公共工事の書類が多すぎる問題や簡素化する取り組みなどを解説!

公共工事の書類作成で、こんな悩みはありませんか?

  • 煩雑な作業で現場業務に集中できない
  • 発注機関ごとに書類の形式が異なり手間
  • 紙の印刷・保管にコストやスペースがかかる

国土交通省は、こうした課題解決のために工事書類の電子化を推進しています。

その中でも、工事用ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)の導入が有効な手段として注目されています。

ASPを活用すれば、書類作成の負担が軽減され、働き方改革が進むだけでなく、発注者側の事務作業も効率化できます。

今回は、公共工事の書類が多すぎる問題、その対策としての電子化の必要性や、工事用ASPの活用方法、導入メリットについて解説します。業務のスリム化を実現するため、ぜひ参考にしてみてください。

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公共工事の書類が多すぎる問題

公共工事では、税金を使う以上、透明性の確保が不可欠です。

そのため、工事に関する書類の作成や管理が厳しく求められ、結果として書類の量が膨大になっています。この公共工事の書類が多すぎるという問題について、詳しく見ていきましょう。

公共工事の書類の現状

公共工事は、民間工事と比較して書類の量が格段に多く、現場に負担がかかっているのが現状です。

全国建設業協会の調査によると、技術者は日中の現場監督に加え、夜間に書類作成を行うケースが多く、長時間労働が常態化していると指摘されています。特に「2024年問題」とされる時間外労働の規制が迫る中、この状況を改善しない限り、業界全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。

さらに、建設投資市場においては公共工事が約4割を占める中、発注者である地方公共団体の土木職員は30年前と比べ約3割減少しており、業務効率化が重要な課題となっています。

工事に関する書類

現場に負担をかけている工事に関する書類は、どの程度あるのでしょうか。ここでは、工事に関する書類を紹介します。

工事着手前

工事を始める前に作成する書類は以下の通りです。

種別 書類名
契約関係書類 現場代理人等通知書
請負代金内訳書
建退共掛金収納書
建退共証紙受払簿
請求書(前払金)
VE提案書(契約後のVE時)
その他 登録内容確認書
品質証明員通知書
再生資源利用計画書(建設資材搬入工事用)
再生資源利用促進計画書(建設副産物搬出工事用)
建設リサイクル法に基づく通知書
工事書類 施工計画 施工計画書
総合評価計画書
ISO9001品質計画書
設計図書の照査確認資料(契約書18条に該当する事実があった場合・契約書18条に該当する事実がない場合)
工事測量成果表(仮BM及び多角点 の設置)
工事測量結果(設計図書との照合し、設計図書と一致した場合・差異があった場合)
施工体制 施工体制台帳
施工体系図

参照:国土交通省「工事関係書類一覧表

施行中

施行中に作成する書類は以下の通りです。

種別 書類名
工事書類 施工状況 施工管理 工事打合せ簿(協議・承諾・提出・報告・通知)
関係機関協議資料(許可後の資料)
近隣協議資料
材料確認書
材料納入伝票
段階確認書
確認・立会依頼書
休日・夜間作業届
安全管理 安全教育訓練実施資料
工事事故速報
工事事故報告書
工程管理 工事履行報告書
出来形管理 出来形管理図表
出来形数量計算書
品質管理 品質管理図表
材料品質証明資料
契約関係書類 中間前払金 認定請求書
請求書(中間前払金)
完済部分検査 指定部分完成通知書
指定部分引渡書
請求書(指定部分完済払金)
出来高内訳書
既済部分検査 請負工事既済部分検査請求書
出来高内訳書
請求書(部分払金)
修補 修補完了報告書
修補完了届
部分使用 部分使用承諾書
工期延期 工期延期届
支給材料 支給品 支給品受領書
支給品精算書
貸与品 建設機械 建設機械使用実績報告書
建設機械借用書
建設機械返納書
現場発生品 現場発生品調書
その他 出来形報告書 (数量内訳書、出来形図)
産業廃棄物管理表(マニフェスト)
新技術活用関係資料

