大規模修繕工事に関する法律とは?建築基準法をわかりやすく紹介

大規模修繕 法律

大規模修繕工事は建築基準法に従って行われます。

  • 大規模修繕工事の目的とは?
  • 建築基準法とは?
  • ほかにはどんな法律がある?

こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

そこで今回はマンションで行う大規模修繕工事の法律について詳しく紹介していきます。また、大規模修繕工事を行うための特別多数決議や普通決議についても詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

大規模修繕工事の目的

大規模修繕工事には主に3つの目的があります。

  • 安全性の確保
  • 資産価値の上昇や維持
  • 住んでいる人の環境を良くする

「安全性の確保」は、建物の年数が経過して劣化した部分を修繕し、住んでいる人が安全に生活できるようにします。

「資産価値の上昇や維持」は、大規模修繕工事を行い、資産価値を上昇または維持させます。大規模修繕工事を行うと、建物が長く使えるほか、見た目も変わります。資産価値が上がると、住みたいと思う人が増える可能性があります。

「住んでいる人の環境を良くする」は、修繕以外にも、手すりやオートロックの設置など建物の改良も行えます。現代のコンセプトに合わせた建物にすることで、より良い環境を作ることが可能です。

大規模修繕工事でチェックしておきたい法律

大規模修繕工事を行うにあたって、建築基準法は重要な法律です。建物を建築するときの場所や大きさで基準が変わります。建築基準法に定められている大規模修繕工事についてもまとめました。

建築基準法

建築基準法とは、マンションや一戸建てなどを作る際に定められている法律です。

  • 敷地
  • 構造
  • 設備
  • 用途

建物を作るときは上記の基準があり、それに沿って建築します。用途を例として紹介します。用途には3つの区域が設けられています。

  • 住宅区域
  • 商業区域
  • 工業区域

建物を建築する場合は、作業する場所がどの区域に入っているのかを確認する必要があります。建築工事だけではなく、修繕やリフォームの場合でも建築基準法の確認が必要です。

建築基準法で定められている大規模修繕工事の定義

建築基準法には、「大規模修繕工事はマンションや建物の重要な部分(柱、壁、屋根、階段、床など)のうち一種類以上の場所を半分以上修繕すること」と書かれています。貸し出しているマンションの場合は、管理者は建物の修繕を行う義務があります。修繕や設備の設置は住んでいる人が安全に暮らせるようにするための重要な工事です。

建築基準法で大規模修繕工事に関する法律

建設基準法の中にある重要な法律について紹介します。

  • 確認申請
  • 区分所有法
  • マンション建て替え円滑化法
  • マンション管理適正化法

大規模修繕工事を行うために必要な法律や確認申請についてまとめています。

確認申請

建物を建築するときや大規模修繕工事を行う際に確認申請をします。大規模修繕工事の内容や建築に関して、建築基準法に違反していないかを担当者がチェックします。しかし、工事の内容によっては確認申請がいらない場合もあります。

確認申請が必要な工事内容

以下の場合、確認申請が必要です。

  • 大規模修繕工事
  • リフォーム
  • 新築

第1号〜第3号までの建築物で、建物の重要な部分を一種類以上行う大規模修繕工事の場合は確認申請が必要です。
防水や外壁の塗作業など、外側部分だけの大規模修繕工事場合は表面修繕とみなされるため、確認申請は必要ありません。しかし、防水工事の下地作業が入る場合は、大規模修繕工事となるため、確認申請が必要です。確認申請に関して分からない場合は、専門業者に相談しましょう。

確認申請が必要な建物のタイプ

  • ホテル
  • 体育館
  • 映画館
  • 病院

大規模修繕工事は第1号〜第3号までの建築物に対して確認申請が必要です。新築工事は第1号〜第4号までの建物に対して確認申請が必要です。

  • 第1号は、床面積が100平米を超える建物です。
  • 第2号は、高さ13メートルもしくは軒の場所が9メートル以上、床面積が500平米超えていて3階以上ある木造の建物が対象です。
  • 第3号は、床面積が200平米以上あり、2階以上の建物が対象です。
  • 第4号は、第1号〜第3号全ての建物が対象です。

区分所有法

区分所有法とは、区分所有建物の権利についてや、運営管理の基準などが決められている法律です。区分所有建物とは、1つの建物の中にそれぞれ独立した部屋が存在し、所有権が異なる建物をいいます。区分所有法には共有スペースを大きく変える大規模修繕工事の場合、特別な決議が必要と書かれています。

