工務店が人手不足になる5つの原因や解消する方法などを解説!

多くの工務店が遭遇する問題の1つに、人手不足があります。この問題は複数の原因が絡み合って発生しており、対策するにはそれぞれの解消方法について知っておく必要があります。

また、人手不足の対策はただ講じればいいというものではありません。対策ごとの注意点や自社に足りない部分などを理解しながら取り組む必要があります。そこで本記事は、工務店が人手不足になる5つの原因と、その解消法・対策する際の注意点についてまとめました。

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工務店の現状

なぜ人手不足が発生しているかを理解するには、現状の問題を把握しなくてはなりません。これは建設業界も同じです。

まずは、工務店の多くが直面している現状について解説します。

新設住宅着工戸数は減少している

現在、新築住宅着工数が年々減少しています。以下の戸数は、株式会社野村證券総合研究所の発表による新築住宅着工戸数の推移をまとめたものです。

  • 2022年度:86万戸
  • 2030年度:74万戸
  • 2040年度:55万戸

これは現在も続く少子高齢化とそれによる人口減少が関係しているといわれています。一方、リフォームやリノベーション市場は需要が高まっており、2030年までにはむしろ上昇すると予想されています。

後継者が不足している

人手不足の影響を受けるのは、新築の着工戸数だけではありません。職人、特に次世代の後継者不足も工務店が抱えがちな問題です。

建設業の技術は一朝一夕で身につくものではありません。教えてもらうことで習得できる知識や技術だけでなく、目で見て、または、仕事を続けていくことで覚えるものもあります。一人前の職人になるには、経験とそれを積むための時間が必要です。

この経験を積む過程に耐えられず、離職してしまう方も珍しくはありません。

工務店が人手不足になる原因

現在、過去に比べて新築の着工戸数が減少している一方、後継者不足などのいわゆる人手不足の状態が発生しています。これは複数の原因によるものです。次は工務店が人手不足に陥りがちになる原因について解説します。

職人が減少している

国土交通省公表の「大工就業者数の推移」によると、2000年に約65万人いた職人は、2020年代にはほぼ半分に当たる約30万人まで減少しています。職人の全体的な現象は、工務店が人手不足に陥る原因のなかでも特に大きいものです。

年代別で見ると39歳以下の減少が進んでおり、後継者不足に悩まされている企業も多いことが分かります。これは、現状の部分で解説した職人の成長や離職者だけでなく、少子高齢化による働き手自体の絶対数が減少していることも関係しています。

若者離れが進んでいる

先ほどから触れている若者離れや少子高齢化による働き手の絶対数の減少も、工務店が人手不足に陥りがちになる理由の1つです。

引用元:国土交通省「建設業を巡る現状と課題

こちらの図を見ると分かるように、建設業の3割以上は55歳以上の職人が占めています。一方、29歳以下の職人は1割ほどです。

55歳以上の人材は当然ですが数十年後には引退します。ケガなどがあれば、一般的な定年退職の時期よりも早く引退することもあるでしょう。その一方で、参入してくる若手はほとんどいないといってもいい状態です。工務店が人手不足に陥るのも無理はありません。

労働環境のイメージがよくない

建設業は「きつい・汚い・危険」の「3K」と呼ばれています。実際、過酷で危険な労働環境が問題であると取り上げられることもあり、未だにその問題は完全に改善できたとはいえません。これらの現状とそこから来るイメージも、工務店が人手不足に陥る原因です。

近年はこれらの改善に国や企業も取り組むようになりました。工務店の人手不足解消において、いかにクリーンで安全な現場であるかをアピールできるかが重要なポイントになりつつあります。

給料水準が低い

人手不足の原因となっているのは、労働環境だけではありません。職人の給料水準の低さも問題です。大工の平均年収は約409万円と、日本の平均年収と比べても低い水準となっています。

