防水工事の4種類を比較!工法別メリットとデメリットなども解説

防水工事 種類

一口に防水工事といっても、主な種類だけで4種類もあるうえに、その施工方法も様々です。施工場所や防水の目的に合わせた工事をするには、それぞれの内容を覚えておかなくてはなりません。
この記事では、防水工事のうち主な4種類と、工法別のメリット・デメリットを解説します。防水工事に関する知識を得たい方は、ぜひご覧ください。

防水工事は雨漏りを防止するために必要

防水工事は建物を雨や雪、外気に含まれる水や水分から守るのに欠かせない工事です。十分な効果を得るには、建物を建てるときだけでなく、定期的なメンテナンスを行わなくてはなりません。
防水工事が不十分又は効果が薄れてくると、雨漏りやカビなどの被害が発生します。最悪の場合、木造なら柱などの腐食、コンクリート造ならコンクリートの剥落など、建物の機能そのものに影響するトラブルが発生しかねません。
安全上、健康上快適に過ごすには、雨漏り等を防止する点検や防水工事は欠かせない工事であるといえます。

防水工事4種類を価格などから比較

建物を安全かつ快適な状態で保つための防水工事には、4つの種類があります。それぞれ価格や耐久年数・工法が異なるため、施工の際はこれらの特徴をよくおさえておくことが大切です。
防水工事の主な4種類を、価格や耐久年数を比較しながら紹介します。

ウレタン防水

ウレタン防水は、樹脂の一種であるウレタンを塗り広げ乾燥させることで防水する施工方法です。防水シートを専用の機械で敷くか、コンクリートで留めて施工します。
主にベランダやバルコニー・屋上に施されます。耐用年数は10〜15年です。メンテナンスの必要な時期もほぼ同じです。
費用は業者や施工範囲により異なりますが、4,500〜6,500円が目安となります。

シート防水

ゴムや塩ビなどでできた防水シートを素地に敷いて接着剤などでくっつける工法です。耐用年数は10〜25年で、10〜15年近くメンテナンスの必要がかからないのが特徴です。費用は4,500〜7,500円が目安となります。

アスファルト防水

合成不織布にアスファルトを含ませてコーティングしたルーフィングを重ねて防水する工法です。古くから採用されている方法のひとつで、高い耐久性を誇ります。耐用年数は15〜25年、費用目安は4,500〜7,000円です。RC造ビルやマンションによく採用されています。

マンションの屋上へ防水工事を施工する理由については、こちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
マンション 防水工事マンションの屋上へ防水工事を施工する理由や種類などを解説!

FRP防水

FRP防水は、ガラス繊維シートと樹脂を重ねることで防水効果を生み出す工法です。工法にある「FRP」とは、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic)で、防水工事だけでなく、お風呂の浴槽や貯水槽にも施されています。
主にベランダやバルコニーに施される施工で、耐用年数は10〜15年、費用は5,000〜7,000円が目安です。

防水工事の工法別メリットとデメリット

防水工事は、同じ内容の施工でも工法ごとにメリットとデメリットがあります。適切な施工を提案するには、工法別のメリットやデメリットをおさえておくことも大切です。

ウレタン防水

塗料を塗り広げる要領で施工できるため、下地の形状に合わせた防水加工ができます。複雑な形状でもしっかり防水できるだけでなく、軽量で防水する建物に負担をかけにくいのがメリットです。
比較的簡単に施工できるうえに施工場所を選ばないため、多くの場所で利用されていますが、塗料のように防水用樹脂を塗る関係から、仕上がりの完成度は職人により異なる点があげられます。
ウレタン防水には、ふたつの工法があります。

通気緩衝工法

通気緩衝工シートを敷き、通気用の脱気装置を設置したうえに、防水効果のあるウレタン樹脂を塗る方法です。
雨漏り等がある場合は、シートを敷く前にシーリングで穴を埋めてから行うため、雨漏りなどがあっても施工できます。つなぎ目なくでき、シートがふくれを防止してくれるため、耐久性に優れています。
一方、コストが少々高く、各工程ごとに乾燥時間を取らなくてはなりません。また、5〜10年のスパンで樹脂の塗り直しが必要なのも、デメリットといえるでしょう。

