指導監督的実務経験証明書の書き方とは?記入例を具体的に紹介

建設業を営んでいる方のなかには、特定建設業の許可を取得したい、もしくは取得済みの特定建設業許可において業種の区分や新しい担当者を追加したいと考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。許可を得るにはさまざまな書類を用意・記入しなくてはならず、とても大変です。
書類のなかでも分かりにくいもののひとつに、指導監督的実務経験証明書があります。この書類の書き方を理解するには、役割や求められる内容について知っておくことが大切です。
そこで、今回は指導監督的実務経験証明書の記入例とともに、なぜ必要なのかなどの知識を解説します。書類準備の参考としてお役立てください。

指導監督的実務経験とは

指導監督的実務経験とは、特定建設業の許可申請に必要な経験です。建設業許可を得る条件のひとつに、専任技術者や監理技術者の配置が義務づけられていますが、これらの資格を得るには特定の条件を満たさなくてはなりません。
その条件のひとつが、指導監督的実務経験です。
許可を申請する工事が特定建設の場合は、通常の実務経験に加え、以下2つの条件を満たす必要があります。

  1. 許可を得ようとする建設業にかかる建設工事で発注者から直接請け負った請負代金の額が4,500万円以上の元請工事
  2. 上記の工事の設計又は施工全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で技術面を総合的に指導監督した経験

なお、1の建設工事の場合、以下の条件に該当する工事は2年以上の期間に算入できます。

  • 昭和59年10月1日以降に請け負った1,500万円以上の元請工事
  • 昭和59年10月1日~平成6年12月28日以前に請け負った3,000万円以上の元請工事

これらの内容をより分かりやすくまとめると「建設工事の設計または施工全般について、工事現場主任者または工事現場監督者のような立場で、工事を技術的かつ総合的に指導監督した経験」となります。
ただ工事現場で作業を経験すればよいものではなく、現場の責任を負いながら指導する立場であることが条件に含まれます。土工や見習いとしての経験は含まれません。
申請には経験を積んだ期間も条件に含まれます。土工や見習いとして仕事をした現場を含めないようご注意ください。

指導監督的実務経験証明書とは

上記の経験があることを証明するには、当然ですが口頭での確認では信用がありません。実際に施工に関わったかを証明するための書類が必要です。指導監督的実務経験証明書は、この経験を証明するために使われます。
書類は国土交通省および地方自治体のホームページにひな形があります。必要に応じてダウンロード・記入しましょう。

国土交通省ダウンロードページ:https://www.ktr.mlit.go.jp/kensan/kensan00000016.html
地方自治体ダウンロードページの一例(東京都):https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku/kensetsu/kensetsu_kyoka_tebiki3.htm

地方自治体のホームページでは、申請書類をまとめて提示しているページや、暮らしや土木関係のコンテンツ内にダウンロードページがあります。
なお、証明書は、専任技術者・工種ごとに分けて提出しなくてはなりません。申請が必要な専任技術者が複数いる場合や、ひとりで複数の工種の申請が必要な場合は、その都度作成が必要です。証明書ごとにその内容を証明する書類も別途用意しなくてはならないため、内容により書類準備に時間がかかる場合も十分考えられます。申請が必要な場合は、書類準備に時間がかかることも考慮し、スケジュールに余裕を持って取りかかりましょう。
ちなみに、指定建設業と呼ばれている7業種の申請には、証明書は使えません。許可を得るには指定された資格取得が条件とされているためです。申請の際はこの点にもご注意ください。

指導監督的実務経験証明書はどのような時に作成するの?

指導監督的実務経験証明書は、特定建設業許可を申請する際に作成します。また、すでに特定建設業の許可を取得済みであっても業種を追加したり、新たに専任技術者を配置する際には指導監督的実務経験証明書の作成が必要になります。
指導監督的実務経験証明書を作成する際は、作成する目的を把握したうえで取りかかりましょう。

指導監督的実務経験証明書の書き方

指導監督的実務経験証明書には、さまざまな項目があります。以下の画像は、実際の書類をダウンロードし、番号と記入例を入力したものです。

 

この章では、こちらの記入例をもとにしながら、各項目の注意点と書き方について解説します。

日付

①に該当する部分です。申請日を記入するため、個々に記入する必要はありません。作成時は空欄にしておきましょう。

証明する工事の種類

図の②に該当する部分で、証明を受けようとする建設工事の種類を記入します。指導監督的実務経験証明書は、必要な専任技術者や担当する工事の種類ごとに作成しなくてはなりません。複数ある場合は、受けようとしている工事分の枚数を確保したうえで作成しましょう。