そのうえ、月給制ではなく日当制で働く環境も多く、天候やケガなどによる影響がほかの業種よりも強い傾向にあります。繁忙期と閑散期で異なる賃金の差や、ボーナスなどがない状態も人手不足を招いている原因です。

見習い期間や独立までの期間がほかの業種よりもかかるのに、安定して稼げるようになるにはある程度実績や経験が必要になることも要因といえるでしょう。どれも簡単には解決できない問題のため、雇用者側からすると頭が痛い原因といえます。

DXが進んでいない

工務店に限らず、建設業はその特殊性からDXが浸透していない傾向にあります。本来ならデジタルで済ませられる業務をアナログで済ませなくてはならない現状も、人手不足を生み出している原因です。

デジタル技術の導入は取り入れれば解決するというわけではありません。むやみに取り入れた結果職人の離職を促すことになってしまい、人手不足を悪化させてしまったケースもあります。これも給料と同じように難しい問題です。

工務店の人手不足を解消する方法

工務店で人手不足が発生する原因は、建設業全体で対応しなくてはならないものもあり、一企業や事業主だけですべて改善することはできません。

では、人手不足の影響を解消または最小限にするには、何をすればいいのでしょうか。次は人手不足に陥っている工務店の問題を解決するのに役立つ方法をお伝えします。

職人の育成環境を整える

いい機会に恵まれて若い世代を雇入れられても、教育が不十分なままではいずれ離職してしまいます。また、従来の建設業界とは違う待遇や設備を用意していることをアピールできなければ、新しい人材を確保することも難しいでしょう。職人の育成環境を整えるのは、人手不足解消において欠かせない要素です。

具体的には、基礎知識から自社の専門性に関連する知識・技術までを段階的に学べるカリキュラムの整備などがあげられます。特に社員の命にかかわる安全管理や業務をするうえで欠かせない建設知識については、徹底して基礎を身に付けられるようにしなくてはなりません。

労働環境を見直す

併せて労働環境の見直しも重要です。建設業は2024年の4月から時間外労働時間に上限が設けられました。この規制により、1日の残業時間が多くても2時間程度まで抑えられています。この取り決めに加えて週休二日制を導入できれば、労働時間の長さなどの問題はある程度解決できるでしょう。

また、日給制を取りやめ月給制を導入するなど、給料面での改革も有効です。なお、日当を上げるなどの対策を取る場合は、スキルや労力に見合っているかを必ず確認しましょう。

このほか、企業ができることとしては、以下の対策も有効です。

  • 現場や事務所に清潔で使いやすい休憩所やトイレを用意する
  • 部材や製造工程にロボットの利用やシステム化を採用する
  • 安全管理や体制を築くのに使う備品やシステムはこまめに点検・必要に応じて買い替えする

作業中安全に業務を遂行できる設備はもちろん、そのあと快適に過ごせる環境なども重要です。自社環境を整備する際は「どうすればより快適に働いてもらえるか」を考えながら取り組みましょう。

ICTを活用する

ICTとは情報通信技術のことを指す用語です。主にコミュニケーションや情報共有に使われる技術で、建設業界の場合図面や工程・工数などの資料を確認・送受信する際などに活用できます。

常に図面や資料を共有できれば、これらの行き違いによるミスなどを軽減できるだけでなく、ほかの現場からも様々な資料を確認できます。導入すれば、従来よりもより効率的に業務を遂行できるようになるでしょう。

うまく活用できれば、複数の現場をかけ持ちして進めることも可能です。

生産性が向上すれば、職人1人にかかる負担の軽減や、人手不足でも業務を遂行できます。これもまた、人手不足による問題改善に有効な手段です。

DX化に取り組む

DX化とはデジタル技術を活用して業務負担の軽減や業務プロセスの変革を行うことです。先ほど解説したICTの導入による業務効率化もDXの1つの手段です。このほか、高所確認をドローン操作と画像撮影で行うなど、危険業務を安全に遂行するための技術などもあります。