密着工法

ウレタン樹脂を直接下地に塗った上に補強布を貼り、その上からまたウレタン樹脂を塗る工法です。
コストがあまりかからず、防水層が薄い分建物に負担をかけにくいのがメリットといえます。また、ウレタンを直接塗るため、凸凹などがある場所でも施工できるのが強みです。
一方、通気緩衝工法同様、工程ごとに乾燥させる時間がかかります。また、塗り直しも5~8年と通気緩衝工法に比べると短めなため、こまめなメンテナンスが必要です。
このほか、塗り広げる方法のため、樹脂と負の均一性を保つのが難しいのもデメリットといえるでしょう。

シート防水

下地を選ばず使え、下地の亀裂などにも対応できるうえに、工費が安価です。軽量なので木造家屋にも活用できます。便利でリーズナブルな反面、凹凸や複雑な形状の場所には不向きです。また、シート同士は接着剤でくっつけて効果を維持するため、接着剤の性能がそのまま防水効果に反映されます。

塩化ビニールシート

塩化ビニール樹脂でできた防水シートを接着剤で貼り付けます。シートを張るだけでできるため、施工の手間がほとんどかかりません。伸縮性にも優れており、下地を撤去する必要がないのもメリットです。
熱や紫外線・オゾン・摩擦・鳥害に強く耐久性に優れているため、保護層がない状態で上を歩いても問題ありません。
耐久性に優れている一方、シートを接着する関係から下地が凸凹していると施工で機内などのデメリットがあります。
また、シート同士で接合するときに接着剤を使いますが、下地などの関係で接着剤が使えない場合は熱で溶かしてくっつけるため、手間がかかります。様々な衝撃やダメージに強い一方、急に曲げたりすると切れやすくなるのもデメリットといえるでしょう。

ゴムシート防水

ゴムシート防水は、シート状に加工した合成ゴム系シートを接着剤などで下地に固定する工法です。ゴム製のため伸縮性があり、亀裂のある下地などにも柔軟に対応できます。安価で工期が短く済ませられるのもメリットです。
下地に接着剤でくっつけるため、下地が平らでないと施工できません。また、接着剤の寿命がそのまま耐用年数になるうえに、紫外線で徐々に劣化してしまいます。施工後の状況や職人の技術により耐久性が左右されてしまうのは、デメリットといえるでしょう。

アスファルト防水

防水層が厚く施されるため耐久性や防水性に優れ、コストもそれほどかかりません。メンテナンスの間隔を長く持てるのはメリットですが、施工の際アスファルトを高温で溶かしてシートを張り合わせるため、臭いがする上に危険です。また、重量があるため、一般の住宅には採用されません。

熱工法

熱で溶かしたアスファルトを使って2~4枚のルーフィングシートを積み重ねる方法です。アスファルト防水の中でも最も古い工法で、複数枚の防水層を作るため高い防水性と耐用性能を誇ります。
耐久性を求めるならおすすめの工法ですが、アスファルトを溶かして使う関係から、専用の窯を設置する必要があります。施工の際のアスファルトは220〜270℃まで熱せられるため、独特の匂いや煙・火災の発生などのリスクもあります。
施工の際は施工場所だけでなく周囲への配慮が必要です。

冷工法

冷工法は、ルーフィングとその裏側に、ゴムアスファルトの粘着層をコーティングする工法です。ルーフィングシートとゴムアスファルトを重ねてくっつけることで、防水層を作ります。
常温で使える防水シートを重ねることから、自着工法とも呼ばれる方法です。
熱工法のようにアスファルトを熱する必要がないため、臭いや煙・火災などの心配がありません。釜を置くスペースの確保も不要です。
便利ですが、熱で直接接着させる熱工法ほどの防水効果は得られません。とはいえ、シート同士のジョイント部分をきちんと処理することで、防水効果を高められます。もともとアスファルト防水の高い効果を考えれば、それほど気にならないでしょう。

