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工事では様々な作業が必要になります。歩掛もその1つですが、あまり聞かないという人も多いでしょう。歩掛は工事の積算で重要な存在となるので、必ず覚えておかなければいけません。
今回は歩掛とは何なのか、どのような点に注意する必要があるのかなどを紹介します。また、歩掛のメリットについても解説していきます。
歩掛とは
1つの工程にどれだけの時間が必要なのかを数字にして、わかりやすくしたものが歩掛です。積算作業を行うときに、歩掛はなくてはならない存在です。工事は作業時間だけではなく、難易度や施工の方法なども異なります。
そのため、作業量に関する基準を設けず積算作業を行った場合、適正価格をつけられません。想定より工事に手間がかかった場合、赤字となります。しかし、歩掛を用いて作業量を明確に数値化することで、見積もりも正確に出せるのです。
歩掛の計算方法
歩掛とは何なのかがわかっても、計算方法がわからなければ積算作業ができません。歩掛の計算方法は、以下の通りです。
歩掛にて求められる作業量の単位を、人工(にんく)と言います。8時間というのは、1人の作業員が1日に働く時間です。例えば、1人の作業員が照明器具を1台取りつける作業に1時間30分かかる場合、以下の計算式となります。
国土交通省が定めている標準歩掛
作業内容や使用する素材などによって歩掛が異なるので、最初は戸惑ってしまうことも多いです。そこで国土交通省のサイト内にある公共建築工事標準単価積算基準を見てみましょう。
公共建築工事標準単価積算基準には標準歩掛が設定されているので、工事の積算を行う際の参考になります。例えば、金属ダクトを見てみましょう。必要箇所のみの抜粋となりますが、以下のように材料の種類、大きさなどによって細かく設定されています。
摘要 | 電工[人] |
---|---|
200mm×100mm | 0.52 |
250mm×100mm | 0.54 |
… | … |
800mm×400mm | 0.88 |
設定基準
標準歩掛の設定基準は、
- 作業員の年齢
- 作業員が取得している資格
- 作業員の経験年数
以上の3つとなっています。例えば「ベテランで仕事が早く、確実なAさん」と「見習いで新人のBさん」では、差が生じます。そのため、自社に合わせ柔軟に変更して計算しましょう。
標準歩掛では、健康な人を想定しています。人によって差はあるものの、基本的に若い人の方が体力はあります。作業員の年齢によって調整しましょう。
工事の際に有資格者の存在は必須です。会社によって資格保有者の人数が異なるので、歩掛を算出する際には欠かせません。
経験年数も多いほど効率的に作業ができます。経験年数も考慮し、歩掛を算出しましょう。
歩掛を使用して労務費も計算可能
歩掛を使用して労務費を算出する場合には、
- 歩掛を把握する
- 労務単価を調べる
- 労務費を計算する
この3点を把握しましょう。国土交通省のサイトに、公共建築工事標準単価積算基準というページがあります。このページの標準歩掛を参考にすれば、簡単に歩掛を把握できます。労務単価は公共工事設計労務単価表を参考にしましょう。
この2つがわかったら、以下の計算式で労務費を算出します。
歩掛を使用するメリット
歩掛を使用することで、色々なメリットが得られます。メリットがあるからこそ多くの建設会社で使用されているのです。では、具体的にどのようなメリットがあるのかを確認していきましょう。
赤字工事の防止
工事を開始する前には、必ず見積もりを取ります。しかし、適当に見積もりをしてしまうと、ズレが発生してしまいます。1つの項目では小さなズレであっても、まとまると高額になることもあるでしょう。そのため、できる限り正確に見積もりをしなければいけません。歩掛を使用すれば、より正確な見積もりが可能です。正確な見積もりは、赤字を回避することに繋がります。
正確なスケジュール管理
工事においては工数も重要です。工数というのは、作業に当たる人数と作業に必要な時間をかけたものです。しかし、現場で正確な工数を表すのは難しいでしょう。このような場合にも歩掛が用いられます。
歩掛を使用すれば工数を正しく把握できるので、正確なスケジュールの管理にも役立ちます。天候の悪化などで予定通りいかないときにも、柔軟な対応が可能です。
適切な労務費の把握
人件費の中で、製品を生産するのに必要な経費を労務費と言います。労務費は算出が難しいですが、正しく算出しないと赤字に繋がることもあります。ここでも歩掛が活用できるのです。
歩掛を使用することで、適切な労務費を知ることもできます。さらに自分の会社がどのような状況なのかも把握しやすいので、状態に応じてどう対処するべきなのかがわかります。
顧客からの信頼向上
歩掛を用いれば、正確な見積もりができます。見積もりの金額が大きく異なっていると、取引先からも指摘されます。社内でも指摘されることは間違いありません。
その点正確な見積もりが毎回できていれば、社内でも信頼が高まりますし、顧客からの信頼も高まるでしょう。信頼が向上すれば、またここの会社に依頼をしたい、ここの会社に依頼をすれば間違いないと思ってもらえます。
経営強化
歩掛のメリットはたくさんあります。正しく見積もりが行えますし、今後の課題も見えてくるでしょう。正しく見積もりができれば信頼性が高まり、行うべき課題がわかれば、経営力を向上させることも可能です。
作業効率の向上にも繋がりますが、さらにシステムの導入を検討するのもおすすめです。そうすれば積算をする際の作業効率をアップさせることや、過去のデータを分析することもできます。
過去の正確なデータを蓄積できる
適切な歩掛を使用すれば、案件が終わってもスケジュールや経営状況など、過去の正確なデータを蓄積できます。そのため、似たような案件に新しく取り掛かる際にも工数の目安も出しやすいです。
また、蓄積した過去のデータを分析・比較することで、作業スタッフのスキルアップや、精度の高い積算を行うことも可能です。
歩掛を使うときの注意点
歩掛を使用するときは、自分の会社に合わせて色々と調整することが大切です。なぜなら作業を行う人の年齢やどのような資格を保有しているか、経験年数はどれだけあるのかによって変わるからです。柔軟に調整を行うことで、より正確な積算ができるでしょう。国土交通省で定められている標準歩掛を参考にするのが一般的ですが、変更されることもあるので注意が必要です。
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今回は歩掛について解説してきました。建設会社が歩掛を使用する理由は、メリットがたくさんあるからです。より正確な見積もりができますし、顧客からの信頼も得られます。作業効率のアップや赤字の回避にも繋がるので、きちんと理解しておくことが大切です。より正確に積算や見積もりを行いたい場合には、積算ソフトを導入してみるのもよいでしょう。
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