自社業務に適したDXを進めることで、より安全かつ効率的に業務を進められるようになります。これによる省人化も可能です。これらの効果から、DX化は企業だけでなく国もその支援や促進を進めています。

採用戦略を見直す

現在、人手不足解消の手段として、採用窓口の拡大や新しい採用方法の導入などの手段も取られています。これもまた、自社の人手不足解消に役立つ方法です。

オンライン採用を取り入れる

現在、企業の採用手段として様々な方法が取られています。建設業界専門の求人サイトやSNSを利用するオンライン採用もその1つです。オンライン採用は主に若い世代へのアプローチに優れており、次世代の働き手が欲しい企業を中心に取り入れられています。

ただ採用のために活用するだけでなく、企業の魅力を効果的に発信できれば、応募者はもちろん顧客の確保にもつなげられます。自社のイメージアップ戦略としても活用できる方法です。

外国人の採用を考慮する

人手不足解消の手段として取られている方法のうち、多くの建設会社で採用されているのが、外国人労働者の確保です。外国人労働者は業務に積極的で真面目な人が多く、建設現場で活躍している方も少なくありません。

ただし、言葉や文化の違いからコミュニケーションが取りにくい面もあります。

採用フローを改善する

採用フローや内定後のフォローが不透明な企業は、応募者に敬遠される傾向にあります。これらを明確化するのもいい方法です。

例えば、採用試験の評価基準を技術力などのスペックだけでなく人事面でも明確にすれば、より自社にあった人材を確保できます。面接官ごとに評価がばらつく事態を防ぎ、公正に選考できるようになることも、見直しによるメリットです。

また、内定辞退を防ぐ方法として、内定から入社までに適切なコミュニケーションを取っておくと、入社への不安感を緩和し、期待感を高められます。

工務店の人手不足を解消する際の注意点

工務店の人手不足解消対策は、ただ実施すればいいわけではありません。取り組む際は、以下の注意点を押さえた上で行動しましょう。

ICTやDX化は時間がかかることを理解しておく

ICTやDX化は、設備やシステムを導入すればすぐできるわけではありません。導入や実装し、結果を出すにはある程度時間が必要です。

少しでも早く結果を出すためにも、実装への準備を進めつつ社員にICTやDX化に必要な知識をつけられるような研修なども行っておきましょう。導入の際は、職人をはじめとした社員が少しでも早くデジタル化に慣れるにはどうしたらいいかをよく考えながら進めてください。

建設キャリアアップシステムを導入する

建設キャリアアップシステムは、国土交通省が職人のキャリア可視化と正当な評価・賃金上昇を目的として導入しているシステムです。スキルや経験に応じて賃金が上がる仕組みになっており、職人ごとに自分の賃金面の評価を確認できます。

職人が適切な賃金や処遇を受けられるだけでなく、現場ごとに必要な人材を適切かつ効率的に配置するのにも役立ちます。職人・企業の双方が働きやすい環境を整えられるシステムです。

このような人事面で活用できるシステムなど、活用できるものがあれば積極的に導入していくのも、工務店が人手不足を乗り越える際に必要です。

マルチスキルを持つ職人を育成する

1人の職人が複数の業務に携われるようになれば、その分省人化できます。あらゆる技術やスキルを持つ職人を育成することも、人手不足解消に役立ちます。

人材の育成に成功すれば、少ない人数でも施工のクオリティを下げずに効率的に業務を遂行できるようになります。育成は大変ですが、長期的な目線で取り組みましょう。

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【まとめ】工務店の人手不足は深刻!ICTやDX化に取り組むことで解消を目指そう

工務店の人手不足は業界だけでなく日本全体の現状も深く関わっています。企業だけで解決するのは非常に困難です。多くの人材を集められる環境を整えつつ、ICTやDX化による省人化等にも取り組み、人手不足の状態でも今の施工品質や件数を維持するための対策も講じましょう。

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