トーチ工法

トーチ工法は、トーチバーナーと呼ばれる工具でアスファルトを溶かしながら施工する工法です。防水シートの裏面と下地を溶かしながら密着させ、冷えたところでローラーで圧着します。
熱工法同様アスファルトを熱して密着させる工法ですが、アスファルトを溶かす釜などがいらないため、狭いスペースにも使えます。煙なども抑えられるため、民間の防水工事でもよく採用されています。費用も比較的安価なのもメリットです。
便利ですが、直接火を使う関係から、燃えやすい建物や物がある場合は施工できません。また、仕上がりの状態は職人の腕に左右されます。

BANKS工法

次世代型アスファルト工法とも呼ばれており、表面を加熱するとアスファルトが溶けだすルーフィングシートを使います。シートを敷いた後、トーチバーナーで表面をあぶることで、貼り付け、防水層を作るやり方です。
火を使いますが臭いや煙が出ないため、周囲への配慮などの手間がかかりません。便利な一方、目視でシートの状態を確認できないため、施工に技術が問われます。

FRP防水

樹脂を塗る形で施工するため、凸凹や複雑な形状の下地にも施工できます。つなぎ目のない仕上がりにでき、トップコートのバリエーションが豊富で、求める機能に合わせて選べるのもメリットです。
便利ですが、プラスチックを使うため、紫外線で劣化してヒビわれる恐れがあります。また、硬い膜を作り保護する施工のため、木造家屋などには使えません。

防水工事を施工する劣化サイン

防水工事は、一度施工すればずっと効果が保たれるわけではありません。耐用年数の部分で少し触れましたが、一定期間を過ぎたら塗り直しなどのメンテナンスが必要です。
メンテナンスが必要な時期は、工法や施工した職人の技術だけでなく、建物が置かれている環境も関わります。正確なメンテナンス時期を見極めるには、防水工事が必要になる劣化サインから判断します。

  • 細かい亀裂
  • 防水層が色褪せたり擦れたりしている
  • 防水層にふくれやよれがある
  • 防水層が捲れる・破れている
  • 大きな亀裂

これらのサインは下に行けば行くほど危険性が高まっています。危険性の高いサインが出る前に施工できるよう、建物に防水工事を下部分は、定期的に確認しましょう。

防水工事の種類を施工する場所別に選ぶ方法

適切な防水工事を行うには、工法だけでなく施工場所ごとに工法を選ぶ知識も必要です。防水工事がよく施工される場所ごとに、施工方法の選び方を解説します。

ベランダ

ベランダは雨を一年中受け止める場所です。防水耐性の高い工事の中から選びましょう。選ぶときの目安は、以下のようになります。

ベランダの特徴 工法 注意点
人通りが多い FRP防水 伸縮性がないため、幅が大きくなりがちな広いベランダや伸縮性の高い金属・木製のベランダは避ける
広くて凹凸がない シート防水 特になし
形状が複雑 ウレタン防水 特になし

ベランダ防水工事にかかる費用は、こちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
ベランダ 防水工事 費用ベランダ防水工事にかかる費用を工法別に紹介!業者の選び方も解説

屋上

屋上に施工する場合は、用途にあわせて工法を選びましょう。具体的には、以下のとおりです。

特徴 工法 注意点
耐久性を重視したい FRP防水
障害物がない シート防水 施工できるのは平らな場所のみ
人や車の通行がある アスファルト防水
  • 熱工法の場合は臭いが発生するため近隣への配慮が必要
  • 建物によりできない場合がある

防水工事に保険が適用されるケース

防水工事は、火災保険が適用されるケースがあります。地震や強風・台風や竜巻などにより、防水層や防水設備が破損した場合が該当します。なお、風の吹き込みや雨漏りは採用されない可能性が高いため、ご注意ください。
より詳しい判断は、火災保険や地震保険を扱う損害保険会社が行います。判断には証拠となる写真などが必要なため、保険を使う際は必ず用意しておきましょう。

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【まとめ】防水工事の種類を理解し予算や環境に合った施工を選ぼう

防水工事は、同じ工事でも工法により特徴が異なります。それぞれの特徴を理解し、予算や環境に合った施工を行いましょう。また、施工後のメンテナンスなども時期が異なります。施工する際は、数年後のメンテナンスも含めて検討するのも、忘れないようにしてください。

防水工事を世田谷区で依頼したいおすすめ業者5選は、こちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
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