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大規模修繕工事とは、建物が経年とともに劣化する中で生じる損傷や不具合に対処するための工事です。新築時の美観や機能の低下は避けられないため、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
この記事では、大規模修繕工事の内容や費用、必要な期間について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
大規模修繕工事とは
大規模修繕工事とは、建物の老朽化や劣化を防ぐために行われる工事です。築年数の経過によって生じる損耗や傷みを修復して、建物を元の状態に回復させることを目的としています。
建築基準法に基づいて建てられた物件であっても、経年による耐震性や防水性の低下は防げません。大規模修繕工事は、機能性やデザイン性の向上を追求するリフォームやリノベーションとは異なり、本来の性能へ回復させる目的があります。
大規模修繕工事が必要な理由
建物にも寿命があり、経年による劣化が避けられないため、定期的な大規模修繕工事が必要となります。
特にコンクリート造の建物では、コンクリート内部の劣化を抑制する必要があります。鉄筋の錆による強度低下を防ぐためにも、早い段階での発見と修復が必要です。
大規模修繕工事の流れと内容
大規模修繕工事の流れと内容について解説します。事前に全体の流れを把握しておくことで、スムーズに打ち合わせが可能となります。
ぜひ参考にしてください。
大規模修繕工事のおおまかな流れ
大規模修繕工事を実施するには、まずは管理組合内での適切な体制を整える必要があります。管理組合は理事会が主導する場合もあれば、修繕委員会を設置する場合もあります。
修繕委員会は計画段階から工事完了まで継続的に関与するため、理事の負担軽減が可能です。体制が整ったら現状調査を行い、その結果に基づいて予算や修繕計画を策定します。
修繕の優先順位を定めてから、予算を適切に分配することが肝要です。ただし、専門知識が必要な場合もあるため、現状調査から大規模修繕工事コンサルタントなどの専門家の協力を得て計画を進めるのが望ましいでしょう。
大規模修繕工事の内容
大規模修繕工事の内容は以下の通りです。
- 仮設工事
- 下地補修工事
- タイル補修工事
- シーリング工事
- 外壁の塗装工事
- 鉄部の塗装工事
- 防水工事
- 建具・金物工事
- 設備工事
大規模修繕工事の内容について、詳しく解説していきます。
1.仮設工事
仮設工事は「直接仮設工事」と「共通仮設工事」の2種類に分けられます。
直接仮設工事は、主に大規模修繕工事における足場の構築です。建物周囲に足場を組み、メッシュシートで覆うことで工事中の塗料飛散や資材の外部への落下を防ぎます。安全対策として、通行路には防護棚を設け、侵入者対策としてはカメラやセンサーライトを取り付けるなどの対策が講じられます。
一方で共通仮設工事は、事務所や資材置き場、仮設トイレなどの共通の設備を整える工事です。電気や水道などの基本的なインフラ整備や、事務所で使用する電話やコピー機、パソコンなどの機器の設置も含まれます。
2.下地補修工事
下地補修工事は、主にコンクリート躯体部分に生じたひび割れなどを修復する工事です。仕上げの塗装が美しく施されていても、下地の状態が十分でなければ、後に大きな問題が生じる可能性があります。建物の耐久性や寿命に直結するため、非常に重要な工事です。
3.タイル補修工事
外壁タイルは、雨風や気温の変化によって他よりも早く劣化が進みます。主な症状としては、タイルの浮きや剥がれ、落下が挙げられます。
タイルの接着力が低下すると浮きが生じやすく、そのまま放置すると剥がれて落下する危険性もあるため、定期的なメンテナンスが不可欠です。また、タイルの浮きがある場合、そこから雨水が建物内部に侵入し、構造体を腐食させてしまうケースもあるため、早めに対策しましょう。
4.シーリング工事
壁のつなぎ目やサッシ廻りに使われるシーリング材は、経年により硬化しやすく、ひび割れが生じることがあります。これにより雨水やほこりなどの汚れが微細な隙間から侵入し、見た目には問題がなくても雨漏りの原因となる可能性があります。
建物全体のシーリング工事には足場が必要となるため、大規模修繕工事の際に同時に行われるケースが一般的です。新しいシーリング材の施工により、建物内への雨水侵入が防がれ、気密性が向上し、断熱性の向上も期待できます。
5.外壁の塗装工事
塗装工事は美観を保つだけでなく、雨水や汚れから建物を守る役割も果たします。劣化が進むと下地との接着力が低下して塗装が剥がれ、その部分から侵入した雨水がコンクリートを傷める可能性があります。大規模修繕工事では、まず下地と塗料の付着力を確認して、問題がなければ重ねて塗装します。
6.鉄部の塗装工事
鉄部の塗装工事は、風雨や汚れからコンクリートや鉄を守るための重要な工事です。鉄製の扉や外部階段、手すりは時間とともに錆が発生し、外観や耐久性に悪影響を及ぼします。
錆びた箇所は、サンドペーパーやワイヤーブラシを使用して取り除いてから塗装で保護を行うことで、外観と耐久性を改善できます。
7.防水工事
屋上やバルコニー、廊下などの屋外箇所には防水工事が必須です。防水工事には「シート防水」や「塗膜防水」といった方法があり、これによって雨水や汚れからコンクリートを守って構造の耐久性を維持できます。ふくれや破れ、シワといった防水層の異常が見られた場合には、早めの補修対応が肝心です。
8.建具・金物工事
大規模修繕工事の際、必要に応じて建具や金物工事が行われる場合があります。例えば、玄関扉やサッシ、ドアクローザーや消火栓ボックスなどを交換する工事が挙げられます。
