのため、上記の項目を参考に自社に適した項目を適宜追加し、不要な項目は削除して管理しやすい出面表を運用しましょう。
現場名
建設・建築業の工事現場は様々あります。数多い現場の中で、どの現場の出面表なのかはっきりさせるため、現場名は必ず明記しましょう。
記載漏れがあれば、どの工事現場で作業していたか分からなくなることもあります。一番最初に記載する癖を付けておくと、記載漏れも防止できます。また、現場名が複雑な場合も多いです。正確に記入することも意識しましょう。
氏名
出面表には当日出勤する従業員の氏名を記載しておきましょう。日雇い従業員、正規の社員、現場監督まで、全員の氏名を記載します。
また、記載する際は必ず「フルネーム」で書くようにしましょう。工事現場では、多くの人が作業に取り組みます。同じ苗字の人がいる場合も少なくありません。そのため「氏名」を記載することで、区別も付けやすくなります。
職種
出面表には、職種の欄も作成しましょう。工事現場では、様々な人が作業します。誰がどの作業に携わったのか把握するため、職種の欄もあると便利です。
ただし、下請業者と元請業者の職種が混ざってしまうこともあります。業者によっては、3次下請けまで連れて来て作業することもあるため、記載するときは注意しましょう。
労働形態
労働形態は必要に応じて記載しましょう。労働形態とは、以下の通りです。
- 通常労働
- 時間外労働
- 休日労働
- 深夜労働
通常労働以外の労働形態で働くと、元請業者は賃金を上乗せする必要があります。そのため、どのような労働形態か分かるように記載しておきましょう。また、労働形態の記載を間違えると、金額に大きな差が出るため注意が必要です。
勤務日
勤務日はミスが多い項目でもあるため、記載するときは注意しましょう。特に、スポットとして1時間ほど作業した場合などに記載漏れが多いです。
ミスを防ぐ方法は、前日に従業員の予定を聞いておき、当日も聞くなどといった二重チェックです。従業員が多い場合は大変ですが、記載漏れがあれば、支払い漏れが発生します。自社に合う方法で対策しましょう。
出面表を作成・管理する方法
先ほど解説した通り、出面表は運用する建設会社によって必要な記載項目が異なります。また出面表の作成方法や管理方法も建設会社によって効率的な方法は異なります。ここでは以下の3つによる代表的な出面表の作成管理方法を紹介します。それぞれの方法について理解を深め、自社に適した方法を選択しましょう。
- 紙で管理する方法
- エクセルで管理する方法
- アプリやソフトで管理する方法
紙で管理する方法
紙による管理方法は、古典的な出面表の作成・管理手法です。導入コストがほとんどかからず、誰でも簡単に記入可能です。しかし、誤記入や修正にかかる時間、計算ミスに紙の紛失や汚損といった物理的媒体故のリスクもあります。
こうしたリスクは、労務・安全管理において無視できません。現代では効率性やリスク軽減の観点から、デジタル化に移行するケースが増えています。デジタル管理へ移行することで業務の効率化を実現し、組織の運営効率化に貢献します。
エクセルで管理する方法
エクセルを使用した出面表管理は、建設業界で広く採用されている方法です。 パソコン一台で作成・管理が可能で、自動集計機能やテンプレートを活用できるメリットがある一方、操作スキルやソフトウェアの必要性といったデメリットも存在します。 効率的な管理には、以下の活用が有効です。
- SUM関数(合計計算)
- AVERAGE関数(平均値計算)
- IF関数(条件分岐)
- VLOOKUP関数(データ検索)
- CONCATENATE関数(文字列結合)
これらの関数を組み合わせることで、複雑なデータ処理も可能になり、例えば特定条件下での勤務時間合計の自動計算などが実現できます。 エクセルでの管理は小規模から中規模の現場に適していますが、大規模や複数現場の同時管理には専用システムの導入も検討すべきでしょう。 このように、エクセルを用いた出面表管理は、適切な関数の活用により効率的な労務管理を実現する有効な手段となります。
アプリやソフトで管理する方法
建設業界では、出面表管理にアプリやソフトウェアを活用する傾向が強まっています。 これらのデジタルツールには、以下のようなメリットがあります。
- 効率化
- リアルタイムの情報共有
- 正確性の向上
- データの一元管理
- 分析の容易さ
初期導入コストや学習期間の必要性といったデメリットを考慮しても、紙やエクセルでの管理よりも強く推奨されています。 出面表アプリには、日報作成、労務管理、賃金管理、資機材管理、帳票出力、コミュニケーション機能など多様な機能があります。 選ぶ際は目的に合った機能、使いやすさ、カスタマイズ性、他システムとの連携、セキュリティ、サポート体制などを考慮することが重要です。 これらの点を踏まえて最適なツールを選択することで、出面表管理の効率化と正確性の向上が実現でき、結果として建設現場の生産性向上につながります。
おすすめの出面管理アプリはこちらでまとめているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業の出面管理アプリおすすめ11選!機能やコストも紹介!
