ドローン測量の仕組みや種類・手順などをわかりやすく解説!

ドローン 測量

測量技術の進歩により、ドローンを活用した測量が注目を集めています。従来の方法と比べて効率的で低コストなドローン測量ですが、その仕組みや種類、必要な準備について詳しく知りたいと考えている方も多いでしょう。この記事では、ドローン測量の仕組みや種類、手順、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

ドローン測量の仕組み

ドローン測量は、上空から撮影した画像やレーザーデータを用いて地表の形状を計測する技術です。オルソ画像と3次元点群データを組み合わせることで、精密な測量が可能となります。

オルソ画像

オルソ画像とは、ドローンで撮影した空中写真を複数枚組み合わせ、傾きや歪みを修正して正確な位置やサイズがわかるように補正された画像のことです。この画像は地図データなどと重ね合わせて利用することで、正確な地理空間情報を提供します。

3次元点群データ

3次元点群データとは、ドローンで撮影した映像のX軸、Y軸、Z軸の情報を点の集合として表現したものです。この点群データは、ドローンに搭載された気圧計から取得する高度情報や、人工衛星から取得する位置情報と組み合わせることで、より精密な3次元データとなります。

ドローン測量の種類

ドローン測量には、主に3つの種類があります。それぞれの特徴や適した用途が異なるため、測量の目的や現場の状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。

レーザー測量

レーザー測量は、ドローンにレーザー発振機を搭載し、地表にレーザー光線を照射して反射光を計測することです。この方法は精度が高く、樹木が多い場所や起伏の激しい地形でも正確な測量が可能となります。

写真測量

写真測量は、ドローンに搭載された光学カメラで撮影した航空写真と、地上に設置したGCP(Ground Control Point)によるドローンの位置情報を利用して測量を行う方法です。多くのドローンにはカメラが標準装備されているため、追加の機器が不要で手軽に測量を始められます。

写真測量は比較的低コストで導入可能で、広範囲の測量に適しています。また、地表の色や模様などの情報も取得できるという利点があります。

グリーンレーザー測量

グリーンレーザー測量は、水の影響を受けにくい特殊なレーザーを使用した測量方法です。河川や港湾などの水域でも測量が可能で、水底の地形までドローンで測定できます。

グリーンレーザー測量は水域での測量が可能で、水底の地形も測定できるという大きな利点があります。特に河川や湾岸の測量に適しています。

ドローン測量に必要な道具・資格

ドローン測量を実施するためには、適切な機材と資格が必要です。ここでは、ドローン測量に必要な道具と資格について解説します。

ドローン測量に必要な道具

ドローン測量に必要な主な道具は、ドローン本体、カメラ(写真測量用)、レーザー測距装置(レーザー測量用)、GPS、高度計、解析用ソフトウェアなどです。測量の方法によって必要な機材が異なるため、目的に応じて適切な機材を選択しましょう。

測量に必要な資格

測量を行うためには、国土地理院が認定する「測量士」または「測量士補」という国家資格が必要です。これらの資格を取得することで、国や県、市町村などから発注される公共事業において測量業務を行えます。

測量士は自ら測量計画を作成して作業を進められますが、測量士補は測量士が作成した計画に沿って作業を行います。そのため、測量業務の責任者として活動するためには測量士の資格が必要です。

ドローン操作に関する資格

2022年12月に施行された新しい航空法では、第三者上空の飛行や夜間飛行、有人地帯での目視外飛行を行う場合には、無人航空機操縦者技能証明書(ドローンライセンス)が必要となりました。

ドローン測量の手順

ドローン測量を実施する際の基本的な手順について解説します。各ステップを適切に実行することで、精度の高い測量結果を得られます。

1.現地調査を実施する

まずは現地調査を行い、ドローンによる測量が可能かどうかを確認します。また、安全な離着陸場所の確保や、周辺環境の確認も重要です。現地調査を丁寧に行うことで、スムーズな測量作業につながります。

2.飛行ルートを作成する

現地調査の結果を基に、ドローンの飛行ルートを作成します。専用のソフトウェアを使用して、測量したい場所をカバーする最適なルート、飛行高度、シャッター速度、撮影間隔などを決定します。
飛行ルートの作成は測量の精度に大きく影響するため、経験者のアドバイスを受けることも有効です。適切な飛行ルートを設定することで、効率的かつ正確な測量が可能となります。

3.GCPを設置する

GCP(Ground Control Point)は、地上の基準点として機能する対空標識です。トータルステーションなどの測量機器を用いてGCPの正確な座標を測定し、チェッカーボードなどの目印を設置します。

GCPは、ドローンで撮影した写真から実際の場所を確認したり、3Dソフトでの自動認識に使用されます。適切なGCPの設置は、測量精度の向上に繋がります。

4.ドローン測量を実施する

作成した飛行ルートに沿って、ドローンを飛行させて測量を行います。基本的には自動操縦で行いますが、地形によっては一部手動操縦が必要な場合もあります。

写真測量の場合は、前後左右の写真が一定以上重なるように撮影します(ラップ率)。常にモニターをチェックし、正確なデータ取得を確認しましょう。安全性と精度を両立させながら、測量作業を進めていきます。

5.専用ソフトで解析・データを作成する

測量が終了したら、専用のソフトウェアを使用してデータの解析を行います。3次元点群データやオルソ画像などを作成し、必要に応じて3Dモデルを生成します。解析後は、撮影時の座標値と比較検証を行い、精度を確認しましょう。この段階で、測量データの品質を確認し、必要に応じて補正や再測量を検討します。