参照:国土交通省「工事関係書類一覧表

工事完成時・工事完成後

工事完成時に作成する書類は以下の通りです。

種別 書類名
契約関係書類 完成通知書
引渡書
請求書(完成代金)
工事書類 出来形管理図表
品質管理図表
品質証明書
工事写真
総合評価実施報告書
イメージアップの実施状況
創意工夫・社会性等に関する実施状況(説明資料)
工事完成図書 工事完成図
工事管理台帳
その他 再生資源利用実施書(建設資材搬入工事用)
再生資源利用促進実施書(建設副産物搬出工事用)

また、工事完成後は、低入札価格調査(間接工事費等諸経費動向調査票)を作成します。
参照:国土交通省「工事関係書類一覧表

簡素化するための取り組み

この公共工事の書類多すぎ問題を解決するため、国土交通省は公共工事の書類を電子化し、作業を効率化する取り組みを進めています。

各地方整備局では、書類の作成方法や簡素化の手順をまとめたマニュアルを公表し、地方自治体にも周知を図っています。

また、書類作成の負担を減らす手段として、工事用ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)の導入が推奨されています。ASPの活用で、オンラインで書類を作成・提出でき、各発注者の書式に自動対応します。書類作成の時間が20〜30%削減でき、受注者側の手間も減らせると注目されています。

書類作成の効率化・簡素化に向けた取り組みが進めば、現場の負担軽減につながるでしょう。

公共工事の書類の電子化とは

公共工事の書類の電子化とは、従来紙媒体で行われていた工事書類の作成・提出・管理を、オンラインシステムで処理することを指します。国土交通省が中心となり、建設業界の負担軽減と働き方改革の一環として推進しています。

これを、国土交通省は「建設DX元年」と位置づけ、ICT技術とともにASP導入を促進しています。 将来的には、施工体制台帳を含むすべての工事書類をASPで一元管理することが目標とされています。

ただし、実際にASPを活用するかどうかは各自治体の判断に委ねられ、遅れが見られるのが現状です。

公共工事の書類を電子化する方法

公共工事の多すぎる書類を電子化する主な方法は、「工事用ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)」の導入です。
工事用ASPを利用すると、以下のようなメリットがあります。

  • オンライン入力で書類を自動作成(発注者ごとの様式に対応)
  • インターネット上で提出完了(印刷・持参の手間が不要)
  • 電子データで保管(物理的な書類保管スペースが不要)
  • 作成・確認状況をリアルタイムで把握可能
  • 工事検査時のデータ作成が自動化され、受注者の負担軽減

従来は工事一件で分厚いファイルが必要となるほどでしたが、工事用ASPを利用することで紙媒体による手間を大幅に削減できます。

公共工事の書類を電子化する工事用ASPの導入方法

工事用ASPを導入する方法は、難しくありません。
ASPの利用形態、導入方法は以下2つに分けられます。

  • 発注者指定型:発注者が指定するASPを使用
  • 受注者希望型:受注者が使い慣れたASPを利用するために発注者と協議可能

受注者側は、工事ごとに支払う毎月1万円程度のASP利用料が発生する場合がありますが、都道府県や政令指定都市ではこの利用料が積算に反映され、実質負担が軽減されています。

発注者側は基本的に費用はかからず、受発注者ともにASPの利用について不明点がある場合には、アフターサービスも各社充実しており、スムーズにシステムを操作できます。

建設業の書類作成はアウトソーシングもおすすめ

建設業で作成な書類の作成は、アウトソーシングサービスの利用もおすすめです。

従業員のリソースがひっ迫している場合や、書類作成に対応できる人材が不足している場合などは、アウトソーシングサービスを活用すると、少ない工数で書類を作成できます。専門的な知識を持っているスタッフが対応するため、作成の難易度が高い書類も正確に作成できます。

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【まとめ】公共工事の書類が多すぎる問題は簡素化が取り組まれているが発注者による場合がある

公共工事の書類が多すぎることで現場の負担が増えているのは建設業界の大きな問題となっています。特に技術者の長時間労働や発注機関ごとの書類の違いが課題となっています。

この問題を解決するため、国土交通省は工事書類の電子化を推進しており、その有効な手段として工事用ASPの導入が進められています。

ASPを利用すると、オンラインで書類作成・提出が可能となり、手間やコストを削減できます。特に都道府県や政令指定都市では、ASP利用料を積算に反映し、受注者の負担を軽減する仕組みが整っています。

公共工事の効率化と働き方改革を実現するため、ASPの導入を積極的に検討し、業務のスリム化を進めましょう。
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