また、建設業の出勤簿を無料でつけられるアプリはこちらの記事で解説しています。こちらもご確認ください。
建設業で使える出勤簿アプリおすすめ5選!メリットや選ぶポイントも解説!
出面表を管理するときの注意点
解説したように、現在はさまざまな方法で出面表が管理されています。しかし、どのような方法でも管理するのは人間です。そのため、次のような点に注意しなければトラブルが発生する恐れがあります。
- 記入忘れ
- 情報共有
- 情報漏洩
それぞれの注意点を解説しますので、それぞれの内容について把握し、運用方法を検討してみてください。
記入忘れがないか
出面表の管理で最も多いミスが記入忘れです。今は手が空いていないから後で記入しようと考えて、次から次へ他の業務が舞い込むことで記入を忘れるという経験がある方も多いのではないでしょうか。こうならないためには、ルーティンにすることが対策の1つです。朝のKYミーティングの直後などにすぐ記録するとルール化することで記入忘れを防げます。
情報共有が簡単にできるか
現場での情報共有も、出面表の管理では注意すべき点です。出面表の管理は1人で行うことが多く、担当者が不在時には代理の人間が行わなければいけません。そのためには、日頃から出面表の管理方法などを現場や社内で共有しておく必要があります。そうすることで、トラブルなどにより担当者が不在でも速やかに出面表の管理が可能です。
情報漏洩がなく、セキュリティーがしっかりしてるか
出面表を管理する際は、情報漏洩にも注意が必要です。出面表に記載される内容は、会社にとって重要な情報です。しかし、管理途中で出面表を開いたまま離れてしまうことも珍しくありません。そうなると出入りする人間なら誰でも見えてしまいます。この際、情報漏洩の恐れがあるため、出面表から離れる際は第3者から見えないようにしなければいけません。
建設業の労務費計算の方法!重要性や人件費との違いについても解説
操作が簡単で使いやすいか
出面表の管理方法を選ぶ際は、操作の簡便さと使いやすさが特に重要です。 テンプレートやアプリ・ツールを使用する場合、誰でも使いやすいかどうかを考慮し、直感的なインターフェース、シンプルな入力フォーム、明確なエラーメッセージ、一貫した操作手順を確認しましょう。 同時に、会社で詳細な操作マニュアルを用意し、研修や説明会を実施すること、FAQやヘルプデスクを整備することも大切です。
これらの点に注意を払うことで、ITスキルの差に関わらず全従業員が効率的に利用できるシステムを構築でき、デジタル化への円滑な移行と作業効率の向上が可能となります。 さらに、マニュアルの定期的な更新や従業員からのフィードバックを基にした継続的な改善により、長期的に使いやすく効率的な出面表管理システムを維持できます。
【まとめ】出面表は自社に合う方法で効率よく作成・管理を行おう
出面表は、労務と賃金、そして安全を管理する上で重要な書類です。作成や管理の方法は紙からアプリまで多岐にわたりますが、自社に適した方法を選ぶ必要があります。また管理するのはあくまでも人間のため、今回の記事で紹介したような点に注意しなければいけません。出面表の作成や管理、運用で悩んでいる方は、今回の記事を参考にしてみてください。
見やすい進捗管理表をエクセルで作成する手順やツール3選はこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
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