特別多数決議が必要なケース

工事内容を確認して特別な決議を行う場合、所有者から4分の3以上の賛成が必要です。

  • 使われていない部分のリフォーム(使っていない場所に事務所や集会所などを増やす)
  • エレベーターの増設
  • 階段を増やす

など、共有部分の大がかりな工事を行う場合は、特別な決議が必要です。

普通決議で行えるケース

特別な決議以外の普通決議の場合、それぞれの所有者から過半数以上の賛成が得られれば工事ができます。

  • コンクリート部分の塗装工事
  • 屋上の防水工事
  • 外壁の修繕、補修工事

上記は建物の資産価値を増やし、利用している人が快適に過ごせるための重要な工事です。建物自体を大きく変更せず、資産価値を上げる工事は普通決議で行われることが多いです。

マンション建て替え円滑化法

マンション建て替え円滑化法とは、マンションの取り壊しや建て替え時などの手続きをスムーズに行う方法が書かれています。マンションを使う人が快適に過ごせるための環境や老朽化の対策などを目的とした法律です。
耐震基準など大規模修繕工事では解決できない問題が発生している場合は、取り壊しや建て替えをする必要があります。

マンション管理適正化法

マンション管理適正化法とは、マンションの資産価値を上げて快適に住めるようにするための法律です。マンションの管理会社になるには下記の要件が必要です。

  • 収支の状況を管理組合へ報告する(書面)
  • 管理業務主任者が在籍していること

国家資格の管理業務主任者の資格を持っている人が事務所に在籍している必要があります。

定期管理報告

定期管理報告とは、建物の設備が適切に管理や維持されているかを定期的に報告することをいいます。定期管理報告は一級建築士や二級建築士など資格を持っている人に建物調査を行ってもらい、結果を行政庁へ報告します。

定期管理報告が必要な特殊建築物

特殊建築物は定期管理報告が必要です。

  • 体育館
  • 映画館
  • 病院
  • 学校
  • ホテル

など大きい建物は特殊建築物に該当します。特殊建築物になるマンションの条件等は自治体にいる建築主事が決めています。

建築主事とは、建築基準法に従っているかを確認する役職公務員で、25万人以人口がいる市町村には配属する義務があります。特殊建築物に該当するかは各地方自治体によって違うので、公式ホームページでチェックしましょう。

定期管理報告を行う周期

3年に1回は特殊建築物の定期管理報告が必要です。定期管理報告を行う年度がくると管理組合や所有者に対して報告のお知らせがきます。お知らせがきたら報告書の作成や資格を持っている人へ調査の依頼を行いましょう。報告書が完成したら郵送や市役所へ直接持っていきます。定期管理報告に関しては地方自治体によって違うため、こちらも公式ホームページで確認しましょう。

大規模修繕工事は任意であるマンションが負う3つの義務

大規模修繕工事のときにマンション管理人が行う3つの義務を紹介します。

  • タイル外壁の調査
  • 管理組合への加入
  • マンション設備の維持・管理

マンションに住んでいる人が快適に暮らせて、資産価値を上げるためには重要な義務です。

タイル外壁の調査

「10年に1回外壁タイルの状況を行政庁に報告する義務がある」と建築基準法第12条に書かれています。

建物内にある全部のタイル部分に対して調査を行わなければいけないため、場所によっては足場の設置など大きな工事が必要な場合があります。タイル外壁調査について、10年経過してもその後、3年以内に大規模修繕工事を行う場合は、工事まで期間が延長されます。

管理組合への加入

管理組合とは、建物の敷地やすでに設置してある施設の管理、維持を行うために作られた組織です。区分所有法の第2条で区分所有者は管理組合に入らなければならないと書かれています。
大規模修繕工事を行うときの業者選びや修繕のタイミングなども管理組合の業務です。管理組合は建物を維持するために必要な組織です。

マンション設備の維持・管理

マンションにある設備の維持や管理については、マンション管理適正化法によって定められています。
国や地方自治体がマンション管理のあり方を策定しており、それに協力すると書かれています。修繕する義務がなくてもマンションの維持管理をするためには管理組合が動かなければなりません。

【まとめ】大規模修繕工事は法律を正しく守って行おう

大規模修繕工事は建設基準法に従って行われます。大規模修繕工事をする場所によって確認申請が必要になる場合もあります。大規模修繕工事をする際は、コンサルタントや工事を依頼する業者と相談しながら行いましょう。

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