建具や金物工事は、見た目の美化だけでなく利便性や安全性の向上も期待できるでしょう。
9.設備工事
大規模修繕工事では建物の劣化箇所を補修するだけでなく、機能性向上のために現代の需要に合わせた設備導入工事が行われる場合があります。これによって住環境の快適性と安全性を大きく向上できます。
なお、設備工事には排水設備や電気設備、ガス設備などのさまざまな種類があり、設備ごとに専門的な資格が必要な場合もあるため注意が必要です。
大規模修繕工事にかかる費用
大規模修繕工事にかかる費用は、建物の規模によって数千万から億単位になることもあります。通常の補修工事に加えて、耐震補強などのバリューアップ工事などを検討している場合には、追加予算が必要です。
マンションの場合は長期修繕計画に基づき、区分所有者が毎月積み立てている資金がこれらの工事費用として備えられています。しかし、計画は定期的な見直しが必要であり、工事の必要性が見落とされると資金不足に陥り、メンテナンスが不十分となります。
収支状況に応じて計画を適時見直し、適切な対策を検討することが肝要です。
大規模修繕工事にかかる期間
大規模修繕工事の期間は、計画から着工までと着工から完成までの2つに分かれます。
個人の所有物件の場合は工事期間が長くても耐えられるかもしれませんが、住人がいる集合住宅では適切な工事期間の説明が必要です。具体的な工事期間は物件の種類や規模により異なり、小型住宅では1ヵ月以内、中型のアパートでは2ヵ月、大型のマンションでは3ヵ月以上かかることがあります。
特に、多くの住人がいる場合は許諾を得るために計画から着工まで約1年〜2年かかることもあります。工事期間中は騒音や振動、粉塵が発生して住環境にも影響を与える可能性が高いため、工事が終わるまでの予定を事前にしっかり説明することが不可欠です。
大規模修繕工事の周期
国土交通省のガイドラインに基づき、平成20年には「おおよその目安」として12年ごとの工事が推奨されていましたが、修繕工事の高耐久化が進む昨今は18年ごとのサイクルが推奨されている工事も増えてきました。
建物の高耐久化工事は1回あたりの費用は高額になりがちですが、工事回数を減らすことで長期的に見れば大幅なコスト削減が期待できるとされています。現在はまだ実績が乏しいため、工事会社の中には慎重な姿勢を崩さないところもありますが、修繕積立金不足が課題となる中、工事周期の伸長が将来的に一般的となるかもしれません。
大規模修繕工事を成功させる方法
大規模修繕工事を成功させる方法は4つあります。
- 劣化状況をきちんと把握する
- 資金計画を立てる
- 機能改良により居住性を向上させる
- 建物の将来設計
気を付けるべきポイントを理解することで、大規模修繕工事をスムーズに進められます。ぜひ参考にしてください。
劣化状況をきちんと把握する
まずは、建物の劣化状況を正確に把握しましょう。外壁診断やアンケート調査、赤外線サーモグラフィー、書類調査、ドローンを活用する方法が一般的です。
外壁診断では手の届く範囲の打診調査も含まれます。アンケート調査は住人の意見を取り入れることで劣化の具体的な場所や状態を把握可能です。
これに加えて、赤外線サーモグラフィーやドローンを使用することで視覚的に建物の状態を確認できます。複数の手法を組み合わせて調査することで、より効果的な修繕計画を策定できるでしょう。
資金計画を立てる
大規模修繕工事を行う際、毎月積み立てている「修繕積立金」を活用するのが一般的ですが、実際にはこれだけでは不足するケースも多々あります。どうしても工事費用を抑えることが難しい場合、住人から一時金を徴収するか、金融機関からの借り入れを検討する必要があります。
自治体によっては助成金などを提供していることもありますので、日頃からこまめな情報収集を行うことが重要です。
機能改良により居住性を向上させる
大規模修繕工事の主な目的は、建物の劣化を修復し新築時の機能を回復することですが、同時に機能改良も重要な要素となります。
現代ではバリアフリー化や宅配ボックスの導入、防犯対策の強化といった新築時には存在しなかった設備が要望されるケースも多いです。住人の要望に適した機能が提供されることで、暮らしやすさや住環境の向上が期待できます。
建物の将来設計
大規模修繕工事においては、管理組合で多くの意見交換が行われますが、同時に建物の将来像についても考慮する必要があります。例えば、築40年の建物をあと10年で取り壊すか、あと30年持たせるかによって工事の方向性や資金の使い方が大きく異なります。
マンションは多くの住人が共同で管理しているため、建物の将来像について管理組合で共有することで、維持管理の面で大きなプラスになるでしょう。将来の展望を共有し、一致した方針を打ち出すことで、より有益な大規模修繕工事計画の策定が期待できます。
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【まとめ】大規模修繕工事の内容を把握し適切に行おう
リフォームやリノベーションが家をより良い状態に改修するのに対し、大規模修繕工事は新築時の状態に戻すことを目的とします。建物は経年とともに老朽化や劣化が進むため、定期的なサイクルで修繕工事を実施するのが推奨されています。
大規模修繕工事を行う際には現状をしっかりと把握し、しっかり計画を策定してから進めることが重要です。修繕箇所を把握することで、適切な工事を手配できます。初めに建築会社に物件の状態を調査してもらい、工事の必要性を検討することが重要です。
ただし、大規模修繕工事は規模が広範囲に及ぶため、施工計画を策定するには専門的な知識が必要となります。計画段階から専門家のアドバイスを受けながら、着実に準備を進めることが望ましいでしょう。
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