証明者

図の③に当たります。該当条件となる実務経験を積んだ業者について記入する部分です。以下の内容を記入しましょう。

  • 証明者の本店住所
  • 名称
  • 代表者氏名
  • 代表者印

証明者は原則使用者、つまり法人の場合は代表者が、個人事業主の場合は事業主となります。証明を得られない場合は、その正当な理由を必要欄に記入し、当該事実を証明できる第三者による証明書や書類を用意しなくてはなりません。
代表者印ですが、2021年3月以降、ほぼすべての自治体で押印が不要とされていますが、ごく一部で求められる可能性があります。必要な場合は、法人は法務局に登録している代表者印を、個人事業主の場合は、実印を押印しましょう。ケースにより印鑑証明が求められる可能性があるため、気になる場合は事前に用意しておくと安心です。
証明者が建設業許可の申請者と同じ場合は、必ず許可証に押した印鑑と同じものを使用してください。

被証明者との関係

図の④に該当する部分です。証明者の立場から見た専任技術者との関係を記入します。よく記入されているのが、以下の関係です。

  • 役員
  • 社員
  • 従業員
  • 元社員(退職している場合)

証明者と専任技術者が同一の場合は、本人と記入しましょう。

専任技術者の氏名、生年月日

専任技術者の氏名と生年月日を記入します。図では⑤と⑥にそれぞれ該当する部分です。生年月日は元号で記入するため、事前に確認しておきましょう。なお、ここに記入する内容は、別途書類である「専任技術者証明書」と同じ氏名・生年月日でなくてはなりません。
記入の際は間違いがないようご注意ください。

使用された期間

図の⑦に当たる項目です。雇用されていた期間を記入しましょう。よくある間違いに、実務経験を積んだ期間を記入するミスがあります。記入の際は間違えないようにしましょう。

使用者の商号又は名称

図の⑧に該当します。使用者とは、実務経験を積んだ業者・証明者のことです。該当する商号または名称を記入してください。
実務経験を積んだときと現在で商号が異なる場合は、経験を積んだ当時の商号・名称を記入しましょう。個人の場合は個人名または屋号を記載します。

<h3発注者名>

図の⑨に当たる項目で、元請人として直接請け負った契約の相手方の名称を記入します。

請負工事の代金

図の⑩には、直接請け負った契約の代金をそれぞれ記入していきます。単位が「千円」なので金額に注意しながら記入しましょう。ここに記入する金額が最初に解説した条件を満たしていないものだと、申請が通りません。金額が条件に合致しているかもチェックしながら記入しましょう。

職名

図の番号⑪に該当します。専任技術者が従事した工事現場において、就任していた地位を記入する部分です。指導監督的な実務をしていたことが分かるよう、請負契約書から具体的な内容・名称を記入しましょう。

実務経験の内容

図⑫に当たる部分です。使用された期間内において行った実務内容を記入します。指導監督として業務についていたことが分かる内容を記入しましょう。具体的には、工事件名などをあげ、一目でわかるようにしてください。

実務経験年数

図⑬の部分で、⑫に記入した内容を経験した年数を記入します。一番下の合計欄には、記入した工事すべての年数を足した年数を記載しましょう。合計の数字が条件である2年を超えているかも確認してください。

使用者の証明を得ることができない場合、その理由

⑭の部分は、何らかの正当な理由で使用者証明を得られず、使用者と証明者の名前が異なる場合に記入する欄です。理由を記入し、それを証明する書類を別途添付します。使用者と証明者が同じ場合は、記入する必要はありません。

指導監督的実務経験証明書に関する注意点

指導監督的実務経験証明書は、書類の用意や記入において注意すべき点がいくつかあります。最後に注意点を解説しますので、準備の際は以下の内容にも気を付けながら取りかかってください。

都道府県ごとに工事内容の確認書類が異なる

指導監督的実務経験証明書は、記載した工事ごとに裏付けが必要です。この裏付けには書類を提出することで対応しますが、必要書類が各都道府県により異なります。書類準備の前に、どんな書類が必要か事前に確認しておきましょう。
裏付けには、以下の書類がよく使われています。

  • 請負契約書
  • 注文書
  • 調書
  • 施工体系図
  • 施工体制台帳

これらの書類に合わせて、すべて確認書類が必要な点にも注意が必要です。監理技術者証で証明できる場合は不要になるケースもあります。スムーズに手続きするためにも、書類の要不要を明確にしておきましょう。

新規申請以外でも提出が必要となる

指導監督的実務経験証明書が必要なのは、特定建設業許可を申請する際だけではありません。許可換えや業種追加などにも必要です。新しい工種を取り扱うようになる場合などにも、忘れずに手続きしましょう。
一般建設業の専任技術者として登録されている社員が条件を満たし、特定建設業の専任技術者として勤務できるようになった場合も同様です。業種担当を後退させるときなどにも必要なため、ご注意ください。
また、更新などの場合により証明書が必要になる場合もあります。担当者や般特・業種など、何か変更があった場合は手続きが必要か確認しておくと安心です。

【まとめ】指導監督的実務経験証明書を正しく作成し、提出しよう!

指導監督的実務経験証明書は、申請を行う際に欠かせない書類のひとつです。必要項目のなかには記入が必要無いものや、記入時に注意すべき点のあるものがあります。一つひとつを正しく理解したうえで記入しましょう。また、記入後は間違えがないか確認するのも忘れないようにしてください。

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