6.成果物の作成・納品する

成果物には、3次元点群データ、オルソ画像、等高線図、断面図などが含まれることがあります。依頼者のニーズに合わせた成果物を提供することで、高い顧客満足度につながります。

ドローン測量のメリット

ドローン測量には、従来の測量方法と比較して多くのメリットがあります。ドローン測量によって測量可能な範囲が大幅に拡大することで、より詳細で包括的な地形データの取得が可能となり、様々な産業や分野での活用が進んでいます。ここでは、主要な3つのメリットについて詳しく解説します。

低コストで測量できる

ドローン測量は、従来の測量方法と比べて大幅なコストダウンが可能です。人員の削減が可能なため、人件費を大幅に抑えられます。従来の地上測量では2人1組での作業が基本でしたが、ドローン測量では1人でも操作可能です。また、広範囲の測量を短時間で完了できるため、作業時間の短縮にもつながります。さらに、高額な航空機を使用する必要がなく、比較的安価なドローンで測量が可能なため、機材コストも低減できます。

ただし、狭い土地や平坦な地形では、従来の測量方法の方が効率的な場合もあるため、測量する土地の状態を確認した上で適切な方法を選択することが重要です。

自社で3Dモデルを作成できる

ドローン測量では、取得したデータから比較的容易に3Dモデルを作成できます。これにより、従来は外注していた3Dモデリング作業を自社内で行うことが可能です。

測量後すぐに3Dモデルの作成が可能なため、リアルタイムでの現場状況の把握ができるという利点があります。また、外注費用の削減にもつながります。さらに、自社で3Dモデルを保有することで、様々な用途に応じたデータ加工が可能です。

加えて、国土交通省が推進するi-Construction(建設現場の生産性向上を目指す取り組み)に対応した3次元データの取得が可能となり、建設業界のデジタル化にも貢献します。これにより、建設プロジェクト全体の効率化や品質向上にもつながります。

測量範囲を広げられる

ドローン測量の大きな利点の一つは、従来の測量方法では困難だった場所でも測量が可能になることです。崖や急斜面など、人が立ち入るのが危険な場所でも安全に測量できます。また、山奥や離島など、アクセスが困難な場所でも効率的に測量が可能です。さらに、広大な土地を短時間で測量できるため、大規模プロジェクトでの活用が期待できます。

また、グリーンレーザー測量を用いれば、水底の地形も測定できるため、河川や沿岸部の測量にも活用できます。これにより、従来は困難だった水中や水底の地形データも取得可能となり、河川管理や港湾整備などの分野で大きな貢献が期待できます。

ドローン測量のデメリット

ドローン測量には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを理解し、適切に対処することが重要です。

測量コストが割高になる場合がある

ドローン測量は多くの場合でコスト削減につながりますが、状況によっては従来の測量方法よりも割高になる可能性があります。

例えば、小規模な土地の測量では、従来の地上測量の方が効率的で安価な場合があります。また、起伏の少ない平坦な地形では、ドローンの優位性が発揮されにくく、従来法が適している場合があります。さらに、非常に高精度な測量が求められる場合、高価なレーザー測量機器が必要となり、コストが上昇する可能性があります。

バッテリーを交換する必要がある

ドローンのバッテリー持続時間は限られているため、広範囲の測量や長時間の飛行が必要な場合、バッテリー交換が必要です。

バッテリー交換のために測量作業を中断しなければならず、効率が低下する恐れがあります。また、複数のバッテリーを用意する必要があるため、初期投資が増加します。さらに、気温や風速によってバッテリーの消耗が早まる場合も懸念されるため、予定外の交換が必要となることもあるでしょう。

測量できない場所がある

ドローン測量には、測量が困難または不可能な場所が存在します。例えば、密集した樹木がある場所では、写真測量では地表面が見えず、レーザー測量でも樹木の影響を受けやすいため、正確な測量が困難です。

また、建物や構造物の陰では、レーザーや光が届かないため測量できません。さらに、電波障害がある場所では、GPSの受信が困難なため、正確な位置情報が取得できない可能性があります。

GPS測位だけでは精度に限度がある

ドローン測量の精度は、GPSの測位精度に大きく依存します。しかし、GPS測位だけでは精度に限界があり、高精度な測量には不十分な場合があります。

この問題に対処するため、RTK-GNSS(リアルタイムキネマティック)の利用が有効です。RTK-GNSSは、地上の基準局からの補正情報を用いて、センチメートル級の精度を実現します。また、PPK(ポストプロセスキネマティック)処理を行うことで、測量後にデータを補正し、高精度な結果を得られます。

ドローンには墜落のリスクがある

ドローンの墜落は、測量機器の損失だけでなく、人や物への被害を引き起こす可能性があります。このリスクを最小限に抑えるためには、適切な対策が必要です。

まず、定期的な機体の点検と整備が重要となります。故障による墜落を防ぐため、日常的なメンテナンスを欠かさず行いましょう。また、気象条件の確認も重要で、強風や雨天時の飛行を避け、安全な条件下での測量を心がける必要があります。

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【まとめ】ドローン測量を活用しより正確で安全な測量に取り組もう!

ドローン測量は、従来の測量方法と比べて多くのメリットを持つ革新的な技術です。低コスト、広範囲の測量、3Dモデルの容易な作成など、その利点は多岐にわたります。一方で、バッテリー交換の必要性や測量できない場所の存在、GPS精度の限界、墜落リスクなど、いくつかの課題も存在します。

ドローン測量は今後さらに発展し、建設業やインフラ管理、災害対応など、さまざまな分野での活用が期待されています。ドローン測量の可能性を最大限に活かし、より良い社会の実現に向けて、一歩ずつ前進していきましょう。

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